リアルワールドデータの活用で、日本の全身性強皮症(SSc)および全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)の罹患率と有病率が明らかに[1]
-国内レセプトデータを用いてSScおよびSSc-ILDの罹患率と有病率を推定
-国内レセプトデータベースで得られたSScおよびSSc-ILDの有病率および罹患率は、いずれも公表されているグローバルデータと同様
-日本のSScおよびSSc-ILDの治療に対するアンメットニーズは依然として高い
2022年3月29日 日本/東京
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役 医薬事業ユニット統括社長:シャシャンク・デシュパンデ 以下「日本ベーリンガーインゲルハイム」)は、国内レセプトデータなどのリアルワールドデータを活用して日本の全身性強皮症(SSc)および全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)の罹患率と有病率を推定した結果を発表しました。結果は、3月22日付のAdvances in Therapyに掲載されました[1]。
SScは皮膚および全身性(多臓器)の広範囲にわたる線維化を特徴とする複雑な自己免疫疾患です。臨床症状が複雑で多岐にわたるため、疫学研究が困難で、日本では、SScとSSc-ILDの有病率および罹患率に関して公表されたデータは近年ありませんでした。また、成人における使用薬剤のデータから、多くの症例で、ガイドライン等で推奨された治療を受けていない実態が明らかとなり、日本では依然として治療に対するアンメットニーズが高いことが確認されました。
この研究では、健康保険レセプトデータベース(JMDC)を用いてSScとSSc-ILDの有病率および罹患率を推定し、更に病院診療レセプトデータベース(MDV)とJMDCを用い、SScおよびSSc-ILDの患者特性並びに使用薬剤を評価しました。研究期間は2015年9月1日から2019年8月31日までとし、SScまたはSSc-ILDに関する診療報酬請求が1回以上あり、かつSScの診断に関する最初の診療報酬請求の前に連続12カ月間の登録歴がある例を登録対象としました。
JMDCデータベースには高齢者集団は少数しか含まれていないため、結果の解釈には注意が必要ですが、SScの罹患率は6.6(100000人・年あたり)、有病率は37.0(100000人あたり)、SSc-ILDの罹患率は1.9(100000人・年あたり)、有病率は13.9(100000人あたり)と、これまで公表されているグローバルデータ[2,3,4,5,6]と同程度でした。
SScおよびSSc-ILD患者の使用薬剤では、各免疫抑制薬の使用割合が15%未満とSScおよびSSc-ILDに対して十分な治療が行われていない実態が明らかとなりました。
本論文の筆頭著者である、日本医科大学大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野 大学院教授 桑名正隆先生は次のように述べています。「SScおよびSSc-ILDは、希少疾患であるがゆえに有病率および罹患率に関する公表された最近の国内データがありませんでした。今回の研究を通じて得られた知見が、今後の医療行政、研究開発に役立つことが期待されます。また、ガイドラインで推奨されている治療が広く普及していない現状が明らかとなり、それを改善する取り組みの必要性が示されました」
日本ベーリンガーインゲルハイムは、リアルワールドデータから得られた新しい知見を活かし、研究開発や治療向上に向けた取り組みをより一層進めて参ります。
全身性強皮症(SSc)および全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)について
全身性強皮症(Systemic sclerosis:SSc)は、免疫異常、線維化、血管障害を基本病態とした疾患で、厚生労働省が定める難病に指定されています。皮膚が硬くなる変化を代表的な症状とする疾患ですが、皮膚以外の消化管、肺、心臓、腎臓など全身の臓器にも症状が現れます。間質性肺疾患(Interstitial lung disease:ILD)は、SScの主な死亡原因であり7、患者の生命予後に大きく影響します。そのため、SSc-ILDはアンメットメディカルニーズが高い疾患として、治療薬の開発が望まれていました。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。
詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)
Reference
1. Kuwana, M., Saito, A., Sakamoto, W. et al. Incidence Rate and Prevalence of Systemic Sclerosis and Systemic Sclerosis-Associated Interstitial Lung Disease in Japan: Analysis Using Japanese Claims Databases. Adv Ther (2022). https://doi.org/10.1007/s12325-022-02078-5
2. Li Q, Wallace L, Patnaik P, et al. Disease frequency, patient characteristics, comorbidity outcomes and immunosuppressive therapy in systemic sclerosis and systemic sclerosis-associated interstitial lung disease: a US cohort study. Rheumatology (Oxford). 2021;60(4):1915-25.
3. Fan Y, Bender S, Shi W, Zoz D. Incidence and prevalence of systemic sclerosis and systemic sclerosis with interstitial lung disease in the United States. J Manag Care Spec Pharm. 2020;26(12):1539-47.
4. Kuo CF, See LC, Yu KH, et al. Epidemiology and mortality of systemic sclerosis: a nationwide population study in Taiwan. Scand J Rheumatol. 2011;40(5):373-8.
5. Kang GW, Jung KH, Lee YS, et al. Incidence, prevalence, mortality and causes of death in systemic sclerosis in Korea: a nationwide population-based study. Br J Dermatol. 2018;178(1):e37-e39.
6. Bergamasco A, Hartmann N, Wallace L, Verpillat P. Epidemiology of systemic sclerosis and systemic sclerosis-associated interstitial lung disease. Clin Epidemiol. 2019;11:257-73.
