【奈良高専】第1回高専防災減災コンテスト『高専機構賞』受賞

高専3年生・1年生チームによる地域貢献のための防災研究

独立行政法人国立高等専門学校機構奈良工業高等専門学校(奈良県大和郡山市、校長:後藤景子 以下「奈良高専」という。)は、高専初の「Society 5.0型未来技術人財」育成事業、「GEAR 5.0」(※1)の中核拠点校に位置づけられており、「防災減災エネルギー」の分野で研究活動を行っています。その「GEAR 5.0」の活動の一環として、本校の須田准教授に指導を受けている機械工学科3年生2名・1年生1名と電子制御工学科3年生1名の学生が、第1回高専防災減災コンテストにエントリーし、2023年3月6日に開催された第1回高専防災減災コンテストの最終審査会において、『高専機構賞』を受賞しました。
 本校・奈良高専の学生チームは、園芸作物の生産に用いられるパイプハウスを、台風などの強風で倒壊や飛散する被害の軽減するという研究テーマ「もうこれ以上パイプハウスを飛ばさない」でエントリーしました。2022年10月に第1次審査である書類審査を通過してから数ヶ月もの間検証を行い、その研究成果をまとめ、動画を2023年3月6日の最終審査会で発表しました。最終審査会当日は発表後にポスターセッションもあり、学生はその場で出た質問に対してスムーズに受け答えをしました。
 今回、学生には、準備段階と受賞後にインタビューをしています。

左から須田敦准教授・西村崇一郎さん・髙橋水木さん・加藤良太さん・桑原幸汰さん左から須田敦准教授・西村崇一郎さん・髙橋水木さん・加藤良太さん・桑原幸汰さん

 奈良高専は、高専初の「Society 5.0型未来技術人財」育成事業、「GEAR 5.0」(※1)において、中核拠点校として、「防災減災エネルギー」を掲げ活動を行っています。
 第1回高専防災減災コンテストには、「GEAR 5.0」活動の一環としてエントリーしました。

 
  • 第1回高専防災減災コンテスト
 高専防災減災コンテストとは、高専制度創設60周年を記念して開催される、高等専門学校に在籍する学生を対象としたコンテストです(https://www.bosai.go.jp/labo/ExtremeWeather/contest/contest_2022.html)。防災減災に関わる社会課題を解決する技術のアイデアとその検証過程を競う機会になります。活動を通じた高専生の成長の促進と若い力による社会の災害レジリエンス向上に寄与することを目的に実施されます。
 2022年10月中旬に第1次審査の書類審査が行われ、28チームから10チームがアイデア検証進出提案として採択され、最終審査に進みました。奈良高専からは、全2チームが最終審査に進み、「もうこれ以上パイプハウスを飛ばさない」をテーマとする学生チームが『高専機構賞』を受賞しました。

 
  • チームリーダーの髙橋水木さんに応募動機や課題、検証についてインタビュー
◆応募動機
 須田研究室で以前から研究している「パイプハウスの強度」を元に、コンテスト応募の話を頂きました。その中で、3年生では流体の勉強はまだ始まっていませんが、ぜひ、勉強したいと思いました。また、3次元CADソフトウェア(SOLIDWORKS)を使ってみたいと思ったのが始めのきっかけです。
 また、いろいろな3Dプリンターを使ったイベントにも参加していて、子供たちのサポートを経験することで、自分の知識を伝えることの楽しさを知り、参加してみたいと思いました。

研究活動の様子研究活動の様子

◆課題
 奈良県は農業が盛んです。奈良高専の所在する大和郡山市やその周辺地域でも、イチゴ(あすかルビー、古都華)やナス(大和丸なす)などの軟弱野菜の園芸作物や、柿が集約的に栽培されています。特に柿は全国で生産されるハウス柿の約70%を占めています。この園芸作物の生産に用いられるパイプハウスは構造強度が低く、台風などの強風で倒壊や飛散する被害に度々遭っているようです。(パイプハウスメーカーや農家にヒアリング)
 パイプハウスだけでなく、中の野菜もダメになってしまい、被害が広がっているようです。
 パイプハウスの倒壊を防ぐ【防災】パイプハウス部品の飛散を減らす【減災】のニーズが増加しています。異常気象による天候の急変や台風発生の増加から、パイプハウスの恒常的な耐風強度が必要とされています。
 
◆検証
 機械工学科の先輩方が研究されていたことを継承し、数値流体解析(※2)を用いて検証しています。また、3Dプリンターで模型を作り、風洞装置(※3)など使って実験を行いました。
 パイプハウスの屋根の頂点に突起をつけ、その形状を変更して数値解析をしました。
 

ハイプハウスの突起物検証の図ハイプハウスの突起物検証の図

風洞装置実験の様子風洞装置実験の様子


  • チームメンバーコメント(インタビュー一部抜粋)
※コンテスト最終審査前と受賞後でインタビューしています。(前・後と記入)

〇髙橋水木さん (リーダー3年)
【前】「人とちがう事を経験してみたいと思って、高専に入学しました。今回、機械科とは縁遠い防災科研や、農家の方のお話が聞けたのも良かったと思います。」
【後】「賞を頂けると予想もしていませんでしたが、高専機構賞を頂けてとても嬉しいです。今回、流体力学の知識が全くないまま実験を行ったのですが来年度の流体力学への学習意欲が増しました。」

