米国食品医薬品局(FDA)、成人における膿疱性乾癬の急性症状に対する初の治療選択肢を承認
*スペソリマブは現在、日本において膿疱性乾癬の急性症状の治療薬として承認されていません。
- スペソリマブは、インターロイキン-36(IL-36)のシグナル伝達を阻害するモノクローナル抗体であり、膿疱性乾癬の急性症状の治療を目的として承認された初の治療薬
- EFFISAYIL® 1 試験において、SPEVIGO®(一般名:スペソリマブ)の静脈内投与を受けた患者の半数以上は、投与1週間後に膿疱が消失したことが示された
- 米国におけるSPEVIGO®の承認は、革新的な医薬品をより早く患者さんにお届けするための、当社の後期段階のポートフォリオが加速したことを意味する
2022年9月2日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは本日、成人における膿疱性乾癬(GPP:Generalized Pustular Psoriasis)の急性症状に対する初の治療選択肢として、米国食品医薬品局(FDA)がスペソリマブを承認したことを発表しました。米国でSPEVIGO®として販売されるスペソリマブは、GPPの病因に関連することが明らかになっている免疫系のシグナル伝達経路であるインターロイキン36受容体(IL-36R)の作用を阻害する新規ヒト化選択的抗体です。
試験の統括医師兼論文の筆頭著者であり、マウント・サイナイ・アイカーン医科大学(ニューヨーク)Kimberly and Eric J. Waldman皮膚科の臨床治療学部長であるMark Lebwohl博士(M.D.)は、次のように述べています。「GPPの急性症状は、患者さんの生活に大きな影響を及ぼし、生命を脅かすおそれのある深刻な合併症につながります。スペソリマブの承認は、皮膚科医と臨床医にとって転換点となります。このたび、FDAが承認した治療法は、これまでGPPの急性症状を改善するための承認された治療選択肢を持たなかった患者さんに変化をもたらす可能性があります」
ベーリンガーインゲルハイムのヒューマンファーマビジネスユニット担当取締役のカリン・ブルヨンは、次のように述べています。「今回の重要な承認は、治療薬を必要とする患者さんに革新的な治療薬をより早く届けるための私たちの取り組みを反映したものです。私たちは、この希少な皮膚疾患が患者さん、ご家族、介護者にとってどんなに辛いものかを理解しています。GPPは生命にかかわる病気であり、今日までこの辛いGPPの急性症状に対する承認薬がありませんでした。スペソリマブの承認により、米国において初めて、承認された治療選択肢を必要とする患者さんに提供できることを誇りに思います」
FDAによるスペソリマブの承認は、ピボタルEFFISAYIL® 1第2相臨床試験の結果に基づいています1。12週間にわたる試験では、急性期GPP患者がスペソリマブまたはプラセボの投与を受けました。試験開始時に、大部分の患者は、膿疱の密度が高い、または非常に高い状態で、クオリティオブライフが損なわれていました。1週間後、スペソリマブの投与を受けた患者の54%で膿疱が消失しました(プラセボでは6%)[1]。
米国での承認に加え、他に複数の国の規制当局で審査が進められています。現時点で、スペソリマブはGPPの急性症状の治療薬として、米国、中国、および台湾でブレークスルーセラピー指定を取得、米国と中国で優先審査指定を取得、米国、韓国、スイス、オーストラリアでオーファンドラッグ指定を取得、そして台湾で希少疾患指定とファストトラック指定を受けています。欧州医薬品庁(EMA)は、2021年10月にGPPにおけるスペソリマブに関して販売承認申請を受理し、現在評価を行っています。
GPPは尋常性乾癬とは異なり、生命を脅かすおそれのある希少な好中球性皮膚疾患であり、痛みを伴う無菌性膿疱が広範囲に汎発することが特徴です。希少疾患のため、症状の認識が困難であり、結果として診断の遅れにつながります。
スペソリマブについて
スペソリマブは、GPPを含む複数の自己炎症性疾患の病因に関連することが明らかになっている免疫系のシグナル伝達経路であるインターロイキン36受容体(IL-36R)の作用を阻害する新規ヒト化選択的抗体です[1-3]。
本剤は検出力のある無作為化プラセボ対照試験で、急性期GPPの治療として検証されたIL-36経路を特異的に標的とするファーストインクラスの化合物です。
EFFISAYIL®-1臨床試験について1
EFFISAYIL® 1(NCT03782792)試験は、12週間にわたり、急性期GPP患者(N=53)をスペソリマブ900 mgの静脈内投与群またはプラセボ群のどちらかに2:1の比率で無作為に割り付けて評価した第2相臨床試験です[1]。
1週目の時点で、膿疱なしを達成した患者の割合は、プラセボ群の6%に対し、スペソリマブ群で54%でした[1]。
1週目の時点で有害事象を報告した患者の割合は、スペソリマブ群で66%、プラセボ群で56%でした。感染症を報告した患者の割合は、スペソリマブ群で17%、プラセボ群で6%でした(1週目の時点)。重篤な有害事象は、スペソリマブ群の6%で報告されました(1週目の時点)[1]。
