出生直後の赤ちゃんの口腔内液からビフィズス菌口腔内液を介したビフィズス菌の母子伝播の可能性

~科学雑誌『Scientific Reports』誌に掲載~

森永乳業は、育児用ミルクを開発する過程で赤ちゃんの腸内フローラ、ビフィズス菌に着目し、その研究を50 年以上行ってまいりました。ビフィズス菌は乳児の健康的な発育や疾病の予防に寄与していると考えられており、赤ちゃんが産まれる際、母親の産道を通って受け継がれること(母子伝播)で腸内に定着することが通説となっております。しかしそのタイミングや経路など詳細については解明されておりませんでした。
そこで今回、母から子へのビフィズス菌の伝播経路として、出生直後の赤ちゃんの口腔内液に着目したところ以下2点が明らかになりました。

①出生時の赤ちゃんの口腔内液に生きたビフィズス菌が含まれていた。
②出生時の口腔内液から見つかったビフィズス菌株の一部は、生後1ヶ月の赤ちゃんの便からも検出された。
これらの結果は、出生時の赤ちゃんの口腔を満たしている口腔内液には、ビフィズス菌が含まれており、出生時の口腔内液の一部を赤ちゃんが飲み込むことで、おなかにそれら菌群が到着し、その後、母乳等による取捨選択を経て、赤ちゃん特有のビフィズス菌の多い腸内細菌叢が形成される可能性を示しております。

本研究は、順天堂大学医学部、産婦人科浜田病院、京都大学大学院生命科学研究科と共同研究を行い、母から子へのビフィズス菌の伝播経路の一つとして出生直後の口腔内液が関与している可能性を示した研究であり、このたび科学雑誌『Scientific Reports』誌に掲載されました(2019 Jun 18;9(1):8692. doi: 10.1038/s41598-019-45198-9)。

 詳細はこちら
https://prtimes.jp/a/?f=d21580-20190719-2917.pdf

今回、出生直後の赤ちゃんの口腔内液は母親の子宮内、産道、肛門周囲等の菌群や一般環境下の菌群が混在した菌液で、出生後の赤ちゃんの腸管内に初めて到達する菌群ではないかと仮説を立て、研究を始めました。研究結果から、出生直後の赤ちゃんの口腔内には生きているビフィズス菌が存在し、一部の赤ちゃんの腸管には口腔内液と同一の菌株が存在することが確認できました。このことから母親に常在するビフィズス菌が出生と同時に口腔内液を介して乳児へ伝播し、腸管へ到達している可能性が推測されます。

 

森永乳業では今後さらなる腸内フローラ、ビフィズス菌の研究を通じて、人々の健康維持と笑顔のあふれる豊かな社会の実現に向けた新しく正確な情報を発信できるよう努めてまいります。

【研究方法】
15名の赤ちゃんから出生直後の口腔内液ならびに1ヶ月後の糞便のサンプルを回収し、以下解析を行いました。
①新生児の出生時口腔内液と1ヶ月齢乳児の便の細菌叢比較
②口腔内から分離されたビフィズス菌株の培養試験
③口腔内液と乳児の便から分離されたビフィズス菌の解析(比較ゲノム解析)

【研究結果】
1.新生児口腔内液に含まれるビフィズス菌
15名全ての赤ちゃんの口腔内液からビフィズス菌を含むBifidobacteriaceae科の細菌が検出できました(図1)。さらに、定量PCR法による解析の結果、15名中11名で口腔内液中のビフィズス菌が、母乳もしくはYCFA培地(※)のいずれかで培養後に増加しており(図2)、出生時の口腔内液には増殖可能な生きたビフィズス菌が含まれていることがわかりました。
 

図1.新生児口腔内液と1ヶ月齢乳児便の細菌叢
15名の口腔内液および糞便から高頻度に検出された細菌(TOP20)のヒートマップ。白色は占有率1%未満。 

※ビフィズス菌を含む多種多様な腸内細菌を培養可能な培地。

 

図2.培養前後の新生児口腔内液中のビフィズス菌数
バーのない箇所は検出限界以下。赤文字は培養によってビフィズス菌が増えた検体。

2.出生時口腔内液と1ヶ月齢乳児便のビフィズス菌株比較
 出生時の口腔内液と1ケ月後の糞便サンプルからビフィズス菌を単離した結果、出生時の口腔内液からB. longum spp. longum, B. breve, B. bifidum, B. adolescentis, B. pseudocatenulatumなどのビフィズス菌が単離されました。一方、乳児の糞便からはB. longum spp. longum, B. breve, B. bifidum, B. pseudocatenulatumなど乳児の腸管によく生息する菌種が単離されました。単離したビフィズス菌株のゲノム情報を比較した結果、5名の赤ちゃんにおいて同一のビフィズス菌株が乳児便と出生時口腔内液の両方から単離されたことがわかりました(表1)。
 

表1.単離されたビフィズス菌種と同一の菌株について
赤文字は口腔内液からの分離株と乳児便からの分離株が同一であったもの(ゲノム情報の一致率が99.5%以上)

【まとめ】
今回、出生直後の赤ちゃんの口腔内液は母親の子宮内、産道、肛門周囲等の菌群や一般環境下の菌群が混在した菌液で、出生後の赤ちゃんの腸管内に初めて到達する菌群ではないかと仮説を立て、研究を始めました。研究結果から、出生直後の赤ちゃんの口腔内には生きているビフィズス菌が存在し、一部の赤ちゃんの腸管には口腔内液と同一の菌株が存在することが確認できました。このことから母親に常在するビフィズス菌が出生と同時に口腔内液を介して乳児へ伝播し、腸管へ到達している可能性が推測されます。
森永乳業では今後さらなる腸内フローラ、ビフィズス菌の研究を通じて、人々の健康維持と笑顔のあふれる豊かな社会の実現に向けた新しく正確な情報を発信できるよう努めてまいります。
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