全米82万部のベストセラー! 全米図書賞受賞作家のタナハシ・コーツが初の長篇小説を刊行!
黒人がアメリカで生きる過酷さを描いたエッセイ『世界と僕のあいだに』で全米図書賞を受賞し、コミック原作を担当した『ブラックパンサー』は映画化され大ヒット。今最も注目されるアメリカの才能が、奴隷制をテーマに挑んだ初長篇小説が、新潮クレスト・ブックスから刊行された。
「黒人の肉体は自らの所有物ではない」「アメリカでは、黒人の肉体の破壊は伝統だ」など現代アメリカ社会の矛盾を、研ぎ澄まされた表現で抉ってきたジャーナリスト、タナハシ・コーツ。「アメリカにあって黒人であるとはどういうことか」を父が息子に語る形式で書いた『世界と僕のあいだに』(池田年穂訳)は、やや難解な内容にもかかわらず大ベストセラーとなり、全米図書賞を受賞。ノーベル賞作家トニ・モリスンからも「ボールドウィンの再来」と絶賛された。コーツはこの作品で作家としての評価を不動のものにした。
一方、コーツはヒップホップやアメコミといったサブカルチャーにも造詣が深く、原作を手がけたマーベルコミック『ブラックパンサー』がディズニーの伝説的CEOボブ・アイガー(当時)の目に止まり、映画化されて世界的大ヒット。同作ではアメコミらしい分かりやすいストーリーが展開され、黒人文化やそのルーツであるアフリカ文化がポジティブに描かれた。コーツはその後『キャプテン・アメリカ』の原作も手がけ、現在製作中の映画、黒人版『スーパーマン』でも脚本を務めるなど活躍の場を広げている。
こうした多彩な活動の延長線上に生まれたのが、本作『ウォーターダンサー』だ。絶望と希望、難解さとポップさというタナハシ・コーツの相反する個性がいかんなく発揮されている。
舞台は19世紀中盤のアメリカ・ヴァージニア州。黒人奴隷ハイラムは、美しい踊り手でもある奴隷の母と、奴隷主である白人の父とのあいだに生まれた。並外れた記憶力と祖母から受け継いだある神秘的な能力をあわせもつハイラムは、恋人と奴隷州から逃亡することを試みるが失敗。そこで黒人奴隷を逃すネットワーク「地下鉄道」の活動家に見出され、やがて自身もその活動に身を投じる。そして多くの奴隷たちの物語に触れるうち、自らの力の源である、失われた母の記憶を取りもどしてゆく――。
奴隷制や差別などテーマは重厚だが、映像的で、読者をぐいぐい引き込むエンターテインメント性がある。また、奴隷制という悲惨な歴史をそのまま描くのではなく、差別の背後にある、自分と他人を区別して優越しようとする人間の性(さが)を冷徹にみつめ、それにどう向き合い、克服していくべきなのかを問いかけているのも大きな特徴だ。
本書はオプラ・ウィンフリーが絶賛し、「ニューヨークタイムズ」のベストセラー1位を記録。すでに82万部を超えるベストセラーになっている。現代アメリカ文学を語る上でも欠かせない一冊になるはずだ。また本書はブラッド・ピットとオプラ・ウィンフリーが映画化権を取得。MGM、Plan B、Harpo Filmsによって製作が進んでいるという。
■推薦のことば
いしいしんじ(作家)
グース川に架かる橋から馬車ごと落下した黒人青年ハイラムは、未知の力に救われ、運命の手で人生の先へ運ばれる。新しい家族、伴侶。命を賭した使命。ニグロ・スピリチュアルとはなにか、はじめて、はらわたの奥深くのみこめた。読んでいる間、たえまなく歌を、吐息を、血と汗を全身に浴びた。循環する声に巻きこまれ、はるか遠い記憶をめぐり巡った。そうして僕は知った。ひとは、ひとを渡す橋になり得ると。物語と歌こそ、その建材だと。橋の上ではいつも、青い光に包まれ、なつかしい誰かが水の踊りをおどっているのだと。
トニ・モリスン Toni Morrison(作家、ノーベル文学賞・ピュリッツァー賞ほか受賞)
ジェームズ・ボールドウィン亡きあと、私を苛んできた知的空白を埋めてくれるのは誰だろうとずっと思ってきた。それは、明らかにタナハシ・コーツだ。
オプラ・ウィンフリー Oprah Winfrey(アメリカの超人気司会者)
人生で読んだなかで最高の本の一冊。私は魅了され、打ち砕かれた。希望を感じ、感謝を感じ、喜びを感じた。タナハシ・コーツは素晴らしい作家だ。
■著者紹介
Ta-Nehisi Coates(タナハシ・コーツ)
1975年、メリーランド州ボルティモアに生まれる。名門ハワード大学に入学するが、作家を志して中退。その後、ジャーナリストとしての活動を開始し、「アトランティック」誌の全米特派員を務める。同誌のカバーストーリー「賠償請求訴訟」によって、いくつもの賞を受け、ジャーナリストとしての地位を固める。2015年の『世界と僕のあいだに』は大ベストセラーになり、全米図書賞を受賞。ピュリッツァー賞、全米批評家協会賞でもファイナリストになる。マッカーサー基金の「天才奨学金」を授与される。その他の著書に『美しき闘争』『僕の大統領は黒人だった』など。本作が初の小説。現在は、妻、息子とともにニューヨーク市在住。
■書籍データ
【タイトル】ウォーターダンサー(新潮クレスト・ブックス)
【著者名】タナハシ・コーツ
【訳者名】上岡伸雄
【発売日】9月28日
【造本】四六版・クレストカバー
【本体定価】3080円(税込)
【ISBN】978-4105901745
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/590174/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像