【ゲラン】2025年Art & Environment Prizeの受賞者を発表
受賞者:Pooya Abbasian

2023年にLee Ufan Arlesとゲランが共同で創設した「Art & Environment Prize(アート&エンバイロメント プライズ)」は、李禹煥(リ・ウファン)と親和性のある哲学的な深みをもちながら、ゲランが掲げる環境との関わりにおける価値観と共鳴するという点を評価基準とし、毎年、普遍的な作品に対して贈られます。芸術の継承と支援に対する共通の意識をもち、アートと環境への取り組みにおいても志を同じくする李禹煥とゲランは、共に、自然との対話を生み出す利他的で責任ある芸術作品を称えます。
第3回目を迎えた今年は、Pooya Abbasianが受賞しました。
本賞の受賞者、Pooya Abbasianには、Lee Ufan Arlesでの6~8週間にわたるアーティスト イン レジデンスの期間中、特別な制作スペースと支援プログラムが提供されます。さらに、2026年夏にLee Ufan Arlesの展示スペース「MA Atelier」にて開催されるエキシビションでは、受賞アーティストの作品のお披露目が予定されています。
アルル中心部に位置するこのユニークな考察と制作スペースは、李禹煥の代表作を展示する傍ら、現代アートの創作活動を支援しています。Pooya Abbasianはここで自身のアートプロジェクトに取り組むと同時に、彼の作品の世界観に共鳴するアーティスト、専門家、地域関係者らと交流を深めることができます。これにより、ローカルのみならず、よりグローバルに作品を発表する貴重な機会を得ることができ、キャリアの大きな飛躍となります。また、本賞はゲランとの新たなコラボレーションの可能性も開きます。

2025年Art & Environment Prize
2025年10月7日、李禹煥が審査委員長を務める審査団(Clément Chéroux、Charlotte Le Bon、Caroline Corbasson、Esra Joo、Gabrielle Saint-Genis、Ann Caroline Prazan、Juliette Vignon、Claire Coletti)によって、Pooya Abbasianが選出されました。
受賞者:Pooya Abbasian

Pooya Abbasianは、1985年生まれのフランス系イラン人アーティストで、2011年以降パリ在住。写真、ドローイング、映像、インスタレーションなどを横断する彼の表現は、現代社会における「イメージの位置と循環」に問いかけます。映画とドローイングの世界で培った経験をもとに、インターネットや映画、自身の写真などから収集したイメージの断片を素材とし、それらを再構成してイメージ・現実・真実の緊張関係を可視化する作品を制作しています。彼の作品には「移行する空間の詩情」が宿り、時間・記憶・場所の間に繊細なつながりを生み出します。
彼の作品は、ヨーロッパ写真美術館(MEP)、テヘラン現代美術館、ル・プラトー(フラック・イル=ド=フランス)などで展示され、映像作品は国際映画祭でも上映されました。作品は、フランス国立現代美術センター(CNAP)やヨーロッパ写真美術館(MEP)のコレクションにも収蔵されています。さらに、ガリマール社やアクト・シュッド社からは児童書の著者・イラストレーターとしても出版実績があります。

アーティスティック・プロジェクト:Séneçon
Lee Ufan Arlesのレジデンス期間中、Pooya Abbasianは“Séneçon”というプロジェクトに取り組む予定です。この作品は「雑草」と呼ばれる、いわゆる野生植物の観察から着想を得ています。人間の都合で抜かれたり、無視されたり、あるいは崇められたり、売買されたりするこれらの植物は、静かでありながらも確固たる存在感を放っています。その環境への適応力、抵抗力、そして拡散力は、Pooya Abbasianの思索の中心にあります。土地を越えて移植される「意図しない旅人」としての彼らは、状況によって有害にも貴重にもなり得る存在です。
このプロジェクトを通して、彼は、これらの周縁の生命体に関連する現代の緊張を探求します。拒絶と魅惑の間の曖昧さ、排除されたものの価値への転換、領土と生命の受容性に関する問い、そして風景の中に含まれる目に見えない物語。これらのパラドックスは、生きた世界との関係の複雑さを問うための手段となります。


この考察は、映像と絵画の交差点で形になります。滞在中、Pooya Abbasianは植物が自生する場所で撮影を行い、光や揺らぎ、微細な動きを捉えます。その目的は単なる記録ではなく、出現と消失のあわいにある一瞬の存在感を捉えることです。その撮影映像をキャンバスや感光紙など光に反応する素材へと転写し、動画と静止画を融合させます。このプロセスは、動きと痕跡の間の脆弱な境界を具現化し、光は物質となり、時間が可視化された記憶として刻まれます。“Séneçon”は、Pooya Abbasianが長年にわたり取り組んできた「生の記憶」、「生命の循環」、「イメージが不動の存在を留める力」を探求するプロジェクトの一環です。植物が見せる移動、繁殖、消失の現象は、記憶と変化が共存する「エピジェネティクス(後天的な環境要因による遺伝子発現の変化)」を想起させます。
観察と詩情が織りなすこのアプローチは、アルル地方特有の光と風景を背景に、喪失と適応を象徴する植物を通して、「生と環境の詩学」を鮮やかに描き出します。


