「SDGsネイティブから見た企業の社会貢献事業」について、Z世代がオンライン・ディスカッションを開催しました
Z世代が様々なテーマについて議論する次世代会議が開催されました。
『20代から、世界を変える』をステートメントに掲げ、若者に教育事業を展開する、株式会社OVER20&Company (オーバートウェンティアンドカンパニー、東京都港区、代表取締役社長:
糸井 達哉⦅いとい たつや⦆)は2025年8月下旬から、『PROJECT any(プロジェクトエニー)』内にて、Z世代のリアルな視点を知ることが出来る『次世代世代会議』ディスカッションレポートを公開しています。
https://www.project-any.com/blog/categories/next-gen-conference
先日開催された「SDGsネイティブから見た企業の社会貢献事業」に関するディスカッションレポートが公開されたことをお知らせいたします。
レポート
参加者
Aさん:成城大学 経済学部 1年
Bさん:東京大学 前期教養学部理科一類 2年
Cさん:国際教養大学 国際教養学部 2年
Dさん:京都大学 大学院生命科学研究科 博士
Eさん:東邦大学 薬学部薬学科 4年
要約
当ディスカッションでは、企業が行う社会貢献活動に対する学生視点での課題感や違和感についてSDGsネイティブ世代の現役大学生が議論しました。参加者からは、社会貢献活動が本質的でないように感じられること、活動内容や効果が不透明であること、消費者にとってメリットが分かりにくいことなどが指摘されました。また、企業が社会貢献活動を行う理由についても議論し、現状の施策を見る限り、企業にとってのリターンが重要な要素であるという意見が多く出ました。
違和感を感じる、身近なSDGsへの取組み
(A)ビニール袋の無料配布を廃止したけど、結局ゴミ袋が欲しいからお金出してでもビニール袋を買っていて、どれくらい意味があるのかわからない。実質的には何か良くなっているのか。表面上で数値が良くなり、ある一面ではよく見えているけど、実際それが何にどれくらい効いているのかと考えると、疑問視してしまう。もちろん、そういった数値をステークホルダーによって頑張っているのだと評価されるというのはわかるけれど、果たして本質的なのかな?と感じる。
(B) 私もマイバッグを購入しましたが、結局ゴミ捨て用のゴミ袋がないから毎回5円払ってレジ袋を購入しています。
(C)私は、大企業の人がSDGsバッジをつけているのが、やってる感だけ出ていて実際は何も意識が高くないのでは?と思うことがあります。それが一種のステータスになっていて、それがゴールになっている気がする。
(D)コーヒー屋さんのストローが紙になって環境に良いのはわかるけれど、あれを使用することによって何がどれぐらい環境に良いのかまではわからないので気になっています。
(B)私はフェアトレードに関心があるのですが、スーパーの商品にフェアトレード認証を取ったものがあったとして、そのフェアトレード商品を買うか買わないかの決断をする際に、購入商品の何%が本当に生産者に行くのかが不透明だなと思います。自分の購買活動によってどれだけ生産者に貢献しているのかを明確に知りたい。生産者にフェアな条件でやってるよ、というのであれば、それを明示すべきだと思います。信じきれないというか、ただただ価格が上がっているだけのような気がしてしまう。情報が開示されて、商品からその情報までのアクセスが簡単にできれば嬉しい。
(C)募金とかもそういう印象になっちゃっている。募金した100円のどれくらいが本当に届けたい人たちに届けられているのか、24時間テレビの募金活動の不祥事に近いことは多そう。
(E)企業サイトを見ていると、「SDGsやってます!」と言ってオフィスに緑があるだけみたいなこともよくあるじゃないですか。「だから何だよ」って少し思ってしまいますし、確かに小さなことを積み重ねることは大切だけど、表面上でできちゃうことだから、それをサイトに掲載して私たちはSDGsに貢献しています、と言われても逆に浅いなと思ってしまいます。
(A)確かに何かにつけてSDGsマークをつけているけど、大したことをしていない企業サイトはよく見ますね。「そうなんだ」としか思わないです。むしろそれ以外は何もやってないのかな、と思います。
(D)私は企業単独で動くよりも、行政の計画に協力することが最も実効性があると思います。地域の環境を守っていくグランドデザインの中で、そのために植樹をする、という計画があると思うので、そこに協力することは効果的だと思います。
逆に、企業単独で自分がいいと思ったからここに植えてきましたってなると、足並みがそろわないし、地球全体として本当に効果があるかとか、効率的なのかとか感じたりもします。
ESGはEばかり
(D)ESGの施策はEが多すぎる気がする。Sで見るのは、それこそキャリア事業やりました、ぐらいの印象。Sになると、施策がすごく弱くなる印象。
(E)社員への施策は、ESGとかの前に当たり前のことで、それを記載する必要性はあまり感じない。
(C)ここは以前、リサーチを行ったことがあります。企業が実施するSDGs施策をリストアップしたことがあるのですが、Eに関する施策は、どれだけ資本投入をして、その回収年数がどうかとか、電力消費をどれくらい減らせるかとか、数値化しやすい特性があるみたいです。でもSは数字が出しづらく、可視化がすごく難しいし、施策を捉えるものがすごく曖昧で、難しい印象です。
例えば高齢者支援として、こんな活動しましたとか、教育支援をしましたとかわかるのですが、企業としてこれって本当にやって効果があるのかっていうのが企業側もよくわかっていないのだと思います。Sの活動は投資対効果が見えづらいですよね。
(D)例えばジェンダーとか、そういうことをやっても、女性管理職が多いから社内が整備されているのかと考えると別にそういうイメージもあまりないし。
(A)ただ日本の20代の死因の1位は「自殺」で、これは先進国の中で日本だけ。Sには環境問題同様、深刻な社会課題として捉えるべき課題が多くあるから社会課題解決を掲げるのであれば、真っ先にアプローチが必要だと思う。日本は3分の2が森林だから、植樹活動の重要性とか課題感はそこまで自分事にならないと思うけど、こっちの問題の方が日本人はイメージしやすい気がする。
(B)世界的な高齢化も相まって、イギリスには孤独担当大臣が新設された過去もあり、Sの社会課題も年々大きくなっているはずなのに不思議。
(C)これをやったから、例えば自殺が減りましたとは言えない。さっきの孤独の問題で言うと、例えば高齢者向けのサードプレイスを作りました、年間利用者が何名で核家族世帯の利用者がこれだけ来場しましたとかあったらわかりやすそうではあるが、貢献を直接的に示す数値を算出することはできない。
(E)その施設を利用して笑顔になっている人の写真をサイトに公開して活動の様子を地道に披露することくらいしかできないような気がする。
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■ PROJECT anyとは
「20代から、世界を変える」をステートメントに掲げる株式会社OVER20&Company.が主催・運営する「社会人6.9人で一人の若者を支えられる時代の、日本の未来共創プロジェクト」。PROJECT anyでは、個人協賛パートナー・法人協賛パートナーと共に、民主動で18歳~29歳の若者の自己実現をサポートする教育コンテンツを無償提供する。