新型コロナウイルス関連倒産、2000件に

発生ペース加速、第1号確認から555日

株式会社帝国データバンク

新型コロナウイルスの影響を受けた倒産(法的整理または法的整理を前提とした事業停止、負債1000万円未満および個人事業者含む、銀行取引停止処分は除外)が全国で2000件に達した。帝国データバンクが9月3日正午までに確認した。

2000件の負債総額は6206億2400万円で1億円未満の倒産が58.2%(1163件)を占めているほか、業種別では「居酒屋」「バー、ナイトクラブ」などを含む飲食店が336件で最多となっている。全体の発生ペースは加速しており、年末に向けた動向と各事業者への影響が懸念される。
<主なポイント>
  • 月別では「2021年7月」が最多
  • 「東京」と「大阪」で全件の3分の1を占める
  • 業種別では「飲食店」が336件で最多、居酒屋、バーが3分の1を占める
  • コロナ禍ならではの倒産も
  • これまでなかった業種や規模の大きな倒産が相次ぐ
新型コロナウイルス関連倒産について
「新型コロナウイルス関連倒産」とは、新型コロナウイルスが倒産の要因(主因または一要因)となったことを事者または代理人(弁護士)が認め、法的整理または事業停止(弁護士に事後処理を一任)となったケースを対象としている。個人事業主および負債1000万円未満の倒産もカウントの対象としているほか、事業停止後に法的整理に移行した場合、法的整理日を発生日としてカウントしている


◆第1号から555日、発生ペースは加速
新型コロナウイルス関連倒産の第1号が確認されたのは2020年2月26日。以後、確認ベースでの累計件数は、9月8日に500件、2021年2月5日に1000件、5月26日に1500件と推移し、第1号確認から555日後の9月3日に2000件目を確認した。増加に要した日数は500件から1000件が150日、1000件から1500件が110日だったのに対し、1500件から2000件は100日。また100件ごとの増加に要した日数は1900件から2000件までが最短となる16日となり、時間の経過とともに発生ペースは加速している。

累計確認件数累計確認件数

◆月別では「2021年7月」が最多
発生時期別でみると、年別では2020年が845件、2021年が1155件。月別では「2021年7月」(179件)、「2021年3月」(175件)、「2021年4月」(162件)の順となっている。昨年秋の感染第3波や年明けの緊急事態宣言とその延長などの影響を受けて、今年3月以降の増加が顕著となっており、同月以降の倒産が全件の46.2%(924件)を占めている。今年8月に発生した倒産は110件となっているが、月末から月はじめにかけて発生・判明する案件が集中するため、今後、短期間のうちに160件程度まで一気に増加する可能性が高い。

月別発生件数月別発生件数

◆「東京」と「大阪」で全件の3分の1を占める
都道府県別では「東京」(442件)が最も多く、以下、「大阪」(217件)、「神奈川」(113件)、「兵庫」(90件)、「愛知」(85件)と続き、東京と大阪で全件の33.0%、1都3県で32.5%を占めている。

また、区市町村別では「東京都渋谷区」が62件で最も多く、以下、「東京都港区」(43件)、「東京都中央区」(37件)、「東京都千代田区」(34件)、「大阪市中央区」(29件)と続き、都市部に集中している。

全国発生状況全国発生状況

◆業種別では「飲食店」が336件で最多、居酒屋、バーが3分の1を占める
業種別では「飲食店」が336件で最多となっている。全倒産(2000件)に占める構成比は16.8%。336件のうち、居酒屋が91件、バー、ナイトクラブが18件となっており、酒類提供をメインとする両業態が飲食店全体の3分の1(32.4%)を占めている。

2番目に多いのは「建設・工事業」で203件。建築、内装・リフォーム、とび・土木、電気、水道などの同業者が手がける各種工事は、新型コロナ発生直後からその影響を大きく直接的に受け倒産件数が上位の「飲食店」「ホテル・旅館」「アパレルショップ」などの店舗・施設の建設、リニューアル、維持等に不可欠で連動性が高い。そのため、感染拡大に伴う店舗・施設の休業、閉鎖、倒産などによって受注は大きく減少。その影響が、昨年末以降、倒産という形で表面化しているほか、近時はウッドショックの影響もあり、収益確保が厳しい環境に置かれている事業者が増えている。

また、ホテル・旅館のほか、旅行代理店、観光バス、レンタカー、土産物店などを含めた観光関連事業者の倒産は199件、アミューズメント施設、カラオケボックス、ゴルフ場、フィットネスクラブなどの娯楽関連事業者の倒産は63件発生している。

業種細分類別業種細分類別

◆コロナ禍ならではの倒産も
これまで発生した新型コロナウイルス関連倒産のなかには、通常では見ることのないコロナ禍ならではの倒産が散見される。例えば、中国地方で鉄道の忘れ物の仕入販売をしていた会社は、鉄道利用者の減少によって忘れ物(販売物)が減少したことで事業継続を断念し、破産となった。また、関東地方の葬儀業者は取引先となっていた病院でクラスターが発生したことで業務斡旋が受けられなくなり、破産を申請した。

そうしたなかでも過去に事例の無い「一斉休校」による倒産はとても印象的だ。中部地方で学校給食用の食材販売をしていた会社は、休校の影響で売り上げが激減して破産を申請。関東地方で学生寮を運営していた会社は休校、オンライン授業の増加によって入寮者が減少したことで事業継続を断念した。

このほかにも居酒屋の営業自粛の影響を受けた運転代行業者が破産を申請。リモートワークの増加で靴磨き業者が破産するなどその業種は多岐にわたっている。

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会社概要

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URL
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業種
サービス業
本社所在地
東京都港区南青山2-5-20
電話番号
03-5775-3000
代表者名
後藤 信夫
上場
未上場
資本金
9000万円
設立
1987年07月