“パウンド・フォー・パウンド”パッキャオ、強豪クロッティを迎え撃つ!…世界プロボクシング
WBO世界ウェルター級タイトルマッチ
マニー・パッキャオvsジョシュア・クロッティ
マニー・パッキャオvsジョシュア・クロッティ
日本時間3月14日(日)、ボクシング2010年最初のビッグマッチ、マニー・パッキャオ(フィリピン)vsジョシュア・クロッティ(ガーナ)の試合がテキサス州アーリントンにあるダラス・カウボーイズ・スタジアムで行われる。
当初はこの日程でパッキャオ対フロイド・メイウェザー(アメリカ)の5冠王対決が計画されていたが、ドーピング検査の方法を巡って両陣営が対立。結局、パッキャオ対メイウェザー戦は今回は破談となり、代わりにクロッティに出番が回ってきたという経緯がある。
新しく組まれたこのカードもなかなか興味深い組み合わせといえる。もし、パッキャオ陣営がクロッティを軽視するようなことがあると、取り返しのつかない事態に陥る危険性を含んだカードといえるだろう。
5階級制覇を成し遂げたパッキャオの50勝(38KO)3敗2分というレコードと比較すると、クロッティの35勝(20KO)3敗1無効試合は霞んでしまいがちだが、中味に関しては勝るとも劣らないものがある。パッキャオが対戦を回避したアントニオ・マルガリート(メキシコ)には正面からの打撃戦を挑んで惜敗。パッキャオに5冠目を献上したミゲール・コット(プエルトリコ)とも拳を交えた経験を持つ(12回判定惜敗)。また、パッキャオと同じサウスポーのザブ・ジュダー(アメリカ)には9回終了負傷判定勝ちを収めている。もうひとつ武運に恵まれない印象もあるが、底力は十分だ。
6歳のときに2人の兄とともにボクシングを始め、アマチュアで49戦45勝4敗の戦績を残して95年にプロデビュー。ニックネームの「ヒッター」は、熱い打撃戦を好むために付けられた「ヒーター」が変化したと言われることでも分かるように、試合は常にエキサイティングだ。高いオンガード・ポジションから繰り出される左ジャブ、肩口から真っ直ぐ伸びる右ストレートが主武器だが、頑丈な体も特徴のひとつといえる。この試合に備えフロリダで集中トレーニング・キャンプを敢行し、かつての指導者をガーナから呼び寄せるなどモチベーションは高い。
6対1のオッズが示すとおり、常識的にみればパッキャオの勝利は不動と見るべきなのだろうが、数字以上に危険度の高いカードといわざるをえない。理由としては、クロッティの底力はもちろんのこと、パッキャオ自身の集中力の度合いが気になるからだ。
ここ数年、スーパーファイトの続くパッキャオは本来ならば試合感覚をもう少し開けたいところだが、5月に自身のフィリピン下院議員選挙出馬を控えているという事情がある。そのため日程を前倒しにして試合を行なうわけだ。フレディ・ローチ・トレーナーでさえ「できることならば試合は5月の方が良いが、決まったからには全力を注ぐしかない」と話していたほどだ。調整とモチベーションの2点においては不安がないとはいえない。
試合の大きなカギを握るのは、これまでのパッキャオの試合同様、序盤の主導権争いだろう。鋭い踏み込みから繰り出すパッキャオの左ストレートが元IBF王者のガードを容易に割るようだと、5冠王の勢いは最初からマックスになるだろう。中盤を待たずにタフなガーナ人をストップしてしまう可能性もある。
その一方で、クロッティが正確なワンツーをヒットして体の小さいパッキャオを突き放しながら後退させる展開に持ち込むと、番狂わせの可能性が一気に膨らむ。開始直後から目の離せない試合になりそうだ。
世界中が注目するこの試合の模様は、3月14日(日)午後0時よりWOWOWで生中継される。
Written by ボクシングライター原功
※マニー・パッキャオ(5階級制覇チャンピオン、WBO世界ウェルター級チャンピオン)
生年月日:1978年12月17日
年齢:31歳
出身:フィリピン
ニックネーム:パックマン
戦績:55戦 50勝 38KO 3敗 2分
1995年1月 プロデビュー
1998年12月 WBC世界フライ級タイトル獲得
(vsチャッチャイ・サーサクン 8回KO)
2001年6月 IBF世界S・バンタム級タイトル獲得
(vsリーロ・レジャバ 6回TKO)
2008年3月 WBC世界S・フェザー級タイトル獲得
(vsファン・マヌエル・マルケス 12回判定)
2008年6月 WBC世界ライト級タイトル獲得
(vsデビッド・ディアス 9回TKO)
2008年12月 元6階級制覇王者オスカー・デラ・ホーヤに8回終了TKO勝ち
2009年5月 元2階級制覇王者リッキー・ハットンに2回KO勝ち
2009年11月 WBO世界ウェルター級タイトル獲得
(vsミゲール・コット 12回TKO)
※ジョシュア・クロッティ(元IBF世界ウェルター級チャンピオン)
生年月日:1977年3月16日
年齢:32歳
出身:ガーナ ホーム:アメリカ
ニックネーム:グランド・マスター、ヒッター
戦績:39戦 35勝 20KO 3敗 1無効試合
1995年3月 プロデビュー
1995年12月 ガーナ・S・ライト級タイトル獲得
2001年4月 アフリカ・ウェルター級タイトル獲得
2006年7月 IBFインターコンチネンタル・ウェルター級タイトル獲得
2006年12月 WBO世界ウェルター級タイトルに挑戦
(vsアントニオ・マルガリート 12回判定負け)
