注目の炭素素材「グラフェン」の新たな熱伝導率特性を発見
研究成果が国際科学雑誌「2D Materials」に掲載

アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、ナノスケールの網目状グラフェンが室温において、これまでの常識と異なる熱伝導率特性を示すことを発見いたしました。アンリツの先端技術研究所(以下、先端研)が発見したもので、本研究成果をまとめた論文は国際科学雑誌「2D Materials」に掲載されました。
https://doi.org/10.1088/2053-1583/ae525a
スマートフォンや5G機器、パソコンなどは小型化・高性能化が進む一方で、内部に熱がこもりやすいという課題があります。そのため、放熱技術は今後の電子機器の進化に欠かせません。効率的に熱を逃がすグラフェンは極薄で軽く、曲げやすい特性があり、放熱材料として注目されます。
今回の発見は熱を逃がすだけでなく、逃がす方向を制御するサーマルマネージメントにおいても有望であることが確認されました。これらの特性は、次世代エレクトロニクス、エネルギー、通信、医療など、様々な分野の発展において応用が期待されます。
グラフェンとは
グラフェンは、炭素原子が蜂の巣状に結合したシートです。鉛筆の芯にも使われているグラファイト(黒鉛)は、グラフェンが層状に積層したものです。原子ひとつ分の厚さしかないので極限的に薄く軽量であることに加え、非常に高い強度と柔軟性を持ち合わせます。
また結晶性が高いため、熱を非常によく流すことが知られています。例えば、金属の中では銀の熱伝導率が最も優れていますが、グラフェンはその約10倍高い熱伝導率を示します。
網目状グラフェンのメカニズム
本研究では、このグラフェンにナノメートル[※]という極めて小さなスケールで規則的な構造を作り、熱伝導率特性の制御を試みました。
通常、構造を微細化すると熱伝導率は小さくなります。実際に帯状のグラフェンは、幅が細くなるほど熱は伝わりにくくなります。
一方、網目状にしたグラフェンは、微細化によって逆に熱伝導率が大きくなることが分かりました。これは網目状に微細化することで、熱の流れが波のように重なり合い、強め合った結果と考えられます。このような現象はこれまで-273℃に迫る極低温でしか見られませんでしたが、室温で確認できた点も大きな成果です。
同時に、グラフェンの幅を調整することで熱伝導率を変えられ、そのためグラフェン素子の中で場所によって構造を変えることで、熱の流れを制御できる可能性も示されました。
この技術を応用することで、全く新しいメカニズムに基づいた熱流制御の仕組みを設計できると期待されます。

[※]ナノメートル(nm)は、1メートル(m)の10億分の1を表す長さの単位です。髪の毛の太さはおよそ0.1 mmですが、1 nmはその10万分の1の大きさになります。
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