イオン九州など小売6社とHacobu、共同輸配送の実証開始
約200万通りのルート候補を解析し、人手不足と環境負荷に挑む
九州物流研究会と株式会社Hacobuは、福岡・佐賀における共同輸配送の取り組みを一層強化するため、実証実験「物流DXツールを活用したN対Nの相互配車事業」を開始しました。本実証では、イオン九州株式会社をはじめとする小売6社分の膨大な輸配送ルート候補を、Hacobuが提供するクラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」シリーズのデータ活用基盤で解析します。これにより、深刻化するドライバー不足や環境負荷といった物流の課題に対応し、持続可能な共同輸配送モデルの確立に取り組みます。

「物流DXツールを活用したN対Nの相互配車事業」実証実験の背景
物流領域では、いわゆる「2024年問題」に象徴されるように、労働力不足やドライバーの高齢化、環境規制などの課題が深刻化しています。2030年度には福岡県でドライバーが36%、佐賀県で40%不足すると試算されています(※1)。このままでは持続的な物流サービスの維持が困難となる懸念があります。
こうした状況において注目されているのが「共同輸配送」です。複数企業がトラックや拠点を共同利用し、輸配送を効率化する手法で、労働力不足の緩和やCO2排出量削減につながると期待されています。
九州においては、2022年8月に地場の小売企業・物流事業者が参画する「九州物流研究会」が発足。物流を協調領域と位置づけ、共同輸配送に関する協議・実証を行っています。同研究会では、店舗配送や商品調達など複数の分野において共同輸配送を実施し、トラックの積載率改善、走行距離の削減などの効果を上げています。
一方で、参加企業や拠点が増えるほど、候補ルートは指数関数的に増加し、人手による検討には限界が生じています。九州物流研究会参加企業のうち福岡・佐賀に拠点を持つ6社のデータを組み合わせると、人の手では処理しきれない膨大な候補が発生し、デジタル活用が不可欠です。
こうした課題に対し、九州物流研究会はHacobuと連携し、データに基づく共同輸配送の検討を進めます。Hacobuはクラウド物流管理ソリューション「MOVO」シリーズや、物流DXコンサルティングを提供しており、MOVOの利用事業所(※2)は3万7000超、月間トランザクションは300万件超となっています。MOVOシリーズには、入荷・輸配送・動態といった標準化された物流データが日々蓄積されており、これを活用することで、各社が個別にデータを持ち寄る必要がなくなり、共同輸配送の検討をスピーディかつ効率的に進められる環境が整っています。
「物流DXツールを活用したN対Nの相互配車事業」実証実験の概要
目的
■デジタルを活用した効率的な共同輸配送の実現
複数企業が参加すると輸配送ルートの組み合わせは膨大になり、手作業での検討は困難になります。本実証では、Hacobuの「MOVO(ムーボ)」シリーズに蓄積された拠点・時間・走行実績データを活用し、膨大なルート候補の中から実現可能性の高いパターンを抽出します。
本実証は、メーカー(調達先)500社以上、小売物流センター11カ所(常温品目を対象)、小売店舗385カ所以上を対象に実施します。これらの拠点間で発生する集荷・輸配送コースを組み合わせ、共同化できるルートを選定します。候補は約200万通り(Hacobu試算/※3)にのぼることがわかっており、デジタル活用が不可欠です。
具体的には、トラック予約受付サービス「MOVO Berth(ムーボ・バース)」に蓄積された入出荷時間や拠点情報、動態管理サービス「MOVO Fleet(ムーボ・フリート)」に蓄積された経路や車格(車両サイズ)などのデータを、共同輸配送支援サービス「MOVO X-Data(ムーボ・クロスデータ)」で統合・分析します。これにより、膨大な候補の中から効率的に実現可能な輸配送パターンを導き出します。

■地方発の全国展開モデルの検証
本取り組みは福岡・佐賀を起点に、将来的には九州全域、さらには全国に展開可能な共同輸配送モデルの社会実装を目指します。
想定されるユースケース
①メーカー同士の共同納品:複数メーカーの荷物を1台の車両に混載して、共同で物流センターへ納品
②小売によるミルクラン集荷:小売の車両で複数メーカーから商品を集荷
③複数小売間の「共同輸配送」(店舗配送利用):小売A店舗へ納品した後、小売Bセンターで荷物を積み小売B店舗へ納品
④メーカーと小売の「共同輸配送」(店舗配送利用):物流センター納品車両を、そのまま店舗への納品車両として利用
⑤店配車両の帰り便利用(バックホール):小売B店舗へ納品した車両の帰り便を利用し、近隣のメーカーCの荷物を集荷

今後の予定
・ MOVO未導入店舗・拠点への導入、データ収集
・ 候補ルート探索
・ 共同輸配送の実行可能性を検討
・ 2026年1月〜2月に実運行を予定
参加企業
・ 小売企業
イオン九州株式会社
株式会社イズミ
株式会社コスモス薬品
株式会社サンリブ
・ 物流事業者
イオングローバルSCM株式会社
株式会社MLS
・ 分析支援
株式会社Hacobu
今後の展望
九州物流研究会と株式会社Hacobuは、本実証を皮切りに取り組みを順次拡大し、2026年には長崎県、2027年には大分県へと展開する計画です。将来的には九州全域、さらには全国規模で持続可能な共同輸配送モデルの確立を目指します。
九州物流研究会について
物流を「協調領域」、物流を取り巻く課題を「共通課題」と位置づけ、その解決策を企業横断型で協議・検討を行うことを目的として、イオン九州株式会社と株式会社トライアルホールディングスの共同発起により発足、参画企業間にて共同輸配送、納品マテハンの標準化、物流拠点の集約など各分野の効率化に向けた取り組みを推進しています。
株式会社Hacobuについて
クラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」シリーズと、物流DXコンサルティング「Hacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)」、システムインテグレーション・AI導入支援「Hacobu Solution Studio」「Hacobu Solution Studio(ハコブ・ソリューションスタジオ)」を展開。5年連続シェアNo.1(※4)のトラック予約受付サービス「MOVO Berth」、動態管理サービス「MOVO Fleet」、配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」、AI発注・輸送最適化サービス「MOVO PSI」などのクラウドサービス、ドライバーの働き方を変えるスマホアプリ「MOVO Driver」の提供に加え、物流DXパートナーとして企業間物流の最適化を支援しています。
※1 出典 NRI「2024年以降も深刻化する物流危機」2024年6月 https://www.nri.com/jp/knowledge/report/2024forum375.html
※2 利用事業所数とは、MOVO 導入拠点に加えて、MOVO を利用する事業所のIDを合計した数字
※3「約200万通り」は、本実証で対象となる6社分の拠点・時間帯・車格等を前提にHacobuが試算した概算値であり、実運行条件によって変動する可能性があります
※4 出典 デロイト トーマツ ミック経済研究所『スマートロジスティクス・ソリューション市場の実態と展望【2024年度版】』https://mic-r.co.jp/mr/03240/ バース管理システム市場の売上高および拠点数におけるシェア
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