【大正大学】地域構想研究所による「地方創生2.0」全国自治体アンケート調査を実施
~求める人材像は“課題発見型推進リーダー”へ ――実務直結スキルが求められる時代に~

大正大学(学長:神達知純、所在地:東京都豊島区)地域構想研究所は、石破政権による「地方創生2.0」の政策発表を受け、全国1,741の自治体を対象としたアンケート調査を2025年春に実施しました。
本調査は、人口減少が不可避とされる中、各自治体が「地方創生2.0」という新たな政策ステージをどのように受け止め、総合戦略の見直しや人材育成にどう取り組もうとしているかを把握し、自治体政策の現状と課題を可視化することを目的としています。
調査の概要
・調査名称 :地方創生2.0に関する自治体アンケート調査
① 「地方創生2.0」に対する認識と対応の実態
② 人口減少を前提とした政策立案のスタンス
③ 人材育成・研修ニーズの現状
・調査対象 :全国の地方自治体(市町村・特別区)全1,741団体
・回収数 :494件(回収率 28.4%)
・配布の方法:郵送にて案内(二次元コードにて回答フォームの案内)
・回収の方法:WEBアンケートフォーム(一部FAX・メールによる回答)
・配布日 :2025年3月21日 ・回収期限 :2025年4月30日
アンケート結果の詳細は、HP にて
・URL : https://chikouken.org/about/offer-report/survey202506/
【調査結果サマリー】
① 「地方創生2.0」の受け止め方に温度差 ――約半数は“1.0の延長”と認識
地方自治体における「地方創生2.0」への姿勢を尋ねた設問では、全体の44.2%が「地方創生1.0の延長として考えている」と回答し、最も多い結果となりました。一方で、「新しい概念として積極的に取り入れている」との回答は全体で10.3%にとどまっています。このように、全体的に「地方創生2.0」に対する受け止め方に温度差がみられるものの、χ²検定では人口規模による有意な差は確認されなかった(p=0.077)ことから、この温度差は自治体ごとの地域課題や施策状況に応じて生じている可能性が示唆されます。
なお、地方創生2.0を念頭に置いた総合戦略策定に関する自由記述では、「デジタル田園都市国家構想」を意識しつつ、地方創生2.0をその延長線上にあるとする見方も一定数見られました。

② 人口減少への政策スタンスは三分 ――「賛成」「慎重」「反対」が拮抗
人口減少を前提とした政策立案についての設問では、「積極的に取り入れるべき」とする“賛成派”が全体の37.5%、特に1~5万人未満規模の自治体で最も多く42.3%という結果でした。一方で、「必要だが、強調しすぎると後ろ向きな思考になりかねない」(27.0%)、「必要だが、あえて強調する必要はあまりない」(12.8%)とする“慎重派”の合計は39.8%となり、賛成派と拮抗している実態が明らかになりました。
また、「可能な限り人口減少を抑制する施策に重点を置くべき」とする“反対派”も19.9%と一定数存在しています。特に、反対派の回答傾向には自治体規模による差がみられ、人口規模が小さいほど、人口減少を前提とした政策に反対する割合が高い傾向がみられました(※1)。
なお、自由記述では「いずれか一方を選ぶのではなく、抑制と適応のバランスをとるべき」との意見も複数寄せられ、地域課題の多様性を踏まえた柔軟かつ現実的な政策対応の必要性が示唆されました。

③ 求められる人材像は“課題発見型推進リーダー”が約5割 ――現場直結が求められる時代に
自治体職員として最も多く求められている人材像は、「プロジェクト推進リーダー(実際の選択肢文言は「地域の課題を見つけてプロジェクトを推進するリーダー(欄外参照 以下同)」)」であり、全体の49.6%という結果で、全国自治体の半分が現場直結のリーダーを求めているという回答でした。特に人口5~10万人未満の自治体では6割弱の57.3%に達しており、地域の実情に即した課題対応力が重視されている傾向が見て取れます。
一方で、同じ現場でも「現場を動かす実行マネージャー」や「人と人をつなぐコミュニケーター」、「デジタル系イノベーター」は1割前後にとどまっています。また、「グローバル視点のコーディネーター」は2.9%とかなり少ない結果となりました。これは、自治体内で高度な専門性を完結させるのではなく、外部との連携により専門性を補完していくという自治体の立ち位置と読み解くこともできます。
なお、別の設問で実施した職員研修に関する調査では、「実務に直結する内容」を求める回答が全体の75.5%に上り、人材像と教育ニーズの両面において、“現場力”を重視する傾向が明確に示されました。

【本件について】
本プレスリリースでは、全国の自治体を対象としたアンケート調査の中から、特に注目される3つのポイント、「地方創生2.0への温度差」「人口減少を前提とした政策スタンスの多様化」「現場力を重視した人材像の変化」を抜粋してご紹介しました。本調査ではそのほかにも、スマートシュリンクの認知度や印象、総合戦略の見直し状況、外部委託の意向、職員研修の実施形態や参加における障壁など、地方創生2.0を取り巻く多様なテーマについて、自治体の実情を詳細に把握しました。
これらの調査結果の全体については、地域構想研究所のWebサイトにて公開しております。ご関心のある方は、以下のリンクよりご覧ください。
【調査結果の詳細はこちら】 https://chikouken.org/about/offer-report/survey202506/
◆大正大学
大正大学は、設立四宗派の天台宗・真言宗豊山派・真言宗智山派・浄土宗および時宗が協働して運営する大学です。その協働の精神を支えているのが、大正15年(1926)の創立時に本学が掲げた、「智慧と慈悲の実践」という建学の理念です。「智慧と慈悲の実践」は仏教における菩薩の生き方を表したものです。菩薩とは自らの修行の完成と衆生の救済を志す人を意味します。わかりやすくいえば、自己の研鑽に励むとともに、他者の幸福を願って行動する者です。大学に在籍している間だけでなく、生涯を通じて菩薩のように生きてほしい。大正大学の建学の理念には、そのような願いが込められており、理念のもとに〈慈悲・自灯明・中道・共生〉という仏教精神に根ざした教育ビジョン「4つの人となる」を掲げて教育研究の活動を展開しています。公式HP:https://www.tais.ac.jp/
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情報科学部 グリーンデジタル情報学科・デジタル文化財情報学科(仮称/2026年4月開設予定(設置認可申請中))
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