受診する患者さんがセクシュアリティに伴う不安を抱えずに治療を受けられるように。多様な性のあり方に配慮した「SOGI相談窓口」を順天堂医院が開設
順天堂大学医学部附属順天堂医院(院長:髙橋和久)は、LGBTQsをはじめ多様な性的指向・性自認(SOGI*1)を有する方たちの受診・入院に伴う相談窓口として、院内に「SOGI相談窓口」を開設しましたので、お知らせします。
当事者の方が安心して相談できるよう、レインボーバッジをつけたアライ(Ally:LGBTQsなど性的少数者への支援者や理解者であることを示す)の医師と看護師が相談窓口で対応するとともに、不安を抱えたまま治療が始まることがないよう、アライの職員を中心に各診療科との協力体制も整備しています。
*1 SOGI:SOGIとは「Sexual Orientation & Gender Identity」の頭文字を取ったもので、すべての人が持つ性的指向・性自認を表す言葉です。
「SOGI相談窓口」開設の背景
病院の受診など医療に関わる場面は、LGBTQs当事者の方が困難に直面する状況のひとつと言われている一方で、医療現場においては、このような当事者の方たちが受診・入院することを想定した環境整備がいまだ不十分であるのが現状です。医療現場でよく見られるやり取りとして、受付での保険証提示や待合室で名前を呼ばれる場面、問診における異性愛を想定した言葉かけなどがありますが、医療者が何気なく行っているやり取りに傷ついたり、苦痛を感じる当事者の方は多く、それが受診をためらわせる大きな要因にもなっています。2020年5月に日本でトランスジェンダーの方を対象に行われた調査*2では、約半数(48.1%)の人が風邪、けが、体調不良時に医療機関の受診をためらったことがあると回答しています。その結果、治療が遅れてしまう事態も生じてしまうことから、医療現場において多様な性のあり方に配慮し、誰もが受診しやすい環境づくりを行うことが不可欠です。
順天堂医院では2021年5月にワーキンググループ(リーダー:武田裕子教授、副リーダー:川﨑志保理先任准教授)を立ち上げ、職員への研修を進めてきました。これまでに職員有志93名が研修を受講し、アライであることを示すレインボーバッジを身につけています。今回新たに開設した相談窓口における対応や、診療科との連携を担っているのも研修を修了したアライの職員です。
*2 「GID/GD/トランスジェンダーの当事者の医療アクセスの現状」(発行:TRanS、名古屋市立大学大学院看護学研究科国際保健看護学)
「SOGI相談窓口」とSOGIに配慮した「診療支援外来」
LGBTQsをはじめ性的少数者といわれる方々が受診をためらう現状がある中、順天堂医院では、ワーキンググループが中心となり、受診に際し当事者の方が感じる心理的な負担を減らすための取り組みの一つとして「SOGI相談窓口」を開設しました。相談窓口では、順天堂医院を受診する患者さんやそのパートナーを含むご家族の方が、通院・入院にあたりセクシュアリティに伴う不安を抱えずに治療が受けられるよう、アライの医師・看護師が対応します。
性別移行に関する医療体制は現時点では今後の検討課題となっていますが、性的少数者の方々にとって受診をためらいがちな診療科を中心に、SOGIに配慮した「診療支援外来」への紹介を行うなど、院内の各診療科と連携が取れる体制を構築しています(対象7診療科:総合診療科、泌尿器科、メンタルクリニック、小児科、産科・婦人科、形成外科、乳腺科)
- 開始時期:2021年11月1日(月)
- 受付時間:月曜日 13:30~16:30 ※医師のスケジュールが合えば随時対応(退院時相談など)
- 場所:順天堂医院1号館2階2C メディカル・コンシェルジュ内「SOGI相談窓口」
- 担当医師:武田 裕子 ※アライの看護師が同席します。
- 相談料:無料
- 順天堂医院の診察券IDをお持ちの方、及びその方が同伴されるパートナーを含むご家族を対象とします。
多様な性のあり方に配慮した病院づくりを進めています
順天堂医院では、以前から、同性パートナーも家族と同様に面会いただいたり、代諾者として同意書等に記載して頂く体制をとっています。2021年5月には、さらにLGBTQsをはじめ患者さんの多様な性のあり方に配慮した院内環境づくりの一環として、職員の有志を募りワーキンググループを立ち上げました。多目的トイレにレインボーシールを貼り、アライの職員を増やす研修も当事者の方を招いて8月より開始しています。
当事者の方々の声をもとに、病衣や検査着の色の種類を増やして自由に選択できるようにしたり、ご希望に沿ったお名前でお呼びできるように、電子カルテで共有する取り組みを始めました。今後、性別の非表示なども対応できるよう検討を進める予定です。
研修を修了してレインボーバッジを付けた職員がいる総合受付には、レインボーフラッグを設置しています。今後、アライの医師や看護師、コメディカルをさらに広げるため、研修会も継続して実施していく予定です。
「SOGI相談窓口」担当で研修会を企画した武田医師のコメント
SOGIを理由に医療機関受診をためらう方は少なくなく、健康格差の原因になっています。誰もが何の不安もなく医療を受けられるのが本来の姿です。将来的にはバッジもフラッグも必要のない社会になってほしいと願っています。私たちの取り組みは、それに近づく一歩として捉えています。まだまだこれからですが、相談窓口に寄せられるご意見やご希望をもとに、取り組みの充実を図っていきたいです。
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プレスリリース:順天堂医院が研修を実施、受講した職員に「レインボーバッジ」を交付(2021年10月28日)
URL:https://www.juntendo.ac.jp/news/20211028-01.html
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