ベーリンガーインゲルハイムの新規治療薬候補、特発性肺線維症(IPF)患者の肺機能低下を抑制
- 新規治療薬候補のホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害剤、BI 1015550に関する有望な12週間の第II相臨床試験データがニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌(NEJM)に掲載
-ベーリンガーインゲルハイムの肺線維症領域のリーダーシップに基づく、新規治療薬候補。第III相臨床試験プログラムでさらに研究を進める
- 既存の治療薬を補完するため、病勢進行を遅らせるのではなく進行を止める新たな治療薬が必要
2022年5月15日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは、新規治療薬候補のホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害剤、BI 1015550に関する第II相臨床試験結果を発表しました。有望な12週間のデータから、特発性肺線維症(IPF)患者の肺機能低下を抑制することが明らかになりました。このデータは、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌 (NEJM)に掲載され、5月16日にサンフランシスコで開催される米国胸部学会(ATS)国際会議の最新ニュースセッションでも発表されました[1]。
治験責任医師を務めるイタリア・ローマのサクロ・クオーレ・カトリック大学呼吸器内科のLuca Richeldi教授は、次のように述べています。「この有望な初期データから、BI 1015550を用いた治療によって、既存の抗線維化剤で治療を受けていなかった患者と、既存の抗線維化剤で治療を受けていた患者の両方において、肺機能低下を抑制することが明らかになりました」
本試験の主要評価項目は、12週目の努力肺活量(FVC)(最大吸気位から最大呼気位まで一気に呼出した呼出量、mLで測定)のベースラインからの変化でした。BI 1015550群の中央値の変化量は、FVCの軽度改善を示し、プラセボ群では、FVCが低下しました[1]。
-既存の抗線維化剤で治療を受けていなかった患者におけるFVCの中央値の変化量は、BI 1015550を使用した群は+5.7 mL、プラセボ群は-81.7 mLでした。
-抗線維化剤で治療を受けていた患者におけるFVCの中央値の変化量は、BI 1015550を使用した群は+2.7 mL、プラセボ群は-59.2 mLでした。
-IPF患者の肺機能低下の抑制効果に関し、BI 1015550がプラセボよりも優れる確率は98%超です。
ベーリンガーインゲルハイムのヒューマンファーマビジネスユニット担当取締役のカリン・ブルヨンは、次のように述べています。「私たちは、肺線維症領域におけるグローバルリーダーとして、病勢進行を遅らせる以上の成果を目指しており、いつかこの消耗性慢性疾患を治癒したいと考えています。第II相臨床試験の結果を受けて、BI 1015550に対する確信が強まりました。今後、ピボタル第III相臨床試験プログラムへ向けて取り組みを加速させ、規制当局やアカデミアと協力し、次世代の治療薬をできるだけ早く肺線維症患者さんに届けるべく取り組んで参ります」
同試験では、副次的評価項目も達成され1、BI 1015550は、12週間にわたりIPF患者において許容される安全性と忍容性を示しました。患者全体で最も多く報告されたイベント(患者の10%超)は下痢であり、すべてのイベントは非重篤例として報告されました。新たな安全性イベントは特定されず、ベースライン特性は、両試験群でおおむねバランスが取れていました。
BI 1015550は2022年2月、米国食品医薬品局(FDA)より、ブレークスルーセラピーに指定されました。ベーリンガーインゲルハイムは、この治療薬をできるだけ早く患者さんに届けるべく、第III相臨床試験プログラムを開始し、BI 1015550がIPFおよび進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)患者の肺機能を改善するかどうかの評価を進めていく予定です。
試験について
-第II相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(NCT04419506)では、IPF患者(n=147)を対象に、経口薬BI 1015550 18 mg 1日2回投与の有効性と安全性が評価されました。
-試験登録前に抗線維化剤の治療を受けていなかった患者と、8週間以上にわたり安定用量の抗線維化剤の治療を受けていた患者のうち、対標準予測肺活量が45%以上の患者を12週間にわたりBI 1015550 18 mgを1日2回投与する試験群とプラセボ群に2:1の比率で割り付けました。
-主要評価項目は、12週目のFVCのベースラインからの変化であり、副次的評価項目は、治験薬投与下で発現した有害事象の割合でした。
-第III相臨床試験プログラムは、年内に開始される見通しです。
-NCT05321082:進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)患者が対象
-NCT05321069:IPF患者が対象
特発性肺線維症について
特発性肺線維症(IPF)は、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(ILD)のひとつです2。IPFの症状には、労作時の息切れ、長引く空咳、胸部不快感、疲労感、虚弱があります[3]。IPFは希少疾患として扱われていますが、世界で約300万人が罹患しています[4,5]。この病気は、主に50歳以上の男性に多く見られます[2]。
肺線維症を引き起こす可能性のある肺疾患は200種類を超えます[6]。肺線維症は、肺組織が不可逆に損傷し、肺機能やQOLに悪影響を及ぼす病気であり、命に関わることもあります。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、今日そして次世代にわたり、暮らしを変革する画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型のバイオ製薬企業のリーディンクカンパニーとして、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態により長期的視野を維持しています。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、52,000人以上の社員が世界130ヵ国以上の市場で事業を展開しています。
詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)
当プレスリリースについてこの資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が5 月15 日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。
References
1)Richeldi L., et al. Safety and Efficacy of BI 1015550, a Preferential Inhibitor of Phosphodiesterase 4B, in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis: a Phase 2 Trial. Presented at American Thoracic Society (ATS) International Conference Breaking News session on May 16 2022.
