全国のスタートアップと県内企業が地域の未来を変えるソリューションを発表! 山梨県が『STARTUP YAMANASHI OPEN INNOVATION PROGRAM 2024』の成果報告会を開催
AI技術による人材育成、品質管理、検査技術、触覚技術によるバリアフリーデバイスの4プロジェクトを報告

山梨県(知事:長崎幸太郎)は、県内企業が全国のスタートアップとの共創を目指すオープンイノベーションプログラム『STARTUP YAMANASHI OPEN INNOVATION PROGRAM2024(以下、本プログラム)』を昨年9月12日から実施。この度、本プログラムの成果発表会を2025年3月19日(水)、山梨県立図書館1階イベントスペース(山梨県甲府市)で開催。オンライン参加の10人を含め約80人の関係企業、自治体担当者らが参加しました。
第1部では、本プログラムに参加した県内企業とスタートアップ企業による4件プロジェクトの成果を発表しました。成果発表会後、「オープンイノベーション」をテーマにスペシャルトークを2セッションに分けて実施しました。
また、第2部では、最先端技術やサービスを有するスタートアップ企業などに対し、山梨県全域を実証実験の場として、プロジェクトを全面的にサポートする『TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業』の第7期に採択されたプロジェクトのうち、2つのプロジェクトについて成果を発表しました。
山梨県では、今年11月に新たなスタートアップ支援センターを甲府市に開設します。このセンターは、オープンイノベーションを生み出すハブとして、県内企業の高付加価値化に寄与し、革新的なスタートアップの事業定着、拡大を支援していきます。
■STARTUP YAMANASHI OPEN INNOVATION PROGRAMについて
このプログラムは、山梨県内の企業の高付加価値化を図るとともに、革新的なスタートアップの県内での事業定着・事業拡大を目的に、県内企業とスタートアップが協力して新規事業創出や技術革新に挑むことを目指して、令和4年度から始まりました。
今年度は、株式会社eiicon(本社:東京都文京区後楽、代表取締役社長:中村 亜由子 URL: https://corp.eiicon.net)と協力し、県内企業4社が全国のスタートアップとの共創を目指すパートナーを募集。パートナーとして、有望なスタートアップ4社が採択されました。採択された企業は、ワークショップやインキュベーション、成果発表会を通じて事業化・社会実装を目指します。
■オープニング
(山梨県産業政策部 スタートアップ・経営支援課 有須田遙華 課長)
山梨県は、スタートアップを本県の発展のための重要なパートナーと位置づけ、支援しています。スタートアップと県内企業の共創を促進することは、県の課題解決にとどまらず、社会的価値の創出手法として重要といいます。有須田課長は「今年11月には、新たにスタートアップ支援センターを開設する。オープンイノベーションを生み出す中心地としたい」との想いを話しました。

■STARTUP YAMANASHI OPEN INNOVATION PROGRAM2024共創成果発表会
01「AIによるジュエリーの検品自動化と品質管理」
株式会社光・彩(本社:山梨県甲斐市、代表取締役社長:深沢栄二URL: https://www.kohsai-qq.co.jp)×株式会社フツパー(本社:大坂市淀川区、代表CEO:大西洋URL: https://hutzper.com)
山梨県内のジュエリー産業に占める事業者は、1980年代から約40%減少しており、人口減少が大きな影響を与えています。株式会社光・彩の遠藤太一氏は「人手不足による技術継承や原材料高騰が利益率の低下を招いており、業界全体としてDXの推進が必要」と話しました。
株式会社フツパーの大竹明良氏は、ネックレスに使われる「ポスト」と「引き輪」の2部品の外観検査について報告しました。今回のプロジェクトについて、大竹氏は「欠品具合の検証はできたが、自動化に関しては改善の余地がある。費用対効果を見極めながら、4~5年後には、プラットフォームの基準を定めて無人化したい」との展望を話しました。


