ボッシュ、コロナ禍においても好業績を維持

カーボンニュートラルを実現 – 2020年は予想を上回る業績を達成

ボッシュ

▶ 売上高:716億ユーロ/支払金利前税引前利益:19億ユーロ
▶ ロバート・ボッシュGmbH取締役会会長フォルクマル・デナー:「持続可能性とAI・IoTが今後の事業の鍵を握ります」
▶ ロバート・ボッシュGmbH財務担当取締役シュテファン・アーセンケルシュバウマー:「徹底したコスト削減と競争力の強化を図ることで、有望な新事業分野の拡大に向けた健全な財務基盤を構築しています」
▶ 持続可能なモビリティ:2020年の電動化向けパワートレインの受注総額は75億ユーロ相当
▶ 成長するAI・IoT市場:ネットワーク対応が可能な電動工具、家電製品、ヒーティングシステムの販売数が1,000万台を達成 / ボッシュのエレクトロニクス製品の90%以上がネットワーク化機能を装備
▶ 2020年春からボッシュの全拠点がカーボンニュートラルに。 現在、第三者による監査を実施中

シュトゥットガルト(ドイツ) - ボッシュ・グループは2020年、新型コロナウイルス危機と自動車生産の減少による影響を受けながらも、好業績を達成しました。グローバル規模で革新的なテクノロジーとサービスを提供するボッシュは、当初予想を上回る成果をあげました。暫定決算報告[※]によると、支払金利前税引前利益は約19億ユーロで、推定支払金利前税引前利益率は約2.5%でした。リストラ費用調整後の推定支払金利前税引前利益は約 33 億ユーロ、利益率は約4.5%でした。ボッシュ・グループの売上高は716億ユーロで、為替調整後では前年比4.4%減となりました。暫定決算報告の発表に際して、ロバート・ボッシュGmbH取締役会会長であるフォルクマル・デナーは次のように述べました。「新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の影響にもかかわらず、好業績を達成することができました。これは何よりも、社員の並々ならぬ努力の賜物です」。デナーはまた、ボッシュの広範な事業多角化とグローバル展開も真価を発揮していると付け加えました。「持続可能なモビリティ、IoT(モノのインターネット)、AIなど、将来的に重要となる分野に投資することで、イノベーションにおけるリーダーシップを一層高めています」。特にボッシュは、AIとIoTを組み合わせたAI・IoTが、数十億ドル規模の市場で成長のチャンスをもたらすと考えています。「私たちはAI・IoTのリーディングカンパニーになることを目指しています」とデナーは述べています。「幅広い分野の知識と、エレクトロニクスとソフトウェアの広範なノウハウにより、私たちはどの企業よりも有利であると自負しています」。
[※] 内部報告に基づく。

決然と行動 – 潤沢なフリーキャッシュフローで財政的余裕を確保
ボッシュの売上高は、多くの国や産業に打撃を与えた春のロックダウン(都市封鎖)の影響で落ち込みましたが、2020年後半には大きく回復しました。ボッシュの財務担当取締役兼取締役会副会長であるシュテファン・アーセンケルシュバウマーは次のように述べました。「危機にもかかわらず、2020年の事業展開には全体として非常に満足しています。私たちは売上高の減少を受け、有望な新事業分野をおろそかにすることなくコストと資本支出を調整するために迅速に行動しました」。その結果、ボッシュのフリーキャッシュフローは約50億ユーロと過去最高額となり、危機的状況下でも十分な財政的余裕を確保することができました。資本支出比率は約5%で、ボッシュは前年と比べて約10億ユーロの現金を節約することができました。

クライメートニュートラルとeモビリティで持続可能な成長を実現
ボッシュは危機下においても、持続可能な事業手法に力を注ぎながら、引き続き将来重要な分野に戦略の重点を置いています。2020年春には、パンデミックに屈することなく、世界400カ拠点すべてでクライメートニュートラル を達成するという大きな節目を迎えました。「私たちは約束を守りました。独自の試算では、ボッシュは2020年春に世界的に事業展開する製造企業として初めてカーボンニュートラルを達成しました。計画よりも早く、カーボンオフセットの割合も低く、そして費用対効果は高くなりました」とデナーは述べ、現在は第三者による監査を実施中であると説明しました。デナーはまた、2030年までにサプライチェーン全体でCO2 排出量を15%削減するというボッシュの次なる目標も再確認しました。

