『文藝春秋』12月号に、永瀬拓矢九段のロングインタビュー「藤井八冠は人間っぽくない」を掲載!

「野球選手の大谷翔平さんや、あるいはボクシングの井上尚弥さんと、どこか似ている感じがします」

株式会社文藝春秋

 株式会社文藝春秋(本社:東京都千代田区、社長:飯窪成幸)は11月10日発売の『文藝春秋』12月号にて、藤井聡太八冠と王座戦を戦った永瀬拓矢九段のロングインタビューを掲載します。

『文藝春秋』12月号『文藝春秋』12月号

 2017年以来、1対1の研究会を続けてきた藤井八冠と永瀬九段は、互いに唯一無二の存在。このインタビューで、永瀬九段は、長年にわたる藤井八冠との交流やその強さについて余すところなく語っています。

 頂点に立つ二人だけが知る、壮絶な勝負の世界。言葉の一つ一つが血の滲むような努力に裏打ちされた“永瀬節”が炸裂し、藤井八冠の「超人的な強さの秘密」だけでなく、永瀬九段の「人としてのケタ違いの迫力」も伝わってくる必読の記事です。

 以下、その一部を引用します。


永瀬拓矢九段(©文藝春秋)永瀬拓矢九段(©文藝春秋)


 ――王座戦第4局で、藤井さんが指した122手目の「5五銀」に対して、永瀬さんは「5三馬」を指しました。その瞬間、永瀬さんの勝利を99%と予測していたAIの評価値が10%以下にまで一気に低下し、大盤解説や報道では「これが〝運命の一手〟となって勝敗を決定づけた」と評されました。

 永瀬 勝手な説明や解説が出回っても、いちいち反論するのは時間のムダで、性格的にも興味がありません。間違った説明でも、素人の方がそれで何か分かった気になって、一つの〝娯楽〟として成り立っているのであれば、それでいいと思います。

 でもそれは休憩中の食事に関する情報のようなもので、自分には関係ないことですが……そもそも人に対してこうして発信すること自体、自分としては、本当は意味がないとも思っています。


 ――2017年以来ずっと一対一の研究会を続けられてきた永瀬さんと藤井さんは、互いに唯一無二の存在だと思いますが、研究会を始められたきっかけは、ネット配信番組「炎の7番勝負」での対局だそうですね。この時、羽生善治三冠(当時)、佐藤康光九段など、名だたる棋士たちが藤井さんに次々に敗れるなかで、永瀬さんだけが勝利しています。

 永瀬 勝ったのは私ですが、初めての対局で刻まれた印象は、あまりに強烈でした。藤井さんはまだ14歳でしたが、明らかに「常人ではない」感じがした。終盤戦に備えて時間を残すのが普通なのに、序盤から時間をかけて長考していて、妥協する姿をいっさい見せない。それで後日、ある方から藤井さんのメールアドレスを聞いて、「研究会(VS)をしたい」と本人に申し込んだんです。


 ――当時、24歳だった永瀬さんは、10歳も年下の藤井さんに自分から申し込んだことに、心理的な抵抗はなかったのですか。

 永瀬 私にとって「年齢」は〝ただの数字〟にすぎません。


  ――永瀬さんは「軍曹」と呼ばれていますが、この異名は「正月という概念をなくして将棋を指した」というほど、鬼のような努力を重ねる姿から来ています。

 永瀬 「正月」とか「大晦日」というのは、自分が決めたことではないので、まったく興味がない(笑)。だっておかしくありませんか。毎日やるべきことは決まっているのに、そもそも自分とは関係ないのに、世間が「大晦日だ」「お正月だ」と言っているだけで何か特別なことをするのは。(略)

 正月に家族でお節を食べたりはしません。楽しいとも思えないし、太るだけで、何より毎日の生活のリズムが崩れるのがよくない。

 1日10時間を将棋の勉強につぎ込めば、年間で約3000時間は取れるでしょう。大事なのは、毎日、他には何も考えずにひたすら研鑚を積むこと。このサイクルをひたすら回して変化し続けることなんです。


 ――藤井さんの強さは何だと思われますか。

 永瀬 本当にビックリするほど穏やかな人なんです。「人間ばなれしている」というか「人間っぽくない」ほどに。藤井さんと最初に会って、そのことに一番驚きました。


 ――永瀬さんは、穏やかな人ではないのですか。

 永瀬 相当キツいと思います(笑)。客観的に見て、それは否定できない。ただ、私のようなタイプの方が普通なんです(笑)。

「穏やかなのに勝負ができる人」。こういう人はなかなかいません。その点は、野球選手の大谷翔平さんや、あるいはボクシングの井上尚弥さんと、どこか似ている感じがします。この「穏やかさ」が、藤井さんの突出した「強さ」におそらくつながっている。


藤井聡太八冠(©文藝春秋)藤井聡太八冠(©文藝春秋)


 『文藝春秋』12月号(11月10日発売)、および『文藝春秋 電子版』(11月9日公開)では、永瀬九段が藤井八冠との秘話や、昨今のAIソフト登場による将棋界への影響、さらには「努力型棋士」と「才能型棋士」のちがいなどについても、全10ページにわたって語っています。



■編集長 鈴木康介のコメント

「宮本武蔵はこういう人だったかもしれない、と想像させるほどの力強い言葉の数々。厳しく自らを見つめ、日々鍛錬を重ねる人の言葉とはこういうものかと唸りました。読むほどに鼓舞され、勇気づけられます」



■プロフィール

永瀬拓矢(ながせ たくや)

1992年9月5日、神奈川県生まれ。現在、31歳。九段。安恵照剛八段門下。2009年、四段。2020年、九段。棋士番号は276。タイトル獲得は、叡王1期、王座4期、合計5期。タイトル戦登場は、叡王2回、王座5回、棋王2回、王将1回、棋聖2回、合計12回。「正月という概念をなくして将棋を指した」というほど、鬼のような努力を重ねる姿から「軍曹」の異名を持つ。



■掲載誌

掲載誌:『文藝春秋』12月号

発売日:2023年11月10日

定 価:1,000円(税込)

出版社:文藝春秋

https://bunshun.jp/list/magazine/gekkan-bunshun

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会社概要

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業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区紀尾井町3-23
電話番号
03-3265-1211
代表者名
飯窪成幸
上場
未上場
資本金
1億4400万円
設立
1923年01月