Hacobu、2025年物流キーワードと2026年予測のBEST3を発表
〜物流領域の関心事は「2026年問題」など法改正対応が1位に〜

データの力で物流課題を解決する株式会社Hacobuは、運営する物流業務改善メディア「ハコブログ」における、2025年の年アクセスランキングTOP10を発表します。上位10記事のうち6記事が法規制・法改正に関連する記事となり、物流領域における法対応への関心の高さが浮き彫りになりました。
一方で、3位には「物流体制の再構築」に関する課題解決記事、8位と10位には物流の新技術や業界全体の動向を扱う「業界動向」記事がランクインし、法対応を契機とした実践的な物流改革への関心の高まりも明らかになりました。
また、先述のアクセスランキングTOP10と業界動向を参考に、「2025年、物流領域を象徴するキーワードBEST3」 と、「2026年、物流領域で起こるトレンド予測BEST3」を選出しました。
2025年ハコブログ アクセスランキングTOP10

2025年、物流領域を象徴するキーワードBEST3

1. 取適法(下請法)への荷主の対応
従来から施行されている下請法に加え、改正下請法である取引適正化法(取適法)の施行が2026年1月に控えています(適用基準あり)。取適法では、運送委託も法律の規制範囲に含まれ、運送契約書面(四条書面)の作成・交付が必須となります。運賃や作業内容、支払条件などを明記することで、取引の透明性が向上します。ランキング6位と7位にこれらの記事がランクインしたことは、多くの荷主企業が実務対応に追われている証といえます。2025年、公正取引委員会が物流事業者に対し下請法違反で勧告を複数件おこなっており、法令順守の重要性は一層明確になりました。
2.「2026年問題」への準備が本格化
物流領域全体で深刻化するドライバー不足に対応するため、2025年4月に改正物流効率化法が施行されました。これにより、全ての荷主企業に対して、荷待ち・荷役時間の短縮が努力義務として課されています。さらに2026年4月以降、年間取扱貨物重量が9万トン以上の「特定荷主」には、荷待ち・荷役時間の削減に関する中長期計画の作成と、定期報告の提出が法的義務として課されます。アクセス数の増加は、荷主企業の制度対応に関する具体的な情報への関心が高まっていることが分かります。
3. 法対応を物流改善の「好機」に
3位にランクインした「物流体制の再構築を成功させる3つのステップ」は、法令順守だけではなく、法対応を契機とした抜本的な物流改革を志向する企業が増えていることを示しています。「トラック予約受付サービス導入」「共同輸配送」「物流ネットワーク再構築」など、攻めの物流戦略への関心が高まっています。法規制への対応が、物流効率化と競争力強化の「好機」として捉えられ始めています。
2026年、物流領域で起こるトレンド予測BEST3

予測① 物流を「経営アジェンダ」として捉える重要性が高まる
2026年4月に特定荷主への規制が本格化する中、物流は「現場任せ」ではなく、経営アジェンダとして捉えることが求められる領域へと大きく転換します。法規制の強化やコスト上昇により、物流戦略が企業の競争力を左右する重要な経営課題となる一方で、法令順守自体を目的化した「先ずは法対応」の姿勢を取る企業も増加すると予想されます。物流統括管理者やCLO(Chief Logistics Officer)を設置し、サプライチェーン全体を俯瞰してデータドリブンで意思決定できる体制を構築する企業は、物流コストの可視化と法令順守体制を組織的に推進できます。一方、物流統括管理者やCLOの設置に限らず、物流を横断的に捉え、データをもとに意思決定できる役割や仕組みがない場合、計画と実態が乖離して現場の混乱を招いたり、意思決定が遅れて運送事業者から敬遠されるリスクが高まります。法対応を「負担」ではなく「改善の好機」として捉え、経営の中核に据えられるかどうかが、2026年以降のサプライチェーン全体の競争力格差として顕在化していくでしょう。
予測② 物流コストの上昇は不可避。荷主主導の改善が競争力を生む
ドライバー不足や働き方改革、燃料費の高騰により、2026年以降も物流コストの上昇は避けられません。改正物流効率化法による荷待ち・荷役時間の削減義務化や、取適法による運賃明示の徹底など、法規制の強化も運賃水準の適正化を後押しします。物流の実態を十分に把握できていない場合、コスト増加の要因が見えず、運賃交渉の余地が狭まったり、契約見直しへの対応が後手に回るリスクがあります。一方、荷待ち・荷役時間や輸送効率をデータで可視化し、自社起因のムダを把握している企業は、改善提案を運送会社に示すことで、運賃上昇を抑制しながら運送品質を維持できます。さらに、データに基づく物流改善実績を持つ荷主企業は、運送事業者から「一緒に働きやすいパートナー」として優先的に選ばれ、運べなくなるリスクも低減します。コスト増を受け身で受け入れるのではなく、自ら改善をリードできるかが、2026年以降の物流調達力と競争力の分岐点となるでしょう。
予測③ 生成AIの活用可否で、現場の生産性にギャップ
HacobuがLOGISTICS TODAYと共同で実施した「物流×AI活用の実態調査」では、現在AI技術を活用している物流企業は約3割にとどまる一方で、導入意欲を持つ企業は9割を超えることが明らかになりました。この調査結果が示すように、2026年、生成AIをはじめとするAI技術が、一部の先進企業だけでなく、中堅・中小の物流事業者や荷主企業にも広がりはじめる年になりそうです。データ分析、需要予測、配車最適化、ドキュメント自動生成など、AI活用を推進する企業が増加し、人手不足を補う存在として、現場業務の効率化と意思決定の高度化が進みます。荷待ち・荷役時間のデータから改善ポイントを自動抽出したり、過去の輸送実績から最適な配車計画を提案したり、法令対応に必要な報告書類を自動生成したりと、AIが日常業務に組み込まれていきます。一方で、AI活用をしない企業との生産性に大きなギャップが生じることとなります。AI導入企業は少ない人員で高い業務効率を実現する一方、未導入企業は人手不足の深刻化と業務負荷の増大に直面し、パートナーからの評価や採用競争力にも差が生まれる恐れがあります。
Hacobu Strategy Director 小林 一幸コメント
2026年は、物流統括管理者やCLOの設置や中長期計画の作成といった法対応に各社の意識が向くと思います。ただし、国への提出書類を整えること自体が目的になるのではなく、これを契機として自社の物流のあり方を見直し、持続可能な体制づくりに取り組むことが重要になります。物流費の上昇、運べなくなるリスクの上昇は継続しており、「ウチは大丈夫」と思っていると、ある日突然運べなくなるという事態が起きかねません。2026年は、物流の取り組み方が、結果として企業の競争力や事業継続性に影響を及ぼす転換点となる年になると考えています。

