一時的なコスト削減に向けたクラウド移行は、競争優位を失うリスクを伴うことが判明――アクセンチュア最新調査
クラウドがもたらす価値を最大限に享受している企業は、イノベーション創出に向けてクラウドを継続活用
アクセンチュア(NYSE: ACN)の最新調査によると、新たな運用モデルとしてクラウドを活用し、パブリッククラウドやプライベートクラウド、エッジクラウドなどのマルチクラウド化によって継続的にビジネスの再創造を図っている企業は、コスト削減のみならず新たなビジネス価値の創出に成功していることが判明しました。
アクセンチュアは、最新調査レポート「Ever-ready for Every Opportunity: How to Unleash Competitiveness on the Cloud Continuum」( https://www.accenture.com/jp-ja/insights/cloud/cloud-continuum ) の作成にあたり、日本を含む25カ国の民間企業や公的機関の経営幹部約4,000名を対象に調査を行いました。本レポートでは、企業がクラウドを単発的なシステムの移行先、もしくは安価で効率的なデータセンターと見なした場合、もたらされる価値は限定的であるという点を指摘しています。また、コスト削減を目的としてクラウドを活用している企業は、戦略的かつ柔軟にマルチクラウド化を推進している企業と比べて、競争優位性が劣ることも分かりました。
アクセンチュア クラウド ファーストのグローバル責任者であるカーティク・ナライン(Karthik Narain)は、次のように述べています。「多くの企業が、パブリッククラウドやプライベートクラウド、エッジクラウドなどさまざまなクラウドのサービスを活用していますが、それぞれのクラウドサービスの相互連携が取れているケースは多くありません。そのため、特定の部門においてイノベーションの創出、データやベストプラクティスの活用を進めていても、全社的にそれらの恩恵を受けることができず、価値創出の妨げになっています。しかし、一部の企業は、クラウドをさまざまな運用形態に対応したテクノロジーの組み合わせと捉えた上で、クラウド活用を前提に5GやSDN(ソフトウエアによって定義されているネットワーク)を構築し、日々変化する事業ニーズに応えることで、クラウドの価値を最大限に引き出すことに成功しています」
今回、調査対象となった企業は、平均して3分の2以上の業務を、今後3年から5年の間にクラウドに移行する計画を立てています。しかし、クラウド価値の最大化に向けて、日常的な業務オペレーションの変革、それによる高付加価値な業務の推進、ビジネスニーズに応じたアプリケーションの刷新を行っている企業の割合は、半数にとどまっていることが明らかになりました。
アクセンチュアは、本調査において、クラウド機能の継続的な改善と拡張を図ることで、クラウド価値を最大限に引き出している企業を「クラウド先進企業」と定義しています。クラウド先進企業の割合は、地域によって異なりますが、本調査対象の約12~15%を占めています。クラウド先進企業は、パブリッククラウドで得た知見や経験を自社のプライベートデータセンターやエッジデバイスにまで広げて活用し、業務変革を推進しているという特長があります。また、クラウドを継続的に利用することで大きな利益を生み出して、競合他社を凌駕しているほか、未知のリスクに対する高い耐性も有しています。
クラウド先進企業の例として、デンマークの多国籍ビールメーカーであるカールスバーグ(Carlsberg)があります。カールスバーグは、クラウドの利点として、運用コストの削減のみならず、イノベーションや実証における自由度の高さを挙げており、新たな取り組みやキャンペーンの準備期間を、従来の数カ月から数時間に短縮することに成功しています。
アクセンチュア クラウド ファーストのカーティク・ナラインは次のように付け加えています。「今後、企業が競争力を高めていくためには、人工知能、非接触技術、エッジコンピューティング、ロボティクス、拡張現実など、自社に必要となるテクノロジーを見極めた上で、それらを活用するためにクラウドの組み合わせを継続的に最適化し、新たな手法を取り入れながら事業を推進することが不可欠です。企業は、クラウドを前提に事業運営を行う『クラウドファースト』の戦略を採用することで、顧客体験の向上、ビジネスプロセスの高度化、サステナビリティにより配慮した製品開発を行うことが可能になります」
