43万社超の賃金データを収録した令和６年版「中小企業の賃金指標（賃金BAST）」を発行

－中小企業も2年連続で賃金が上昇中。年間支給総額は概ね全産業で増加－

ＴＫＣ

2024年3月21日 14時00分

ＴＫＣ全国会（会長：坂本孝司／事務局：東京都新宿区）は、令和６年版「中小企業の賃金指標（賃金ＢＡＳＴ）」をＷｅｂ方式で４月1日より提供開始します。
当指標は、昨年１年間（2023年１～12月）にＴＫＣシステムで処理された賃金データを産業分類別、地域別、年齢または勤続年数別、従業員規模別に分析したもので、43万6,061社、177万6,606人の賃金データを収録しています。

令和６年版賃金ＢＡＳＴからは、中小企業の賃金に関する次の三つの動向が読み取れます。前年に続いて中小企業も賃金が上昇傾向にあることを確認できました。

◆令和６年版「中小企業の賃金指標（賃金ＢＡＳＴ）」のポイント（令和５年版との比較）

ポイント１：年間支給総額の平均額が増加

年間支給総額の平均額（全産業・全年齢を集計）は3,873千円で、対前年比は2.0ポイント上昇し102.0％でした。

ポイント２：年間支給総額は、より高い賃金階層で増加

年間支給総額の分布（全産業・全年齢）は、下表のとおりでした。賃金階層別の対前年比をみると、より高い賃金階層で上昇していることがわかります。

ポイント３：新卒社員の初任給は全学歴（高校卒、高専・短大卒および大学卒）で増加

全産業における学歴別の初任給の平均額は、高校卒164千円（対前年比101.2％）、高専・短大卒186千円（対前年比101.1％）、大学卒201千円（対前年比102.0％）でした。

＜令和6年版「中小企業の賃金指標（賃金BAST）」の賃金分布表の画面＞

なお、ＴＫＣ全国会は、調査に協力したＴＫＣ会員事務所へ当統計情報を提供しています。ＴＫＣ会員事務所は、産業分類等の別に加工された次の３つの内容を基に、関与先企業における賃金や賞与を決定する際の参考資料として活用しています。

(1) 賃金分布表

(2) 新卒社員の初任給

(3) 賃金比較表

また、ＴＫＣシステムを利用している関与先企業では、システムで処理した自社の賃金データと統計情報をシステム上で比較することができます。企業にとって賃金は経営上の重要なコストであり、業績に大きな影響を及ぼします。一方、従業員の働く意欲や生産性にも直結します。優秀な人材を確保するには賃金水準を同業他社と比較し優位に立つ水準を保つことも必要です。ＴＫＣシステムでは、産業分類、地域、年齢または勤続年数、従業員規模に応じた同業他社との比較が容易に行えます。

＜「中小企業の賃金指標（賃金ＢＡＳＴ）」とは？＞

「中小企業の賃金指標」（発行：ＴＫＣ全国会）は、ＴＫＣ会員事務所が「戦略給与情報システム（ＰＸシリーズ・あんしん給与）」および「年末調整・法定調書作成システム（ＴＰＳ９０００）」を利用して１年間の給与所得の年末調整事務処理を行ったデータを基礎データとし、毎年編集・発行するものです。

なお、上記の基礎データのうち、退職社員や役員・パート・アルバイトの社員等を除外したデータを収録しています。

１．提供開始　　　2024年4月1日

２．提供対象者　　調査に協力したＴＫＣ会員事務所へ提供

３．提供する資料　次の３つの資料を提供します。

(1) 賃金分布表

給与支払形態別（年間支給総額、月例賃金、年間賞与）、地域別、産業分類別、従業員規模別、年齢／勤続年数別及び男女別に分類して賃金分布表を閲覧できます。

a.データのバラツキに若干の統計処理を加え、賃金分布をグラフ化しています。したがって、賃金のバラツキを無視して単純な平均値のみを示した一般的なモデル賃金表とは性格を異にしています。

b.分布表の「賃金比較機能」を利用して、関与先企業ごとに従業員の賃金水準（年齢別）とそのバラツキを図表上に容易に位置付けることができます。

c.賃金水準は地域により相当の格差があるため、地域情報の細分化により、より精度の高い賃金情報を入手できます。

(2) 新卒社員の初任給