ENECHANGE、先進的な地熱エネルギーソリューションのパイオニアであるEavor Technologies Inc.への出資を発表
カナダ・アルバータ州カルガリーを拠点とするEavor社は、先進的な地熱エネルギーソリューションの分野におけるパイオニアとなる企業です。特許取得済みのクローズドループ地熱利用技術(Eavor-Loop™)により、エネルギーの安定供給と費用対効果の高いクリーンエネルギーの新たな供給源を開拓しています。
この1億8,200万カナダドル(1億3,150万米ドル)の資金調達ラウンドはOMV AGが主導し、Canada Growth Fund、Monaco Asset Management、Microsoft's Climate Innovation Fundが参加しました。日本では、中部電力株式会社が出資しており、その他、既存の投資家であるBDC、bp Ventures、Eversource Energy、Temasek、Vickers Venture Partnersも出資しています。
背景
地熱エネルギーは豊富な再生可能エネルギー源であり、天候に左右されず、地表での必要な設置面積も太陽光や風力に比べて大幅に少ないという利点があります。しかし、その活用コストが高いことがネックとなり、まだ広く利用されていません。
強化地熱システムの分野における新たな技術進展により、地熱資源がより手軽に利用できるようになります。掘削技術の開発により、地熱エネルギーを効率的に取り出せる深さまで掘削するコストを削減します。また、新しいプラント設計と井戸の流量制御は、地熱エネルギーを必要に応じて取り出すことが可能となるため、需要に応じて地熱資源を柔軟に供給することができます。
日本は地熱発電のポテンシャルが高く、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、政府は地熱発電をクリーンなベースロード電源として位置づけています。日本の地熱資源は世界第3位の約23GWで、地熱発電が開発されれば国内の電力の10%を供給することが可能と考えられており(※1)、政府は2030年までに150万kWの地熱発電を導入するという目標を掲げています(※2)。
世界的に見ても、日本企業は地熱タービンの最大供給国であり、日本は国外で地熱発電事業を展開する最大手のひとつです。しかし、高額な初期費用や、探査リスクを含む制約のある既存技術の規制プロセスのため、現在の日本では地熱発電は電力供給のわずか0.3%しか占めていません。政府の新たな政策により、認可の合理化やより高い固定価格買取制によって一部の課題については緩和されています(※1)。
(※1) 国際再生可能エネルギー機関https://www.irena.org/news/articles/2009/Apr/Unlocking-geothermal-potential-in-Japan-through-small-scale-generation
(※2) 経済産業省資源エネルギー庁「今後の再生可能エネルギー政策について」(2023年6月21日)
Eavor社のクローズドループ地熱利用技術(Eavor-Loop™)について
クローズドループ地熱利用技術(Eavor-Loop™)は、二本の垂直杭と、複数の水平杭を接続し、地下に密閉されたラジエーターのような地下システムを構築します。作動流体(淡水)がこのシステム内を循環することで、地中深部の熱を地上に供給し、発電や商業用の冷暖房用に利用することができます。流体の流量は変更可能で、エネルギーを柔軟に生成・供給することができます。
Eavor-Loop™は、特許取得済みのロックパイプ技術(透水層を不透水層に加工するもの)や、掘削部分を冷却することで掘削速度と掘削深度を向上させるための断熱ドリルパイプ、精度の高い杭接続を可能にする磁気測距技術など、複数の画期的な技術によって可能になりました。
Eavor社は、2020年にカナダ・アルバータ州ロッキー・マウンテン・ハウス近郊のEavor-Loop™の実証プロジェクトの建設を完了。2023年はじめには、アメリカ・ニューメキシコ州のEavor-Loop™の実証プロジェクトを完成させ、総垂直深度18,000フィート(~5480m)の高掘削の実証を成功させています。次の重要となるマイルストーンとしては、ドイツのゲーレッツリードにおけるEavor社初となる本格的な商用プロジェクトで、今後4年以内の地域暖房と電力供給を目指して開発が進められています。ゲーレッツリートのEavor-Loop™の実証プロジェクトは、掘削深度約4.5km、電気エネルギー総発電量約8.2MW、熱エネルギー総発電量64MWを見込んでおり、CO2 削減量は44,000tを見込んでいます。