膿疱性乾癬[GPP:Generalized Pustular Psoriasis]について
GPPは、生命を脅かすおそれのある希少な難治性皮膚疾患であり、尋常性乾癬とは臨床的に区別されます[2,6]。GPPは、好中球(白血球の一種)が皮膚に集積することによって引き起こされ、痛みを伴う無菌性膿疱が全身に多発します[2,6]。臨床経過には幅があり、急性症状の再発を繰り返す患者さんもいれば、症状が遷延して断続的に症状の悪化が起こる患者さんもいます[6]。GPPの急性症状の重症度は人によって異なりますが、治療せずに放置すると、敗血症や多臓器不全などを引き起こし、場合によっては命にかかわります[2]。この慢性かつ全身性の疾患は、患者さんのクオリティオブライフに重大な影響を及ぼし、医療にとって負担となります[7]。GPPは、地域によって罹患率に差があり、男性よりも女性の方が、罹患率が高い傾向にあります[2, 8-10]。許容できる安全性プロファイルを持ち、GPPの急性症状を迅速かつ完全に解消し、再発を防止する治療薬に対する高いアンメットニーズが存在します。
GPPの急性症状は、心不全、腎不全、敗血症などの生命にかかわる合併症による入院につながり、予測不能で重篤な急性症状は、クオリティオブライフに重大な影響を及ぼします。
ベーリンガーインゲルハイムの医療用医薬品の研究開発パイプライン
ベーリンガーインゲルハイムは研究開発への投資を強化し、パイプラインの開発を加速し、事業開発の機会を探ることで力強さを示してきました。また当社はタンパク質分解誘導薬などの新たなモダリティ、薬剤耐性、再生医療、がんやデータサイエンスに注力し、今年はこれまでに11件の研究開発パートナーシップやライセンス契約を締結しました。
ベーリンガーインゲルハイムは、今後5年間で、研究開発に250億ユーロ(約3兆3,571億円)、新規製造技術に70億ユーロ(約9,400億円)を投資する予定です。本年末までにヒト用医療用医薬品の承認申請に向けた8つの臨床試験を行う予定で、2027年までに15種類の新製品の上市が見込まれます。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、今日そして次世代にわたり、暮らしを変革する画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型のバイオ製薬企業のリーディンクカンパニーとして、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態により長期的視野を維持しています。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、52,000人以上の社員が世界130ヵ国以上の市場で事業を展開しています。
詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)
当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が9月2 日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。
References
- EFFISAYIL® 1 試験において、SPEVIGO®(一般名:スペソリマブ)の静脈内投与を受けた患者の半数以上は、投与1週間後に膿疱が消失したことが示された
- 米国におけるSPEVIGO®の承認は、革新的な医薬品をより早く患者さんにお届けするための、当社の後期段階のポートフォリオが加速したことを意味する
2022年9月2日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは本日、成人における膿疱性乾癬(GPP:Generalized Pustular Psoriasis)の急性症状に対する初の治療選択肢として、米国食品医薬品局(FDA)がスペソリマブを承認したことを発表しました。米国でSPEVIGO®として販売されるスペソリマブは、GPPの病因に関連することが明らかになっている免疫系のシグナル伝達経路であるインターロイキン36受容体(IL-36R)の作用を阻害する新規ヒト化選択的抗体です。
試験の統括医師兼論文の筆頭著者であり、マウント・サイナイ・アイカーン医科大学(ニューヨーク)Kimberly and Eric J. Waldman皮膚科の臨床治療学部長であるMark Lebwohl博士(M.D.)は、次のように述べています。「GPPの急性症状は、患者さんの生活に大きな影響を及ぼし、生命を脅かすおそれのある深刻な合併症につながります。スペソリマブの承認は、皮膚科医と臨床医にとって転換点となります。このたび、FDAが承認した治療法は、これまでGPPの急性症状を改善するための承認された治療選択肢を持たなかった患者さんに変化をもたらす可能性があります」
