NTTコム リサーチ自主調査「ライブコマース」に関する調査
~ライブコマース視聴者の5割強が商品を購入。分かりやすさと安心・信頼感がポイント~
総括
SNS等インターネットを通じた動画で商品をライブで紹介し、商品を販売するライブコマースという手法が登場している。通常のECサイト上の商品販売とは異なり、商品紹介をテキストや写真だけでは伝えきれない情報を動画で発信して視聴者に伝えられるだけではなく、チャットなどで視聴者と双方向のリアルタイムのコミュニケーションが可能な点や、紹介された商品がインターネット上でリアルタイムに購入できる点が特徴だ。
調査の結果、「ライブコマース」についての認知は31.9%。視聴経験があるのは3.9%だった。現時点でのライブコマース視聴経験者は多いとは言えないが、視聴経験者の商品購入経験率は54.8%と半数超える。特に20代・30代の若年層ほど商品購入経験率が高い。また視聴経験はないが視聴意向がある人も全体の2割強出現、今後の利用者拡大が期待される。
ライブコマースの視聴実態をみると、視聴カテゴリは「アパレル」「化粧品」とライブコマースの特徴である動画配信との相性の良さが伺えるカテゴリが上位。これに家電量販店が続く。
ライブコマースの視聴きっかけや視聴決定要因は、SNSやリアルのコミュニティ、インフルエンサーによる推奨よりも、企業・ブランド、配信プラットフォームなど送り手側からのアプローチが中心。視聴目的も、既に検討している商品の確認がメインとなっている。
ライブコマース購入者は、ライブコマースの特徴として、「分かりやすさ」を評価。普段からプロのアドバイスや評価を参考にしている人たちで、ライブコマースにもプロの説明による「安心感」、気持ちの一押しを求めている。また、ライブコマースをSNSやリアルで推奨する拡散力もあり、企業やブランドにとっても魅力的なターゲットといえる。ライブコマース利用意向層(非視聴経験者)についても「分かりやすさ」「安心感」「信頼感」がライブコマースの期待価値となっており、これらが今後の市場拡大に向けたポイントとなりそうだ。
※詳細は以下でもご覧いただけます。
http://research.nttcoms.com/database/data/002208/
調査結果のポイント
■「ライブコマース」は市場拡大に向けた黎明期で、今後の市場拡大が期待されるポテンシャルのある市場。
「ライブコマース」認知者は31.9%。うち視聴経験者は3.9%にとどまった。
一方、視聴経験者の内訳をみると、実際に商品を購入したことがある人は54.8%と過半数を上回る。年代別で見ると購入経験は20代で66.2%に達し、30代でも59.6%と、若年層ほど購入率が高く、今後の伸びが期待できる。
また非利用経験者のうち利用意向者は全体の19.1%。現利用者に比べると利用意向者の比率が高い市場で、今後の市場拡大に向けたポテンシャルがある。
■ライブコマースの視聴カテゴリは動画配信と相性の良い商品カテゴリが上位。視聴カテゴリのトップは「アパレル」。次いで「化粧品」。
ライブコマース視聴経験者の視聴カテゴリは「アパレル企業」が最も高い(47.4%)。次いで「化粧品ブランド企業」(30.5%)。これに「家電量販店」(30.2%)、「デパート、ショッピングモール、総合小売(オンライン含)運営企業」(28.0%)が続く。
全体では、「BEAMS(ビームス)」(20.3%)、「ビックカメラ」(18.6%)、「エディオン」(17.8%)、「GU(ジーユー)」(17.6%)、「ユニクロ」(17.6%)、「ABC-MART」(17.1%)、ヤマダ電機(17.0%)が上位。
■ライブコマースの視聴きっかけは、企業や媒体側からのアプローチが上位。視聴目的は既に購入検討している商品の確認がメイン。
ライブコマース視聴のきっかけは、「登録している媒体からメールで送られるニュース」(49.6%)がトップ。次いで「利用しているSNSで見たニュース(広告)」(36.4%)、「企業のウェブサイトでのお知らせ、バナー」(34.6%)と企業・媒体側の発信情報が上位。口コミやレコメンドなどの生活者情報を上回る。
視聴決定要因も「紹介される商品」(39.8%)、「動画を配信している企業」(39.0%)、「紹介されるブランド」(35.9%)と企業・ブランドが上位。SNS、リアル上のコミュニティの情報をきっかけとした視聴や配信者きっかけの視聴を上回る。
また、視聴の目的は「購入を決めていないが、購入する可能性のある商品について確認するため」(39.4%)、「購入を決めている商品について確認、購入するため」(20.7%)と既に購入を検討している商品の確認がメインで、ウィンドウショッピングやエンタメ視聴を上回る。
■ライブコマースの商品購入決定ポイントはプロ推奨の「安心感」という気持ちの後押し。購入者は自らもライブコマースを推奨し、情報発信・拡散。
ライブコマース購入者の購入決定要因は「商品に詳しいコマーサーの説明内容による安心感」(47.5%)がトップ、次いで「商品に詳しいコマーサーの出演による安心感」(44.3%)とライブコマースにプロの解説による「安心感」を求めている。この他、ライブコマースの価値としては「分かりやすさ」を評価。
