[ジャパン プロパティ ダイジェスト 2018年第1四半期]
東京Aグレードオフィス空室率は2.7%、大阪Aグレードオフィスは1.1%
東京 2018年5月22日 – 総合不動産サービス大手のJLL(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 河西 利信)は日本のオフィス、リテール(店舗)、ロジスティクス(物流)、ホテル市場の空室・賃料・価格動向、需要・供給動向及び12ヵ月予測をまとめた調査レポート「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD)2018 年第1四半期」を発表しました。セクター別の概要は、以下の通りです。
東京のAグレードオフィス市場
空室率:
2四半期連続で2%台
空室率は2.7%、前期比0.2ポイント上昇、前年比0.1ポイント低下となった。大手町・丸の内と赤坂・六本木で空室率が上昇した。一方、新宿と渋谷では一層の低下がみられた。
賃料:
24四半期連続の上昇
月額坪当たり37,071円(共益費込)、前期比0.9%上昇、前年比1.7%上昇となり、24四半期連続で上昇した。上昇ペースは2四半期連続で加速した。賃料上昇を牽引したサブマーケットは日比谷と日本橋が含まれ、新規供給ビルの賃料水準を反映した。
価格:
価格は24四半期連続で上昇
価格は前期比0.5%上昇、前年比1.2%の上昇となり、24四半期連続で上昇した。上昇ペースは2四半期連続の加速となった。投資市場では、投資意欲の強さと年度末とが相俟って、投資総額が増加した。
12ヵ月見通し:
賃料、価格ともに緩やかに上昇する見通し
2018年の賃貸市場をみると、新規供給は過去10年平均比220%に相当する水準であるが、企業の移転需要は堅調であり、予約契約はきわめて順調となっていることから、大規模移転を検討するテナントの視線は2019年の供給予定に向けられている。こうした状況の下、空室率の上昇は限定的となり、賃料の緩やかな上昇を下支えする見通し。投資市場では、投資利回りの低下余地は限定的となっていることから、価格は主に賃料上昇を反映して緩やかに上昇する見通し。
大阪のAグレードオフィス市場
空室率:
2四半期連続で1%台
空室率は1.1%、前期比0.9ポイント低下、前年比2.3ポイント低下となり、5四半期連続で低下した。前四半期を上回るペースで低下し、2四半期連続1%台を示した。中之島で大規模な吸収がみられた。
賃料:
15四半期連続で上昇
賃料は月額坪当たり19,274円(共益費込)、前期比2.5%上昇、前年比8.8%上昇となり、15四半期連続で上昇した。上昇ペースは減速したものの引き続き強い水準を示した。賃料上昇は中心業務地区全体でみられたが、特に梅田、西梅田が牽引した。
価格:
価格は18四半期連続上昇
価格は前期比6.9%上昇、前年比22.3%上昇となり、18四半期連続で上昇した。上昇ペースは概ね横ばいとなった。賃料上昇と投資利回りの低下を反映して、前期比並みの力強い上昇となった。投資市場では取引が活発化しており、国内外の投資家による取得がみられ全体の投資総額は増加したが、Aグレードオフィスの取引は確認されなかった。
12ヵ月見通し:
賃料と価格は上昇する見通し
2018年の賃貸市場では、需要が堅調となる一方で、新規供給は過去10年平均比47%程度の限定的な水準にとどまることから、空室率は引き続き2%を下回る水準で推移し、賃料の力強い上昇基調を下支えする見通しである。投資市場では、投資利回りの低下は限定的となることから、価格は賃料上昇を反映して上昇する見通しである。
JLLリサーチ事業部長 赤城威志は、次のように述べています。
「緩やかながらも長期にわたる景気回復を背景に企業の移転・拡張需要は引き続き堅調となっており、Aグレードオフィス市場の空室率は低位に推移しています。東京の空室率は2四半期連続2%台にあり、需要は今後の供給予定を速いペースで吸収していることから、賃料は高値圏にありながら上昇ペースは2四半期連続で加速しました。大阪の空室率は2 四半期連続1%台を記録、今後の供給予定も限定的となっている中で極めて需給が逼迫しており、賃料は9%近い上昇率が観測されています。両市場とも、当面需給逼迫の状態が継続する見通しであり、賃料上昇を下支えするものと予測しています。
