バイオLNG燃料を使用した自動車船の運航開始
~2050年ネットゼロ・エミッション実現に向けた重要なマイルストーン~
株式会社商船三井(社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「当社」)が運航するLNG燃料自動車船CELESTE ACE(読み:セレステ エース)は、3月16日(日)にベルギーのゼーブルージュ港において、Titan Supply B.V.(読み:タイタン サプライ ビーブイ、社長:Niels den Nijs 、本社:オランダ アムステルダム、以下「タイタン社」)より約500トンのバイオLNG燃料(註1)の供給を受けました。本船は、邦船社が運航する外航船として初めてバイオLNG燃料を使用します。
今回タイタン社より供給を受けたバイオLNG燃料は、燃料の製造から消費までのライフサイクルベースで炭素強度(エネルギー消費当たりの二酸化炭素排出量)がゼロ以下となるものであり、EU(欧州連合)域内が対象のISCC―EU認証(国際持続可能性カーボン認証、註2)を取得しています。

LNG燃料は、従来の燃料油に比べて二酸化炭素(CO2)の排出量を約25%削減する効果が見込めますが、カーボンニュートラルも実現可能な廃棄物や残渣由来のバイオLNG燃料を使用する事で更なるCO2削減効果が望めます。また、LNG・バイオLNGともに主成分はメタンであり、輸送や消費に関わる既存のLNGサプライチェーンを活用できるため、船舶運航における脱炭素化に向けた有効な手段となり得ます。
タイタン社 代替燃料セクター ディレクター Caspar Gooren氏コメント
「今回のバイオLNG燃料の供給は、昨今の国際海運の脱炭素化における液化バイオメタン(LBM)の重要性とその役割の拡大を強調しています。脱炭素化に貢献するLBMの需要は拡大しており、また商業的な観点でも実用可能性が高く、既存のLNGサプライチェーンを活用できる点において、LBMは船主や運航者にその実用性を示しています。MOLのような世界的な海運リーダーがLBMを商業的に支持することで、クリーン燃料への移行がますます進んでいくことを期待しています。」
当社 燃料GX事業部長 漆谷コメント
「当社は2050年までのネットゼロ・エミッション達成に向け低・脱炭素化を進めており、「クリーン代替燃料の導入」戦略として、アンモニアや水素燃料の導入を検討しています。一方で、早期の低炭素化に向けては、LNG燃料船の導入が有効である為これを推進すると共に、バイオLNGや合成LNGの早期利用を目指した取り組みを進めています。今回、タイタン社との協業により、海運業界のクリーン代替燃料導入促進をリードするバイオLNGの利用を開始でき、喜ばしく思います。2050年ネットゼロ・エミッションを実現するため、引き続き積極的にクリーン燃料の導入に取り組んで参ります。」
当社グループは、経営計画「BLUE ACTION 2035」の環境戦略に基づき、クリーン燃料の導入を進め、2050年のネットゼロ・エミッションを目指しており、今回の取り組みはその重要なステップとなります。ゼロエミッション燃料に関する技術や供給網・ルールが確立するまでの間も、足元から取り組める低炭素燃料であるLNGおよびバイオLNGの利用を促進していきます。
(註1) バイオLNGは、液化バイオメタン(LBM)とも呼ばれており、バイオガスを精製して液化したものです。成長過程で大気中のCO2を吸収しているバイオマスを原料とするため、製造から消費までのサイクルを通してカーボンニュートラルと見做すことができます。さらに、本来有機廃棄物から大気に放出されるメタン(CO2の約28倍の温室効果を持つ)を回収し、燃焼することによってメタンの大気中への放出を防ぎ、温室効果ガスの排出量をネガティブにすることができます。
(註2) ISCC―EU認証(国際持続可能性カーボン認証)とは、バイオマスや廃棄物を原料とする持続可能な燃料について、その持続可能性と温室効果ガス排出削減基準がEUの法的要件を満たしていることを証明するもので、欧州再生可能エネルギー指令(RED II)によって定められています。
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