IoT通信の選択肢と運用の柔軟性を拡張する「SORACOM Connectivity Hypervisor」を発表
IoT SIMにおける複数プロファイルの追加・切り替え機能、SGP.32対応で他の通信事業者のプロファイルも追加可能に
株式会社ソラコム(本社:東京都港区、代表取締役社長 CEO 玉川憲)は、IoTプラットフォームSORACOMの新たな進化として、IoT SIMにおける複数の通信プロファイルを動的に管理・切り替えできる新機能「SORACOM Connectivity Hypervisor(ソラコム コネクティビティ ハイパーバイザー)」を2025年度中に提供する計画を発表しました。本機能は、SORACOM IoT SIMにおいて、SORACOMが提供するプロファイルに限らず、他の通信事業者が提供するプロファイルを含めて、リモートからプロファイルの追加・切り替えを可能にします。
ソラコムでは、GSMA(*1)が公開したIoT向け次世代eUICC規格SGP.32(*2)に対応した「SORACOM IoT SIM」を2025年度内に新たに提供開始する予定であり、すでにeUICC(*3)、eIM及びSM-DP+(*4)を利用した実証環境での動作検証を完了し、商用化に向けて準備を進めています。
これまでもSORACOM SIMでは、SORACOMが提供するサブスクリプションをリモートで追加できるサブスクリプションコンテナ機能を提供してきましたが、SORACOM Connectivity Hypervisorにより、新たに、他の通信事業者のプロファイルを含むマルチプロファイル管理を可能にします。これにより、IoTデバイスにおける通信の選択肢と運用の柔軟性を大幅に広げることができます。

本機能を利用することで、現地で電源を入れた瞬間からあらかじめインストールされたSORACOM回線でネットワークに接続、その後、出荷先の国や地域、ユースケースに応じて、最適な通信プロファイルを追加・切り替えることができます。この仕組みにより、製品の在庫管理や通信プランの個別対応にかかっていた工数やコストを大幅に削減し、単一SKUでのグローバル展開を現実的な選択肢とすることが可能になります。さらに、グローバル展開される製品においては、各国で異なるパーマネントローミング規制への対応が課題となることがありますが、本機能を活用することで、対象国で許可された現地通信事業者のプロファイルへ動的に切り替えが可能となり、こうした規制にも柔軟に対応できるようになります。

また、用途に応じて、大容量通信向けのプロファイルや音声通話に対応したプロファイルなどを柔軟に追加できるため、利用目的に応じた最適化を行うことができます。さらに、通信品質の変化や予期せぬトラブルに備えて、あらかじめSORACOMのプロファイルをバックアップ回線として登録しておけば、万が一、他のプロファイルで接続できなくなった場合にも自動でプロファイルを切り替え、通信を継続するオペレーションが可能になります。こうした冗長性の確保により、より安定したIoTサービスの運用を実現できます。
また、ソラコムは、AECC(Automotive Edge Computing Consortium)においてコネクテッドカーが安定したネットワーク接続を維持しつつ、柔軟な通信制御を実現するための仕組みの実証に取り組んでいます。本プロジェクトでも、Connectivity Hypervisorを活用したサービス構想および、SGP.32を利用したプロファイル追加の機能についても検証しています。
「お客様は様々な理由により、複数の通信サービスの利用を余儀なくされています。SORACOMは、“つなぐ”という役割をさらに深め、お客様のあらゆるニーズに応えるプラットフォームへと進化しています。今回発表したConnectivity Hypervisorは、その象徴的な取り組みであり、IoT通信をより戦略的に活用できる基盤となります。グローバルに展開する製品にとって、通信の選択肢を持てることは、事業継続性やコスト最適化の観点でも大きな強みになります。SORACOMは今後も、お客様のビジネスにとって“なくてはならない存在”となるべく、進化を続けていきます」
ソラコム 最高技術責任者 CTO 安川健太
今後、あらゆるモノが通信を搭載する世界において、製品は常に“つながる”ことが前提となり、自動車、産業機器、家電、ウェアラブル、スマート決済端末など、グローバル市場を見据えたデバイスでは、通信の柔軟性と信頼性が製品価値に直結します。
SORACOMは、通信事業者の垣根を越えてプロファイルを統合管理し、IoT通信における「ハイパーバイザー」としての役割を果たすことで、より開かれたIoTエコシステムの実現を目指します。
(*1)GSMA
GSM Association、携帯電話通信事業者の業界団体。業界の標準化や技術開発を支援する。
(*2) SGP.32
SGP.32は、GSMAが策定した、IoT機器向けのeUICC規格。SIMに対して任意のタイミングで通信プロファイルを配信、管理し、リモートでのプロファイル切り替えが可能になる。デバイスやSIM上で動くIPA(IoT Profile Assistant)と呼ばれるエージェントがeIMやSM-DP+(*4)といったコンポーネントと通信し、プロファイルの配信や有効化、無効化、削除、フォールバックなどの制御を行う。
(*3)eUICC
eUICC(embedded Universal Integrated Circuit Card)は、GSMAの規格に基づいた、リモートからSIMプロファイルを書き換え可能な、SIMカードの機能を内蔵したチップ。
(*4)eIM、SM-DP+
eIM(eSIM IoT Remote Manager)は、GSMAのSGP.32仕様で定義されており、eUICCの管理と、SM-DP+サーバーからのプロファイルダウンロード、有効化、無効化、削除等を指示する役割を担う。
SM-DP+(Subscription Manager Data Preparation Plus)は、SGP.32において、プロファイルをセキュアに生成し、ダウンロードを管理するサーバー。
ソラコムについて
IoTプラットフォームSORACOMは、世界180以上の国と地域でつながるIoT通信を軸に、IoTを活用するために必要となるアプリケーションやデバイスなどをワンストップで提供しています。製造、エネルギー、決済などの産業DXから、イノベーティブなスタートアップ、農業や防災など持続可能な地域社会を支える取り組みに至るまで、さまざまな業界・規模のお客様にご活用いただいています。
コーポレートサイト https://soracom.co
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