投資市場では、好調な賃貸市場、株価の上昇、J-REIT市場の回復等を背景に、特に国内投資家による取引が増大、投資総額は対前年同期比14%の伸びを記録し活発な投資市場を印象付けました。大型オフィス取引がみられた東京市場は当四半期の都市別不動産投資ランキングで世界1位に躍り出ました。近年ニューヨーク・ロンドンの後塵を拝していましたが、継続する低金利のもと、売り物件が徐々に市場に放出される中、売主買主目線の一致を見るケースが増えてきたことの証とも言えます。今後も、良好な資金調達環境や好調な賃貸市場等を背景に、投資家の投資意欲は旺盛となるとみられることから、投資市場は一層の拡大が予測されます」
東京のリテール(店舗)市場
賃料:
前期比横ばい
月額坪当たり79,490円(共益費込)、前期比横ばいとなり、1階・空中階とも変動はみられなかった。前年比0.5%の上昇となり、前期にみられた同0.9%の上昇から減速した。
価格:
価格は上昇加速
価格は前期比0.1%の下落、前年比3.0%上昇となった。安定的に推移した賃料、投資利回りを反映した。
12ヵ月見通し:
賃料と価格はピークに近付く
賃貸市場では、当面需給の逼迫が続く見通しであるものの、賃料は前回ピークに近い水準にあり、今後大幅な上昇を見込むことは難しくなっている。価格は、投資利回りの低下余地が限定的となっている為、賃料の動向を反映して推移する見通し。
東京のロジスティクス(物流)市場
空室率:
空室率 ベイエリアは0%へと低下、内陸エリアは8.4%へと上昇
東京圏の空室率は5.3%、前期比1.2ポイント上昇、前年比1.4ポイント上昇となった。東京ベイエリアの空室率は0.0%、前期比1.0ポイント、前年比1.3ポイントの低下となった一方、内陸エリアは8.4%、前期比2.3ポイント、前年比2.9ポイント上昇となった。
賃料:
5四半期ぶりに下落
東京圏の賃料は月額坪当たり4,189円、前期比0.3%下落、前年比1.3%上昇となり、5四半期ぶりに下落した。新規供給物件が内陸部に集中したことから、東京圏の平均賃料が下落となった。東京ベイエリアは前期比横ばい、内陸エリアの賃料は同0.1%の上昇となった。
価格:
5四半期ぶりに下落
価格は前期比0.4%下落、前年比6.4%上昇となり、5四半期ぶりに下落した。賃料の下落を反映した。投資市場は活発化しており、J-REITや私募ファンド等が取得を行った。
12ヵ月見通し:
投資利回りの低下を背景に価格は上昇
賃貸市場では今後も需要は堅調に推移するとみられる一方、供給予定が大規模となっていることから、空室率は上昇し、賃料は一部エリアにおいて下押し圧力が加えられる見通し。投資市場では、安定した賃料収入で成長が続く当該セクターに対する投資家の関心は続くとみられることから、投資利回りは一層の低下余地があるとみられ、これを反映して価格は緩やかに上昇する見通し。
東京のホテル市場
需要:
インバウンド需要の拡大が旺盛な宿泊需要を創出
2017年の都内延べ宿泊者数は54,100万人であり、これは全国の述べ宿泊者数の12.7%を占める。都内延べ宿泊者数の34.5%を占める外国人宿泊者数は、対前年比15.6%増の18,600万人、日本人宿泊者数は対前年比1.8%増の35,400万人であった。
2017年の訪日外国人客数は対前年比19.4%増の2,869万人を記録したが、都内の外国人宿泊者数は同ペースでは増加していない。都心のホテルの客室単価が上がり過ぎた結果、より安価な宿泊先を求めて周辺都市に需要が流れたことや、民泊利用者の増加が背景にある。
供給:
2018年第1四半期は1軒の4ツ星ホテルが開業
2018年1月、アジア初となる「ハイアットセントリック東京銀座」(客室数164室)が開業した。東京オリンピックが開催される2020年に向けて、複数のラグジュアリーホテルの新規供給が予定されている。代表的な計画としては2019年に再開発完了予定の「ホテルオークラ」や2020年開業予定の「フォーシーズンズホテル大手町」、虎ノ門および銀座でそれぞれ開業予定の「エディションホテル」が挙げられる。