クラウド先進企業は、コスト削減や効率化のために単発的にクラウド移行を行っている企業と比べて、次のような特長があります。
・クラウド先進企業は、高付加価値をもたらす業務を創出し、自動化や業務システムの再構築を推進している割合が、2倍~3倍高い結果となりました。
・クラウド先進企業は、1.2倍(北米)~2.7倍(欧州)のコスト削減を達成しています。
・クラウド先進企業は、拡販の強化や市場投入までの時間短縮に関して、同業他社に比べて最大で50%高い目標を設定するなど、運用面や財務面に関するより高い目標を掲げています。
・クラウド先進企業は、2つ以上のサステナビリティ目標に対してクラウドを活用している割合が、3倍に上ります。サステナビリティ目標には、例えば、環境に優しいエネルギー源の使用、低消費電力の設計、エネルギー消費量の削減に向けた効率的なサーバーの使用などが含まれます。
アクセンチュアは、クラウド先進企業におけるクラウド活用の実態調査を通じ、企業が押さえるべき4つのアプローチを定義しました。
1.目標に向けて継続的にクラウドを活用:
企業は、自社のコアバリューや目標を明文化したビジョンに沿って戦略を策定した上で、競争上の弱点を特定し、現状の能力と将来必要になる能力を分類する必要があります。この際、クラウドの機能は継続的に進化していくことを考慮に入れなければなりません。
2.テクノロジー活用の強化に向けて、クラウドを起点とした組織づくりを推進:
企業は、テクノロジーの導入と同時に、デジタルの進化に合わせてテクノロジー以外の取り組みも強化していく、規律ある組織体制が必要になります。また、クラウド先進企業であり続けるためには、俊敏性が重要な要素のひとつであり、クラウドファーストのアプリケーション開発、人材の変革、実証実験、コンピュート(データ処理を行う仮想マシン)の強化をはじめとするさまざまな領域で求められます。
3.優れた体験の提供に向けてイノベーションを加速:
クラウド先進企業は、優れた体験の創出に向けて優先的に投資しており、人間中心設計(human-centered design)とエッジコンピューティングなどクラウドベースのテクノロジーを組み合わせながら、あるべき体験を再考し、顧客やパートナー、従業員との関わりを強化しています。このためには、製品やサービス、従業員、デリバリーモデルなど、事業全体にわたって体験を重視する姿勢が欠かせません。
4.戦略に対するコミットメントを継続的に実践:
経営幹部は、事業目標を定めて適切なリスクレベルを設定した上で、俊敏性と成長を重んじる組織文化を醸成していく必要があります。このためには、全社を挙げて取り組む必要があり、進化を続けるクラウドの可能性とそのベストプラクティスに関する情報を、企業全体で共有できる体制を構築することが重要となります。
本調査レポートは、新型コロナウイルスの感染が続く中において、企業がバーチャルな手法を通じ、独自のエクスペリエンスやサービスを顧客に提供することを余儀なくされている中での発表となりました。アクセンチュアが以前発表した調査レポート( https://newsroom.accenture.jp/jp/news/release-20210628.htm )では、コロナ禍において、イノベーションに向けてテクノロジー投資を拡大した企業の収益成長率は、出遅れた企業の5倍に上ることが分かっています。
調査方法
アクセンチュアは、2020年後半から2021年前半にかけ、日本を含む25カ国16の業界において、IT部門と非IT部門を含む約4,000名の経営幹部を対象に調査を実施しました。本調査では、インタビュー、事例研究、経済モデリングなどを行い、クラウドに関連するテクノロジーの導入や活用度合い、各企業のクラウド戦略や目標、クラウドに関するマネジメント手法、財務および運用パフォーマンスに関する指標、イノベーションやサステナビリティの成果に対するクラウドの貢献度合いなどに関してデータを収集しました。
アクセンチュアについて