Eavor Technologies Inc.(Eavor社)について
Eavor(エバー)社は、クリーンで信頼性が高く、手頃な価格のエネルギーを全地球規模で創出する専門チームが率いる技術ベースのエネルギー企業です。Eavor社のソリューション(Eavor-Loop™)は、従来の地熱エネルギーの課題を軽減させたことで実現している、世界初の、拡張性がある、クリーンで、出力調整が可能、ベースロード電源として需要と供給を調整できる地熱発電システムです。このシステムでは、外部環境から完全に隔離された良質の液体を、自然の地熱勾配からの伝導によって得られた熱を活用している巨大な地下のラジエーター(地熱)を通してクローズドループで循環させています。Eavor社は、Vickers Venture Partners、bp Ventures、Chubu Electric Power、BDC Capital、Chevron、BHP Ventures、Helmerich & Payne、Precision Drilling、OMV、そして現在はCanada Growth Fund(CGF)とマイクロソフトを含む、世界有数のエネルギー生産者、投資家、開発者、ベンチャー・キャピタル・ファンドから出資されています。
Webサイト:https://www.eavor.com/
Eavor Technologies Inc. President & CEO John Redfern氏のコメント
ドイツのゲレッツリートに建設中の本格的な商用化プロジェクトを皮切りとしたEavor-Loop™の展開のため、新たな投資パートナーの支援と既存パートナーの継続的なコミットメントを得られたことを嬉しく思います。この度の資金調達は、私たちが持続可能で信頼性の高い明るいエネルギーの未来を目指して、Eavor-Loop™システムを全世界に広めるための努力を強く後押ししてくださっています。
ENECHANGE株式会社 代表取締役CEO 城口洋平からのコメント
日本や世界におけるエネルギー転換を加速させる取り組みを行っている革新的な企業であるEavor社への投資を発表できることは大変喜ばしいことです。日本では、地熱発電は未だエネルギー源として十分に活用されておらず、Eavor社のような画期的な技術に投資することは、特に日本において将来的な大きな可能性を有していると考えています。
JAPAN ENERGY ファンドの概要
ファンド名称 | Japan Energy Capital 2号ファンド (英名:Japan Energy Capital 2 L.P.) 通称:JAPAN ENERGYファンド(略称:JEF) |
ファンド組成日 | 2021年9月30日 |
投資方式 | キャピタルコール方式 |
投資対象 | 脱炭素分野の海外エネルギーベンチャー企業 |
ファンド規模 | 50百万USドル規模 |
運用期間 | 2031年9月まで |
無限責任組合員 | Japan Energy Capital 合同会社 |
有限責任組合員 ※2022年12月1日時点 | ENECHANGE株式会社 BIPROGY株式会社(旧日本ユニシス株式会社) 東芝エネルギーシステムズ株式会社 三井住友信託銀行株式会社 |
ENECHANGE株式会社
ENECHANGE(エネチェンジ )は、「エネルギーの未来をつくる」をミッションに掲げ、脱炭素社会をデジタル技術で推進する脱炭素テック企業です。2015年創業、2020年東証マザーズに上場(現 東証グロース市場上場、証券コード4169)し、「エネルギーの4D(自由化・デジタル化・脱炭素化・分散化)」分野でのSaaS事業を中心に急成長を実現しています。当社のルーツは、自由化先進国のイギリス・ケンブリッジでの電力データ研究所にあり、エネルギーデータの解析技術とグローバルなネットワークが特徴です。
所在地 :〒104-0031 東京都中央区京橋3−1−1 WeWork東京スクエアガーデン内14階
※本プレスリリースは、ENECHANGE株式会社、BIPROGY株式会社、東芝エネルギーシステムズ株式会社、三井住友信託銀行株式会社による投資運用業務の提供や特定の運用商品の勧誘を目的とするものではありません。ENECHANGE株式会社、BIPROGY株式会社、東芝エネルギーシステムズ株式会社、三井住友信託銀行株式会社は、本プレスリリースにより上記のファンド等について勧誘を行うものではありません。
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