【新居浜高専】「新居浜高専PICマイコン学習キットVer.3 完全ガイド」を書籍化
〜オリジナル電子工作教材によるエレクトロニクスとプログラミングの基礎教育のガイドブック〜
◆新居浜高専PICマイコン学習キットVer.3
電子制御工学科の1年生の専門科目「電子基礎実習」で、電子工作を通じてエレクトロニクスとプログラミングの基礎を学習するための教材として、2002年に同学科の出口幹雄教授(当時は講師、現在、明石高専 嘱託教授)が考案したマイコン教材は、2005年に東京・秋葉原の(株)秋月電子通商に技術移転し“新居浜高専PICマイコン学習キット”として発売されて以来、改良を重ね、新機種のマイコンを採用してファームウェア(注1)を新たにしたVer.3が2022年に発表されました。Ver.3では、回路を動作させる16種類の内蔵プログラムに加えて、回路をパソコンと繋いで、コマンド操作で対話的に回路を動作させたり、プログラムを組んで動作させたりするための“モニタプログラム(注2)”を搭載しているところが最大の特徴です。
モニタプログラムを使うと、パソコンとキットの回路を繋いで通信しながら、コマンド操作でLEDをON/OFFしたり音を鳴らしたりすることができるほか、Pythonに似たフォーマットで簡単なプログラムを組んで動作させることができます。これにより、プログラミングの学習の際に、マイコンのフラッシュメモリをその都度書き換える必要なしに、実際にその動作を確かめてみることができ、フラッシュメモリの寿命(書き換え回数の上限)を気にせずに何度でも試行錯誤しながらプログラミングを学ぶことができるようになりました。モニタプログラムが提供するプログラミング機能は、インタプリタとしての動作のため速度はあまり速いものではありませんし、機能も原始的なレベルのものに限られてはいますが、for文、if文、while文など、基本的なアルゴリズムを一通り実現できるツールは備わっていますので、プログラミングの初歩を学ぶ初学者にとっての教材としては有用ですし、そのシンプルさがかえって望ましいとも言えます。また、プログラムをプログラムとしてだけ捉えるのではなく、キットの回路を動作させてハードウェアとの繋がりに目を留めながらプログラミングを学ぶことができることが、このモニタプログラム上でプログラミングを学ぶ最大のメリットです。
自分でハンダ付けして回路を組み立てることができるマイコンキットで、しかも、回路を思い通りに動作させるためのプログラミング環境をそれ自身が提供する、非常に独創的な教材ということができます。
(注1)ファームウェア: 装置に組み込まれ、その動作を制御するために書き込まれているソフトウェアのこと。
(注2)モニタプログラム: 装置の動作を外部から制御したり、装置の状態を確認するために、ホストコンピュータと繋いで通信しながら操作できる機能を提供するプログラムのこと。
◆「新居浜高専PICマイコン学習キットVer.3 完全ガイド」を用いた教育カリキュラム
「新居浜高専PICマイコン学習キットVer.3 完全ガイド」は、目次を下記に示すように、大きく【A】、【B】の2部構成で、前半はキットの回路の解説を通じてハードウェアの基礎を学び、後半でモニタプログラムを用いてプログラミングの基礎を学ぶ、という構成になっています。また、前半では、ハンダ付けの基礎や電子部品の基礎知識についても解説しています。
これは、電子制御工学科1年生対象の通年科目「電子基礎実習」で実施している内容と密接にリンクしています。「電子基礎実習」では、前期に、ハンダ付けの練習から始まり、キットの回路を6つのステップに分けて少しずつ組み立てます。ステップ毎に、LEDや圧電ブザー、マイク、フルカラーLED、7セグメントLEDなど、そのステップのトピックスとなる電子部品について学ぶとともに、2進数や16進数、コンピュータの仕組み、論理回路、などの基礎的事項を学習します。そして、後期には、学生たちが一人一人、自分が製作したキットの回路を使って、モニタプログラムを用いてプログラミングを学習します。「新居浜高専PICマイコン学習キットVer.3 完全ガイド」は、この学習を進める際の副読本として、学生たちの学びの大きな指南役としての働きが期待されます。
電子回路を自分で組み立て、さらにそれを用いて実際に動作させてみながら体験を通してコンピュータのプログラミングを学ぶということは、“ものづくり”を旗印として実践的技術者を育てることを旨とする高専教育において、典型的なカリキュラムモデルの一つの形と言うこともでき、本書を用いたより良い教育カリキュラムの構築に向けて研究を進めています。
【A】エレクトロニクスの基礎を学ぼう [A1]新居浜高専PICマイコン学習キットVer.3の概要 [A1-1]キットの構成と機能 [A1-2]キットに使用しているマイコン [A1-3]キットの電子回路 [A1-4]内蔵プログラム [A2]ハンダ付けの要領 [A2-1]ハンダ付けとは [A2-2]ハンダ付けのコツ [A2-3]ハンダ付けの基本手順 [A3]電子部品の基礎知識 [A3-1]抵抗 [A3-2]コンデンサ [A3-3]トランジスタ [A3-4]LED [A3-5]CdSセル [A3-6]水晶振動子と圧電ブザー [A3-7]コンデンサマイク [A4]マイコンと周辺回路の働き [A4-1]2進数と16進数 [A4-2]0/1とH/L [A4-3]スイッチと入力 [A4-4]出力とLEDやトランジスタの駆動 [A4-5]3-to-8デコーダ [A4-6]アナログ入力 [A4-7]タッチ入力 [A4-8]マイク入力 [A4-9]サウンド出力部 [A5]エレクトロニクスのTips 【B】モニタプログラムでプログラミングを学ぼう [B1]モニタプログラムのコマンド操作 [B1-1]モニタプログラムの起動 [B1-2]ポート出力のコマンド [B1-3]ポート入力のコマンド [B1-4]アナログ入力のコマンド [B1-5]サウンド関連のコマンド [B1-6]プログラミングに関するコマンド [B1-7]その他のコマンド [B2]プログラミングの基礎 [B2-1]一番簡単なプログラム [B2-2]繰り返しのあるプログラム(for文) [B2-3]条件判断と分岐(if文) [B2-4]繰り返しのある条件判断(while文) [B2-5]配列 [B2-6]2進数のbit操作 [B3]ハードウェアをプログラムで制御 [B3-1]マイコンのピンアサイン [B3-2]LEDをON/OFF [B3-3]スイッチの状態を読み取る [B3-4]7セグメントLEDに数字を表示する [B3-5]音を鳴らす [B3-6]アナログ入力 [B4]プログラミングのTips 【付録】 付録1:Let'sプログラミングのプログラム例 付録2:サンプルプログラム 付録3:モニタプログラムに内蔵のサンプルプログラム |
「新居浜高専PICマイコン学習キットVer.3 完全ガイド」の目次
新居浜工業高等専門学校について
本校は5学科からなる本科と3専攻からなる専攻科を備えた工業高等専門学校で、別子銅山の歴史文化を受け継ぐ工都・新居浜の地に1962年に創設されました。「知恵、行動力、信頼」を教育理念とし、地域とともに歩む信頼される学校をめざしています。
【学校概要】
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 新居浜工業高等専門学校
所在地:愛媛県新居浜市八雲町7-1
校長名:鈴木 康司
設立:1962年4月
URL: https://www.niihama-nct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関
【お問い合わせ先】
新居浜工業高等専門学校 総務課総務企画係
TEL:0897-37-7704
e-mail: skika-c.off@niihama-nct.ac.jp
~2022年度、高等専門学校制度は創設60周年を迎えます~
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