アクセンチュアは、デジタル、クラウドおよびセキュリティ領域において卓越した能力で世界をリードするプロフェッショナル サービス企業です。40を超える業界の比類のなき知見、経験と専門スキルを組み合わせ、ストラテジー&コンサルティング、インタラクティブ、テクノロジー、オペレーションズサービスを、世界最大の先端テクノロジーセンターとインテリジェントオペレーションセンターのネットワークを活用して提供しています。アクセンチュアは62万4,000人の社員が、世界120カ国以上のお客様に対してサービスを提供しています。 アクセンチュアは、変化がもたらす力を受け入れ、お客様、社員、株主、パートナー企業や社会へのさらなる価値を創出します。
アクセンチュアの詳細は www.accenture.com/us-en を、アクセンチュア株式会社の詳細は http://www.accenture.com/jp をご覧ください。
アクセンチュア クラウド ファーストのグローバル責任者であるカーティク・ナライン(Karthik Narain)は、次のように述べています。「多くの企業が、パブリッククラウドやプライベートクラウド、エッジクラウドなどさまざまなクラウドのサービスを活用していますが、それぞれのクラウドサービスの相互連携が取れているケースは多くありません。そのため、特定の部門においてイノベーションの創出、データやベストプラクティスの活用を進めていても、全社的にそれらの恩恵を受けることができず、価値創出の妨げになっています。しかし、一部の企業は、クラウドをさまざまな運用形態に対応したテクノロジーの組み合わせと捉えた上で、クラウド活用を前提に5GやSDN(ソフトウエアによって定義されているネットワーク)を構築し、日々変化する事業ニーズに応えることで、クラウドの価値を最大限に引き出すことに成功しています」
今回、調査対象となった企業は、平均して3分の2以上の業務を、今後3年から5年の間にクラウドに移行する計画を立てています。しかし、クラウド価値の最大化に向けて、日常的な業務オペレーションの変革、それによる高付加価値な業務の推進、ビジネスニーズに応じたアプリケーションの刷新を行っている企業の割合は、半数にとどまっていることが明らかになりました。
アクセンチュアは、本調査において、クラウド機能の継続的な改善と拡張を図ることで、クラウド価値を最大限に引き出している企業を「クラウド先進企業」と定義しています。クラウド先進企業の割合は、地域によって異なりますが、本調査対象の約12~15%を占めています。クラウド先進企業は、パブリッククラウドで得た知見や経験を自社のプライベートデータセンターやエッジデバイスにまで広げて活用し、業務変革を推進しているという特長があります。また、クラウドを継続的に利用することで大きな利益を生み出して、競合他社を凌駕しているほか、未知のリスクに対する高い耐性も有しています。
クラウド先進企業の例として、デンマークの多国籍ビールメーカーであるカールスバーグ(Carlsberg)があります。カールスバーグは、クラウドの利点として、運用コストの削減のみならず、イノベーションや実証における自由度の高さを挙げており、新たな取り組みやキャンペーンの準備期間を、従来の数カ月から数時間に短縮することに成功しています。
アクセンチュア クラウド ファーストのカーティク・ナラインは次のように付け加えています。「今後、企業が競争力を高めていくためには、人工知能、非接触技術、エッジコンピューティング、ロボティクス、拡張現実など、自社に必要となるテクノロジーを見極めた上で、それらを活用するためにクラウドの組み合わせを継続的に最適化し、新たな手法を取り入れながら事業を推進することが不可欠です。企業は、クラウドを前提に事業運営を行う『クラウドファースト』の戦略を採用することで、顧客体験の向上、ビジネスプロセスの高度化、サステナビリティにより配慮した製品開発を行うことが可能になります」
クラウド先進企業は、コスト削減や効率化のために単発的にクラウド移行を行っている企業と比べて、次のような特長があります。
・クラウド先進企業は、高付加価値をもたらす業務を創出し、自動化や業務システムの再構築を推進している割合が、2倍~3倍高い結果となりました。
・クラウド先進企業は、1.2倍(北米)~2.7倍(欧州)のコスト削減を達成しています。
・クラウド先進企業は、拡販の強化や市場投入までの時間短縮に関して、同業他社に比べて最大で50%高い目標を設定するなど、運用面や財務面に関するより高い目標を掲げています。
