シーバスリーガル、ペリエ ジュエ等世界トップブランドを傘下におさめる洋酒メーカーペルノ・リカール グループ 2024/25の業績結果発 表厳しい環境のもと、機動性や規律、確固たる戦略をもって舵取り
売上高の有機的成長率は3%減(決算発表ベースでは5.5%減) 継続事業からの営業利益(PRO[※1])の有機的成長率は0.8%減(決算発表ベースでは5.3%減)

ブランド訴求力や持続可能な長期的成長への投資を行い、営業利益率は有機的成長が続く
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2025年6月期の売上高は3%減となりました。中国、米国、グローバル免税小売アジアが商品ミックスにマイナスの影響を及ぼしたものの、多くの市場では堅調な成長に向けた底堅さを示し、大半でシェアを拡大または維持しました。
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引き続き数量は回復し(2%増)、6四半期連続で数量成長がみられました。
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2025年6月期の営業利益率は、64bpsの有機的拡大を遂げました。2023年6月期から2025年6月期にかけて行われた9億ユーロの効率化プログラムが完了したことや、厳格な費用規律が奏功したことが要因として挙げられます。
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マイナスの為替影響にもかかわらず、決算発表ベースの営業利益率は横ばいとなりました。
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フリーキャッシュフローは11億ユーロ(18%増)となりました。営業運転資本の厳格な管理によって、キャッシュコンバージョンが大幅に改善したことが大きな要因です。
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持続可能な長期的成長のために設備投資と戦略的在庫へ12億ユーロを投じました(投資額は2024年6月期がピーク)。同時に、ワインおよびインペリアル・ブルー[※2] 事業売却を含む積極的なポートフォリオマネジメントを継続しています。
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配当[※3]については、2024年6月期と同様の1株当たり4.70ユーロを提案しております。
※1 継続事業からの営業利益。 ※2 規制当局の承認を条件とする。 ※3 2025年10月27日の年次株主総会での株主承認を条件とする。
売上
2025年6月期の売上高は109億5,900万ユーロで、有機的成長率は3%減(決算発表ベースでは5.5%減)となりました。主にトルコ・リラ、アルゼンチン・ペソ、インド・ルピーによるマイナスの為替影響は2億7,700万ユーロでした。
ペルノ・リカール・ジャパンの業績
アジア各国の中でも特に日本はマーケットシェアを伸ばし、一桁台半ばの成長を達成しました。
地域別:
● 北米、南米地域:3%減
o 米国:6%減。スピリッツ市場(レディ・トゥ・ドリンク(RTD)を含む)は若干の成長をみせたものの、弱含みの消費者心理や経済成長鈍化の影響を受ける。迅速な計画実行により市場とのギャップは縮小。
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計画実行を重視してブランドへの投資を強化したことで、セルアウト数量および価値ベースにおける市場とのギャップは改善が続いています。
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ジェムソン、アブソルート、カルーアはそれぞれ競合と比較して堅調となっています。中でもジェムソンは4~6月期(第4四半期)に大幅に改善し、プラスのセルアウトを記録しました。
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計画実行の能力に合わせ、またその能力を向上させるように販路の修正を行い、これを夏シーズンに実装しました。
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関税の不確実な状態が長引いたことが年度末の流通業者の在庫レベルに影響を与え、在庫調整は2026年6月期まで続くと予想されます。
o カナダ:特にジェムソン、ブンブ―、ザ・グレンリベットおよびRTDが好調で、堅調な成長を記録し、市場シェアを拡大しました。
o ブラジル:ビーフィーター、ローヤルサルート[AK1] 、シーバスリーガル、アブソルートなどの戦略的インターナショナル・ブランドが牽引し、堅調な成長を記録して市場シェアを拡大しました。
o メキシコ:ウイスキーの市場シェアを拡大したものの、1桁台前半のマイナスとなりました。
● アジアおよびその他地域:4%減
o インド:6%増、堅調な消費者需要とプレミアム商品を嗜好するトレンドが下支え。
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旺盛な消費者需要に支えられ、広範にわたり好調な業績を記録しました。
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プレミアム商品が好調だったことで売上は8%増となりました(インペリアル・ブルーを除く)。
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ロイヤル・スタッグは2桁成長を遂げました。