運営パフォーマンス:
ADRの改善がRevPAR成長を牽引
東京の5ツ星ホテルの運営パフォーマンスは、1日当り販売可能客室数当り宿泊売上(RevPAR)が2018年初来3月までの累計で前年比10.6%の増加となった。客室稼働率と平均客室単価(ADR)がそれぞれ、前年比3.3%、7.1%上昇したことによる。
売買
東京の5ツ星ホテルの取引は見られなかった。投資家の投資意欲は強い一方で、全国的に売却案件が少ない状況が続いている。
12ヵ月見通し:
好調なパフォーマンスが続く見込み
違法民泊を取り締まる住宅宿泊事業法(民泊新法)が2018年6月に施行される。東京の5ツ星ホテルマーケットに対する大きな影響は見込まれず、パフォーマンスは引き続きADRの改善がRevPARの成長を牽引するものと期待される。今後12ヵ月間のホテル投資マーケットに関しては、オーナーおよび投資家における価格の期待値のギャップが狭まりつつある中、販売用不動産として新規に開発されたビジネスホテルが竣工後に売却され、取引件数が再び増加する可能性がある。
JLL 取締役 執行役員 ホテルズ&ホスピタリティ事業部長 沢柳知彦は、次のように述べています。
「継続的に増加しているインバウンドを背景に、春節やイースター等、海外の長期休暇シーズンが重なった2018年第1四半期のホテル運営パフォーマンスは、前年同期比で二桁成長を記録し、依然として宿泊需要が旺盛であることが伺えます。一方で、ここ数年で客室単価が急上昇した結果、国内ビジネス客や、低予算の外国人レジャー客に対する客室単価の更なる向上は期待しにくく、5ツ星ホテル以外のセグメントは成長ペースが上がりにくいと思われます。ホテル投資マーケットでは売主の売却希望価格が高く、売買が成立しにくい状況が続いていましたが、2018年は売主と買主の価格目線が近づき、売買件数が増加に転じると見込まれます。さらに、販売用不動産として新規開発されたビジネスホテルが竣工後に売却され、売買件数増加に寄与することも考えられます」
【補足】
本レポートの日本での調査対象地区は次の通りです。
東京CBD(中心業務地区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大阪CBD(中心業務地区):中央区、北区
東京リテール:銀座と表参道のプライムリテールマーケット
東京ロジスティクス:東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の一部)の新型物流施設
東京ホテル:特段の説明がない限り東京所在の5ツ星ホテルマーケット
「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD)2018年第1四半期」の詳細はJLLウェブサイトをご覧ください。
http://www.joneslanglasalle.co.jp/
JLLについて
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、包括的な不動産サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。フォーチュン500に選出されているJLLは、不動産オーナー、テナント、投資家の皆さまのアンビション実現を支援します。2017年度は、総売上高79億米ドル、約4億2,300万㎡(約1億2,800万坪)の不動産ポートフォリオを管理し、1,700億米ドルの取引を完了しました。2017年末現在、世界80ヵ国、従業員約82,000名以上、300超拠点で展開しています。JLLグループで不動産投資・運用を担当するラサール インベストメント マネジメントは、2017年12月31日時点で総額581億米ドルの資産を運用しています。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。http://www.jll.com
JLLのアジア太平洋地域での活動は50年以上にわたり、現在16ヵ国、96事業所で37,000名超のスタッフを擁しています。JLLは、2017年インターナショナル・プロパティ・アワード・アジア・パシフィックにて計23の賞を受賞しました。また、リアル・キャピタル・アナリスティックスより、7年連続でアジア太平洋地域のトップ投資アドバイザーに選出されています。http://www.ap.jll.com