また、ライブコマース購入者はライブコマースの他者推奨経験が79.1%と自らも情報発信・拡散している。
■ライブコマース利用意向層の興味点は、内容の「分かりやすさ」と気持ちの「安心感」「信頼感」。
ライブコマース利用意向層(非視聴経験)のライブコマースへの興味点は、「分かりやすく商品について紹介される点(静止画や文字でなく動画である等)」が66.4%でトップ。次いで「安心感が持てる点(視聴者の質問にその場で回答され、疑問がすぐに解決される等)」(32.5%)、「商品の信頼感が増す点(商品に詳しい人が説明をする等)」(29.8%)。
調査結果について
<調査概要>
1. 調査対象 : 「NTTコム リサーチ」登録モニター
2. 調査方法 : 非公開型インターネットアンケート
3. 調査期間 : 令和4年12月7日(水)~令和5年1月17日(火)
4. 有効回答者数 : 566名(スクリーニング調査:20,644名)
5. 回答者条件 :●スクリーニング調査:15歳以上の男女・全国 ●本調査:ライブコマース認知者
6. 回答者の属性 :スクリーニング調査
《 補足 》
<NTTコム リサーチについて>
https://www.nttcoms.com/service/research/
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が提供する高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。
4つの品質保持(1.モニターの品質 2.調査票の品質 3.アンケートシステムの品質 4.回答結果の品質)を柱とした「クオリティポリシー」に基づく徹底した品質確保を行い、信頼性の高い調査結果を提供するインターネットリサーチとして、多くの企業・団体に利用されています。
<NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションについて>
NTTコム オンラインは、企業のデジタライゼーションを、データ活用とテクノロジーの提供を通じて支援するソリューション・パートナーです。データ&アナリティクス事業においては、NTTコムリサーチに加えて、NPS®顧客ロイヤルティマネジメント、社員エンゲージメントを測定する「eNPS調査」、ソーシャルメディア分析などを、その導入から運用伴走までトータルにご支援します。また、企業のデータ課題に応え、進化し続けるデジタライゼーションをご支援するために、「あらゆるデータをリアルタイムで連携、統合、解析」するソフトウェアとして、グローバルに高い実績を持つTIBCO社のデータ解析・統合プロダクトを日本総代理店としてご提供しています。
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
マーケティング&アナリティクス部
URL: http://www.nttcoms.com/
メールアドレス:research-info@nttcoms.com
調査結果データ
(1)「ライブコマース」の認知は約3割。視聴経験者は3.9%にとどまるが、視聴経験者における購入経験者の割合は半数超え。非視聴経験者で利用意向がある人は全体の約2割強。
「ライブコマース」について知っているか訊いたところ、31.9%の人が「ライブコマース」について認知していた。内訳は、「聞いたことがある程度」が20.4%、「知っているが視聴したことはない」が7.6%、「知っており視聴したことがある」と回答したのは3.9%にとどまった。【図1】
ライブコマース視聴経験者のうち、実際に商品を購入したことがある人は54.8%と半数以上を占めた。年代別で見ると、20代が66.2%、30代が59.6%と高い。【図2】
また、非視聴経験者のうち、利用意向がある人は19.8%。【図3】
(2)ライブコマースの視聴はスマートフォン。50代以上ではPC。
ライブコマース視聴時に使用するデバイスは、スマートフォンが73.7%で最も高い。次いでPC(47.0%)。ただし、50代以上ではPC端末がスマートフォンを上回り、最も高くなっている。【図4】
(3)ライブコマースの視聴プラットフォームはYouTubeがトップ。次いで、Instagram、Twitterの順。商品購入者は企業サイトよりも配信プラットフォームサービスを利用。
視聴したプラットフォームは、YouTubeが68.7%でトップ。次いでTwitter(37.1%)、Instagramの順。
購入者と非購入者で比較すると、購入者は「企業の運営するECサイトなどのWEB」よりもTwitterやInstagram、LINE LIVEなど配信プラットフォームサービスの利用率が高い。【図5】
(4)視聴経験のある配信主体は動画配信と相性のよい商品カテゴリが上位。