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戦略的インターナショナル・ブランドが2桁台の成長を記録しました。中でもジェムソンの業績は引き続き堅調で、インドにおいて第1位の輸入酒ブランドとなりました。またペルノ・リカールにとって、インドは数量でジェムソン第2位の市場となりました。
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インペリアル・ブルーの売却により、利益と成長が即時に拡大することが予想されます。[※4]
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マハラシュトラ州における物品税に係る変更は、2026年6月期、特に7~9月期(第1四半期)にマイナスの影響を与えることが予想されます。
[※4] 規制当局の承認を条件とする。
o 中国:21%減。厳しいマクロ経済状況と消費センチメントの低迷が続き需要に影響。
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マーテルおよびスコッチブランドの売上が減少しました。
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ジェムソン、アブソルート、オルメカなどのプレミアムブランドは高い成長を遂げました。
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拡大する中産階級において、高級酒の浸透が進みました。
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第4四半期における軟調な消費者需要と反ダンピングに関する調査結果の予測が相まって、年度末には流通業者の在庫過多となりました。
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したがって、第1四半期には大幅減となることが予想されます。
o 韓国と台湾市場においては、マクロ経済情勢の厳しさにより大幅減となりました。
o トルコにおいては、シーバスリーガルとバランタインが牽引して非常に高い成長を遂げました(有機的および決算発表ベースともに)。南アフリカではマーテルとジェムソンにより、堅調に成長しました。両市場ともにシェアを拡大しました。
o オーストラリアは1桁台半ばの成長を遂げ、市場シェアを拡大しました。
● 欧州:2%減(ロシアを除く欧州は横ばい)、底堅い売上。
o 東欧においては特に活況を呈しましたが、西欧ではフランスがプラス成長、ドイツとスペインでマイナス成長となりました。
o 市場シェアはフランスとドイツで拡大、英国は横ばいでした。
o ブンブー、ジェムソン、シーバスリーガル、バランタイン、ペリエ ジュエ、アルトスなどのブランドは堅調な業績を記録しました。
● グローバル免税小売:13%減。中国免税におけるコニャック販売再開の予想から、見通しは徐々に改善。
o 2024年12月以降、中国免税におけるコニャック輸入停止が大きく影響し、通期の有機的成長はマイナスとなりました。
o アジア地域は韓国と台湾市場の低迷からマイナスの影響を受けました。
o その他の地域、特に欧州と北米・南米はプラスの成長となりました。
o ベースとなる数値が高いことで第1四半期には大幅に落ち込むとみられるものの、第2四半期には中国免税におけるマーテル販売再開の恩恵があると予想されます。
o グローバル免税小売は2026年6月期に成長軌道に戻ることが予想されます。
カテゴリー別:
● 戦略的インターナショナル・ブランド:4%減
o ジェムソンはグローバルで1桁台前半の伸びをみせました。大半の地域で堅調な伸びをみせ、米国では安定した売上を記録した一方で、西欧では減少となりました。
o マーテルは安定した市場シェアではあるものの、中国で大きく落ち込みました。南アフリカではプラス成長となりました。
o アブソルートはドイツが要因となり西欧ではマイナス成長となりましたが、それ以外の全地域で伸びをみせました。
o スコッチウイスキーの各ブランドは、米国、ドイツ、韓国、台湾市場が要因となり、わずかにマイナスとなりましたが、その他の市場では幅広くプラスとなりました。
● 戦略的ローカルブランド:2%増
o シーグラムのウイスキー、特にロイヤル・スタッグに力強い伸びがみられました。
o 米国ではカルーア、アフリカ、東欧、中国ではオルメカが堅調な伸びを記録しました。
● スペシャルティブランド:7%減
o ブンブーは欧州全般およびカナダ市場で非常に堅調な伸びをみせました。
o 日本においてはザ・ディーコンが、西欧と米国においては セント マルガリートが堅調でした。
o アベラワーは米国および台湾市場が要因となり減少しました。
o リレはドイツでの減速によりマイナスとなりました。
● RTD:7%増。ブランド全般で堅調な成長
利益
2025年6月期のPROは29億5,100万ユーロで、有機的成長率は0.8%減(決算発表ベースでは5.3%減)。
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売上総利益率は、価格/商品ミックスにマイナスの影響を受けた一方で、売上原価(COGS)効率化プログラムの恩恵を受けました。
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広告・販促費の売上高比率は約16%でした。成長機会を最大限にするためにマーケティング資源に大幅な配分を行いました。