ボッシュはクライメートニュートラルを達成することで得られた知見を、顧問会社であるボッシュ・クライメートソリューションズを通じて他社に提供しており、フロイデンベルク、ハンスグローエ、ケーラーペーパーグループなどが顧客として名を連ねています。「私たちの新しいアドバイザリーサービスは、企業がクライメートニュートラルを実現するための道を開くと同時に、新たな成長分野を開拓します」と、デナーは述べています。そうした理由から、ボッシュは未来のモビリティに向けた技術的ソリューションを新しく改善することに注力しています。ボッシュは持続可能なモビリティの実現に向け、累計50億ユーロをパワートレインの電動化に投資してきたと、デナーは説明します。そして、今年は燃料電池を含むeモビリティソリューションの開発に、前年比約40%増となる7億ユーロを投じる予定です。「近い将来、eモビリティはボッシュの中核事業のひとつになるでしょう。私たちは、電気自動車や燃料電池車向けeモビリティのマーケットリーダーを目指しています」と、デナーは述べています。「ボッシュはすでに、eバイクからトラックまで、どの企業よりも幅広いeモビリティの製品ポートフォリオを揃えています」。この分野でボッシュが行ってきた多額の先行投資が実を結んでおり、現在、パワートレイン電動化事業は市場の2倍のスピードで成長し、数十ユーロ相当まで拡大しています。2018年以降、ボッシュは90件のパワートレインの電動化プロジェクトを獲得していますが、このうち75億ユーロ相当の30件は、昨年1年で獲得したものです。現在、世界中で250万台の車両に、ボッシュの電動パワートレインコンポーネントが搭載されています。


構造変化には円滑な移行が必要
デナーによると、自動車業界の構造変化と、間もなく導入される欧州排出ガス規制Euro7により、自動車事業は厳しい過渡期を迎えています。「来るeモビリティに対して、ボッシュは何年も前から積極的に推進しています。しかし、そのための先行投資は既存のパワートレイン事業から調達しなければなりません」とデナーは述べ、この変革の間、できるだけ多くの従業員を確保しておくためには、移行が円滑に行われることがボッシュをはじめとする企業にとって重要だと付け加えました。「電気自動車は、再生可能エネルギーを燃料とすればカーボンニュートラルであり、ディーゼル車やガソリン車も、合成燃料で走れば同様です。近く導入されるEuro 7規制によって、地球温暖化を緩和するこのチャンスを逸することは避けるべきです」。現在でも、最新のディーゼルエンジンやガソリンエンジンは、もはや都市の大気環境に大きな影響を与えることはありません。「何かが社会的、そして経済的に正しいからと言って、それが環境保護の観点から見て間違っているということにはなりません。私たちは経済的配慮、環境保全に関する配慮、社会的配慮との間のバランスを維持しなければならないのです」。自動車業界が気候にやさしいグリーンモビリティへの移行を支援しつつ、同時に雇用を守ることを目指すべきだとデナーは指摘します。

AI・IoTは成長のチャンス— ネットワーク化された製品をインテリジェントに
AIとIoTを組み合わせることで、ボッシュは数十億ユーロ規模の市場で地位を確立したいと考えています。革新的なAI・IoTソリューションを用いてエネルギーコストを削減し、快適性と安全性を高めることで、お客様にさらなるメリットをもたらします。ネットワーク化によって、ボッシュの製品がどのように使用されているかということに関する情報が生成されます。ボッシュはこうした情報をソフトウェアのアップデートを通じた使用感の向上や、新しい機能やサービスの基盤として活用したいと考えています。ボッシュはここ数年、技術的な前提条件を整えてきました。IoTスイートはデバイス、センサー、ゲートウェイを接続し、クラウドインフラがデータを処理します。さらに、AIプラットフォームは、AIアプリケーションの迅速なスケールアップを可能にします。

「次のステップは、技術的な専門知識をビジネスにすることです」とデナーは述べています。ボッシュはすでにネットワーク対応の電動工具、家電製品、ヒーティングシステムを約1,000万台販売しており、アクティブユーザーの数は増加傾向にあります。AI分野の専門知識を強化するため、ボッシュは2017年初頭にAIセンター(BCAI)を設立し、既に成果をあげています。BCAIは、設立からわずか3年で初期投資を回収し、業績に約3億ユーロ貢献しています。現在、BCAIは合計約270人のAIスペシャリストを擁し、モビリティ、製造、スマートホーム、農業分野において180超のプロジェクトに携わっています。

