人工生命×アンドロイド「オルタ3」4 社共同研究プロジェクト始動
人間とアンドロイドによる新たなコミュニケーションの未来を示唆
株式会社ミクシィ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長執行役員:木村弘毅)、国立大学法人大阪大学(基礎工学研究科 石黒研究室)、国立大学 法人東京大学(総合文化研究科 広域科学専攻 広域システム科学系 池上研究室)、株式会社ワーナーミュージック・ジャパン(本社:東京都港区、 代表取締役社長兼 CEO:小林和之)は、人間とのコミュニケーションの可能性を探るために開発された人工生命×アンドロイド「オルタ3」に関する 4 社共同研究プロジェクトを始動いたします。
<4社によるプロジェクトの発足>
人間とのコミュニケーションの可能性を探るために開発された人工生命×アンドロイド「オルタ3」における共同研究プロジェクトを上記4社が始動。“コミュニケーションを通じて世界を鮮やかに変えていくこと”を事業活動のミッションに抱え、オルタ3のシミュレーターを提供する「ミクシィ」、世界的なアンドロイド研究のパイオニアである「大阪大学石黒研究室(アンドロイド開発:小川浩平)」、ALife(人工生命)研究のパイオニアである「東京大学池上研究室」、本プロジェクトの実証実験の場を提供する「ワーナーミュージック・ジャパン」によって発足いたしました。
<想像力で人と人を繋ぐオルタ3>
「新しいバーチャルリアリティの概念のもとに、人とアンドロイドを繋ぐ世界を作る」ことが、オルタ3のコンセプト。オルタ3は、人の日常と非現実的な存在感をもつロボットを組み合わせることで、これまでにない、新しいバーチャルリアリティの世界において想像力で人と人をつなぐことができるアンドロイド。人は、言葉の意味のやりとりだけではなく、仕草や見かけなどの情報や環境から喚起される想像力によってつながることのほうが、より強固で親密な関係性を築くことができると考えています。そのうえで、これまでのオルタ2による研究から、オルタ3のいる世界を非現実と日常という2つの組み合わせで捉え、この非平衡な2つの状態から人の想像力が喚起され、想像力で人と人をつなぐ強力なメディアを実現できると考えています。また、現実(高度なCG技術)+非日常(レースや戦闘)が従来のゲームなどにおけるバーチャルリアリティだとするならば、オルタのバーチャルリアリティは非現実(機械生命体)+日常(多くの人が出会う日常的場面)と言えます。
<対峙する人が求める性別や年齢に見えるトリックが仕組まれている>
オルタ3は、抽象的な見かけや動きから、人の想像力を強力に喚起し、対峙する人にとって理想的な存在に感じることができるアンドロイドです。これまで開発されてきた存在感ロボットの研究から、対峙した人の想像力を強力に喚起するデザインを採用し、オルタ3の見かけからは、一見性別や年齢が排除されているように見えますが、例えば女性と思いたい人にとっては、女性らしく、男性と思いたい人にとっては、男性らしく見えるようなトリックが仕組まれています。動作も同様に、力強い上下運動だけでなく、表情や手などの細やかな動きも同時に表現することができます。また、最小限のデザインで構成される生命感ロボットや機械生命体を作り、「触感+声」から「動き+声」への実現を目指しました。
<人工生命について>
人工知能(AI)が深層学習のもと脚光を浴び、これまでの10年では、画像認識を使った医療やセキュリティなど多くの分野で技術革新が進みました。これからの10年は、生命としての(AI)である人工生命(ALife)、人間と機械とのコミュニケーションが多く取り上げられ、特に、人工生命を搭載したロボットと人との共創が注目されています。そのなかで、本プロジェクトは新しいコミュニケーションを創り上げるミクシィが、人工生命から生命化する機械と人との関り合いを世界に問う、という試みです。
オルタ3にはアンドロイドの美的表現を極限まで追求するために東京大学池上研究室が理論設計し、オルタナティヴ・マシン社が新たに開発したダイナミクス生成エンジン「ALIFE Engine™」*が世界で初めてアンドロイドに搭載されています。
<シミュレーターについて>
ミクシィは、これまで手掛けてきた事業活動の中で培ってきた技術を用いて、仮想的に動作シミュレーションを行うためのソフトウェアとして「Alter3 Simulator」を開発。これにより、仮想的に動作テストや演出チェック、衝突検知といった確認作業をオルタ3本体に依存することなく行うことが可能になりました。そのほかにも、「ALIFE Enginc」におけるアルゴリズム開発や事前リハーサルの難しい大規模会場を想定した演出のチェックなど、研究やプランニングを進める上で時間的、物理的に貢献できるようになりました。
<今後の活動>
このプロジェクトには、オルタ3のコラボレートメンバーとして、音楽家でアンドロイド・オペラの発案者である渋谷慶一郎氏による『Scary Beauty(スケアリー・ビューティ)』の世界各地での公演、日本科学未来館キュレーター内田まほろ氏の企画による世界各地での展示、さらに世界中から東京に注目が集まる2020年8月には、新国立劇場が特別企画として上演する、世界的指揮者の大野和士氏、作家の島田雅彦氏、音楽家の渋谷慶一郎氏で共作する新作オペラに参加するなど、オルタ3の登場が人間とアンドロイドによる新たなコミュニケーションとアート、音楽、サイエンスの未来を示唆していくことになります。
■オルタ3とは