ベーリンガーインゲルハイムのヒューマンファーマビジネスユニット担当取締役のカリン・ブルヨンは、次のように述べています。「今回の重要な承認は、治療薬を必要とする患者さんに革新的な治療薬をより早く届けるための私たちの取り組みを反映したものです。私たちは、この希少な皮膚疾患が患者さん、ご家族、介護者にとってどんなに辛いものかを理解しています。GPPは生命にかかわる病気であり、今日までこの辛いGPPの急性症状に対する承認薬がありませんでした。スペソリマブの承認により、米国において初めて、承認された治療選択肢を必要とする患者さんに提供できることを誇りに思います」
FDAによるスペソリマブの承認は、ピボタルEFFISAYIL® 1第2相臨床試験の結果に基づいています1。12週間にわたる試験では、急性期GPP患者がスペソリマブまたはプラセボの投与を受けました。試験開始時に、大部分の患者は、膿疱の密度が高い、または非常に高い状態で、クオリティオブライフが損なわれていました。1週間後、スペソリマブの投与を受けた患者の54%で膿疱が消失しました(プラセボでは6%)[1]。
米国での承認に加え、他に複数の国の規制当局で審査が進められています。現時点で、スペソリマブはGPPの急性症状の治療薬として、米国、中国、および台湾でブレークスルーセラピー指定を取得、米国と中国で優先審査指定を取得、米国、韓国、スイス、オーストラリアでオーファンドラッグ指定を取得、そして台湾で希少疾患指定とファストトラック指定を受けています。欧州医薬品庁(EMA)は、2021年10月にGPPにおけるスペソリマブに関して販売承認申請を受理し、現在評価を行っています。
GPPは尋常性乾癬とは異なり、生命を脅かすおそれのある希少な好中球性皮膚疾患であり、痛みを伴う無菌性膿疱が広範囲に汎発することが特徴です。希少疾患のため、症状の認識が困難であり、結果として診断の遅れにつながります。
スペソリマブについて
スペソリマブは、GPPを含む複数の自己炎症性疾患の病因に関連することが明らかになっている免疫系のシグナル伝達経路であるインターロイキン36受容体(IL-36R)の作用を阻害する新規ヒト化選択的抗体です[1-3]。
本剤は検出力のある無作為化プラセボ対照試験で、急性期GPPの治療として検証されたIL-36経路を特異的に標的とするファーストインクラスの化合物です。
EFFISAYIL®-1臨床試験について1
EFFISAYIL® 1(NCT03782792)試験は、12週間にわたり、急性期GPP患者(N=53)をスペソリマブ900 mgの静脈内投与群またはプラセボ群のどちらかに2:1の比率で無作為に割り付けて評価した第2相臨床試験です[1]。
1週目の時点で、膿疱なしを達成した患者の割合は、プラセボ群の6%に対し、スペソリマブ群で54%でした[1]。
1週目の時点で有害事象を報告した患者の割合は、スペソリマブ群で66%、プラセボ群で56%でした。感染症を報告した患者の割合は、スペソリマブ群で17%、プラセボ群で6%でした(1週目の時点)。重篤な有害事象は、スペソリマブ群の6%で報告されました(1週目の時点)[1]。
膿疱性乾癬[GPP:Generalized Pustular Psoriasis]について
GPPは、生命を脅かすおそれのある希少な難治性皮膚疾患であり、尋常性乾癬とは臨床的に区別されます[2,6]。GPPは、好中球(白血球の一種)が皮膚に集積することによって引き起こされ、痛みを伴う無菌性膿疱が全身に多発します[2,6]。臨床経過には幅があり、急性症状の再発を繰り返す患者さんもいれば、症状が遷延して断続的に症状の悪化が起こる患者さんもいます[6]。GPPの急性症状の重症度は人によって異なりますが、治療せずに放置すると、敗血症や多臓器不全などを引き起こし、場合によっては命にかかわります[2]。この慢性かつ全身性の疾患は、患者さんのクオリティオブライフに重大な影響を及ぼし、医療にとって負担となります[7]。GPPは、地域によって罹患率に差があり、男性よりも女性の方が、罹患率が高い傾向にあります[2, 8-10]。許容できる安全性プロファイルを持ち、GPPの急性症状を迅速かつ完全に解消し、再発を防止する治療薬に対する高いアンメットニーズが存在します。
GPPの急性症状は、心不全、腎不全、敗血症などの生命にかかわる合併症による入院につながり、予測不能で重篤な急性症状は、クオリティオブライフに重大な影響を及ぼします。
ベーリンガーインゲルハイムの医療用医薬品の研究開発パイプライン
ベーリンガーインゲルハイムは研究開発への投資を強化し、パイプラインの開発を加速し、事業開発の機会を探ることで力強さを示してきました。また当社はタンパク質分解誘導薬などの新たなモダリティ、薬剤耐性、再生医療、がんやデータサイエンスに注力し、今年はこれまでに11件の研究開発パートナーシップやライセンス契約を締結しました。