2008年8月 IBF世界ウェルター級タイトル獲得
(vsザブ・ジュダー 9回負傷判定)
2009年6月 WBO世界ウェルター級タイトルに挑戦
(vsミゲール・コット 12回判定負け)
当初はこの日程でパッキャオ対フロイド・メイウェザー(アメリカ)の5冠王対決が計画されていたが、ドーピング検査の方法を巡って両陣営が対立。結局、パッキャオ対メイウェザー戦は今回は破談となり、代わりにクロッティに出番が回ってきたという経緯がある。
新しく組まれたこのカードもなかなか興味深い組み合わせといえる。もし、パッキャオ陣営がクロッティを軽視するようなことがあると、取り返しのつかない事態に陥る危険性を含んだカードといえるだろう。
5階級制覇を成し遂げたパッキャオの50勝(38KO)3敗2分というレコードと比較すると、クロッティの35勝(20KO)3敗1無効試合は霞んでしまいがちだが、中味に関しては勝るとも劣らないものがある。パッキャオが対戦を回避したアントニオ・マルガリート(メキシコ)には正面からの打撃戦を挑んで惜敗。パッキャオに5冠目を献上したミゲール・コット(プエルトリコ)とも拳を交えた経験を持つ(12回判定惜敗)。また、パッキャオと同じサウスポーのザブ・ジュダー(アメリカ)には9回終了負傷判定勝ちを収めている。もうひとつ武運に恵まれない印象もあるが、底力は十分だ。
6歳のときに2人の兄とともにボクシングを始め、アマチュアで49戦45勝4敗の戦績を残して95年にプロデビュー。ニックネームの「ヒッター」は、熱い打撃戦を好むために付けられた「ヒーター」が変化したと言われることでも分かるように、試合は常にエキサイティングだ。高いオンガード・ポジションから繰り出される左ジャブ、肩口から真っ直ぐ伸びる右ストレートが主武器だが、頑丈な体も特徴のひとつといえる。この試合に備えフロリダで集中トレーニング・キャンプを敢行し、かつての指導者をガーナから呼び寄せるなどモチベーションは高い。
6対1のオッズが示すとおり、常識的にみればパッキャオの勝利は不動と見るべきなのだろうが、数字以上に危険度の高いカードといわざるをえない。理由としては、クロッティの底力はもちろんのこと、パッキャオ自身の集中力の度合いが気になるからだ。
ここ数年、スーパーファイトの続くパッキャオは本来ならば試合感覚をもう少し開けたいところだが、5月に自身のフィリピン下院議員選挙出馬を控えているという事情がある。そのため日程を前倒しにして試合を行なうわけだ。フレディ・ローチ・トレーナーでさえ「できることならば試合は5月の方が良いが、決まったからには全力を注ぐしかない」と話していたほどだ。調整とモチベーションの2点においては不安がないとはいえない。
試合の大きなカギを握るのは、これまでのパッキャオの試合同様、序盤の主導権争いだろう。鋭い踏み込みから繰り出すパッキャオの左ストレートが元IBF王者のガードを容易に割るようだと、5冠王の勢いは最初からマックスになるだろう。中盤を待たずにタフなガーナ人をストップしてしまう可能性もある。
その一方で、クロッティが正確なワンツーをヒットして体の小さいパッキャオを突き放しながら後退させる展開に持ち込むと、番狂わせの可能性が一気に膨らむ。開始直後から目の離せない試合になりそうだ。
世界中が注目するこの試合の模様は、3月14日(日)午後0時よりWOWOWで生中継される。
Written by ボクシングライター原功
※マニー・パッキャオ(5階級制覇チャンピオン、WBO世界ウェルター級チャンピオン)
生年月日:1978年12月17日
年齢:31歳
出身:フィリピン
ニックネーム:パックマン
戦績:55戦 50勝 38KO 3敗 2分
1995年1月 プロデビュー
1998年12月 WBC世界フライ級タイトル獲得
(vsチャッチャイ・サーサクン 8回KO)
2001年6月 IBF世界S・バンタム級タイトル獲得
(vsリーロ・レジャバ 6回TKO)
2008年3月 WBC世界S・フェザー級タイトル獲得
(vsファン・マヌエル・マルケス 12回判定)
2008年6月 WBC世界ライト級タイトル獲得
(vsデビッド・ディアス 9回TKO)
2008年12月 元6階級制覇王者オスカー・デラ・ホーヤに8回終了TKO勝ち
2009年5月 元2階級制覇王者リッキー・ハットンに2回KO勝ち
2009年11月 WBO世界ウェルター級タイトル獲得
(vsミゲール・コット 12回TKO)
※ジョシュア・クロッティ(元IBF世界ウェルター級チャンピオン)
生年月日:1977年3月16日
年齢:32歳
出身:ガーナ ホーム:アメリカ
ニックネーム:グランド・マスター、ヒッター
戦績:39戦 35勝 20KO 3敗 1無効試合
1995年3月 プロデビュー
1995年12月 ガーナ・S・ライト級タイトル獲得
2001年4月 アフリカ・ウェルター級タイトル獲得
2006年7月 IBFインターコンチネンタル・ウェルター級タイトル獲得
2006年12月 WBO世界ウェルター級タイトルに挑戦
(vsアントニオ・マルガリート 12回判定負け)
2008年8月 IBF世界ウェルター級タイトル獲得
(vsザブ・ジュダー 9回負傷判定)
2009年6月 WBO世界ウェルター級タイトルに挑戦
(vsミゲール・コット 12回判定負け)
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