〇桑原幸汰さん (3年)
【前】「コンテストに参加して、初めて農家さんのお話を聞きました。先人の知恵が沢山詰まっていると感じました。訪問する前と後では考え方がすごく変わりました。」
【後】「コンテストで出会った周りの高専生たちの優秀さに脱帽しました。その中で自分たちも入賞出来てホッとしました。
 高専で今まで学んだ専門的な知識を生かすことができて面白かったですが、同時にこのアイデアを発展させていくための知識がまだまだ足りていないと感じたので、今後はその勉強にも取り組みたいと思います。」

〇西村崇一郎さん (3年)
【前】 「祖父母が自給農家ですが、今回農家さんを訪問して驚いたのが、ハイテクになっているということです。温度管理には機械を使っていることなども勉強になりました。」
【後】「まさか私たちが受賞できると思ってなかったので、入賞できて嬉しかったです。発表では『和歌山高専の防災用砂場』など、技術力に驚かされ、刺激を受けました。今後の卒業研究に活かしたいと思います。」

〇加藤良太さん (1年)
【前】「部活動の機械研究会で須田先生がコンテストの紹介をしてくださったのが、きっかけです。面白そうと思ったのと、何か新しいことやってみたいと思ったタイミングだったからです。3年生の先輩と参加して、実験で新しい提案を色々出したり、パワーポイントも使い慣れていてスゴイなあと思っています。」
【後】「このコンテストに参加し、得た経験を元に、これからも様々な新しいことや他のコンテストにもチャレンジしたいです。また、勉強のモチベーションアップにもなりました。」

最終審査会「高専機構賞」を受賞したメンバー最終審査会「高専機構賞」を受賞したメンバー




※ GEAR 5.0とは
https://www.kosen-k.go.jp/about/profile/gear5.0-compass5.0.html

※2数値流体解析とは
 パソコンの中でパイプハウスを建て風を当てる様子のシミュレーションのこと。

※3 風洞装置とは
 人工的に風の流れを発生させ、再現・観測する装置。

 
  • 担当教員


独立行政法人国立高等専門学校機構
奈良工業高等専門学校 機械工学科 准教授 須田 敦

 

 

 

 

 【担当教員コメント:コンテスト参加について】
 コンテストに参加することを呼びかけたとき、「賞を取る」つもりで指導していました。
 最終審査会ではリアル開催で、他の高専の成果発表を聞いて、「これは、すごいな。」と思っていました。私以上に学生も感じていたと思い、その経験がとても貴重だと思っています。
 発表後に行われたポスターセッション(成果発表資料を会場に掲示し、参加者間でやり取りする時間)では、発表した内容について、今まで関わったことのない方々から、質問を受け、それに答えたり、学生が色々なことを肌で感じることができたことが、受賞以上の成果だと思っています。
 このコンテストの一番いいと思うのは、「関係者にヒアリングする必要がある」というところです。今の時代、非対面で話を聞くことはいくらでもできます。でも、現地(農家さん)のパイプハウスに入って、温度を感じたり、また、匂いを感じ、リアルな声を聞けたことは、学生にとってなかなか体験できるものではないと思います。
 また、今回、他高専の方々と話をし、1つの高専を超え、ネットワークを作り、繋げていきたいと考えています。

【参加した学生へ】
 よく、自分たちで考えて活動することができました。
 学生の間は、失敗してもいい、失敗をしても許されるので、思い切っていろいろな事にチャレンジしてほしいと思います。
 自分で、見聞きしたことは、自分自身の財産になります。周りの困っていることなどを自分事化し、目の前の勉強に活かせると更に成長できると思います。

 
  • 奈良工業高等専門学校について
 奈良工業高等専門学校は、実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関。中学校卒業程度を入学資格とする本科(5年制)および専攻科(2年制)を有し、敷地内に学寮も備え、奈良県内外から入学者を迎えています。
 立地する奈良県及び周辺地域は、中小企業が集積し特に電子産業、製造業が盛んな地域であり、地域に向けての情報発信基地としての機能と、地域企業からの技術相談窓口としての機能を持ち、奈良県だけでなく東大阪・八尾・京阪奈等周辺地域の産学官金連携の拠点としての役割を担っています。
 また、在学生の課外活動も活発で、全国高専間で開催されるロボコン全国大会、全国高専体育大会においても優秀な成績を収めています。

【学校概要】

学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構
奈良工業高等専門学校
所在地:奈良県大和郡山市矢田町22
代表者:校長 後藤 景子
設立:1964年
URL:https://www.nara-k.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関
 
 
◆本リリースに関するお問い合わせ先
独立行政法人高等専門学校機構
奈良工業高等専門学校
総務課 企画・研究協力係
TEL:0743-55-6173(平日8:30-17:00)
e-mail:sangaku@jimu.nara-k.ac.jp

~2022年度、高等専門学校制度は創設60周年を迎えます~
https://www.kosen-k.go.jp/Portals/0/60th/
 

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教育・学習支援業
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