「能登半島地震・豪雨」 被災した子育て世帯1,460世帯にアンケート:調査震災から2年経過も、子どもの生活へのマイナス影響が続く世帯は6割超
子どものこころのケア、居場所づくり、経済支援継続を石川県教委や政府へ提言
子ども支援専門の国際NGO公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(理事長:井田純一郎、本部:東京都千代田区、以下セーブ・ザ・チルドレン)は、2024年1月1日に発生した能登半島地震および同年9月の奥能登豪雨で被災した子育て世帯に対し、進学や就職を控える子ども・子育て世帯の災害による経済的負担軽減を目的として、返済不要の給付金を提供する「能登子ども給付金~卒業・新入学サポート2025~」を実施しました。
同事業の給付認定世帯を対象に、災害による子どもの生活やこころ、また家計などへの影響に関するアンケート調査(以下、本調査)を実施し、保護者などから1,460件の回答※を得ました。本日5月13日(水)に、調査結果および、「子どものこころのケア」「子どもの遊びや学びの環境の整備」「被災した子育て世帯への経済的支援の拡充」といった提言をまとめた報告書を、石川県教育委員会に提出しました。 ※回答は任意
本調査では、能登半島地震から約2年が経過してもなお、子どもたちのストレスや居場所不足が続いていることが明らかになりました。家計面でも回復が進まない世帯が多く、災害によって生じた子どもや保護者への精神的・経済的負担は継続しています。
今後は能登地方の5 市町(七尾市、穴水町、能登町、珠洲市、輪島市)や、こども家庭庁などの関係省庁にも報告書を届け、支援制度の改善などを働きかけていくとともに、現地での活動を継続していきます。
【アンケート調査結果】
https://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/notosupport_2025.pdf
■調査結果のハイライト
➢能登半島地震・奥能登豪雨により、子どもの生活にマイナスの影響が残っていると回答した世帯は約64%(グラフ1)。具体的には、 「子どものストレス(災害への怖さなども含)がたまっている」が最多(49.4%)。
➢家計状況について、赤字の世帯が被災前と比較し、約4倍の水準に増加(グラフ2)。
2024年調査時と比較し、家計が赤字の世帯の割合は概ね同様であった。
➢学校のグラウンドでの仮設住宅設置、体育館などの損壊により、子どもたちの居場所が減少し、運動や遊び、また学びや体験の機会が制限されることへの影響を心配する意見が多数見受けられた。また、通学路・学校施設など生活環境における安全確保を求める声も目立った。
➢子ども以外に関する意見では、自宅の被災による住宅費用にかかる経済的負担の悩みが非常に多かった。道路などのインフラの早期復旧や整備、公的制度・支援に対して是正を求める意見も目立った。
■国・県・関連自治体への提言内容(主な3ポイント)
➢子どものこころのケアの継続的な機会の確保、転校時も支援が途切れない広域連携の検討
➢学びの環境の早期復旧、遊び・体験の継続を支える環境整備および人的・財政的支援の必要性
➢被災した子育て世帯への経済的支援の実施、今後の災害に備えた既存の公的支援制度の要件緩和や見直し


<調査結果をふまえた国・県・自治体への提言>
1.子どものこころのケア
本調査では、子どものこころのケアについて、継続的な支援をさらに強化する必要があることが確認された。
2026年度も石川県はスクールカウンセラーの増員を計画しているが、子ども自身が災害によるストレス反応に適切に対処できるよう、学校教育や地域の居場所を通じて、継続的にこころのケアに取り組む時間や機会を確保することが求められる。また、周囲の大人に対しても、災害の影響を受けた子どもへの対応に関する理解を深める研修機会の提供が重要である。
国に対しては、中長期的な取り組みとして、上記のような枠組みをD-EST(被災地学び支援派遣等枠組み) に追加することや、転校によって被災した子どもへの支援や適切なこころのケアが断絶されないよう、広域での県・自治体・学校間による協力体制の仕組みについて、早期に検討を開始することを求めたい。
2.遊びや学びの環境の整備
子どもたちの居場所や遊び場が十分に確保されていない状況が現在も続いていることが明らかとなった。
学びの面では、道路環境や学校施設の改善を求める声が多く、スポーツや文化活動においても近隣施設の利用制限により、保護者の送迎や経済的負担が生じていることが浮き彫りとなった。子どもたちの育つ権利、学ぶ権利、遊ぶ権利を確保するため、県や自治体による居場所の早期復旧・拡充や施設修繕に加え、国による人的・財政的支援が必要である。
3.被災した子育て世帯への経済的支援
災害を契機とした家計の悪化や住宅再建の負担を背景に、子どもが希望する進路を変更せざるを得なかったり、就職・進学の選択肢が限られたり、進学を断念する状況が生じていることが明らかとなった。子どもたちが望む進路を選択できる環境を整えるためには、子育て世帯の家計状況の改善が重要である。
国および県は、一部損壊を含む被災した子育て世帯に対し、現金給付などの経済的支援を早急に行うべきである。さらに今後の大規模災害に備え、罹災区分によらない支援制度の要件緩和や就学・進学支援の拡充を進めるとともに、防災庁設置を契機とした関係省庁の連携強化により、災害時の子ども支援を横断的に推進する体制の構築が求められる。

<セーブ・ザ・チルドレン概要>
1919年に英国にて創設。日本では1986年にセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが設立しました。2024年1月の能登半島地震の発災を受け、被害の大きかった地域のうち、石川県七尾市、穴水町、能登町、珠洲市、輪島市で緊急支援活動を実施。子どもたちや保護者のニーズにもとづき、避難所で緊急物資の提供や災害時の子どもの居場所「こどもひろば」を実施したほか、学校などへの備品支援や給食補食支援、放課後児童クラブ(学童保育)支援員向けに子どものための心理的応急処置研修を行うなど、これまでに1万8,000人以上の子どもや大人に支援を届けました(2025年12月時点)。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
