パーパス・MVVの見直し・策定が昨年比で大幅増加!企業規模で「経営に最も影響を与える経済動向」「ビジョン策定体制」に差。「2025年度 長期ビジョン・中期経営計画に関する企業アンケート調査」結果を発表
日本の経営コンサルティングのパイオニアである株式会社タナベコンサルティング(本社:東京都千代田区・大阪市淀川区、代表取締役社長:若松 孝彦)は、全国の企業経営者、役員、経営幹部、経営企画部責任者・担当者などを対象に実施した「2025年度 長期ビジョン・中期経営計画に関する企業アンケート調査」の結果を発表します。
1.調査結果サマリー
(1) 「経営に最も影響を与える経済動向」の設問では、中堅・中小企業は「人手不足」、大企業は「AI市場の拡大」が最多となりました。企業規模によって経営に対する影響要因が異なる実態が明らかになりました。
(2) 「長期ビジョン・中期経営計画の構築状況」の設問では、大企業は「経営企画部が中心」、中小企業は「経営幹部や役員が中心」「代表取締役が単独で担う」が多い結果となりました。
(3) パーパス・MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の見直し・策定率は大幅上昇! 特に上場・大企業での取り組みが先行しております。
2.各データ詳細
(1)中堅・中小企業は「人手不足」、大企業は「AI市場の拡大」が経営に最も影響を与えると回答。

中堅企業および中小企業が「経営に最も影響を与える項目」として挙げたのは「人口減少に伴う人手不足・採用難」(中堅企業40.3%、中小企業38.5%)という結果が得られました。一方、大企業では「AI市場の拡大と利活用」(19.2%)が「人手不足」(25.0%)に次いで高く、最先端技術の活用による競争力強化への関心が伺えます。この結果から、企業規模によって経営に対する影響要因が異なる実態が明らかになりました。
(2)中堅・中小企業は「社員の意識改革」、大企業は「経営ビジョンの策定と発信」を重視!

トップマネジメント(経営層)として重視している役割についての設問では、中堅企業および中小企業では「社員の意識改革・人材育成」(中堅企業34.7%、中小企業37.2%)が最も多く挙げられました。特に中小企業では約4割が選択していることから、組織の内側からの変革が求められていることが示唆されます。一方、大企業では「経営ビジョン・戦略の策定・発信」(38.5%)が最も高く、環境変化への先導的な対応が重視されていることが伺えます。
(3)大企業・中堅企業では約9割が中期経営計画を策定、中小企業は6割強にとどまる結果に。

中期経営計画の策定状況では、大企業の92.3%、中堅企業の87.5%が「策定している」と回答した一方で、中小企業では62.8%にとどまり、4割近くが未策定という結果となりました。
(4)中期経営計画未策定の理由は、「策定する組織・メンバーが社内に存在しない」が最多。

中期経営計画を策定していない企業を対象に理由を尋ねたところ、「策定する組織・メンバーが社内に存在しない」が最多となりました。中小企業では「今まで策定したことがない」(25.9%)が大企業・中堅企業より相対的に多く、「どのように策定すればよいかわからない」(17.2%)も目立つ結果となりました。中小企業では体制に加えて、経験・ノウハウの不足が重なっている様子が伺えます。
(5)長期ビジョンの策定割合では、企業規模が小さくなるほど低下する傾向が顕著。

長期ビジョンを「構築している」と回答した企業では、大企業が51.9%、中堅企業が36.1%、中小企業が19.2%と、規模が小さくなるほど構築率が低下する傾向が顕著です。長期ビジョンとは、将来の自社のありたい姿やなりたい姿を構想して言語化したものであり、通常は10年以上先の未来を対象とします。環境変化が激しい中では、中期経営計画や単年度計画は柔軟に見直す必要がありますが、その変化に対応しながら中長期の戦略や投資をデザインするためには、長期ビジョンという不変の軸が求められます。
(6)長期ビジョン・中期経営計画の構築体制について、大企業は「経営企画部が中心」、中小企業は「経営幹部や役員が中心」「代表取締役が単独で担う」が多い結果に。

長期ビジョン・中期経営計画の構築体制について、大企業では「経営企画部中心」(30.0%)が他層と比べて高く、専門部門を活用した体制が構築されていることがわかります。一方、中小企業では「代表取締役が単独で担う体制」(12.6%)や「役員中心」(29.1%)が多く、少人数・属人的な体制が見受けられます。
(7)パーパス・MVVの見直し・策定率は大幅上昇。特に上場企業・大企業での取り組みが先行。

