【夜の部のご紹介】2月19日(日)開催のABCラジオ上方落語をきく会
「上方落語をきく会」は、1965年(昭和30年)12月に第1回の公開録音を行って以来、現在まで続く上方落語で最も長い歴史を誇る落語会です。これまでに「1080分落語会」や」「しごきの会」など、ファンの間で後世の語り草となる数々の高座を生みだしてきました。今回もラジオで生放送を行うほか、オンライン配信も行われます。
通算121回目となる今回は大阪の国立文楽劇場から昼夜の2公演を行います。
17時半開演の夜の部は「桂二葉しごきの会」。一昨年、NHK新人落語大賞を受賞後、全国区の人気となって、八面六臂の活躍を見せる桂二葉さんが3席のネタおろしに挑み、師匠の桂米二さん、同じ桂米朝一門の先輩の桂吉弥さんが「しごき役」で出演されます。
「いけるで!」っていう気持ちが大事
今回、当日の総合司会で、社会人落語家としても高座に上がっている桂紗綾アナウンサーが、夜の部の「しごきの会」に挑む桂二葉さんにお話を伺いました。
大ネタ「らくだ」に挑戦
桂紗綾(以下、紗綾) ABCラジオ「上方落語をきくの会」の「桂二葉しごきの会」の主役、桂二葉さんにお越しいただきました! よろしくお願いいたします。
桂二葉(以下、二葉) お願いします。桂二葉です!
(紗綾) 今回は、ABCラジオ「上方落語をきく会」の夜の部、2月19日に行われます「桂二葉しごきの会」、こちらで3席ネタおろしに挑戦すると!
(二葉) はい、そうです。ネタはもう決まっていまして、「味噌豆丁稚」と、あと「幽霊(ゆうれん)の辻」と「らくだ」をやらしていただこうと思っています。
(紗綾) おぉー。今、3週間から4週間くらい前の間のところなんですけど、進捗状況はどうですか?
(二葉) えっと、まず、同時に覚えるってできへんからね。
(紗綾) あ、1本ずつ?
(二葉) そうなんです。まず「らくだ」を覚えきりまして。
(紗綾) おっ! でも一番の大ネタじゃないですか?
(二葉) そうですね。絶対あげてもらおう(※1)という気でお稽古に行ったんですけどー。ダメでしたね…。
(紗綾) ダメでしたか?!
(二葉) ダメでした。全然あかんかった。おとつい(一昨日)行ったんですけど。あかんかった…。
(紗綾) ご自身の中では「これ、いけるやろ」っていう感じやった?
(二葉) いや、まぁ、ちょっと甘かったですね。ほんでなんか照れてもうて。一対一で(落語を)見てもらう状況が、なんか恥ずかしいなってなってしもて。途中から(笑)。
(紗綾) なるほど。「らくだ」って言いますと、笑福亭のみなさんがよくされていて、酔っ払いの面白いネタやなと思いますけど。私、二葉ちゃんの酔っ払いは大好き。
(二葉) ありがとうございます。
(紗綾) 「上燗屋」かな?
(二葉) 「上燗屋」とか「がまの油」をやってます。
(紗綾) 「がまの油」もそうですね。めちゃくちゃ面白いから。あんな感じで?
(二葉) でも、「らくだ」はまたちょっと違うんかなと。
(紗綾) 違う? キャラクター的に?
(二葉) どうなんかな。ちょっとまだわからないんです。つかみ切れてなくて。とにかくあげてもらわんことにはね。
(紗綾) そうですね、あと、もう少し?
(二葉) そうなんです。
三席ネタおろしは綱渡り
(紗綾) あとの2つのネタは?
(二葉) まだ一文字も覚えてないです。
(紗綾) 一文字も!? 一文字も!?
(二葉) はい。どうしよう…。
(紗綾) そうか! まず1本上がらないと、次に行けないですもんね?
(二葉) そうなんですよ。でも、もう無理やから作戦変更!
(紗綾) あ、同時でいきますか?
(二葉) はい。「らくだ」をいったん置いといて。
(紗綾) 置いといて!
(二葉) 「らくだ」の次のお稽古の前に別の1本覚えきるっていう感じで。
(紗綾) なるほど、なるほど。
(二葉) 同時で。綱渡りですわ。ほんまに綱渡り。
(紗綾) だってお稽古つけてくださっている師匠、先輩からいいよって、大丈夫だよって言ってもらわないとだめでしょ?
(二葉) そうなんですよ。じゃないと人前でやれないっていう。
(紗綾) 「味噌豆丁稚」も教えてもらってるんですよね?
(二葉) そうなんです。
(紗綾) それは短いネタですよね。かわいらしい。
(二葉) そうでしょ?
(紗綾) 私、大好き。
(二葉) あ、そうですか。あんまりやる人いないんですけどね。
(紗綾) 上方ではあんまりいらっしゃらない。
(二葉) これって東京の噺なんですか?