JLL日本法人の詳細はホームページをご覧下さい。http://www.joneslanglasalle.co.jp
空室率:
2四半期連続で2%台
空室率は2.7%、前期比0.2ポイント上昇、前年比0.1ポイント低下となった。大手町・丸の内と赤坂・六本木で空室率が上昇した。一方、新宿と渋谷では一層の低下がみられた。
賃料:
24四半期連続の上昇
月額坪当たり37,071円(共益費込)、前期比0.9%上昇、前年比1.7%上昇となり、24四半期連続で上昇した。上昇ペースは2四半期連続で加速した。賃料上昇を牽引したサブマーケットは日比谷と日本橋が含まれ、新規供給ビルの賃料水準を反映した。
価格:
価格は24四半期連続で上昇
価格は前期比0.5%上昇、前年比1.2%の上昇となり、24四半期連続で上昇した。上昇ペースは2四半期連続の加速となった。投資市場では、投資意欲の強さと年度末とが相俟って、投資総額が増加した。
12ヵ月見通し:
賃料、価格ともに緩やかに上昇する見通し
2018年の賃貸市場をみると、新規供給は過去10年平均比220%に相当する水準であるが、企業の移転需要は堅調であり、予約契約はきわめて順調となっていることから、大規模移転を検討するテナントの視線は2019年の供給予定に向けられている。こうした状況の下、空室率の上昇は限定的となり、賃料の緩やかな上昇を下支えする見通し。投資市場では、投資利回りの低下余地は限定的となっていることから、価格は主に賃料上昇を反映して緩やかに上昇する見通し。
大阪のAグレードオフィス市場
空室率:
2四半期連続で1%台
空室率は1.1%、前期比0.9ポイント低下、前年比2.3ポイント低下となり、5四半期連続で低下した。前四半期を上回るペースで低下し、2四半期連続1%台を示した。中之島で大規模な吸収がみられた。
賃料:
15四半期連続で上昇
賃料は月額坪当たり19,274円(共益費込)、前期比2.5%上昇、前年比8.8%上昇となり、15四半期連続で上昇した。上昇ペースは減速したものの引き続き強い水準を示した。賃料上昇は中心業務地区全体でみられたが、特に梅田、西梅田が牽引した。
価格:
価格は18四半期連続上昇
価格は前期比6.9%上昇、前年比22.3%上昇となり、18四半期連続で上昇した。上昇ペースは概ね横ばいとなった。賃料上昇と投資利回りの低下を反映して、前期比並みの力強い上昇となった。投資市場では取引が活発化しており、国内外の投資家による取得がみられ全体の投資総額は増加したが、Aグレードオフィスの取引は確認されなかった。
12ヵ月見通し:
賃料と価格は上昇する見通し
2018年の賃貸市場では、需要が堅調となる一方で、新規供給は過去10年平均比47%程度の限定的な水準にとどまることから、空室率は引き続き2%を下回る水準で推移し、賃料の力強い上昇基調を下支えする見通しである。投資市場では、投資利回りの低下は限定的となることから、価格は賃料上昇を反映して上昇する見通しである。
JLLリサーチ事業部長 赤城威志は、次のように述べています。
「緩やかながらも長期にわたる景気回復を背景に企業の移転・拡張需要は引き続き堅調となっており、Aグレードオフィス市場の空室率は低位に推移しています。東京の空室率は2四半期連続2%台にあり、需要は今後の供給予定を速いペースで吸収していることから、賃料は高値圏にありながら上昇ペースは2四半期連続で加速しました。大阪の空室率は2 四半期連続1%台を記録、今後の供給予定も限定的となっている中で極めて需給が逼迫しており、賃料は9%近い上昇率が観測されています。両市場とも、当面需給逼迫の状態が継続する見通しであり、賃料上昇を下支えするものと予測しています。