・クラウド先進企業は、2つ以上のサステナビリティ目標に対してクラウドを活用している割合が、3倍に上ります。サステナビリティ目標には、例えば、環境に優しいエネルギー源の使用、低消費電力の設計、エネルギー消費量の削減に向けた効率的なサーバーの使用などが含まれます。
アクセンチュアは、クラウド先進企業におけるクラウド活用の実態調査を通じ、企業が押さえるべき4つのアプローチを定義しました。
1.目標に向けて継続的にクラウドを活用:
企業は、自社のコアバリューや目標を明文化したビジョンに沿って戦略を策定した上で、競争上の弱点を特定し、現状の能力と将来必要になる能力を分類する必要があります。この際、クラウドの機能は継続的に進化していくことを考慮に入れなければなりません。
2.テクノロジー活用の強化に向けて、クラウドを起点とした組織づくりを推進:
企業は、テクノロジーの導入と同時に、デジタルの進化に合わせてテクノロジー以外の取り組みも強化していく、規律ある組織体制が必要になります。また、クラウド先進企業であり続けるためには、俊敏性が重要な要素のひとつであり、クラウドファーストのアプリケーション開発、人材の変革、実証実験、コンピュート(データ処理を行う仮想マシン)の強化をはじめとするさまざまな領域で求められます。
3.優れた体験の提供に向けてイノベーションを加速:
クラウド先進企業は、優れた体験の創出に向けて優先的に投資しており、人間中心設計(human-centered design)とエッジコンピューティングなどクラウドベースのテクノロジーを組み合わせながら、あるべき体験を再考し、顧客やパートナー、従業員との関わりを強化しています。このためには、製品やサービス、従業員、デリバリーモデルなど、事業全体にわたって体験を重視する姿勢が欠かせません。
4.戦略に対するコミットメントを継続的に実践:
経営幹部は、事業目標を定めて適切なリスクレベルを設定した上で、俊敏性と成長を重んじる組織文化を醸成していく必要があります。このためには、全社を挙げて取り組む必要があり、進化を続けるクラウドの可能性とそのベストプラクティスに関する情報を、企業全体で共有できる体制を構築することが重要となります。
本調査レポートは、新型コロナウイルスの感染が続く中において、企業がバーチャルな手法を通じ、独自のエクスペリエンスやサービスを顧客に提供することを余儀なくされている中での発表となりました。アクセンチュアが以前発表した調査レポート( https://newsroom.accenture.jp/jp/news/release-20210628.htm )では、コロナ禍において、イノベーションに向けてテクノロジー投資を拡大した企業の収益成長率は、出遅れた企業の5倍に上ることが分かっています。
調査方法
アクセンチュアは、2020年後半から2021年前半にかけ、日本を含む25カ国16の業界において、IT部門と非IT部門を含む約4,000名の経営幹部を対象に調査を実施しました。本調査では、インタビュー、事例研究、経済モデリングなどを行い、クラウドに関連するテクノロジーの導入や活用度合い、各企業のクラウド戦略や目標、クラウドに関するマネジメント手法、財務および運用パフォーマンスに関する指標、イノベーションやサステナビリティの成果に対するクラウドの貢献度合いなどに関してデータを収集しました。
アクセンチュアについて
アクセンチュアは、デジタル、クラウドおよびセキュリティ領域において卓越した能力で世界をリードするプロフェッショナル サービス企業です。40を超える業界の比類のなき知見、経験と専門スキルを組み合わせ、ストラテジー&コンサルティング、インタラクティブ、テクノロジー、オペレーションズサービスを、世界最大の先端テクノロジーセンターとインテリジェントオペレーションセンターのネットワークを活用して提供しています。アクセンチュアは62万4,000人の社員が、世界120カ国以上のお客様に対してサービスを提供しています。 アクセンチュアは、変化がもたらす力を受け入れ、お客様、社員、株主、パートナー企業や社会へのさらなる価値を創出します。
アクセンチュアの詳細は www.accenture.com/us-en を、アクセンチュア株式会社の詳細は http://www.accenture.com/jp をご覧ください。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。