2)Pulmonary Fibrosis Types and Causes. American Lung Association. https://www.lung.org/lung-health-diseases/lung-disease-lookup/pulmonary-fibrosis/introduction/types-causes-and-risk-factors. [Accessed May 2022].
3)Symptoms. Pulmonary Fibrosis Foundation. https://www.pulmonaryfibrosis.org/understanding-pff/about-pulmonary-fibrosis/symptoms. [Accessed May 2022].
4)Nalysnyk L., et al. Incidence and Prevalence of Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Review of the Literature. Eur Respir Rev. 2012;21(126):355-361.
5)Data on file. Boehringer Ingelheim. DOF OFEV.RES.IPF/08/11January2016. Worldwide Prevalence 2016.
6)Other Types of Pulmonary Fibrosis. Pulmonary Fibrosis Foundation. https://www.pulmonaryfibrosis.org/understanding-pff/types-of-pulmonary-fibrosis/other-types-of-pulmonary-fibrosis. [Accessed May 2022].
-ベーリンガーインゲルハイムの肺線維症領域のリーダーシップに基づく、新規治療薬候補。第III相臨床試験プログラムでさらに研究を進める
- 既存の治療薬を補完するため、病勢進行を遅らせるのではなく進行を止める新たな治療薬が必要
2022年5月15日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは、新規治療薬候補のホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害剤、BI 1015550に関する第II相臨床試験結果を発表しました。有望な12週間のデータから、特発性肺線維症(IPF)患者の肺機能低下を抑制することが明らかになりました。このデータは、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌 (NEJM)に掲載され、5月16日にサンフランシスコで開催される米国胸部学会(ATS)国際会議の最新ニュースセッションでも発表されました[1]。
治験責任医師を務めるイタリア・ローマのサクロ・クオーレ・カトリック大学呼吸器内科のLuca Richeldi教授は、次のように述べています。「この有望な初期データから、BI 1015550を用いた治療によって、既存の抗線維化剤で治療を受けていなかった患者と、既存の抗線維化剤で治療を受けていた患者の両方において、肺機能低下を抑制することが明らかになりました」
本試験の主要評価項目は、12週目の努力肺活量(FVC)(最大吸気位から最大呼気位まで一気に呼出した呼出量、mLで測定)のベースラインからの変化でした。BI 1015550群の中央値の変化量は、FVCの軽度改善を示し、プラセボ群では、FVCが低下しました[1]。
-既存の抗線維化剤で治療を受けていなかった患者におけるFVCの中央値の変化量は、BI 1015550を使用した群は+5.7 mL、プラセボ群は-81.7 mLでした。
-抗線維化剤で治療を受けていた患者におけるFVCの中央値の変化量は、BI 1015550を使用した群は+2.7 mL、プラセボ群は-59.2 mLでした。
-IPF患者の肺機能低下の抑制効果に関し、BI 1015550がプラセボよりも優れる確率は98%超です。
ベーリンガーインゲルハイムのヒューマンファーマビジネスユニット担当取締役のカリン・ブルヨンは、次のように述べています。「私たちは、肺線維症領域におけるグローバルリーダーとして、病勢進行を遅らせる以上の成果を目指しており、いつかこの消耗性慢性疾患を治癒したいと考えています。第II相臨床試験の結果を受けて、BI 1015550に対する確信が強まりました。今後、ピボタル第III相臨床試験プログラムへ向けて取り組みを加速させ、規制当局やアカデミアと協力し、次世代の治療薬をできるだけ早く肺線維症患者さんに届けるべく取り組んで参ります」
同試験では、副次的評価項目も達成され1、BI 1015550は、12週間にわたりIPF患者において許容される安全性と忍容性を示しました。患者全体で最も多く報告されたイベント(患者の10%超)は下痢であり、すべてのイベントは非重篤例として報告されました。新たな安全性イベントは特定されず、ベースライン特性は、両試験群でおおむねバランスが取れていました。
BI 1015550は2022年2月、米国食品医薬品局(FDA)より、ブレークスルーセラピーに指定されました。ベーリンガーインゲルハイムは、この治療薬をできるだけ早く患者さんに届けるべく、第III相臨床試験プログラムを開始し、BI 1015550がIPFおよび進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)患者の肺機能を改善するかどうかの評価を進めていく予定です。
