テレワークの実施時間、業務時間全体の1割にとどまる

今後マイナスの影響、前月から増加し警戒感強まる

2021年4月、一部地域で新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増加し、まん延防止等重点措置の適用および、3回目の緊急事態宣言が発出された。さらに、対象地域を拡大して5月31日までの延長が決定した。企業においては、感染拡大を抑制するため引き続き政府からテレワークの推進や、出張の必要性を慎重に検討することが求められている。
そこで、帝国データバンクは、新型コロナウイルス感染症に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年4月調査とともに行った。
<調査結果(要旨)>
  1. 新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響、『マイナスの影響がある』と見込む企業は75.4%(前月比0.9ポイント増)。また「今後マイナスの影響がある」(9.6%)は3カ月連続で1ケタ台となるものの、前月より増加し先行きに対する警戒感はやや強まっている。他方、『プラスの影響がある』と見込む企業は4.1%(同0.8ポイント減)となり、2カ月ぶりに減少に転じた
  2. 『マイナスの影響がある』を業種別にみると、「旅館・ホテル」が97.1%で最も高くなった。以下、「飲食店」(93.1%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(92.5%)、「広告関連」(90.5%)が9割台で続いた
  3. 『プラスの影響がある』は、総合スーパーなどの「各種商品小売」が20.9%でトップとなった。次いで、「放送」(18.8%)、「飲食料品小売」(17.6%)、「飲食料品・飼料製造」(12.2%)、「電気通信」(11.1%)が上位に並んだ
  4. 自社の業務時間全体に占めるテレワークの実施時間を職種別にみると、「経営層(役員)」は業務時間のうち平均11.2%、「管理職」では同11.8%、「内勤職」では同13.4%、「外勤職」では同12.4%となった。各職種とも業務時間のうちテレワークの実施時間は1割台にとどまった
  5. 他方、業務時間全体の「70%以上」をテレワークとしている企業は各職種とも5%程度にとどまる一方で、「0%(実施なし)」はいずれも6割超となった
※調査期間は2021年4月16日~30日、調査対象は全国2万3,707社で、有効回答企業数は1万1,003社(回答率46.4%)。なお、新型コロナウイルス感染症に関する調査は、2020年2月から毎月実施し今回で15回目
※本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している


業績へ今後マイナスの影響、前月から増加し先行きに対する警戒感やや強まる
新型コロナウイルス感染症により自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ、『マイナスの影響がある』(「既にマイナスの影響がある」と「今後マイナスの影響がある」の合計)と見込む企業は75.4%(前月比0.9ポイント増)となった。また、「今後マイナスの影響がある」(9.6%)は3カ月連続で1ケタ台となるものの、前月から2.0ポイント増加し、先行きに対する警戒感はやや強まっている。

一方で、『プラスの影響がある』(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)は4.1%となり、同0.8ポイント減で2カ月ぶりに減少に転じた。

新型コロナウイルス感染症による業績への影響新型コロナウイルス感染症による業績への影響

業種別にみると、『マイナスの影響がある』と見込む企業は、「旅館・ホテル」が97.1%となり最も高かった。次いで、「飲食店」(93.1%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(92.5%)、「広告関連」(90.5%)が9割台で続いた。他方、『プラスの影響がある』と見込む企業は、総合スーパーなどを含む「各種商品小売」が20.9%で最も高く、以下、「放送」(18.8%)、「飲食料品小売」(17.6%)が続いた。また「各種商品小売」は、前回調査において3割超の企業でプラスの影響を見込む結果となっていた。しかし、3回目の緊急事態宣言などを受けてこれまで消費の拡大がみられていた業種の勢いもやや鈍化してきた。企業からは「感染者数が多い状況が続く限り、売り上げの改善は進まない」(婦人・子供服小売、千葉県)という厳しい声が多くあがっている。

他方で、「巣ごもり需要の影響でホビー関連商品が良く売れている」(金物卸売、岐阜県)といった需要の拡大を実感する声も聞こえている。

業績に『マイナス』・『プラス』の影響がある割合~ 上位10業種 ~業績に『マイナス』・『プラス』の影響がある割合~ 上位10業種 ~

 