ベーリンガーインゲルハイムは、今後5年間で、研究開発に250億ユーロ(約3兆3,571億円)、新規製造技術に70億ユーロ(約9,400億円)を投資する予定です。本年末までにヒト用医療用医薬品の承認申請に向けた8つの臨床試験を行う予定で、2027年までに15種類の新製品の上市が見込まれます。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、今日そして次世代にわたり、暮らしを変革する画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型のバイオ製薬企業のリーディンクカンパニーとして、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態により長期的視野を維持しています。医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、52,000人以上の社員が世界130ヵ国以上の市場で事業を展開しています。
詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)
当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が9月2 日に発表したプレスリリースをもとに日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈については英語のオリジナルが優先することをご了承ください。
References
- Bachelez H et al. Trial of Spesolimab for Generalized Pustular Psoriasis. NEJM. 2021;385:2431-40.
- Crowley JJ, et al. A brief guide to pustular psoriasis for primary care providers, Postgrad Med. 2021;133(3):330-344.
- Furue K, et al. Highlighting Interleukin-36 Signalling in Plaque Psoriasis and Pustular Psoriasis. Acta Derm Venereol. 2018;98:5–13.
- ClinicalTrials.gov. A Study to Test Whether Spesolimab Helps People With a Skin Disease Called Hidradenitis Suppurativa. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04762277. Accessed August 2022.
- ClinicalTrials.gov. A Study to Test Long-term Treatment With Spesolimab in People With Palmoplantar Pustulosis (PPP) Who Took Part in Previous Studies With Spesolimab. Available at https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04493424. Accessed: August 2022.
- Navarini AA, et al. European consensus statement on phenotypes of pustular psoriasis. JEADV. 2017;31:1792-1799.
- Hanna M, et al. Economic burden of generalized pustular psoriasis and palmoplantar pustulosis in the United States. Curr Med Res Opin. 2021. 37(5):735-742.
- Ohkawara A et al. Generalized pustular psoriasis in Japan: two distinct groups formed by differences in symptoms and genetic background. Acta Derm Venereol. 1996 Jan;76(1):68–71.
- Augey F, et al. Generalized pustular psoriasis (Zumbusch): a French epidemiological survey. Eur J Derm. 2006; 16(6):669-673.
- Jin H, et al. Clinical features and course of generalized pustular psoriasis in Korea. J Dermatol. 2015; 42(7):674-678.
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