02「触覚・視覚提示技術と音声XRの活用によるバリアフリーデバイスの共創」
シチズン電子株式会社(本社:山梨県富士吉田市、代表取締役社長:渡邊昭URL:https://ce.citizen.co.jp)×株式会社GATARI(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:竹下俊一URL: https://gatari.co.jp)
シチズン電子株式会社の大熊哲氏は、多様性社会の実現に向けて、障害者が健常者と同じ体験を共有できる技術ソリューションを考えたといいます。シチズン電子は、振動を使って実際にモノに触れているような感触を体現する「ハプティクス技術」を使った製品開発をしています。製品開発について、大熊氏は「人の感情を心拍で表現したかったので、心臓の模型にハプティクス技術を組み込んだ『手に持つ心臓』を製作した」と話しました。
株式会社GATARIの「Auris」は、カメラを使って自分の位置を把握し、現実空間にデジタル情報を配置する技術です。この情報は音で体感でき、スマートフォンとイヤホンだけで利用可能なため、視覚障害者や外国人に適切な情報を届けることができます。プロジェクトでは、体験型アトラクションのような環境を作って、心拍を心臓の模型で体感できるようにしました。プロジェクトを通じて、GATARIの武田正史氏は「触覚と聴覚のバランスが課題。これらをクリアしながら社会実装につなげたい」と想いを語りました。


03「1枚の画像から学習できる独自AI技術を用いたダイボンダ装置の検査機能性能向上」
ファスフォードテクノロジ株式会社(本社:山梨県南アルプス市、代表取締役社長:富士原秀人URL:https://www.fasford-tech.com)×株式会社システム計画研究所(本社:東京都渋谷区、代表取締役:門脇均URL: https://www.isp.co.jp)
ファスフォードテクノロジ株式会社は、半導体製造装置「ダイボンダ」の設計・製造を行っています。大森氏は「半導体業界は人材不足が課題。生産能力の向上のため、チップの微細な傷などを検査する工程を向上化させる必要がある」と話しました。
株式会社システム計画研究所は、AIで外観検査を自動化する「gLupe」を提供しています。本プロジェクトでは、ダイボンダに「gLupe」を組み込み、検査工程の高度化を目指しました。プロジェクトについて、システム計画研究所の井上忠治氏は「『gLupe』は、中央処理装置(CPU)とグラフィックス処理ユニット (GPU) との演算装置が使われている。ダイボンダにはGPUが組み込まれていないため、現状のスペックで動かせるように『gLupe』を改良しなければならなかった」と技術的な難しさを話しました。AI技術を使ったダイボンダは、実際の工場での導入を進め、2026年度の商用化を目指しています。


04「AIが警備ノウハウを可視化し、教育と人材育成を革新」
甲府ビルサービス株式会社(本社:山梨県甲府市、代表取締役社長:坂本哲啓URL:https://kofu-bldg.co.jp)×株式会社キャリアサバイバル(本社:名古屋市中村区、代表取締役:松岡大介URL: https://career-survival.com)
メンテナンス業界に占める60歳以上の技術者の割合は53%となっており、技術継承が深刻な課題です。一方、管理物件は増加傾向で、ビジネスチャンスがあるのに対応できないといいます。甲府ビルサービス株式会社の坂本氏は「AI技術と技術者を結びつけて、技術者の質を高めていくことが非常に大事」と話しました。
株式会社キャリアサバイバルは、AIを使ったビデオ通話アプリによる人材育成を行いました。プロジェクトでは、新人技術者が点検箇所を把握できるよう可視化し、不具合や異常があった際、熟練の技術者がビデオ通話を通じて新人技術者を指導します。また、その様子を録画してAIに学習させてデータベース化しました。今後の展望について、キャリアサバイバルの松岡氏は「技術継承のシステムを構築後、ビルメンテナンス業界からメンテナンス業界全般に波及できるようしたい」と話しました。


