対立議論により専門家レベルの結論を導出するマルチAIエージェント技術を開発
トレードオフを伴う専門性の高い複雑な業務の意思決定を自動化し、業務効率化に貢献

三菱電機株式会社は、議論フレームワーク(Argumentation Framework)(※1)を用いて専門家AIエージェント(※2)同士の対立議論を自動生成し、根拠を明示した上で専門家レベルの結論を高速に導出するマルチAIエージェント技術を、業界で初めて(※3)開発しました。本技術は、当社AI技術「Maisart®(マイサート)(※4)」の開発成果で、専門性の高い意思決定を必要とする業務の効率化に貢献します。
近年、企業ではセキュリティーリスクの評価、生産計画の立案など、トレードオフを伴う複雑な意思決定を求められる業務が増加しています。一方で、これらの業務は高度な専門知識が必要で属人化しやすく、担当者が不在の場合に判断が困難になることや、妥協点の合意形成に時間を要することなどが課題となっています。また、AIの判断根拠が不明確であることへの懸念から、重要な意思決定へのAI適用には依然として強い抵抗感があります。特にセキュリティーや安全性に関わる判断においては、推論の過程や根拠を明示することが不可欠であるため、AIの導入は十分に進んでいません。
当社は今回、GAN(Generative Adversarial Network)(※5)に見られる「敵対的生成」の概念をマルチAIエージェントの議論に応用し、専門家AIエージェント同士を競わせることで、より良い結論を導出する新しい技術を開発しました。本技術により、従来の協調型マルチAIエージェントシステムでは困難だった対立議論による深い洞察と、根拠を明示した上での意思決定が可能となるため、セキュリティー分析、生産計画設計、リスク評価など、複雑なトレードオフを伴う意思決定が必要な専門性の高い業務へのAI導入を実現し、業務効率化に貢献します。
■開発の特長
1.議論フレームワークが議論に必要な知識を持った専門家AIエージェントを自動生成し、AIエージェント間の対立関係を自動的に構築
・ユーザーが議題や条件を含むテーマを入力するだけで、議論フレームワークによる分析結果を基に、議論に必要となる複数の専門家AIエージェントを自動生成
・各専門家AIエージェントの主張を点、主張間の反論・支持関係を線としたグラフを構築し、議論全体の流れを把握。各専門家AIエージェントに対し、主張への反論・支持を明確化したプロンプト(※6)を提示
・テーマから抽出したキーワードを用いてWeb検索を実行。検索結果と外部ドキュメントから自動構築した知識を専門家AIエージェントの発言ごとに都度選択することで、議論進行に伴う主張の変化にも対応
2.「敵対的生成」の概念を応用することで本質的な問いを明確化し、深い洞察を獲得
・ファシリテーターエージェントが、議論フレームワークを用いて把握した議論全体の流れを踏まえて、専門家AIエージェントの発言順を制御。各専門家AIエージェントは、反論・支持関係を明確化したプロンプトを受けて自身の専門知識に基づく主張を展開。他の専門家AIエージェントの発言に対して積極的に異なる視点からの反論や補強を行い、多角的な検討を促進
・「敵対的生成」概念の応用により、本質的な問いを明確化することで、従来のマルチAIエージェントシステムと比較して深い洞察を獲得
3.議論の履歴を根拠として明示することで、より良い結論を導出
・ユーザーは議論履歴を集約した議事録やQAチャット機能から、議論の内容と結論に至った背景を追跡可能。ユーザーが議論の続行を追加テーマとともに指示することで、さらに深い議論展開と優れた結論の導出を実現

■今後の予定・将来展望
2026年度以降の事業化に向け、社内での実証を進めていきます。将来的には、経営判断、技術選定、リスク評価など、幅広い専門業務を効率化・自動化する「意思決定支援プラットフォーム」を提供し、専門家不足の解消と意思決定の質向上に貢献することを目指します。
■商標関連

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「Maisart」 |
三菱電機株式会社の登録商標 |
■三菱電機グループについて
私たち三菱電機グループは、たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献します。社会・環境を豊かにしながら事業を発展させる「トレード・オン」の活動を加速させ、サステナビリティを実現します。また、デジタル基盤「Serendie®」を活用し、お客様から得られたデータをデジタル空間に集約・分析するとともに、グループ内が強くつながり知恵を出し合うことで、新たな価値を生み出し社会課題の解決に貢献する「循環型 デジタル・エンジニアリング」を推進しています。1921年の創業以来、100年を超える歴史を有し、社会システム、エネルギーシステム、防衛・宇宙システム、FAシステム、自動車機器、ビルシステム、空調・家電、デジタルイノベーション、半導体・デバイスといった事業を展開しています。世界に200以上のグループ会社と約15万人の従業員を擁し、2024年度の連結売上高は5 兆5,217 億円でした。詳細は、www.MitsubishiElectric.co.jpをご覧ください。
※1 論理的議論の構造を数学的に定義し、主張の反論・支持関係を自動構築する理論的枠組み
※2 ユーザーに代わって目標を達成するために、データを収集して自律的に最適な手段を選択し、
タスクを実行するAI技術。特に高度な専門知識や判断能力を持ち、特定の分野や業務に特化した
ものを「専門家AIエージェント」と呼ぶ
※3 2026年1月20日現在、当社調べ。製造業界における実装事例として
※4 Mitsubishi Electric’s AI creates the State-of-the-ART in
technology の略。
全ての機器をより賢くすることを目指した当社の AI 技術
ブランド。

https://www.MitsubishiElectric.co.jp/corporate/randd/maisart/index.html
※5 生成モデルの代表的手法。生成器と識別器という2つのモデルが互いに競い合うことで学習精度を
高める
※6 生成AIに対して「何をどのように生成してほしいか」を伝えるための指示文
<お客様からのお問い合わせ先>
三菱電機株式会社 情報技術総合研究所
〒247-8501 神奈川県鎌倉市大船五丁目1番1号
https://www.MitsubishiElectric.co.jp/corporate/randd/inquiry/index_it.html
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