【自社調査】個人事業主444名に聞いた「インボイス」に関する実態調査

~7割が中止にして欲しいと考えるその理由とは ~

弁護士ドットコム株式会社

 2023年10月から開始された「インボイス(適格請求書)」制度。複雑でわかりにくい、負担が増えるなど、導入前から賛否が分かれ注目を集めた制度ですが、実際の登録申請状況や事業者間でのやりとりなどの実態はどのようになっているのでしょうか。
 そこで、税理士ドットコムでは導入直前の9月中旬に、フリーランスなどの個人事業主を対象としたインボイスへの対応状況や制度への賛成、反対意見などについてアンケート調査を実施しました。

■ 調査概要

調査機関:自社調査(税理士ドットコム一般会員を対象)

調査方法:税理士ドットコムに登録のある個人事業主を対象にウェブアンケートを実施

調査対象:税理士ドットコムに登録のある個人事業主444名

調査期間:2023年9月15日〜9月21日



申請率

インボイス登録申請済みは、わずか3割。

未申請理由

8割は「課税売上高は1000万円以下」を理由に登録申請をしない。

制度について

7割は「インボイス制度を中止して欲しい」と考える。



9月中旬時点では約7割が未申請

 「インボイス登録事業者としての登録状況」についての調査では、「登録申請済み」と回答したのはわずか33.8%であり、残りの7割近くが未申請という結果でした。未申請のうち、「申請する予定/今後の状況によっては申請する」が20.9%、「登録申請するつもりはない」が33.6%という内訳になりました。


登録申請済み理由「今後の事業への懸念が理由」が最多

 登録申請済みの理由としては、「登録しないと仕事が減りそうなため」という理由が37.4%と最も多く、今後の事業への影響を懸念していることがわかりました。次いで、31.3%が「消費税の課税事業者である/これから課税事業者となる予定だから」と回答しており、課税事業者であればインボイス登録に問題はないこともわかりました。また、「その他」の回答理由では、「登録しないと肩身が狭い」「取引先との消費税の押し付け合いになることを恐れた」などの後ろ向きな意見がある一方、「登録している方が新規契約を取りやすいため」といった、前向きな意見も挙げられました。


登録をしない理由「課税売上高が1000万円以下」が8割

 登録申請を「まだ決めていない」「するつもりはない」と選択した45.3%の回答者へは以下の質問もしました。

・登録申請するかどうか決めていない/登録申請しない理由

・登録申請しないことによる懸念はあるか

・インボイス導入後の経過措置について知っているか

・インボイス制度の導入後、今後についてどのように考えているか


 これまで年間売上が1000万円未満の免税事業者がインボイス制度に登録すると、課税事業者となり消費税を支払う義務が生じます。そのため課税売上高1000万円以下を理由に登録しないと回答した事業者は、免税事業者のまま事業を行うことを選択※しているという結果となりました。※アンケート回答時点


「消費税相当分カット」「契約打ち切り」を通達された事業者も

 取引先(請求書を受け取る側=買い手)から、「インボイス発行事業者の登録状況についての確認があった」と6割超が回答するも、6割は「登録を求められなかった」と回答。約75%は「インボイス発行事業者登録をしない場合の、契約条件や価格に関する交渉」の有無が「なかった」と回答するなど、取引先からの登録要請や契約交渉は多くないという結果となりました。一方で、「契約条件や価格に関する交渉があった」と回答した方に具体的な内容を伺ったところ、「消費税分の値引きを伝えられた」という声や、「契約を打ち切ると言われた」という事業への強い影響を及ぼす声も挙げられました。


仕入先への登録状況は6割が確認せず、4割が発行事業者でない場合の対応方法を決めていない

 自身が買い手側となった場合の仕入先(請求書を発行する側=売り手側)への対応についての質問も実施したところ、結果は以下の通りとなりました。


インボイス制度「中止して欲しい」が約7割

 「インボイス制度について、どのように考えるか」の質問に対し、「このまま進めて問題ない」と回答した人はわずか6.5%であった一方、69.7%が「インボイス制度を中止して欲しい」、10.8%が「景気が上向き売上があがるまで延期してほしい」と回答し、約8割がインボイス制度の導入に後ろ向きな意見を持っていることがわかりました。

◾️「インボイス制度を中止して欲しい」と回答した人の具体的な意見(一部抜粋)

・免税事業者なのに、インボイス制度の導入で消費税分が増税になるのは納得がいかない。


・インボイスを行うのに、この国はまだ早いと思う。せめて、行政の自動化、デジタル化をすすめ、可能な限り透明性があり納得感がある税の使い方を行ってからにすべき。


・誰にも分かりやすいのが税の基本なのに、複雑すぎて対応も難しい。小さな事業をやってる人たちが廃業すれば、消えてしまう文化も技術も沢山あると思う。


・インボイス制度自体は必要だと思うが、適格請求書発行事業者も免税される制度に変更してほしい


◾️「このまま進めて問題ない」と回答した人の具体的な意見(一部抜粋)

・自身も仕入れ先もすべて消費税納税事業者なので、何も変化はない。


・制度の施行は良いので、具体的に業務フローをレクチャーするセミナーなり、相談所を設けるべき。国の説明不足を感じる。

インボイス対応「特に何もしていない」が5割超

 「登録申請」以外で進めているインボイス対応についての質問では、56.3%が「特に何もしていない」と回答。次いで「インボイス登録番号を反映した請求書の作成」が24.3%という結果になりました。


 今回の調査は、インボイス制度開始直前の9月中旬に実施しましたが、7割近くが未申請であり、登録申請するかどうか決めていない・登録するつもりはない人も4割以上いるということがわかりました。また、約7割が制度導入を中止して欲しいと考えているなど、インボイス制度の導入には否定的な意見が多いことが判明。そのような状況下で施行された制度であるため、引き続き課題への対応が行われるなど動向が注目されていくでしょう。

 また、2024年1月からは電子帳簿保存も義務化されるため、多くの事業者はインボイス制度に加え、その対応にも追われることになります。個人事業主やフリーランスなどの小規模事業者の不安解消を進め、新たな制度へのスムーズな移行の後押しをしていくことが求められます。

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◆弁護士ドットコム株式会社についてhttps://www.bengo4.com/corporate/
本社:東京都港区六本木四丁目1番4号 黒崎ビル
設立日:2005年7月4日
資本金:460百万円(2023年6月末現在)
代表者:代表取締役社長 兼 CEO 元榮 太一郎
上場市場:東京証券取引所グロース市場
事業内容:「プロフェッショナル・テックで、次の常識をつくる。」をミッションとして、人々と専門家をつなぐポータルサイト「弁護士ドットコム®️」「税理士ドットコム®️」「BUSINESS LAWYERS®️」、契約マネジメントプラットフォーム「クラウドサイン®️」を提供

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業種
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本社所在地
東京都港区六本木4-1-4 黒崎ビル6F
電話番号
03-5544-8416
代表者名
元榮太一郎
上場
東証グロース
資本金
4億6000万円
設立
2005年07月