552名の応募から選出された6名のファイナリスト
2025年4月30日から7月30日まで募集を行った結果、552件の応募があり、そのうち約4分の3が海外からの応募でした。今年も、世界各地の多様で創造的なアーティストによる提案が寄せられ、現代アートの豊かな活力を示しました。
ファイナリストは受賞者のPooya Abbasianの他、以下の5名です:
● Dana Cojbuc
光、白、そして消去という要素を通じて、風景の詩的な次元を探求するアーティスト。写真、ドローイング、ランドアートを融合させることで、彼女は現実が薄れ、場所の地理詩学へと道を譲る、仮想的な領域を構成します。彼女の作品は、風景の変容や鉱物と空中との関係を考察し、無重力感と視覚的な静寂を生み出します。
● Virginie Ittah
絵画、彫刻、音、そして嗅覚を通じて、古来の所作と現代テクノロジーを結びつける アーティスト。自ら集めた石や土、植物から顔料を作り出す一方で、3Dモデリングや仮想現実の領域にも踏み込んでいます。神話、身体、風景を融合することで、記憶や生命、変容に問いかけ、感受性豊かで共生的な視点から世界との関係を再考するよう私たちを誘います。
● Marie-Luce Nadal
大気現象を詩的かつ生きた素材として探求するアーティスト。気象観測機器と応答性のある彫刻を組み合わせることで、科学的な観察と宇宙的な夢想の間にある、気候アートを創り出し、空の見えない根源を可視化します。
● Ana Sant’Anna
光と静寂の絵画を展開し、「歩くこと」を風景に耳を傾けるための道具とするアーティスト。彼女の作品は存在と不在の境界に位置し、空虚で宙に浮いた空間の中に一瞬の儚さを明らかにしようと試み、光を絵画的な言語へ、そして風景を時間に対する瞑想的な経験へと変容させます。
● Laure Winants
芸術と科学を学際的なアプローチで結びつけ、そこで自然は啓示者として作用するアーティスト。彼女のプロジェクト”Future Fossils”は 、光と環境の化学成分に反応する感光紙を用いて、水の目に見えない痕跡を捉えます。生き生きと進化し、反応する作品を創造することによって、彼女は自然現象を、生態系の記憶に関する詩的で絵画的な物語へと変容させます。
審査員について
審査委員長の李禹煥のもと、審査員は、Lee Ufan Arlesとゲラン関係者に加え、アート界の著名人によって構成されました。 今年の審査員は、パリのアンリ・カルティエ=ブレッソン財団ディレクターで、写真史家、美術史博士のClément Chéroux、国際的に著名な俳優、映画監督、ビジュアルアーティストのCharlotte Le Bon、そして現代アーティストであり、2024年Art & Environment Prizeの受賞者、Caroline Corbassonが務めました。また、ゲランCEOのGabrielle Saint-Genis、ヘッド オブ アート・カルチャー・アンド・ヘリテージのAnn Caroline Prazan、ヘッド オブ グローバル・サステナビリティのClaire Colettiも参加。3名とも、利他的で責任ある芸術活動を促進し、ゲランが長年取り組んできたアート支援を継続しながら、自然との新たな対話を開くことに尽力しています。Lee Ufan Arlesからは、李禹煥スタジオディレクターでキュレーター、ギャラリストであり、Lee Ufan Arlesの副会長でもあるEsra Joo、そして施設全体の活動を監督・組織するジェネラル・コーディネーターのJuliette Vignonが参加し、受賞者のプロジェクトが李禹煥の普遍的な視野、環境的価値観、哲学的深みの共鳴を確かなものにします。
Lee Ufan Arlesとゲランは、ファイナリストの皆様、そしてご応募いただいたすべての皆様の関心とご参加に感謝申し上げます

Art & Environment Prizeの詳細:
https://www.guerlain.com/jp/ja-jp/c/art-and-environment-prize.html
ゲラン公式オンラインブティック https://www.guerlain.com/jp
ゲラン公式インスタグラム https://www.instagram.com/guerlain/
ゲラン公式X https://twitter.com/Guerlainjp
ゲラン公式LINE https://linevoom.line.me/user/_dc3ZIdbeOEVnsWkVEgdBjgqLJfDBiePWQ8SsRmc
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