投資市場では、好調な賃貸市場、株価の上昇、J-REIT市場の回復等を背景に、特に国内投資家による取引が増大、投資総額は対前年同期比14%の伸びを記録し活発な投資市場を印象付けました。大型オフィス取引がみられた東京市場は当四半期の都市別不動産投資ランキングで世界1位に躍り出ました。近年ニューヨーク・ロンドンの後塵を拝していましたが、継続する低金利のもと、売り物件が徐々に市場に放出される中、売主買主目線の一致を見るケースが増えてきたことの証とも言えます。今後も、良好な資金調達環境や好調な賃貸市場等を背景に、投資家の投資意欲は旺盛となるとみられることから、投資市場は一層の拡大が予測されます」
東京のリテール(店舗)市場
賃料:
前期比横ばい
月額坪当たり79,490円(共益費込)、前期比横ばいとなり、1階・空中階とも変動はみられなかった。前年比0.5%の上昇となり、前期にみられた同0.9%の上昇から減速した。
価格:
価格は上昇加速
価格は前期比0.1%の下落、前年比3.0%上昇となった。安定的に推移した賃料、投資利回りを反映した。
12ヵ月見通し:
賃料と価格はピークに近付く
賃貸市場では、当面需給の逼迫が続く見通しであるものの、賃料は前回ピークに近い水準にあり、今後大幅な上昇を見込むことは難しくなっている。価格は、投資利回りの低下余地が限定的となっている為、賃料の動向を反映して推移する見通し。
東京のロジスティクス(物流)市場
空室率:
空室率 ベイエリアは0%へと低下、内陸エリアは8.4%へと上昇
東京圏の空室率は5.3%、前期比1.2ポイント上昇、前年比1.4ポイント上昇となった。東京ベイエリアの空室率は0.0%、前期比1.0ポイント、前年比1.3ポイントの低下となった一方、内陸エリアは8.4%、前期比2.3ポイント、前年比2.9ポイント上昇となった。
賃料:
5四半期ぶりに下落
東京圏の賃料は月額坪当たり4,189円、前期比0.3%下落、前年比1.3%上昇となり、5四半期ぶりに下落した。新規供給物件が内陸部に集中したことから、東京圏の平均賃料が下落となった。東京ベイエリアは前期比横ばい、内陸エリアの賃料は同0.1%の上昇となった。
価格:
5四半期ぶりに下落
価格は前期比0.4%下落、前年比6.4%上昇となり、5四半期ぶりに下落した。賃料の下落を反映した。投資市場は活発化しており、J-REITや私募ファンド等が取得を行った。
12ヵ月見通し:
投資利回りの低下を背景に価格は上昇
賃貸市場では今後も需要は堅調に推移するとみられる一方、供給予定が大規模となっていることから、空室率は上昇し、賃料は一部エリアにおいて下押し圧力が加えられる見通し。投資市場では、安定した賃料収入で成長が続く当該セクターに対する投資家の関心は続くとみられることから、投資利回りは一層の低下余地があるとみられ、これを反映して価格は緩やかに上昇する見通し。
東京のホテル市場
需要:
インバウンド需要の拡大が旺盛な宿泊需要を創出
2017年の都内延べ宿泊者数は54,100万人であり、これは全国の述べ宿泊者数の12.7%を占める。都内延べ宿泊者数の34.5%を占める外国人宿泊者数は、対前年比15.6%増の18,600万人、日本人宿泊者数は対前年比1.8%増の35,400万人であった。
2017年の訪日外国人客数は対前年比19.4%増の2,869万人を記録したが、都内の外国人宿泊者数は同ペースでは増加していない。都心のホテルの客室単価が上がり過ぎた結果、より安価な宿泊先を求めて周辺都市に需要が流れたことや、民泊利用者の増加が背景にある。
供給:
2018年第1四半期は1軒の4ツ星ホテルが開業
2018年1月、アジア初となる「ハイアットセントリック東京銀座」(客室数164室)が開業した。東京オリンピックが開催される2020年に向けて、複数のラグジュアリーホテルの新規供給が予定されている。代表的な計画としては2019年に再開発完了予定の「ホテルオークラ」や2020年開業予定の「フォーシーズンズホテル大手町」、虎ノ門および銀座でそれぞれ開業予定の「エディションホテル」が挙げられる。
運営パフォーマンス:
ADRの改善がRevPAR成長を牽引
東京の5ツ星ホテルの運営パフォーマンスは、1日当り販売可能客室数当り宿泊売上(RevPAR)が2018年初来3月までの累計で前年比10.6%の増加となった。客室稼働率と平均客室単価(ADR)がそれぞれ、前年比3.3%、7.1%上昇したことによる。
売買
東京の5ツ星ホテルの取引は見られなかった。投資家の投資意欲は強い一方で、全国的に売却案件が少ない状況が続いている。
