【イベントレポート】国内初のバイオAIカンファレンス「Craif バイオAI サミット2025」
〜世界が注目するバイオAI領域で、産官学金が連携し、日本発の産業を世界基準へ〜
Craif株式会社(所在地:東京都新宿区、代表取締役:小野瀨 隆一、以下 Craif)は、2025年9月30日(火)に、生命科学とAIの融合領域に特化した国内初のカンファレンス「CraifバイオAIサミット2025」を開催いたしました。
テーマは「バイオテクノロジーとAIの融合がもたらす臨界点」。研究者・医師・専門家・投資家・経済産業省など、産官学金の多様な有識者が一堂に会し、世界におけるバイオAIの最新フェーズや投資動向、グローバルで勝ち抜くための条件、そして日本発の産業としてバイオAIを確立し世界基準を築くための展望について、活発な議論が交わされました。会場は125名を超える参加者で満席となり、バイオAI領域への関心が感じられる場となりました。
Craifは、本サミットを継続的な取り組みとして発展させ、 バイオAI領域で世界をリードする産業基盤づくりに挑戦していきます。

■バイオAIとは
バイオAIとは、機械学習に適したバイオデータを独自に生成・解析し、AIアルゴリズムを構築することで、健康・医療分野に新たな価値を創出する産業領域です。
グローバルではすでに大型資本が投下され、エコシステム形成が加速しつつあります。日本でも産官学金が連携し、この潮流を日本発の産業として確立する動きが本格化しています。

■サミット全体のサマリー
本サミットでは、「バイオAI」を多角的に捉える4つのセッションを実施し、幅広い視点から議論が行われました。
最初のセッション「最新トレンドから紐解く、世界が『バイオAI』に注目する理由」では、バイオAIの定義や海外におけるバイオAIエコシステムの形成状況などが議論され、世界での盛り上がりとともに、日本での今後のトレンド形成に向けた方向性が示されました。
続く「Craifラボ初公開 ― バイオAIプラットフォームの全貌 ―」では、国内におけるバイオAIの事例を交えながら、バイオAIデータの生成基盤や次世代のバイオAI解析技術をご紹介いたしました。
さらに「バイオAIが実現する患者中心の医療への変革」では、がん医療を中心に、バイオAI技術が社会実装されている国内事例が紹介されました。
最後のセッション「日本発の技術が世界で勝つための道筋」では、ディープテック分野で世界と競うための戦略や組織づくり、行政の支援の方向性など、産官学金が連携して挑むべき課題と今後の展望が共有されました。
これらを通じて、本サミットは、グローバルで加速する潮流の中で日本が主導権を握り、バイオAIを新たな産業として確立していくための道筋を描く場となりました。
■セッション別ダイジェスト
オープニングセッション「バイオAIで創る未来」
登壇者:Craif CEO 小野瀨 隆一

祖父母をがんで亡くした経験を契機に、2018年にCraifを創業。「グローバルに日本の企業が勝負することが誇らしい」と語り、世界の医療課題に挑む意義について語りました。
「世界でも私たちしかアクセスできない独自のバイオデータを持っています。そしてそれを、バイオを深く理解した一流のAI研究者が解析することで、これまで人類が解決できなかった課題に挑むことができる。私は、ここに日本の勝ち筋があると確信しています」とバイオAIの概要と日本の新たな産業の可能性を発信いたしました。
セッション① 最新トレンドから紐解く、世界がバイオAIに注目する理由
登壇者:アーサー・ディ・リトル・ジャパン プリンシパル 山本 洪太氏/X&KSK Managing Partner 山本 航平氏/Craif CEO 小野瀨 隆一
モデレーター:Craif COO 水沼 末雅

基調講演では山本洪太氏にバイオAIの定義や世界の潮流についてお話いただきました。
「いま世界では、企業自らがバイオデータを創出し、AIで解析することで新たな価値を生み出す“バイオAI”の動きが急速に広がっており、この分野に投資が集まっている。この潮流をどう取り込むかが競争力を左右し始めている」(ADL 山本氏)
続くパネルディスカッションでは、山本洪太氏・山本航平氏・小野瀨がグローバルのバイオAIトレンドについて日本の勝ち筋を議論しました。
「アメリカでは、バイオAIをはじめとするディープテック領域で、専門性を持つ投資家がファンドに集い、研究者と経営人材、資金が一体となって新しい産業を作り出しています」(X&KSK 山本氏)
「一方で日本は、信頼性の高いバイオデータを丁寧に積み上げていくプロセスに強みがあり、このバイオAIの肝となる部分で十分に勝てる可能性があります。今後は、グローバルで大きく成功するスタートアップをどう生み出していくかが鍵になります」(Craif 小野瀨)
セッション② Craifラボ初公開 バイオAIプラットフォームの全貌
登壇者:Craif CTO 市川 裕樹 /Craif中部検査センター センター長 坪井 智子/Craif Associate Director, Analytics & Bioinformatics ミロシュ・ハベルカ
このセッションでは、バイオデータを生み出すラボの現場と、それを解析して価値に変えるAI技術――その両輪の視点から、CraifがバイオAIを実現するプラットフォームの実像をひもときました。
まずCTO市川が、バイオ×AIの実用化には「深い生物学的洞察」「データ品質への徹底したこだわり」「バイオAIならではのアルゴリズム開発力」の三位一体が不可欠であることを語りました。
続いて中部検査センター長の坪井が登壇し、バイオAIの鍵となるデータ品質を担保するための仕組み、外部監査でも指摘ゼロを達成しつづけるオペレーションの裏側を紹介しました。
最後にハベルカが、ノイズを多く含むバイオデータを扱う課題と、AIによってそれを乗り越える取り組みについて具体的に語りました。