オルタ3は、機械が露出したむき出しの体、性別や年齢を感じさせない顔といった特徴により、人の想像力を喚起し、これまでにない生命性を感じさせることを目指したアンドロイドロボットです。これまでにも、アンドロイドと人工生命に関する世界的に著名な大阪大学と東京大学の研究者が協力し、オルタを2台製作し研究を推進してきています。この研究の挑戦は、外界との相互作用により、ロボットが生命感を自ら獲得することができるかどうか、また、これを通じて、生命とは何かといった根源的な問いに答えることです。オルタ3では、これまでのオルタの開発、研究を通じて得られた知見を基に、より生命観を感じさせる振る舞いのモデル化に関する研究をさらに加速させることを目指します。また、本研究において最も大事な、外界との相互作用による動作生成技術をさらに推し進めるため、世界中あらゆる場所に運ぶことができ、より堅牢で継続的に使用可能になるようなデザインを目指しました。これまでの「オルタ」2台とは異なり、オルタ3は、両目のカメラ、口からの発声機能といった、人間により近いセンサーシステムや表現能力に加え、歌唱のために口周りの表現力を向上。また、オルタ2よりも出力が強化されたことによって、身体表現の即時性の向上やダイナミックな動きが可能となりました。また、誰でも分解・組み立てができ、飛行機輸送もできるポータビリティもオルタ3における進化の一つです。
■プロジェクトメンバー
木村弘毅(きむらこうき):シミュレーター提供(仮想空間でのオルタ3の動作実験)
石黒浩(いしぐろひろし):アンドロイド
池上高志(いけがみたかし):人工生命研究
増井健仁(ますいたけひと):実証実験提供(コンサートでのオルタ 3 の実証実験)
邦楽制作にて数多くのランキング 1 位作品を手掛ける音楽プロデューサー。本プロジェクトのプロデュースも行う。 『ScaryBeauty』では、エグゼクティブ プロデューサーとして本プロジェクトの実証実験の場を提供し、人間とアンドロイドによ るエンタテインメントの新たな可能性を創出。
■プロジェクト参加アーティスト
渋谷慶一郎 (しぶやけいいちろう):『Scary Beauty』 ディレクション・作曲
■協力メンバー
内田まほろ(うちだまほろ)
株式会社オルタナティヴ・マシン
http://alternativemachine.co.jp/
オルタ3に搭載されている“ダイナミクス生成エンジン「ALIFE Engine™」”
人工生命研究の理論や過去のオルタ開発で培ったノウハウから今回、新たに開発したオルタの動きを生成するエンジン(ソフトウェア)。今までオルタ以外のアンドロイドに搭載されたことはなく、今後はアンドロイドやAIだけでなく、生命特有のゆらぎや最適化や効率化などではなく愛着や親しみ、存在感など生命表現が求められるようなプロダクトやサービスにも応用していく予定です。
■Scary Beauty(スケアリー・ビューティ)とは
本プロジェクトで披露するオルタ3の『Scary Beauty』では、指揮者(オルタ3)の持つ演奏の表現が多彩になっています。特に、オルタ3が実際に目を持っていることやトルクが倍になり運動に力があることで、オルタ2における指揮の表現を書き換えています。また、オルタ2による指揮がジェンダーレス的であるならば、オルタ3における指揮は運動速度が速くなったことでモンスター感が増し、力や恐怖というファクターが加わって美しさとの対置がより強力になりました。
http://scarybeauty.com
Photo by Kenshu Shintsubo
日本科学未来館 「ジオ・コスモス」
■オルタ3プロジェクトの今後の活動
・2019年3月13日〜5月5日
tanzhaus nrw主催フェスティバル“Hi, Robot! Mensch Maschine Festival”での公演・展示(ドイツ・デュッセルドルフ)
- 3月13日
アンドロイド・オペラ『Scary Beauty』フェスティバルオープニング公演
(デュッセルドルフ・Robert-Schuhmann-Saal)
- 3月15日〜17日
プレビュー展示(デュッセルドルフ・NRW Forum)
- 3月28日〜5月5日
“Körperwende – von Nam June Paik bis Hiroshi Ishiguro” 展示(デュッセルドルフ・NRW Forum)
・2019年5月16日~8月26日
“AI: More Than Human”展 展示(イギリス・ロンドン・バービカンセンター)
・2019年9月以降
アンドロイド・オペラ 『Scary Beauty』世界数か国で公演予定
上記以外にも今後さまざまな活動を予定しております。
■新国立劇場 2020 年特別企画について
この新作オペラには人工生命搭載アンドロイド「オルタ3」が物語の核となる役で出演し、もう一方の核となる100人の子供たちによる合唱と相互に関わり合いながら歌い、演じて、アンドロイドと子供たちの友情のドラマを紡ぎます。子供たちと共に、プロのオペラ歌手と新国立劇場合唱団も出演、管弦楽は東京フィルハーモニー交響楽団が務めます。さらに、国内最高水準と評価される新国立劇場バレエ団も参加し、新国立劇場始まって以来の全ジャンルのコラボレーションが実現します。
未来への共生のメッセージが込められた全く新しいオペラの誕生の瞬間に、どうぞご期待ください。
・公演日程:2020年8月下旬
・会場:新国立劇場オペラパレス(東京都渋谷区 客席数約1800席)
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
- 種類
- その他
- ダウンロード