7. Tyndall AJ, et al. Ann Rheum Dis. 2010; 69: 1809-1815
-国内レセプトデータベースで得られたSScおよびSSc-ILDの有病率および罹患率は、いずれも公表されているグローバルデータと同様
-日本のSScおよびSSc-ILDの治療に対するアンメットニーズは依然として高い
2022年3月29日 日本/東京
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役 医薬事業ユニット統括社長:シャシャンク・デシュパンデ 以下「日本ベーリンガーインゲルハイム」)は、国内レセプトデータなどのリアルワールドデータを活用して日本の全身性強皮症(SSc)および全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)の罹患率と有病率を推定した結果を発表しました。結果は、3月22日付のAdvances in Therapyに掲載されました[1]。
SScは皮膚および全身性(多臓器)の広範囲にわたる線維化を特徴とする複雑な自己免疫疾患です。臨床症状が複雑で多岐にわたるため、疫学研究が困難で、日本では、SScとSSc-ILDの有病率および罹患率に関して公表されたデータは近年ありませんでした。また、成人における使用薬剤のデータから、多くの症例で、ガイドライン等で推奨された治療を受けていない実態が明らかとなり、日本では依然として治療に対するアンメットニーズが高いことが確認されました。
この研究では、健康保険レセプトデータベース(JMDC)を用いてSScとSSc-ILDの有病率および罹患率を推定し、更に病院診療レセプトデータベース(MDV)とJMDCを用い、SScおよびSSc-ILDの患者特性並びに使用薬剤を評価しました。研究期間は2015年9月1日から2019年8月31日までとし、SScまたはSSc-ILDに関する診療報酬請求が1回以上あり、かつSScの診断に関する最初の診療報酬請求の前に連続12カ月間の登録歴がある例を登録対象としました。
JMDCデータベースには高齢者集団は少数しか含まれていないため、結果の解釈には注意が必要ですが、SScの罹患率は6.6(100000人・年あたり)、有病率は37.0(100000人あたり)、SSc-ILDの罹患率は1.9(100000人・年あたり)、有病率は13.9(100000人あたり)と、これまで公表されているグローバルデータ[2,3,4,5,6]と同程度でした。
SScおよびSSc-ILD患者の使用薬剤では、各免疫抑制薬の使用割合が15%未満とSScおよびSSc-ILDに対して十分な治療が行われていない実態が明らかとなりました。
本論文の筆頭著者である、日本医科大学大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野 大学院教授 桑名正隆先生は次のように述べています。「SScおよびSSc-ILDは、希少疾患であるがゆえに有病率および罹患率に関する公表された最近の国内データがありませんでした。今回の研究を通じて得られた知見が、今後の医療行政、研究開発に役立つことが期待されます。また、ガイドラインで推奨されている治療が広く普及していない現状が明らかとなり、それを改善する取り組みの必要性が示されました」
日本ベーリンガーインゲルハイムは、リアルワールドデータから得られた新しい知見を活かし、研究開発や治療向上に向けた取り組みをより一層進めて参ります。
全身性強皮症(SSc)および全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)について
全身性強皮症(Systemic sclerosis:SSc)は、免疫異常、線維化、血管障害を基本病態とした疾患で、厚生労働省が定める難病に指定されています。皮膚が硬くなる変化を代表的な症状とする疾患ですが、皮膚以外の消化管、肺、心臓、腎臓など全身の臓器にも症状が現れます。間質性肺疾患(Interstitial lung disease:ILD)は、SScの主な死亡原因であり7、患者の生命予後に大きく影響します。そのため、SSc-ILDはアンメットメディカルニーズが高い疾患として、治療薬の開発が望まれていました。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、人と動物の生活を向上させる画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型の製薬企業として、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態を維持し、長期的な視点をもって邁進していきます。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、約52,000人の社員が世界130カ国以上の市場で業務を展開しています。
詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)
Reference
1. Kuwana, M., Saito, A., Sakamoto, W. et al. Incidence Rate and Prevalence of Systemic Sclerosis and Systemic Sclerosis-Associated Interstitial Lung Disease in Japan: Analysis Using Japanese Claims Databases. Adv Ther (2022). https://doi.org/10.1007/s12325-022-02078-5
2. Li Q, Wallace L, Patnaik P, et al. Disease frequency, patient characteristics, comorbidity outcomes and immunosuppressive therapy in systemic sclerosis and systemic sclerosis-associated interstitial lung disease: a US cohort study. Rheumatology (Oxford). 2021;60(4):1915-25.
3. Fan Y, Bender S, Shi W, Zoz D. Incidence and prevalence of systemic sclerosis and systemic sclerosis with interstitial lung disease in the United States. J Manag Care Spec Pharm. 2020;26(12):1539-47.
4. Kuo CF, See LC, Yu KH, et al. Epidemiology and mortality of systemic sclerosis: a nationwide population study in Taiwan. Scand J Rheumatol. 2011;40(5):373-8.
5. Kang GW, Jung KH, Lee YS, et al. Incidence, prevalence, mortality and causes of death in systemic sclerosis in Korea: a nationwide population-based study. Br J Dermatol. 2018;178(1):e37-e39.
6. Bergamasco A, Hartmann N, Wallace L, Verpillat P. Epidemiology of systemic sclerosis and systemic sclerosis-associated interstitial lung disease. Clin Epidemiol. 2019;11:257-73.
7. Tyndall AJ, et al. Ann Rheum Dis. 2010; 69: 1809-1815
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