セッション③ バイオAIが実現する患者中心の医療への変革
登壇者:慶應義塾大学医学部腫瘍センター ゲノム医療ユニット 特任助教 加藤 容崇先生/Craif 臨床開発・薬事責任者 三上 素樹/Craif COO 水沼 末雅
このセッションでは、Craifが構築したバイオAIプラットフォームが、実際にどのように医療の現場を変えつつあるのか――その成果と可能性が具体的に示されました。
加藤先生は、尿中マイクロRNAとAIを用いたすい臓がん検出の研究成果を発表し、バイオAIがもたらす「がんの早期発見」という新しい医療の形を描き出しました。
続いて三上が、こうした技術を社会に届けるための薬事戦略と臨床開発の進捗を紹介。日本では2027年の承認取得を見据えた最終段階の臨床試験が進行中であり、さらに米国では2028年のメディケア保険償還を視野に入れた展開を進めていることを説明しました。

最後に水沼が、バイオAIプラットフォームによって生み出されたエビデンスを網羅的に紹介。特に、実際に肺がんがステージ0で早期に発見・治療された事例を重点的に紹介しました。
研究から臨床、そして社会実装へ――バイオAIが“患者中心の医療”を現実のものに変えつつあることを体感できるセッションとなりました。
セッション④ 日本発の技術が世界で勝つための道筋
登壇者:X&KSK Co-Founder & General Partner 本田 圭佑氏/Craif CEO 小野瀨 隆一/経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 医療・福祉機器産業室 室長補佐 高山 真澄氏/株式会社KNOCKLEARN 代表取締役 福本 英氏/Craif 名古屋拠点長 兼 採用責任者 小池 壮思

「日本発の技術は、どうすれば世界で勝てるのか」。 このセッションでは、その問いに対して、現場・経営・政策のそれぞれの立場からリアルな議論が交わされました。
本田氏は、「日本発の技術で世界一になるというゴールを達成するなら、目指しているゴールが何なのかを、できるだけ早く、解像度高く知ることが大切」と語り、挑戦する視座を高める意識の大切さを示しました。
続く福本氏と小池は、世界で通用するディープテック組織の条件として、専門性だけでなく“共通の志とカルチャー”を築く重要性を強調。現場から見た組織づくりのリアリティが共有されました。
さらに経済産業省の高山氏は、国としてディープテックスタートアップの海外展開を後押しする支援策の現状を紹介し、公的セクターが果たすべき役割と今後の展望を語りました。
それぞれの立場から見えている課題と可能性が交差し、「日本発の技術が本気で世界に挑むための次の一手」が浮かび上がるセッションとなりました。
■ご参加いただいた方の声
参加者の方からはは「バイオAIの解像度が上がった」「人類の課題に対する解決策と感じた」「バイオAIのマーケット所感と分析が興味深かった」「バイオAIサミットの熱気、代表のコミットメントを体感出来た」など、イベント内容への高い満足度と、バイオAIへの期待感がうかがえる評価の声を多数いただきました。
■バイオAIサミットの概要

・開催日時:2025年9月30日(火)13:30-16:40
・会場:日本橋TODAホール カンファレンスルーム(東京都中央区京橋1丁目7−1 TODA BUILDING 4階)
・URL:https://craif.com/summit/bioai-summit-2025
・主催:Craif株式会社
■登壇者一覧(敬称略/肩書は登壇当時)
山本 洪太 アーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社 プリンシパル
本田 圭佑 X&KSK Co-Founder & General Partner
山本 航平 X&KSK Managing Partner
加藤 容崇 慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット 特任助教
高山 真澄 経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 医療・福祉機器産業室 室長補佐
福本 英 株式会社KNOCKLEARN 代表取締役
小野瀨 隆一 Craif株式会社 代表取締役CEO
水沼 末雅 Ph.D. Craif株式会社 最高執行責任者(COO)
市川 裕樹 Ph.D. Craif株式会社 CPO
坪井 智子 Craif株式会社 Craif中部検査センター センター長
ミロシュ・ハベルカ Ph.D. Craif株式会社 Associate Director, Analytics & Bioinformatics
三上 素樹 Craif株式会社 臨床開発・薬事責任者/名古屋大学 未来社会創造機構 特任助教
小池 壮思 Craif株式会社 名古屋拠点長 兼 採用責任者
■ Craifについて
Craif(クライフ)は がん早期発見に取り組む2018年創業のバイオAIスタートアップです。尿をはじめとする体液から、DNAやマイクロRNAなど多様なバイオマーカーを高精度に検出する独自の解析技術基盤「NANO IP®︎(NANO Intelligence Platform)」とAI技術を融合し、がんの超早期発見・早期治療・早期復帰を可能にする革新的な検査を開発しています。バイオテクノロジーとAIの力を社会に広く届けることで、当社のビジョンである「人々が天寿を全うする社会の実現」を推進します。
【会社概要】
社名:Craif株式会社(読み:クライフ、英語表記:Craif Inc.)
代表者:代表取締役 小野瀨 隆一
設立:2018年5月
資本金:1億円(2024年3月1日現在)
事業:がん領域を中心とした疾患の早期発見や個別化医療の実現に向けた次世代検査の研究・開発、尿がん検査「マイシグナル®シリーズ」の提供
本社:東京都新宿区新小川町8-30 THE PORTAL iidabashi B1F
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