■スペシャルトークセッション01
登壇者:株式会社光・彩・遠藤太一氏/シチズン電子株式会社・三浦充紀氏/ファスフォードテクノロジ・大森僚氏)
モデレーター:株式会社eiicon 地域創生・イノベーション創出支援事業本部 岩根隼人氏
オープンイノベーションに取り組んだきっかけについて、ファスフォードテクノロジ株式会社の大森氏は、世界中に点在する半導体製造装置の競合他社に勝つための高付加価値化を挙げました。また、シチズン電子の三浦氏も、技術的優位性の低下を脱却するために、社内の新規事業に参加したことがきっかけといいます。株式会社光・彩の遠藤氏は「海外のジュエリー業界の技術躍進により、特にインドや東南アジアでの競争が激化したため、価値の高度化が求められた」と話しました。
また、社内におけるオープンイノベーションの進め方について、シチズン電子株式会社の三浦氏は、蓋然性が大事で、社外の話であればよく聞いてもらえるといいます。加えて、株式会社光・彩の遠藤氏も「技術を知ってもらい、想いを伝播していくことが大事」と話しました。




■スペシャルトークセッション02
登壇者:株式会社アルプス代表取締役社長・金丸滋氏(本社:山梨県甲府市、URL:https://www.alps-hs.co.jp/)/甲府ビルサービス株式会社代表取締役社長・坂本哲啓氏/山梨県産業政策部スタートアップ・経営支援課・森田考治課長補佐
モデレーター:株式会社eiicon 地域創生・イノベーション創出支援事業本部 曽田将弘氏
冒頭、山梨県の森田課長補佐が、今年11月にオープンを予定している「やまなしスタートアップ支援センター」について紹介しました。テーマが山梨県内のオープンイノベーションに変わると、森田課長補佐は「ピッチコンテストなどを開催すると、現場に詳しい社長が多いので、経営判断が速く商談につながりやすい」と話しました。株式会社アルプスの金丸氏は、山梨のスタートアップの現状に変化が生じており、スタートアップの聖地化も夢ではないといいます。そのうえで、金丸氏は「自社の業種と関係ないと思っても意外な発見があるので、オープンイノベーションの取り組みに参加してほしい」と話しました。さらに、甲府ビルサービス株式会社の坂本氏は「自分たちではどうにもできないことがある。敬遠せずに、継続的にこのような場に出ることが大事」と共創の重要性を伝えました。




■TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業 成果発表会
事業説明(山梨県知事政策局 新事業チャレンジ推進グループ 山寺勲 副主査)
山梨県の山寺副主査が「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」について説明しました。この事業は、リニア中央新幹線の開業を契機に、山梨県をテストベッドとして最先端技術の実証実験を支援するもので、補助金や専門家によるアドバイス、実証フィールドの調整などを提供します。また、県職員が企業の営業マンのようにサポートする点が好評といいます。令和3年度から開始されたこの事業は第7期目が終了しています。さらに、令和6年度から「新事業共創プラットフォーム」を開始。山寺副主査は「分野問わず、幅広い分野の新事業を支援したい」と話しました。

株式会社AGRIST(本社:宮崎県児湯郡新富町、代表取締役:斎藤潤一URURL:https://agrist.com/corporate)
株式会社AGRISTは、農場に設置した環境センサーによるセンシングデータとカメラによる農作物の画像解析データをクラウドに集約し、AIで解析して収穫予測や生育環境の安定化を図っています。実証実験では、山梨県北杜市でパクチーやホウレンソウなどを栽培している企業でAIによる収穫予測を実施し、精度の高い予測を実現しました。今後の展望についてAGRISTの清水氏は「さらに精度を高めて、出荷量と売上を安定させ、機会の損失を防ぐ」と話しました。
株式会社ビースポーク(本社:東京都渋谷区、代表取締役:綱川明美 URL: https://www.be-spoke.io)
株式会社ビースポークの佐藤氏は、人口減少による労働力不足が社会課題となる中、外国人労働者の増加に伴い、人材育成が重要な課題といいます。ビースポークが提供する「BeTrained」は、スマートデバイスで撮影した作業動画をAIで分析し、複数言語で教育コンテンツを提供する人材育成システムです。実証実験では、山梨県北杜市のグランドメルキュール八ヶ岳&スパの社員を対象に、清掃業務の研修と評価を実施しました。実証結果について、ビースポークの佐藤氏は「作業完了率と作業クオリティで目標を上回る95%を達成した。今後はソリューションの精度を高めて宿泊以外の産業にも拡大したい」と抱負を語りました。


イベント終了後に、登壇者らによる記念撮影を行い、参加企業の皆様とネットワーキングを実施しました。

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