(紗綾) そう、江戸でやられる方は結構いらっしゃいますけど、上方では私、笑福亭笑利さんのしか聞いたことがない。
(二葉) あ。笑利くん、やらはるんですね。へぇー。
(紗綾) かわいいですよね。お豆食べてるとことか。食べたくなる!
(二葉) そうそうそう、いいですよね。「らくだ」が長いんから、分数で選んだとこもある(笑)
(紗綾) さらっとやれる感じの噺で? マクラでちょっと調整もできて。
(二葉) そうですね。
(紗綾) で、「幽霊の辻」。これは落語作家の小佐田定雄先生の作品で、桂枝雀師匠にあてて書かれた噺ですよね?
(二葉) そうなんです。
(紗綾) 笑いの多い、「怪談」ですかね?
(二葉) そうですね。途中に太鼓とかもいっぱい入って。私あんまりハメモノが入るネタを持ってなくて。なんか持っときたいなって思って。
ネタおろしへの思い
(紗綾) 私はまだまだ落語の初心者なので、見る方もですね。初心者なので。
(二葉) いやいやいや、そんなことないでしょ!
(紗綾) ほんとに、最近なんですよね、好きになったのが。30歳過ぎてからなんで、そんなに回数を見てないんですよ、「しごきの会」って。
(二葉) あ、そうかそうか!
(紗綾) 生で見たのは去年の桂りょうばさんと、一昨年の笑福亭銀瓶さん。ちょこっとだけ見させてもらって。移動したり、司会の仕事もあってだったので、ちゃんと見られてないんですけど、なんかこう、みなさんさらっとされてたんですよ。
(二葉) そうですよね!
(紗綾) なんであんなにさらっと?
(二葉) 絶対その前にやってますって! 「ネタおろし」って言っておきながら、絶対やってるって! もう5回くらいやって出てるって、絶対!
(紗綾) いえいえ、そんなことはないです (笑)。
(二葉) 私もりょうばさんのを聞いてたけど、すらすら行きすぎやろ、と。
(紗綾) 本人も全然そんなに気負ってなくて。
(二葉) なんでなん?
(紗綾) なんでなんやろうと思って。
(二葉) すごいですよね。
(紗綾) どうですか? その3つ。あと2つはこれから覚えるところですけど、当日のイメージとかしてます?
(二葉) いや、そもそもネタおろしって人前で初めてやるから、どこで受けるかとかわからないんですよ。何回もやってたら、あ、ここで受けんねんなとかなるじゃないですか? ここで受けるなと言う頭になってしゃべるじゃないですか? それがまったくないから、自分が思ってないところで受けた時に、ちょっとテンポが狂ったりして。
(紗綾) 動揺しますもんね?
(二葉) そうなんです。止まることとかもあるから(笑)。
(紗綾) むしろ、ここで受けるやろと思ってたら、さらっと、なんかお客さんがむしろ聞き入ってるみたいな時とかも?
(二葉) あります、あります。
(紗綾) 動揺しますね!
(二葉) めっちゃ動揺しますんで。
(紗綾) それがいきなり3席…。
(二葉) ネタおろしなんかうまいこといったことないし。今まで。
(紗綾) あ、そうですか…。えー。
(二葉) だからほんまにこんなん、いいんですかっていう感じ…。
(紗綾) 「らくだ」みたいに50分近いおっきいネタを、大勢の前でネタおろしするっていうことはこれまで経験は?
(二葉) えーっとね。ここまで長いのはないですね。
(紗綾) 初めてのことですね。
(二葉) はい。短いのんでもネタおろしはわかれへんから、もうドキドキして…。
(紗綾) そうですよね…。それを大勢の、国立文楽劇場のお客さんの前で。
(二葉) ほんで生放送でしょ? ようやらはるわ、こんなん! ほんとに。
3席を気合と根性で
(紗綾) でも、さっきスタッフに聞きましたらね、ぼろぼろの人もおったよと言ってたので。
(二葉) あ、そうですか! そうなんですね。じゃあ安心ですね。ハハハ!
(紗綾) 私もそんなん、聞いたことがないので。そもそものこの会のコンセプトが、テレビとかラジオとかメディアで活躍されている若手の方に落語も一生懸命やってもらいたいなっていうことで、先輩方にしごいてもらうこの会が生まれたっていう風に聞いたので。
(二葉) あ、そうなんですね?
(紗綾) だから、二葉ちゃん、今すっごく忙しい中で、ネタを並行して覚えながらやっていくっていうことが、実はこのコンセプトに沿ってるらしいんですね。
(二葉) なるほど。そうですか。
(紗綾) むしろお客さんは二葉ちゃんがもがいてる姿っていうのを見たいのかもしれないですね。
(二葉) そうですか…。ぼろぼろになってもいいんかなぁ…。
(紗綾) いやいやいや、ぼろぼろにならんでしょ? ならんと思うけど。
(二葉) いやあ、怖いっすよ。怖い。
(紗綾) お客さんもリスナーさんも、二葉ちゃんのどんな姿でも楽しみにはしていると思います。
(二葉) 博打な感じがすごいっすよね。ほんま。どうなるか。
(紗綾) この話が来たときは気持ち的にどうでしたか?