長期ビジョンとあわせたパーパス・MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定・見直しを「実施した」と回答した企業は57.8%であり、前年(2024年度調査)の38.8%から大きく増加しました。一方、「実施していない」との回答は26.6%で、前年の半数近くから2割台に減少しました。
上場企業の実施率は75.7%と高く、非上場企業の48.6%を大きく上回っています。企業規模別では、大企業や中堅企業で6割を超える(大企業66.7%、中堅企業61.5%)一方、中小企業では43.3%にとどまっていることからも、実施・未実施が拮抗している状況がわかります。
(8)これからの重点テーマは、「収益改善・新事業開発」が最多、非上場企業は人材・制度面への関心が高い結果に。

次期の長期ビジョン・中期経営計画の重点テーマとしては、「収益改善・新商品・新事業開発」(65.1%)が最多で、3年連続で6割超の企業が選択しました。
上場区分別では、上場企業が「事業ポートフォリオ戦略」(41.6%)や「M&A戦略」(26.0%)を重視する一方、非上場企業では「人的資本経営・人材育成・採用」(45.1%)や「人事制度改革(働き方改革など)」(24.7%)が上場企業と比較して高く、人材・制度面への関心の高さが際立っています。
3.総括・提言
(1)長期ビジョンで描く未来志向の成長戦略
今回のアンケート結果を見ると、長期ビジョンを策定していない企業も多いことがわかりました。今、外部環境の変化が激しい中で企業が判断軸とするのは「長期ビジョン」です。目先の変化に振り回されず、軸を持って判断するためには、組織のあり方や人材投資、事業戦略を長期視点で設計することが求められます。将来の組織再編や人材の育成と採用、戦略的な投資を検討するためには、短期ではなく長期スパンが必要です。未来を見据えた長期ビジョンを掲げることこそが、持続的な成長を実現する第一歩となります。
(2)次世代幹部が参画することによる組織基盤の強化
トップマネジメントの役割として「社員の意識改革・人材育成」を重視している一方で、長期ビジョン・中期経営計画の構築体制を問う設問で「次世代メンバーの関与」と回答する企業は少ない結果となりました。次世代幹部メンバーが参画することで、成長機会を創出し、その成果が次の世代の事業を育てることや組織基盤の強化に繋がります。そのことを理解したうえで、策定メンバーを決定していただければと思います。
〈総括・提言 執筆者プロフィール〉

株式会社タナベコンサルティング ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部 ゼネラルパートナー 名倉 克明
教育業界で統括業務、事業戦略の立案・推進担当役員を経て、当社に入社。中長期経営ビジョン策定・組織開発・人材育成を強みとし、経営計画立案と推進を支援する。多くのクライアントの業績を改善してきた経験を持つ。
4.関連リンク
・「2025年度 長期ビジョン・中期経営計画に関する企業アンケート調査」資料ダウンロードページ
URL:https://www.tanabeconsulting.co.jp/vision/document/detail86.html
5.調査概要
[調査方法]インターネットによる回答
[調査期間] 2025年7月7日~7月25日
[調査エリア] 全国
[有効回答数] 352件
※本調査では、資本金基準ではなく従業員数基準を採用しており、大企業:従業員数2,000人超、中堅企業:従業員数2,000人以下(ただし中小企業者を除く)、中小企業:製造業その他:従業員数300人以下、卸売業:従業員数100人以下、サービス業:従業員数100人以下、小売業:従業員数50人以下としております。
※各図表の構成比(%)は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。

タナベコンサルティンググループ(TCG)について
TCGは、1957年創業の東証プライム市場に上場する日本の経営コンサルティングのパイオニアです。「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念のもと、未来の社会に向けた貢献価値として「その決断を、愛でささえる、世界を変える。」というパーパスを掲げております。現在は、グループ8社、約900名のプロフェッショナル人材を有する経営コンサルティンググループとなり、国内外の中堅企業を中心とした大企業から中規模企業のトップマネジメント(経営者層)を主要顧客とし、創業以来18,900社以上の支援実績を有しております。
トップマネジメントアプローチで経営戦略の策定からプロフェッショナルDXサービスによる経営オペレーションの実装・実行まで、チームコンサルティングにより経営の上流から下流までを一気通貫で支援する唯一無二の経営コンサルティングモデルを国内地域密着のみならず、グローバルへと展開しております。

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