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一般管理費に関しては、厳しい規律によって継続的な改善がみられ、有機ベースで4%減となりました。
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営業利益は為替と周辺のマイナス影響を受けました。トルコ・リラ、ナイジェリア・ナイラ、インド・ルピー、英国・ポンド、アルゼンチン・ペソなどの為替の影響がマイナス1億1,200万ユーロ、クラン・キャンベルやベヘロフカのブランド売却などの周辺の影響がマイナス2,900万ユーロとなります。
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決算発表ベースにおける継続事業からの営業利益の減少は、主に為替換算によるマイナスの影響に関連するものです。
グループに帰属する純PROは18億2,900万ユーロとなり、9%減少しました。継続事業にかかる金融費用が増加し、負債コストは平均3.2%となりましたが、継続事業にかかる法人所得税はPROに伴い減少しました。
グループに帰属する純利益は、一過性の費用が2024年6月期と比べて大幅に減少したため、16億2,600万ユーロと10%増加しました。一過性の費用については、事業再編、昨年度に行ったワイン事業の減損計上の翌期であること、カルーアの減損戻入れなどが影響しています。
1株あたり利益(EPS)は8%減の7.26ユーロとなりました。これは主に為替によるマイナスの影響と、金融費用の上昇によるものです。
フリーキャッシュフローおよび負債
フリーキャッシュフローは、11億3,300万ユーロとなりました(前年度から1億7,000万ユーロ増加)。これは、製品在庫の最適化などにより営業運転資本が改善したためです。戦略的な在庫投資および設備投資は2024年6月期をピークとして減少していますが、長期的成長を見据えた投資は継続して行なっています。2026年6月期には、戦略的投資は9億ユーロ弱となる予定です。
純負債は前年度から2億2,400万ユーロ減少して107億2,700万ユーロとなりました。フリーキャッシュフローの好転と米ドル安によるプラスの為替インパクトがあったためです。EBITDAに対する純負債比率は、平均3.3倍[※5] となりました。これは主に、PROに対する為替のマイナス影響によるものです。
配当につきましては、2024年6月期と同水準の1株当たり4.70ユーロを提案しております(2025年10月27日の年次株主総会での株主承認を条件とする)。
[※5] 平均EUR/USDレートを1.088としたレートに基づく。
戦略的目的について
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魅力的で長期にわたる業界での基盤。
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広範かつ多様な地域における事業展開。
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プレミアム・スピリッツにおいて、最も包括的なインターナショナル・ブランドで構成されるポートフォリオの積極的なマネジメント。
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米国以外のプレミアム・プラス・スピリッツ分野におけるリーダー、多くの市場における一貫した市場シェア維持あるいは拡大。
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広告・販促費の売上高比率約16%でブランドへの投資を継続、費用対効果の最大化。
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営業利益率の有機的成長の実績。
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2023~2025年6月期に9億ユーロの効果を実現した効率化を継続し、2026~2029年6月期のプログラムでは目標10億ユーロ。
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簡素化、エンパワーメント、規律を基盤とした、未来に資する組織。
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ブランドの長期にわたる持続可能な未来への投資と株主価値創出のため、キャッシュ創出への継続した注力。
2026年6月期事業見通し
2026年6月期は移行期間となり、有機的売上トレンドの改善は下半期に偏ると予想します。
第1四半期には減少が予想されます。これは、米国においては流通業者の在庫調整、中国においては消費者需要の軟化および在庫調整、インドにおいてはマハラシュトラ州での物品税に係る変更などが第1四半期に集中し、さらに中国の免税におけるコニャックの販売再開は第2四半期となることによります。
ペルノ・リカールは、広告販促費の売上高比率約16%を維持し、積極的な配分、効率化、イノベーション、そして顧客体験によるブランド訴求力の向上に今後も投資します。
厳格な費用のコントロールや効率化への取り組みにより、営業利益率の有機的成長を死守します。
戦略的投資を9億ユーロ弱とし、さらに営業運転資金を厳格に管理し、今後もキャッシュフロー創出に注力します。キャッシュコンバージョンはさらに改善しますが、2025年6月期の為替は大きくマイナスの影響を与えると予想されます。[※6]