視聴したことのある配信主体は「アパレル企業」が47.4%で最も多く、「化粧品ブランド企業」の30.5%、「家電量販店」の30.2%と続く。
年齢層別にみると、60代以上では家電関連の利用が多く、「家電・調理器具・日用雑貨製造、販売企業」、「家電量販店」が共に31.7%、「デパート、ショッピングモール、総合小売(オンライン含)運営企業」30.2%、「アパレル企業」は28.3%だった。【図6】
全体では、「BEAMS(ビームス)」(20.3%)、「ビックカメラ」(18.6%)、「エディオン」(17.8%)、「GU(ジーユー)」(17.6%)、「ユニクロ」(17.6%)、「ABC-MART」(17.1%)、ヤマダ電機(17.0%)が上位。
カテゴリ別でみると化粧品企業では「@COSME」(48.0%)がトップ。次いで「資生堂」(41.0%)、「ANNA SUI(アルビオン)」(32.4%)。
電気量販店では「ビックカメラ」(61.8%)、「エディオン」(58.9%)、「ヤマダ電機」(56.4%)の順。
総合小売りでは「Yahoo!ショッピング LIVE」(40.2%)がトップ。次いで「イオン」(34.8%)、「楽天ライブショッピング」(32.1%)、「auコマース&ライフ(auCL)「ライブTV」」(31.3%)、「セブン&アイHLDGS.」(30.4%)の順。
(5)ライブコマースの視聴のきっかけは、他者からの推奨よりも企業や媒体からのアプローチ。視聴の目的は購入を前提とした商品の確認。
ライブコマース視聴のきっかけは「登録している媒体からメールで送られるニュース」(49.6%)がトップ。次いで「利用しているSNSで見たニュース(広告)」(36.4%)、「企業のウェブサイトでのお知らせ、バナー」が続く。【図7】
視聴の決定要因として、「紹介される商品」(39.8%)、「動画を配信している企業」(39.0%)、「紹介されるブランド」(34.6%)が上位。【図8】
視聴の目的は購買行動に直接関係するものが多く、「購入を決めていないが、購入する可能性のある商品について確認するため」(39.4%)「購入を決めている商品について確認、購入するため」(20.7%)が上位。これに「商品を購入する目的というよりは、トレンドなどを知るウィンドウショッピング的な意味合いのため」(17.0%)が続く。【図9】
(6)ライブコマース購入経験者は、普段の情報源として専門家の意見・評価を重視。非購入経験者は一般使用者の評価を重視。
ライブコマース視聴経験者に、通常商品を購入する際に、与えられるアドバイスや評価をどの程度参考にするかを訊いたところ、ライブコマースを視聴して商品を購入した人は、「販売する企業のスタッフや店員の、口頭による直接的なアドバイス」が93.3%で最も高く、「販売する企業のスタッフや店員の記事などによる一般的なアドバイスや評価」(91.8%)、「口コミなどの一般使用者が評価している評価」(87.2%)が続いた。【図10】
一方で、ライブコマース視聴経験者のうち、商品購入をしたことのない人は、「口コミなどの一般使用者が評価している評価」が82.7%で最も高く、「販売する企業のスタッフや店員の記事などによる一般的なアドバイスや評価」(78.9%)、「販売する企業のスタッフや店員の、口頭による直接的なアドバイス」(77.5%)の順となった。【図11】
(7)ライブコマース購入経験者の購入の決め手は「安心感」。「分かりやすさ」もライブコマースの評価ポイント。
ライブコマース購入者の購入の決め手は「商品に詳しいコマーサーの説明内容による安心感」(47.5%)「商品に詳しいコマーサーの出演による安心感」(44.3%)が上位。次いで「双方向のコミュニケーションで視聴者側の疑問が解決される安心感」(35.8%)「ライブ配信による臨場感」(32.3%)が続く。【図12】
また、ライブコマース購入経験者はライブコマースの評価ポイントとしては「分かりやすく商品について紹介される点」(45.0%)を最も評価。次いで「安心感が持てる点」(38.3%)、「便利な点」(37.9%)、「臨場感がある点」(35.1%)などを評価している。【図13】
(8)ライブコマース購入経験者の約8割がライブコマースの他者推奨経験あり。
ライブコマース視聴者の他者推奨経験は55.5%。ネット上の推奨が33.3%。ライブコマース購入経験者では他者推奨経験は79.1%に達する。中でもネット上の推奨経験は5割に達する。【図14】
(9)ライブコマース利用意向者(非視聴経験)のライブコマースについての興味点は「分かりやすさ」。加えて「安心感」「信頼感」といった気持ちのベネフィット。
「分かりやすく商品について紹介される点(静止画や文字でなく動画である等)」(66.4%)がトップ。次いで、「安心感が持てる点(視聴者の質問にその場で回答され、疑問がすぐに解決される等)」(32.5%)、「商品の信頼感が増す点(商品に詳しい人が説明をする等)」(29.8%)と続く。【図15】
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