【建設産業従事者への建設DXの現状調査】半数以上がデジタル化に着手、約3割がDXの効果を実感
~建設DXで「業務プロセス、組織やビジネスモデルも変わってきた」が10.7%~
BuildApp(ビルドアップ)で建設DXに取り組む野原グループのBuildApp総合研究所(所在:東京都新宿区、代表:山梶真司)は、労働時間の上限を規制する「2024年問題」に続き、75歳以上を迎える団塊世代の大量退職に伴う労働力不足(2025年問題)が迫るなか、全国の20代~70代の建設産業従事者を対象に、建設産業の抜本的な労働生産性向上の鍵といわれるDXの現状等に関する調査を行いました。

調査実施概要 (調査元:BuildApp総合研究所)
調査期間:2025年3月21日~3月31日
調査対象:全国の20代~70代の建設産業従事者1,257人
回答数:1,257人
調査方法:インターネット調査(ゼネラルリサーチ株式会社)
調査結果の主なトピックス
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建設DXの現状は、回答者の64.2%がデジタル化に着手、31%が効果を実感しているとの結果になりました。建設DXの効果として「業務プロセス、組織やビジネスモデルも変わってきた」との回答は10.7%でした。なお、年代別にみると、次世代リーダー層は約4割が建設DXによる変化・効果を実感していることがわかりました。
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官民で注力する「BIM/CIM」を、省人化 ・省力化を目的に活用できているとの回答は17.1%にとどまり、会社種類別ではスーパーゼネコンでは41.9%、専門工事会社では2%と、対照的な結果になりました。なお、省人化・省力化を目的に「活用できているデジタルツールはない」との回答は29.8%でした。
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アナログ業務が多く効率化が遅れているプロセスは「施工管理(33.3)%」が最多で、2023年から2年間で10.2ポイント上昇していることから深刻さが増していると推測できます。なお、3位「施工・専門工事(27.2%)」は2年間で8.6ポイント減少しており、徐々にデジタル活用が広がっていると推測できます。
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BIMの活用シーンは1位「設計(38.7%)」、2位「施工(30.6%)」、3位「割付・積算(18.3)」で、昨年同様の結果でしたが、前年に比べ、2位「施工(30.6%)」は19.5ポイントアップしたほか、製造、維持管理など設計以外のプロセスでもBIM活用が増加傾向にあることがわかりました。
調査結果説明|※詳細及び他の設問の結果は別紙を参照願います
1.建設DXの現状
●建設DXの現状について質問したところ(単一回答)、「デジタル化が進み、業務プロセス、組織やビジネスモデルも変わってきた(10.7%)」、「デジタル化が進み、業務効率化・生産性向上を実感できている(20.3%)」「デジタル化は始まっているが、効果は実感できていない(33.2%)」、「従来と何も変わっていない(35.6%)」との結果となりました。
このことから、建設DXの現状は、64.2%がデジタル化に着手、31%が効果を実感していると言えます。

●年代別に「建設DXの現状」に対する考えを見てみると、20代、30代といった次世代リーダー層では、「デジタル化が進み、業務プロセス、組織やビジネスモデルも変わってきた」または「デジタル化が進み、業務効率化・生産性向上を実感できている」との回答が他の年代に比べ多いことが分かります。

2.BIM/CIMなどのデジタル活用
●「省人化(生産性向上)や省力化(業務効率化)を目的に、活用できているデジタルツールを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、官民で注力する「BIM・CIM」を、省人化 ・省力化を目的に活用できているとの回答は17.1%にとどまりました。

●会社種類別に「BIM・CIMを省人化・省力化を目的に活用できている割合」を見てみると、建設プロジェクトの上流工程で関与する建設コンサルタント(n:140)で35.0%、スーパーゼネコン(n:62)では41.9%、準大手・中堅ゼネコン(n:79)で35.4%と、いずれも建設産業全体(n:1257)の17.1%の倍以上でしたが、専門工事会社では2%と、対照的な結果になりました。
また、建築主(工事発注者)に該当する不動産デベロッパー(n:80)では10.0%、官庁(n:30)は16.7%、不動産業商社(n:70)と大規模商業用不動産オーナー(n:40)は10.0%、流通/電力会社/大学(n:60)は5.0%と、いずれも建設産業全体(n:1257)の結果よりも低いことがわかりました。

3. アナログ業務が多く効率化が遅れているプロセス
●アナログ業務が多く効率化が遅れているプロセスについて質問したところ、1位「施工管理(33.3)%」、2位「営業(28.4&)」、3位「施工・専門工事(27.2%)」でした。
●アナログ業務が多く効率化が遅れているプロセスの1位「施工管理(33.3)%」は、2023年から2年間で10.2ポイント上昇していることから深刻さが増していると推測できます。一方で、3位「施工・専門工事(27.2%)」は2年間で8.6ポイント減少しており、「施工・専門工事」では徐々にデジタル活用が広がっていると推測できます。