[※6] 現時点でのスポットレートに基づく。
2027~2029年6月期の中期見通し
ペルノ・リカールは、バランスがとれた世界各地の拠点における事業展開や、プレミアム・インターナショナル・ブランドで構成されるスピリッツの多様なポートフォリオを有するという独自の特性を活かしています。
売上は年平均で3〜6%の有機的成長、通期営業利益の有機成長を予想しています。
営業活動最適化のプログラム実施や将来に資する組織構造に取り組むことで、2026~2029年6月期で10億ユーロの効率化を行い、利益の有機的成長を見込みます。
広告・販促費の売上高比率約16%で今後もブランドに対する投資を維持し、機動性や迅速な対応をもってブランドおよび市場による機会を最大化させます。
キャッシュコンバージョン率約80%以上を狙って手堅いキャッシュフローを創出し、財務ポリシー優先事項への資金を捻出して、戦略的投資10億ユーロ以上を標準とします。
ペルノ・リカールは、戦略、経営モデル、そしてチームのエンゲージメントを確信しており、長期的に持続可能な価値成長を実現します。
本プレスリリースに記載した成長率のデータは、特に記述がない限り、すべて(恒常為替レートおよび継続的グループ組織を前提とした)有機的成長率を指しています。データは端数処理される場合があります。
2025年6月期決算の詳細は、当グループのホームページ(www.pernod-ricard.com)でダウンロードできます。
本決算書類は監査済みです。監査役会による報告書は、経営報告書の検認およびユニバーサル・レジストレーション・ドキュメント(URD)に掛かる必要プロセス完了の後に発行される予定です。
非IFRS指標の定義およびIFRS指標との調整
ペルノ・リカールの経営プロセスは企画および報告のために選択した下記の非IFRS指標を基にしています。グループの経営陣は、これらの指標が財務諸表利用者に対して、グループの業績を把握するうえで貴重な追加情報を提供するものと考えます。これらの非IFRS指標は、見合いのIFRS指標およびIFRSで報告される移動を補完するものとお考え下さい。
有機的成長(Organic growth)
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有機的成長は為替レートの変動、買収・処分および適用会計基準の変更の影響およびハイパーインフレーションを除外して計算されています。
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為替レートの影響は、当年度の業績を前年の為替レートで換算することによって計算されており、当年度と前年度の決算発表ベースの取引の影響における差異を加算しています。
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当年度における企業買収については、買収後の業績を有機的な数値から除外しています。前年度の買収については、決算上買収後の業績を前年度業績に含めていますが、当年度の有機的な数値上、買収後1年以降の業績のみを含めています。
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ハイパーインフレーションがトルコおよびアルゼンチンのPROに与える影響は、同国の価格/コスト増を最大年26%(3年間で100%増に相当)に抑えることにより、損益計算書上の有機的成長計算から除外しています。
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事業、ブランド、ブランド販売権、代理店契約を前年度に処分または終了した場合、有機的な数値上、当該事業等の業績を前年度から除外しています。当年度に処分または終了した場合、処分または終了の1年前の日以降の当該事業に関する業績を前年度から除外しています。
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本指標により、グループの業績を同一条件のもとに比較し、ローカルの経営陣が最も直接的に影響を及ぼすことができる領域に焦点を当てて、業績を評価することができます。
継続事業からの営業利益
継続事業からの営業利益はその他の一過性の営業損益を除外した営業利益に相当します。
ペルノ・リカールについて
ペルノ・リカールは、伝統的な職人の技、最新鋭のブランド構築とグローバルな販売技術を兼ね備えた、スピリッツおよびワイン産業における世界の代表的リーダーです。プレミアムブランドからラグジュアリーブランドに亘る当グループの著名な商品群には、アブソルートウオッカ、リカール(パスティス)、バランタイン、シーバスリーガル、ローヤルサルート、ザ・グレンリベット(スコッチウイスキー)、ジェムソン(アイリッシュウイスキー)、マーテル(コニャック)、ハバナクラブ(ラム)、ビーフィーター(ジン)、マリブ(リキュール)、メゾン マム、ペリエ ジュエ(シャンパン)などがあります。当グループのミッションは、保有ブランドの長期的発展を確保することにあります。当該目標実現に向け、人と環境に最大限配慮しつつ、世界中の当グループ社員をコンヴィヴィアリテという明確な目標とインクルーシブな文化のアンバサダーと位置づけています。ペルノ・リカールの2025年6月期の連結売上高は109億5,900万ユーロでした。
ペルノ・リカールはNYSEユーロネクストに上場しており(ティッカー:RI、ISINコード:FR0000120693)、CAC40指数およびユーロ・ストックス50指数の構成銘柄です。
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