約1万7,000人の従業員を擁する新事業部 クロスドメイン コンピューティング ソリューションは、ボッシュがAI・IoT企業になるための道筋において重要な役割を果たすことになります。「新事業部は、新しい車両電子アーキテクチャのためのハードウェアとソフトウェアの開発を集約しています」と、デナーは述べています。「これは、自動車のより高度なインテリジェンスがけん引する新興市場へと通じる入り口です」 。ボッシュは、2020年下半期だけでも約25億ユーロ相当の車載コンピューターの受注を獲得しました。今年はさらに数十億ユーロ相当の取引が予定されています。

ボッシュは、すべての事業セクターでAI・IoTアプリケーションを開発しています。その一例として、赤外線を唯一の光源としながら、AIを利用して煙や炎を検知するビデオ式火災検知システムAviotecが挙げられます。また、加工物を目視検査するためのアプリケーション・プラットフォームでは、AIを導入することで表面のわずかな傷も検出できるようになります。フィットネス・トラッカーでは、エッジAIを搭載した新しい自己学習型センサーが、通信遅延と消費電力を最小限に抑えます。この場合、AI はセンサー自体で動作しています。


2020年の事業セクター別業績
新型コロナウイルス感染症のパンデミックによりボッシュの各事業部門の売上高は減少し、消費財事業のみが増収となりました。モビリティ ソリューションズ セクターは、自動車業界の生産停止によって特に大きな打撃を受け、売上高は423億ユーロとなりました。これは前年比9.5%の減少ですが、自動車生産が15%落ち込んだ市場を上回る伸びを見せました。為替調整後の売上高は8.1%の減少でした。消費財 セクターの売上高は5.2%増の186億ユーロとなりました。為替調整後では8.2%増でした。家電および電動工具事業が、消費者の間で住居環境を重視する傾向が強まったことの恩恵を受けました。産業機器テクノロジー セクターは、秋以降に受注が増加したものの、長引く市場の低迷の影響を免れることができませんでした。売上高は前年比16.0%減の51億ユーロで、為替調整後では15.0%減となりました。エネルギー・ビルディングテクノロジー セクターの売上高は54億ユーロでした。ヒーティングシステム事業は助成制度のおかげで好調に推移しましたが、多くのイベントが中止になったことで、会議・放送設備テクノロジー製品事業が打撃を受け、売上高は3.4%減、為替調整後では2.0%減となりました。

2020年の地域別業績
ボッシュは、すべての地域で春の売上減少による影響を受けました。欧州の売上高は380億ユーロとなりました。前年比では5.7%の減少で、為替調整後では 4.6%の減少でした。 北米の売上高は14.0%減の108億ユーロで、為替調整後では12.0%の減少となりました。南米の売上高は11億ユーロでした。これは名目ベースでは21.0%の減少ですが、為替調整後ではわずか2.5%の減少です。アジア太平洋地域の売上高は、前年比1.4%減の217億ユーロでした。為替調整後の売上高は0.5%の増加となりました。市場の早期回復と中国での好調が寄与しました。中国での売上高は、ボッシュ史上初めてドイツでの売上高を上回りました。

2020年の従業員数の推移:雇用水準はおおむね安定
2020年12月31日時点で、ボッシュ・グループの総従業員数は全世界あわせて約39万4,500人でした。これは、危機にもかかわらず、おおむね安定した雇用水準を維持できたことを示しています。変化は主に中国とドイツで見られました。ボッシュは重要な戦略的投資を推進し続けることが出来るよう、研究開発部門における人員をわずかながら増員しています。

2021年の展望:危機からより強くなって立ち上がる
ボッシュは、世界経済は2021年に緩やかに回復すると予想しています。昨年は約4.5%のマイナス成長となりましたが、今年は4%弱の成長を見込んでいます。「危機は終わってはいません」と、アーセンケルシュバウマーは述べています。アーセンケルシュバウマーは、感染率の高止まりとそれに伴う社会的・経済的な制約だけが成長を阻むのではないという見解を示し、英国のEU離脱などの政治情勢や、貿易制限につながる可能性のある米中の戦略的競争の継続なども、世界経済の発展に影響を与えると説明しました。「課題は多いですが、私たちにとって重要なセクターや地域の市場を上回る力強い成長を達成することが目標であることに変わりはありません」 。パンデミックの今後の展開とは関係なく、ボッシュは引き続き構造変化に対応するために必要な調整を、可能な限り社会的に認められる形で行っていく考えです。「徹底したコスト削減と競争力の強化を図ることで、有望な新分野の拡大に向けた健全な財務基盤を構築しています」。

 

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会社概要

ボッシュ株式会社

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URL
http://www.bosch.co.jp/jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都渋谷区渋谷3丁目6番7号
電話番号
0800-888-4000
代表者名
クラウス・メーダー
上場
未上場
資本金
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設立
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