試験について
-第II相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(NCT04419506)では、IPF患者(n=147)を対象に、経口薬BI 1015550 18 mg 1日2回投与の有効性と安全性が評価されました。
-試験登録前に抗線維化剤の治療を受けていなかった患者と、8週間以上にわたり安定用量の抗線維化剤の治療を受けていた患者のうち、対標準予測肺活量が45%以上の患者を12週間にわたりBI 1015550 18 mgを1日2回投与する試験群とプラセボ群に2:1の比率で割り付けました。
-主要評価項目は、12週目のFVCのベースラインからの変化であり、副次的評価項目は、治験薬投与下で発現した有害事象の割合でした。
-第III相臨床試験プログラムは、年内に開始される見通しです。
-NCT05321082:進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)患者が対象
-NCT05321069:IPF患者が対象
特発性肺線維症について
特発性肺線維症(IPF)は、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(ILD)のひとつです2。IPFの症状には、労作時の息切れ、長引く空咳、胸部不快感、疲労感、虚弱があります[3]。IPFは希少疾患として扱われていますが、世界で約300万人が罹患しています[4,5]。この病気は、主に50歳以上の男性に多く見られます[2]。
肺線維症を引き起こす可能性のある肺疾患は200種類を超えます[6]。肺線維症は、肺組織が不可逆に損傷し、肺機能やQOLに悪影響を及ぼす病気であり、命に関わることもあります。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、今日そして次世代にわたり、暮らしを変革する画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型のバイオ製薬企業のリーディンクカンパニーとして、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態により長期的視野を維持しています。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、52,000人以上の社員が世界130ヵ国以上の市場で事業を展開しています。
詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)
当プレスリリースについてこの資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が5 月15 日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。
References
1)Richeldi L., et al. Safety and Efficacy of BI 1015550, a Preferential Inhibitor of Phosphodiesterase 4B, in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis: a Phase 2 Trial. Presented at American Thoracic Society (ATS) International Conference Breaking News session on May 16 2022.
2)Pulmonary Fibrosis Types and Causes. American Lung Association. https://www.lung.org/lung-health-diseases/lung-disease-lookup/pulmonary-fibrosis/introduction/types-causes-and-risk-factors. [Accessed May 2022].
3)Symptoms. Pulmonary Fibrosis Foundation. https://www.pulmonaryfibrosis.org/understanding-pff/about-pulmonary-fibrosis/symptoms. [Accessed May 2022].
4)Nalysnyk L., et al. Incidence and Prevalence of Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Review of the Literature. Eur Respir Rev. 2012;21(126):355-361.
5)Data on file. Boehringer Ingelheim. DOF OFEV.RES.IPF/08/11January2016. Worldwide Prevalence 2016.
6)Other Types of Pulmonary Fibrosis. Pulmonary Fibrosis Foundation. https://www.pulmonaryfibrosis.org/understanding-pff/types-of-pulmonary-fibrosis/other-types-of-pulmonary-fibrosis. [Accessed May 2022].
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。