(二葉) あー、「お、来たな!」っていう感じはしました。
(紗綾) お、来たな? 落語を覚えるのは得意? 不得意?
(二葉) 不得意ですね! ほんとに不得意です。
(紗綾) だいたいどれくらいかかります? 1本。
(二葉) えー、これもね、ほんとに気合なんで、根性だけなんですけどね。根性決まれば、頑張れば2日とかで覚えられるん違います? 頑張れば。頑張ったら!
(紗綾) 頑張らんかったら?
(二葉) 頑張らんかったら、全然あかんけど。ま、台本あって覚えるパターンと、三べん稽古(※2)で覚えるのはまた違いますから。
(紗綾) 今回は?
(二葉) 今回は台本いただいて、覚えて見てもらうという。
(紗綾) それは三べん稽古の時よりか、いけるかなーという感じですかね?
(二葉) まぁ、そうですね。はい。
怯んだらもう終わり
(紗綾) うわー。迫ってきましたけど…。
(二葉) 迫ってきた。ほんとにもう。
(紗綾) どんな心持ですか?
(二葉) ん-っと、もう「えいやぁ!」っていう感じですよね。
(紗綾) えいやぁ!(笑)
(二葉) えいやぁしかないですよね、もうほんとに。
(紗綾) 勢いで?
(二葉) 勢いです。ほんとに。「いけるで!」っていう。
(紗綾) いけるで!
(二葉) いかれへんかっても、「いけるで」っていう気持ちが大事。怯んだらもう終わりなんでね。
(紗綾) でも、みんな二葉ちゃんの応援団ですから。お客さんも。
(二葉) 応援団!(笑)
(紗綾) 「二葉ちゃん、いけるよ!」っていう感じで見てますから! お客さんも!
(二葉) そうですか。いや、もう全部そうやと思うけど、「らくだ」なんか、あんな感じかなと思ってるのは、山の上からクロスバイクで降りていくスポーツありますやん? あんなんやと思うわ。ブロブロブロッって、ほんでもうちょっとでタイヤがこうガン!ってなって「落ちんでっ!」っていう感じの。そういう3席になると思います(笑)
(紗綾) みんなが、「もう、ちょっと危ないよ!」っていう?
(二葉) そうそうそう。そういう気持ちで見ていただいたら嬉しいですね。
(紗綾) 手に汗握る「らくだ」で! 楽しみにしております。
(二葉) 「こいつ落ちよんで、もうちょっとで」みたいな感じで見はる人もいると思うけど。
(紗綾) いや、もうあと少しですので、二葉ちゃんが底力出したら、2日で覚えられるって聞きましたから!
(二葉) はい、頑張ります。
(紗綾) 精いっぱいお稽古に励まれるということですので、本当に楽しみにしております。
(二葉) 頑張ります。
(紗綾) 「第121回ABCラジオ 上方落語をきく会」の夜の部の主役でございます。桂二葉さん、「しごきの会」で本当にしごかれますので、頑張ってください。
(二葉) 頑張ります!
(紗綾) みなさん、どうぞお楽しみになさってください。
(二葉) ありがとうございました!
(※1)あげてもらう 稽古をつけてくれた師匠や先輩たちから、演じることの許可をもらう。
(※2)三べん稽古 教えてくれる落語家がその噺を目の前で3回話してくれて、それを覚えて演じる稽古法。
【上方落語をきく会】
日時 2023年2月19日(日)
【昼の部】12時30分開演(15時30分終演予定)
【夜の部】17時30分開演(21時終演予定)
会場 国立文楽劇場
出演 【昼の部】笑福亭松喬 桂南天 林家菊丸 笑福亭たま 桂三実 桂りょうば ほか
【夜の部】「桂二葉しごきの会」桂二葉/桂米二 桂吉弥 ほか
司会 伊藤史隆 桂紗綾(ABCラジオアナウンサー)
オンライン配信チケットを現在発売中!
料金 オンライン配信チケット 2,500円(税込)
■チケットぴあ https://pia-live.jp/event/2301989?aetpia
ABCラジオでも上方落語をきく会を生放送!
「ABCラジオ 上方落語をきく会」
日時:2月19日(日)13時~21時
放送:ABCラジオ(AM1008/FM93.3)
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桂二葉(かつら・によう)
1986年8月2日生まれ。大阪府大阪市出身。2011年3月に桂米二に入門。令和4年度咲くやこの花賞、第17回繁昌亭大賞、「関西元気文化圏賞」ニューパワー賞、令和3年度NHK新人落語大賞ほか
(2023年1月25日 ABCスタジオ)
構成・写真=日高美恵
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