業務時間全体に占めるテレワークの割合、平均1割台にとどまる
自社において業務時間全体のなかでテレワーク(在宅勤務やリモートワークなど)をどの程度の時間実施しているか職種別[1]に尋ねたところ、「経営層(役員)」は業務時間全体のうち平均[2]11.2%となり、「管理職」では同11.8%、「内勤職」では同13.4%、「外勤職」では同12.4%となった。各職種とも業務時間のうちテレワークが占める割合は1割台にとどまった。他方、テレワークの時間が「70%以上」[3]を占めている企業は各職種とも5%程度だったが、「テレワークが定着し、出勤率は20~30%程度である。テレワーク推進のために、電気代・通信費の補助を日当りで支給。また、自宅でのWi-Fi、デスク、椅子、モニター類の購入補助について上限を決めて支給している」(ソフト受託開発、愛知県)といった先進的な声もある。

一方で、各職種ともテレワークの時間が「0%(実施なし)」という企業は6割超となった。企業からは、「テレワークが推進されているが、現場管理が主な仕事であり在宅勤務というわけにはいかない。またセキュリティ上の問題もあり会社の情報を持ち出せない」(内装工事、神奈川県)、「東京圏の会社ではテレワークがかなり進んでいるように感じるが、地方では全くと言っていいほどテレワークは浸透していないと思う」(建築材料卸売、宮城県)といった意見があがった。

職種別業務時間全体に占めるテレワーク実施割合職種別業務時間全体に占めるテレワーク実施割合

都道府県別に業務時間に占めるテレワークの時間を平均すると、各職種すべてで全国平均を上回ったのは、「東京」「大阪」「神奈川」の3都府県となっていた。同地域は、2021年4月にまん延防止等重点措置および緊急事態宣言が実施されている地域である。とりわけ、「東京」では、「経営層(役員)」において業務時間全体のうちテレワークの時間が平均23.5%を占めており、「管理職」では同27.1%、「内勤職」では同30.5%、「外勤職」では同27.2%となっており、全国平均の2倍以上であった。 

業務時間に占めるテレワーク時間の 平均割合~ 上位5都道府県 ~業務時間に占めるテレワーク時間の 平均割合~ 上位5都道府県 ~

[1] 職種の分類は、「経営者層(役員)」は社長を含む、「管理職」は課長相当職以上を表す。「内勤職」は事務職/専門・技術職など主にデスクワークで勤務する職種、「外勤職」は営業・集金・配達・警備など主に社外で勤務する職種を表す
[2] 平均は、各選択肢の中央値に各回答社数を乗じ加算したものから全回答社数で除したもの(ただし、「分からない」は除く)
[3] 「70%以上」は、「100%(全時間で実施)」「70%以上100%未満」の合計


テレワークの推進、セキュリティ問題が障壁となる様子露わに
本調査の結果、新型コロナウイルス感染症により業績にマイナスの影響があると見込む企業は、7カ月連続で8割を下回った。しかし、今後マイナスを見込む企業は前月より増加しており、先行きに対する警戒感がやや強まっている。

3回目となる緊急事態宣言の発出をはじめ人流を抑制した施策が実施されるなか、「旅館・ホテル」や「飲食店」といった個人向けサービスを中心に悪影響を強く受けていた。

また、人との接触を低減する取り組みの推進を政府から呼びかけられているが、企業における業務時間全体に占めるテレワークの実施時間は、職種に関わらず平均1割台という結果となった。とりわけ、テレワークを実施していない企業が各職種とも6割を超えており、自社の業種や取引先との関係、セキュリティ上の問題などが障壁となっている様子もうかがえた。

2021年5月、まん延防止等重点措置と緊急事態宣言の延長および実施区域が拡大され、引き続き制約のあるなかで経済活動が行われている。

先行きに対する警戒感が高まりつつあるなか、政府には国民や企業の不安が軽減されるよう、喫緊の課題に対する施策や要請だけでなく、中長期的な展望を示す対応策が求められよう。




■調査期間は2021年4月16日~30日、調査対象は全国2万3,707社で、有効回答企業数は1万1,003社(回答率46.4%)。なお、新型コロナウイルス感染症に関する調査は、2020年2月から毎月実施し今回で15回目
■本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
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