12ヵ月見通し:
好調なパフォーマンスが続く見込み
違法民泊を取り締まる住宅宿泊事業法(民泊新法)が2018年6月に施行される。東京の5ツ星ホテルマーケットに対する大きな影響は見込まれず、パフォーマンスは引き続きADRの改善がRevPARの成長を牽引するものと期待される。今後12ヵ月間のホテル投資マーケットに関しては、オーナーおよび投資家における価格の期待値のギャップが狭まりつつある中、販売用不動産として新規に開発されたビジネスホテルが竣工後に売却され、取引件数が再び増加する可能性がある。
JLL 取締役 執行役員 ホテルズ&ホスピタリティ事業部長 沢柳知彦は、次のように述べています。
「継続的に増加しているインバウンドを背景に、春節やイースター等、海外の長期休暇シーズンが重なった2018年第1四半期のホテル運営パフォーマンスは、前年同期比で二桁成長を記録し、依然として宿泊需要が旺盛であることが伺えます。一方で、ここ数年で客室単価が急上昇した結果、国内ビジネス客や、低予算の外国人レジャー客に対する客室単価の更なる向上は期待しにくく、5ツ星ホテル以外のセグメントは成長ペースが上がりにくいと思われます。ホテル投資マーケットでは売主の売却希望価格が高く、売買が成立しにくい状況が続いていましたが、2018年は売主と買主の価格目線が近づき、売買件数が増加に転じると見込まれます。さらに、販売用不動産として新規開発されたビジネスホテルが竣工後に売却され、売買件数増加に寄与することも考えられます」
【補足】
本レポートの日本での調査対象地区は次の通りです。
東京CBD(中心業務地区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大阪CBD(中心業務地区):中央区、北区
東京リテール:銀座と表参道のプライムリテールマーケット
東京ロジスティクス:東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の一部)の新型物流施設
東京ホテル:特段の説明がない限り東京所在の5ツ星ホテルマーケット
「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD)2018年第1四半期」の詳細はJLLウェブサイトをご覧ください。
http://www.joneslanglasalle.co.jp/
JLLについて
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、包括的な不動産サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。フォーチュン500に選出されているJLLは、不動産オーナー、テナント、投資家の皆さまのアンビション実現を支援します。2017年度は、総売上高79億米ドル、約4億2,300万㎡(約1億2,800万坪)の不動産ポートフォリオを管理し、1,700億米ドルの取引を完了しました。2017年末現在、世界80ヵ国、従業員約82,000名以上、300超拠点で展開しています。JLLグループで不動産投資・運用を担当するラサール インベストメント マネジメントは、2017年12月31日時点で総額581億米ドルの資産を運用しています。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。http://www.jll.com
JLLのアジア太平洋地域での活動は50年以上にわたり、現在16ヵ国、96事業所で37,000名超のスタッフを擁しています。JLLは、2017年インターナショナル・プロパティ・アワード・アジア・パシフィックにて計23の賞を受賞しました。また、リアル・キャピタル・アナリスティックスより、7年連続でアジア太平洋地域のトップ投資アドバイザーに選出されています。http://www.ap.jll.com
JLL日本法人の詳細はホームページをご覧下さい。http://www.joneslanglasalle.co.jp
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