生物とコンピュータの融合!?粘菌研究の最前線に迫る!
脳や神経をもたない単細胞生物でありながら、複雑な行動様式をみせる粘菌(変形菌)。その謎や研究の歴史、最先端の取り組みを豊富な写真で紹介!
株式会社誠文堂新光社(東京都文京区)は、2017年12月7日(木)に、『粘菌 知性のはじまりとそのサイエンス』を刊行いたしました。
「森のなかの美しい宝石のような生物である粘菌には、宇宙の大不思議が宿っている。
その粘菌が、いまや21世紀の知的探求の最前線に立とうとしている。
かつて我が南方熊楠は、粘菌のなかに生命現象の原基を見出そうとしたが、
現代の生物学は、さらに粘菌のなかに知性活動の原基を見出そうとしている。
この本は胸躍る粘菌研究の最前線から届けられた、こよなくチャーミングな報告書である。」
中沢新一氏 推薦!!
脳や神経をもたない単細胞生物でありながら、外的刺激に対して複雑な行動様式を示す粘菌(変形菌)。
その特異なふるまいは、コンピュータサイエンスや人工知能研究の黎明期から科学者たちを悩ませてきた「単一始点最短経路問題」に最適な解を与えうる能力をもつことで注目を集めた。
この驚くべき生物が、どのようにして無数の色や形へと変身をとげるのか、その体内でどのような化学反応がおき、多様な行動・判断を生み出しているのか、その情報処理システムには、まだ多くの謎が残されている。
本書は、サイエンスドキュメンタリーフィルム『The Creeping Garden』の製作を通して、2人の英国人がどのように研究を深めていったかを描き出す。
その過程で粘菌研究の歴史や、現在第一線で活躍する科学者たちの研究をふまえ、粘菌を応用したコンピュータや人工知能、ウェアラブルデバイスなどの取り組みについても紹介。
巻末には、粘菌を活用した研究で2度のイグ・ノーベル賞を受賞した中垣俊之博士と、現在日本の変形菌研究をリードする川上新一博士による対談も収録。
【目次】
はじめに ――ようこそ粘菌の世界へ
1 粘菌の真の正体を明らかにするために
映画『The Creeping Garden』の誕生
2 共同監督ティムとの出会い
映画の構想
3 粘菌との出会い
キノコから粘菌へ
4 宇宙人の侵攻
テキサスに現れた謎の物体
5 粘菌を探し求めて
見つけるのも同定するのも難しい
6 粘菌研究の歴史
粘菌の映画、論文、標本採集
7 粘菌のライフサイクル
姿形を変えながら成長する粘菌の一生
8 粘菌の生育
自宅での育て方
9 粘菌の撮影方を考える
表現手段と伝達方法、タイムラプス撮影
10 粘菌と日本のつながり
昭和天皇と南方熊楠
11 粘菌と知性
モジホコリのネットワーク形成と問題解決
12 アートとサイエンス
科学とバイオアートが出会うとき
13 粘菌とコンピュータ
情報処理プロセッサとしての粘菌
14 知性とロボット
粘菌でロボットを動かす
15 粘菌に記憶能力はあるか
単細胞生物の記憶のメカニズム
16 粘菌の音楽
電子工学の見果てぬ夢とモジホコリの演奏
おわりに
映画『The Creeping Garden』制作秘話
中垣俊之×川上新一対談 粘菌研究の未来
参考文献
索引
【著者プロフィール】
ジャスパー・シャープ:ロンドンに拠点を置く作家、映画評論家、映画史家。日本映画の専門家としても国際的に有名。日本映画ウェブサイト「MidnightEye」の設立者兼共同編集長。世界各地で数々の巡回回顧展や映画シーズンのキュレーションを担当。菌類の熱心なアマチュア研究家としての顔も持つ。制作および上映技術の歴史などを研究分野とし、同分野の研究によりイギリスのシェフィールド大学で博士号を取得。
ティム・グラバム:イギリスに拠点を置く映画制作者、ビジュアルアーティスト、アニメーター。20年以上にわたり短編映画の監督を務める。2003年に独立系スタジオ「cinema iloobia」を設立。日本の音楽と哲学を感性豊かに描き出した自身初の長編映画「KanZeOn」(2011)は、著名な国際映画祭などで上映された。
川上新一:1966年大阪府生まれ。筑波大学大学院生命環境科学研究科博士課程修了。博士(生物科学)。専門は、粘菌類の分類・系統・進化学。現在、和歌山県立自然博物館学芸員。著書に『変形菌ずかん』(平凡社)、『変形菌』(技術評論社)、監修に『粘菌生活のススメ』(誠文堂新光社)がある。
【書籍概要】
書 名:『粘菌 知性のはじまりとそのサイエンス』
著 者:ジャスパー・シャープ/ティム・グラバム(著)
仕 様:B5判、192ページ
定 価:2800円+税
配本日:2017年12月7日(木)
ISBN:978-4-416-71720-2
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株式会社 誠文堂新光社
〒113-0033 東京都文京区本郷3-3-11
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