株式会社Hacobu Strategy Director 小林 一幸
大手コンサルティングファームにて、20年間にわたって運輸・物流分野のコンサルティングに従事し当該分野をリード。持続可能な物流の実現に向けて、官公庁の法制度整備、民間企業連携による物流共同化、物流体制再構築、オペレーション改革、物流DX、SCM改革などについて、戦略・計画の策定から実行までを幅広く支援している。2022年より上智大学非常勤講師。
2025年ハコブログ アクセスランキングTOP10
1位:【2025年6月成立】貨物自動車運送事業法の改正内容の要点を解説
https://hacobu.jp/blog/archives/5548
2位:特定荷主に迫る物流の「2026年問題」と、2025年にすべきこととは?
https://hacobu.jp/blog/archives/4783
3位:物流体制の再構築を成功させる3つのステップ|内部・外部の最適バランスを見直す方法を解説
https://hacobu.jp/blog/archives/5721
4位:改善基準告示とは?荷主として1日13時間ルールを理解し、対策しよう
https://hacobu.jp/blog/archives/2574
5位:実運送体制管理簿とは | 作成義務化の背景や対象、要件、項目などを解説
https://hacobu.jp/blog/archives/3234
6位:物流特殊指定とは?下請法との違い、違反事例や罰則、企業の対応策について解説
https://hacobu.jp/blog/archives/5749
7位:下請法 三条書面(新:取適法 四条書面)とは?物流における重要性やメリット、記載事項を解説
https://hacobu.jp/blog/archives/6209
8位:ドローン配送とは|6つのメリットと3つのデメリット・抱える課題も解説
https://hacobu.jp/blog/archives/3260
9位:【2025年版】物流が抱える課題とは?15の課題や行政の取り組み、改善策
https://hacobu.jp/blog/archives/1379
10位:【2025年版】物流領域を取り巻く状況とは?
https://hacobu.jp/blog/archives/3121
ハコブログについて
物流業務改善に特化したオウンドメディアとして、法規制解説、業界動向分析、DX事例、実務ノウハウなど、物流領域に役立つ情報をタイムリーに発信しています。
株式会社Hacobuについて
クラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」シリーズと、物流DXコンサルティング「Hacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)」、システムインテグレーション&AI導入支援「Hacobu Solution Studio(ハコブ・ソリューションスタジオ)」を展開。6年連続シェアNo.1(※1)のトラック予約受付サービス「MOVO Berth」、動態管理サービス「MOVO Fleet」、配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」、AI発注・輸送最適化サービス「MOVO PSI」などのクラウドサービス、ドライバーの働き方を変えるスマホアプリ「MOVO Driver」の提供に加え、物流DXパートナーとして企業間物流の最適化を支援しています。https://hacobu.jp/
※1 出典 デロイト トーマツ ミック経済研究所『スマートロジスティクス・ソリューション市場の実態と展望【2025年度版】』https://mic-r.co.jp/mr/03650/ バース管理システム市場のベンダー別拠点数。本調査に参加した国内主要システム6社の拠点数合計をシェア100%とした場合のシェア
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