4.BIMの活用シーン
●BIMの活用シーンは、1位「設計(38.7%)」、2位「施工(30.6%)」、3位「割付・積算(18.3)」で、昨年同様の結果でした。

●BIMの活用シーンの結果を前年と比べてみると、2位「施工(30.6%)」は19.5ポイントアップしたほか、製造で6.7ポイント、維持管理で12.4ポイントと、設計以外のプロセスでもBIM活用が増加傾向にあることがわかりました。また、BIMを「活用していない」との回答が前年の62.4%から大幅減の12.7%になっています。以上から、建設工程のあらゆるところでBIMが活用され始めたと推測できます。

●BIMに期待すること(複数回答)は、1位「省力化(業務の負担軽減・効率化)(32.5%)」、2位「発注者から技能工まで完成イメージがわかりやすい(29.0%)」、3位「設計・構造・設備を総合的に判断できる(24.5%)」、4位「どこを切った図面でも瞬時に作成・確認できる(23.6%)」、5位「施工段階での手戻りの減少(23.1%)」でした。

5.デジタル化未対応による仕事の不安
●「デジタル化に対応できないと将来仕事が減るのでは、という不安」がある方は全体の61.8%でした。2024年調査とほぼ変わらない結果となったことから、依然として、今後はデジタル対応が必要であることは、半数以上の建設業界従事者において認識されていると推測できます。

●従事業務別に「デジタル化未対応による仕事の不安がある方」の割合を前年と比べてみると、専門工事だけ、前年よりも11.4ポイントも減少していることがわかりました。「2.アナログ業務が多く効率化が遅れているプロセス」の3位に「施工・専門工事(27.2%)」が上がっていることから、専門工事に関わるプロセスのデジタル化が遅れていることから「デジタル化への対応」について他の業務従事者よりも不安感が少ないのではないかと推測できます。

6.建設産業従事者が「誇りに思っていること」と「深刻な課題」
●建設産業従事者が誇りに思っていることは「社会貢献度が高い(42.5%)」、深刻な課題は「人手不足(59.9%)」がトップでした。


●「建設産業の深刻課題」では、「人手不足」だけが、2023年から2年間で3.4ポイントアップしていました。

その他の調査項目および全調査項目の結果詳細
調査結果の詳細はこちらから
BuildApp総合研究所とは
BuildApp総合研究所は、建設産業におけるデジタル技術の活用とサプライチェーンの変革を推進・啓蒙するため、2024年12月に設立された任意団体です(代表:山梶真司、野原グループ株式会社グループCSMO)。主な活動内容は、建設DXやデジタルツールの活用方法に関する情報発信です。
施工プロセスの情報革新と工業化に取り組み、社会と未来への貢献を目指して、総合建設会社(ゼネコン)、専門工事店、建材メーカー、学識有識者など、あらゆる建設プレイヤーと連携してまいります。
BIM設計-製造-施工支援プラットフォーム「BuildApp」について ※登録商標取得済み

「BuildApp(ビルドアップ)」は、設計事務所やゼネコンが作成したBIM設計データをより詳細なデータに置き換え、各建設工程で必要なデータとして利活用し建設工程全体の生産性向上を実現するクラウドサービスです。設計積算から製造・流通・施工管理・維持管理までをBIMでつなぐ複数のサービスにより、各プレイヤーに合わせたサービスを提供します。そして、設計・施工の手間・手戻りをなくし、製造・流通を最適化して、コスト削減と廃棄物・CO2削減に貢献します。
「BuildApp」は、建設サプライチェーンの抜本的な効率化と未来へ繋がる成長をサポートし、皆さまと一緒に建設業界をアップデートしていきます。

私たちがBuildAppで実現したいこと
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BIM起点のデータで建設関係者を繋いで連携を生む
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工程の可視化や業務の自動化により業界内の無駄を解消する
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DX による生産性向上や廃材・CO2排出量の削減を目指す建設企業とともに、サプライチェーン を変革し、「建設DXで、社会を変えていく」
BuildAppの新サービス「BuildApp 内装 建材数量・手配サービス」が2月より商用提供開始
「BuildApp 内装 建材数量・手配サービス」は、建材発注数量の算出や施工情報の自動アウトプットができる内装仕上工事向けのサービスです。
BIMで内装仕上工事に必要な建材手配に関わる業務を効率化し、無駄を省いた効率的な材料手配を実現します。
2025年2月3日より商用提供を開始し、「建築プロジェクトでBIM化が遅れている内装仕上工事」を情報マネジメントの観点から変革する第一歩を踏み出しました。

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野原グループ株式会社
マーケティング部 ブランドコミュニケーション課(担当:森田・齋藤・萩谷)
E-Mail:nhrpreso@nohara-inc.co.jp
参考
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BIM(ビム)とは、国土交通省によれば、「Building Information Modelling」の略称で、コンピュータ上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築することです。 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
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省人化とは、一般的に、単位経済活動あたりの労働時間や人手を減少させること。単位仕事あたりの人間の労力を減少させる省力化とは違う、と言われています。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、経済産業省の定義によれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」を指し、単なるデジタル活用とは区別されています。
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サプライチェーンとは、商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことをいいます。
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