140Gbaudバイアスティ内蔵 広帯域リニアアンプの販売を開始

アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、通信速度1テラ超時代の光伝送デバイス評価に必要な140Gbaud バイアスティ[*1]内蔵広帯域リニアアンプ[*2] AH15203Aの販売を、5月29日から開始いたします。
今回開発したバイアスティ内蔵 広帯域リニアアンプは、-6dB帯域で200kHzから125GHzと広い周波数特性を備え、140GbaudまでのPAM4 [*3] 信号を2.0Vppまで増幅することができます。
信号の増幅度を表すゲイン特性[*4] は+15.0dBと高いうえ、信号の正しいタイミングからのゆらぎを表すジッタ特性[*5] は300fsと低い値を実現しています。これにより、伝送路で減衰した高品質な信号波形を忠実に増幅して出力することができます。
またAH15203AはDSP[*6]など各信号源からの140Gbaud PAM4信号を増幅でき、高振幅でオフセットが必要な変調器などのデバイスを直接駆動することが可能です。そのため、次世代の伝送方式として注目されている800GbEや1.6TbEのデジタルコヒーレント[*7]方式、および、光通信で広く用いられるIM-DD[*8]方式の光変調器を評価する際の増幅器として適しています。
アンリツは、今回のバイアスティ内蔵 広帯域リニアアンプの提供を通じて、データセンターおよびネットワーク機器の高速化の普及、円滑な運用に貢献いたします。
開発の背景
AIおよびMachine learning関連のトラフィック増加に伴い、サーバーやネットワーク機器の通信速度のさらなる高速化が課題となっています。
高速ネットワークを支える次世代イーサネット規格 IEEE802.3djでは、200 Gbps/Laneに高速化した変調方式(IM-DD方式)および800GBASE-LR1(10km用)、 800GBASE-ER1-20(20km用)および800GBASE-ER1(40km用)など、デジタルコヒーレント方式の標準化が進められています。また、いままで電気信号で行っていた短距離通信(<30m)を、光化して200Gbps/波長に高速化する標準化(IEEE802.3ds)もスタートしています。一方、通信速度が速くなると信号の減衰量が大きくなる特性があることから、PAM信号を忠実に増幅し、オフセットを付加した信号で、変調器(EML,DML,VCSEL)を直接ドライブできるバイアスティ内蔵の高出力リニアドライバが求められています。
製品概要
AH15203Aは、バイアスティ内蔵 140Gbaud PAM4で2.0Vpp信号評価に対応した高出力リニアアンプです。バイアスティを内蔵しながらも帯域幅 125GHzと広帯域を実現しています。また、140Gbaudの高速・高出力(2Vpp)データ伝送を、1.5 Wの低消費電力で実現しています。「Gbaud」はデータ伝送速度を表す単位で、140Gbaudは1秒間に1,400億回の信号変化が行われる通信速度を示します。
AH15203Aは、専用電源を装備し、電源の取り扱い不備によるリニアアンプの破損リスクを低減しています。

対象市場・用途
対象市場:光・電気高速デバイスメーカー、光信号試験用の計測器メーカー
用途 :140Gbaud対応の高速光デバイス評価
用語解説
[*1] バイアスティ 高周波(RF)信号線に直流(DC)電圧・電流を重ね合わせて供給、または抽出するためのコンポーネント。
[*2] リニアアンプ 入力信号を一定の比率で増幅して出力する増幅器。光通信ネットワークで使用される光変調器などの駆動に必要とされている。
[*3] PAM4 PAMはPulse Amplitude Modulationの略。振幅変調により伝送容量を向上させる方式。PAM4は4値(00, 01, 10, 11)での振幅変調方式のこと。
[*4] ゲイン特性 入力信号の周波数と、その入力に対する出力振幅の増幅率(ゲイン)と関係を示した特性。
[*5] ジッタ特性 デジタル信号におけるタイミングの揺らぎを示す指標。ジッタが大きいと、デジタル信号の値の取り込みエラーが発生する。
[*6] DSP Digital Signal Processorの略。デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサ。
[*7] デジタルコヒーレント 光の位相や偏波を使って情報を伝送する方式。信号劣化が少ないため長距離での大容量の信号を送るのに適している。
[*8] IM-DD Intensity Modulation-Direct Detection(強度変調直接検波)の略。光の強度に情報を載せ、直接検波で受信する方式。
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