食料生産とエネルギー変換の技術で未来の農地を守る「SAVE THE FARMS by YANMAR」の取り組みを開始
第一弾として、環境再生型農業と営農型太陽光発電を掛け合わせて持続可能な農場を展開

ヤンマーホールディングス株式会社は、食料生産とエネルギー変換の分野で自社がもつテクノロジーを集結し、持続可能な農業の実現に向けて未来の農地を守る包括的なプロジェクト「SAVE THE FARMS by YANMAR」を開始します。
まずは第一弾として、環境再生型農業と営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)などを組み合わせたソリューションを展開します。滋賀県栗東市と岡山県岡山市の農場で開始し、順次地域の課題に寄り添って全国の自治体・農業関係者へ提案していきます。2030年度には全国で1,000haでの展開を目指し、将来的にはグローバル展開も視野に取り組んでいきます。
取り組みの社会的背景※1
日本の農業では、高齢化や人手不足などにより荒廃農地が増加、特に農地面積の約40%を占める中山間地ではその傾向が顕著となっており、持続的な営農が課題となっています。また、温室効果ガスの排出量削減など環境に配慮した農業の確立が求められています。農業におけるカーボンクレジットの創出など、制度面の整備も進んできていますが、導入に向けた営農サポートや技術開発が重要となっています。一方で、農業に新たな収益を生み出すことが期待されている農地の上で発電を行う「営農型太陽光発電」においては、設備の初期費用負担や生育環境への不安が導入障壁になっているケースもあります。

「SAVE THE FARMS by YANMAR」の取り組みについて
ヤンマーグループでは、食料生産とエネルギー変換の分野で顧客の課題解決に取り組んでいます。今回、農業の課題にヤンマーの技術・ノウハウを最大限活用したソリューションを提供することで、耕作放棄地の増加を防ぎ、未来の農地を守るヤンマー独自のプロジェクト「SAVE THE FARMS by YANMAR」をスタートします。
まずは第一弾として、環境再生型農業と営農型太陽光発電を組み合わせたソリューションで、滋賀県栗東市、岡山県岡山市の農地で事業を開始しました。
今後、里山の保全なども含めて、全国で「SAVE THE FARMS by YANMAR」に包括される取り組みを増やし、持続可能な農業による農家の収益確保や地域貢献・地域活性化など、農業の発展と持続可能な社会の実現に貢献していきます。
第一弾:環境再生型農業×営農型太陽光発電によるソリューション
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ヤンマーグループであるヤンマーアグリ株式会社とヤンマーアグリジャパン株式会社は、千葉大学および千葉エコ・エネルギー株式会社が進めるSOLVE for SDGS「脱炭素スマート農地研究」※2において、太陽光発電システム下でのスマート農業技術や営農方法・農作物評価方法などについて共同研究してきました。
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また、環境省の「脱炭素先行地域」に選定された米原市では、共同提案者である米原市とヤンマーが米原市「ECO VILLAGE構想」※3として、耕作放棄地で農業と発電を両立させる「営農型太陽光発電」の導入や、地域のエネルギー循環を強化する仕組みを推進しています。これらの先行事例を応用し、本ソリューションによる事業を立ち上げました。
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担い手不足という課題解決のひとつとして、地域農家が営農し、営農支援金をヤンマーが支払う農家営農型モデルに加え、ヤンマーグループが農地所有者から土地を借用し、環境再生型農業技術を活用しながら、営農から作物の販売までを自社で行うヤンマー自社営農型モデルも構築します。農地所有者は、長期的な農地の賃借などによる収入増につながります。将来的には農業を志す新規就農者の支援も行っていきます。
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水稲の中干し延長によるメタンガス排出抑制やバイオスティミュラント※4、もみ殻バイオ炭の施用による土壌改良・炭素固定などの脱炭素に貢献する農法をはじめとした、データに基づく環境再生型農業の手法確立を目指します。
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営農型太陽光発電の技術を使い、自社による発電設備の設置・資産保有、自社開発の広域需給管理システムによる最適な再生可能エネルギー供給などの発電事業を2026年4月頃より開始します。
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ヤンマーエネルギーシステム株式会社が開発するもみ殻バイオ炭製造装置を活用し、バイオ炭施用による土壌改良とカーボンクレジットの創出を行います。
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特例子会社であるヤンマーシンビオシス株式会社と連携による障がいのある人の活躍機会拡大や、メンタルヘルスの回復などの農福連携に取り組みます。

滋賀・岡山での事業概要
滋賀県栗東市ではグループ特例子会社による障がい者雇用、岡山では地域農家による営農で、持続可能な農業を行います。農地上空部に設置する発電設備でグリーン電力を生み出し、蓄電池や電動農機などを活用して脱炭素に貢献します。将来的には非常時には地域住民に再エネを給電するなど、エネルギーの地産地消と地域レジリエンスの強化にも貢献します。

ヤンマー自社営農型モデル |
農家営農型モデル |
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場所 |
滋賀県栗東市 |
岡山県岡山市 |
営農者 |
ヤンマーシンビオシス(障がい者雇用) |
地元農家(営農委託) |
営農型太陽光発電 |
2026年4月頃 |
2026年4月頃 |
目標総耕作面積 |
2030年度までに全国で1,000ha ※農家営農型モデル含む |
2030年度までに全国で1,000ha ※ヤンマー自社営農型モデル含む |
農作物 |
米 |
米 |
年間発電電力量 |
78,000kWh/年 |
169,000kWh/年 |
想定年間CO2削減量 |
33t-co2/年 |
86t-co2/年 |
電力供給先 |
ヤンマーコーポレーション株式会社、ヤンマーホールディングス株式会社など |
ヤンマーアグリ株式会社(岡山市)、ヤンマーエネルギーシステム株式会社 |


※1 参考出展:農林水産省
中山間地域等について https://www.maff.go.jp/j/nousin/tyusan/siharai_seido/s_about/cyusan/
荒廃農地の発生防止・解消等 https://www.maff.go.jp/j/nousin/tikei/houkiti/index.html
※2 脱炭素スマート農地研究 SOLVE for SDGS https://www.de-carbon-farmland.org/
※3 米原市「ECO VILLAGE構想」 https://www.yanmar.com/jp/about/ygc/ecovillage/
※4 バイオスティミュラント 植物や土壌により良い生理状態をもたらす様々な物質や微生物。周辺環境の本来の自然の力を 活用して、植物の健全さ、ストレスへの耐性、収量や品質などに好影響を与えるとされています。
<注記>記載内容はリリース発表時点のものです。最新の情報とは内容が異なっている場合がありますのでご了承願います。

ヤンマーホールディングス株式会社
1912年に大阪で創業したヤンマーは、1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功した産業機械メーカーです。「大地」「海」「都市」のフィールドで、エンジンなどのパワートレインを軸に、アグリ、建機、マリン、エネルギーシステムなどの事業をグローバルに展開。環境負荷フリー・GHGフリーの企業を目指し、顧客価値を創造するソリューションを提供しています。未来を育むヤンマーの価値観「HANASAKA」を基盤に、ブランドステートメントとして掲げる“A SUSTAINABLE FUTURE”を実現します。
詳しくは、ヤンマーのウェブサイトhttps://www.yanmar.com/jp/about/ をご覧ください。
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