多様性に配慮した快適な温熱環境の実現に向け、4者で共同研究契約を締結
個人の温冷感を正確に予測する温熱快適性指標の構築と国際標準化を推進

三菱電機株式会社(東京都千代田区、執行役社長:漆間 啓、以下、三菱電機)と学校法人早稲田大学(東京都新宿区、理事長:田中 愛治、以下、早稲田大学)、デンマーク工科大学(コペンハーゲン、学長:Anders O. Bjarklev)は、シドニー大学(シドニー、理事長:David Thodey)を含む4者で、個人の温冷感を正確に予測する温熱快適性指標の構築と、その国際標準化に向けた取り組みを推進するための共同研究契約を締結しました。
近年、生産年齢人口の減少などにより、働く人の健康や快適性、生産性などを考慮したオフィス環境の実現が求められています。オフィス環境を評価するための観点は多岐にわたりますが、中でも温熱環境(※1)は働く人に大きな影響を与える要素の一つです。この温熱環境の代表的な評価指標であるPMV(※2)は、人が感じる暑さや寒さといった温冷感を数値で示すことができ、1984年に国際規格(ISO7730)化されて以来、世界各国の建築設計に活用されています。しかし、この値は、多くの人が感じる感覚を統計的に数値化したものであるため、PMVの値が最も良くなるように設計した場合であっても、暑い、寒いなど不快に感じる人が一定の割合で生じてしまうという課題があります。多様な人財が多く集まるオフィス環境において、すべての人のウェルビーイングを向上させるためには、PMVのような一律の評価指標ではなく、個人の温冷感を正確に予測する新たな指標を確立し、多様性に配慮した温熱環境を実現することが不可欠です。
三菱電機と早稲田大学は、2023年11月に「サステナビリティ社会の実現に向けた包括連携に関する基本協定」を締結(※3)し、カーボンニュートラルやウェルビーイングなどをテーマとした研究を進めてきました。その一環として、「温熱環境の向上」をテーマとした研究にも取り組んできましたが、今般、本研究をさらに強化・加速させることを目的に、建築環境学、特に温熱環境分野において世界的な知見を持つデンマーク工科大学およびシドニー大学を加えた4者による共同研究を開始します。温熱環境の評価において、従来考慮されていた室内環境要素に加え、個人属性を含むあらゆる要素を統合的に捉えることで、個人の温熱快適性を正確に予測できる新たな評価指標の構築と、本指標の国際標準化を目指します。
■4者の主な役割

■今後の予定・将来展望
評価指標の構築とその国際標準化に向け、大規模な被験者実験やサーマルマネキンを用いた実験を含むさまざまな温熱快適性の研究を進め、成果は学会や国際論文誌などで順次発表します。今後のオフィスにおける新しい温熱環境の在り方を提案し、社会実装を進めます。
■商標関連

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「SUSTIE」 |
三菱電機株式会社の登録商標 |
※1 人の熱的感覚に影響を与える環境のことで、温度、放射温度、湿度、気流、着衣量、代謝量など
の複数の要素から構成される
※2 Predicted Mean Vote(予測平均温冷感申告):温熱環境における快適性を評価するための指標
で、環境側(空気温度、平均放射温度、相対湿度、気流)と人体側(着衣量、代謝量)の要素か ら算出される
※3 2023年11月8日広報発表 https://www.MitsubishiElectric.co.jp/ja/pr/2023/pdf/1108-b.pdf
※4 早稲田大学 田辺 新一研究室グループが開発した人体体温調節モデル。皮膚温、深部体温、発汗量
などの人体の熱生理反応を、全身および17部位の局所においてシミュレーションするための数値 モデル
※5 衣服の熱抵抗測定のために作られた人体形状を有する発熱体であり、人間の着衣状態における衣
服の温熱特性を再現させるためのダミー
※6 Adaptive model:人が外気環境に適応する点も考慮した温熱快適性に関する指標
※7 Thermal Alliesthesia:与えられた温熱環境の刺激が快・不快の感覚を引き起こすことを示す概
念
<お客様からのお問い合わせ先>
三菱電機株式会社 情報技術総合研究所
〒247-8501 神奈川県鎌倉市大船五丁目1番1号
https://www.MitsubishiElectric.co.jp/corporate/randd/inquiry/index_it.html
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