山梨県立美術館附属山梨デザインセンター連携土産品高付加価値化支援事業「山梨デザインプロジェクト ~山梨が生み出す 新しいカタチ~」 著名デザイナーと県内事業者の共同開発による新製品の発表会を開催
新製品は山梨県立美術館にて期間限定で展示
山梨県は、本県でしか手に入らない高付加価値な製品のグローバル市場でのブランド化を目指し、『山梨県立美術館附属山梨デザインセンター連携 土産品高付加価値化支援事業「山梨デザインプロジェクト ~山梨が生み出す 新しいカタチ~」』を令和6年度よりスタートしています。
初年度である今回は、「和紙」「水晶」「織物」に携わる県内事業者3社(株式会社大直、株式会社詫間宝石彫刻、TSUGUO)と、世界を舞台に活躍する日本人デザイナー3名(プロダクトデザイナー深澤直人氏、プロダクトデザイナー柴田文江氏、テキスタイルデザイナー須藤玲子氏)が製品を共同開発。3月10日(月)に山梨デザインセンター センター長の永井一史氏と3名のデザイナー、3社の県内事業者などが登壇した新製品発表会を開催し、続く3月18日(火)~30日(日)の期間限定で、山梨県立美術館にて当該製品の展示を行いました。今回の製品は、今後山梨県のふるさと納税返礼品として採用されるほか、百貨店や空港などで順次販売が予定されています。


新製品発表会レポート
■登壇者コメント抜粋
山梨県観光振興課 齊藤七二課長
「この度、山梨の歴史と風が育んだ技術と、世界で活躍するデザイナーの想像力が結び付き、新たな九つの素晴らしい製品が誕生しました。見て触れて、日常で使いたくなるような心を動かす九つの製品を通じて、山梨ならではの技術や魅力が国内外に広がることを期待しております。」
本事業オーガナイザー、山梨県デザインセンター センター長 永井一史氏
「山梨デザインセンターは昨年11月にオープンし、最近では産業支援や地域支援、政策の領域にまで活動の場を広げています。また山梨デザインセンターは『文化的テロワール』という考え方を大切にしており、地形や気候だけでなく、地域に根付いた技術や暮らしなどの文化も尊重しながら取り組んでいく方針です。本日皆様には、それが具体的な形として現れたものを見ていただければと思います。」

■共同開発製品の紹介
製品を共同開発した世界を舞台に活躍するデザイナー3名と「和紙」「水晶」「織物」に携わる県内事業者3社の代表者がそれぞれの製品を紹介し、開発秘話を語りました。
1. 和紙
プロダクトデザイナー 深澤直人 × 県内事業者 (株)大直:古谷愛
制作物:A4ライト、A4ライトバッグ、おにぎり型お弁当箱、ブリーフケース(参考価格はいずれも税込)
深澤氏コメント抜粋
「山梨はデザインという視点を通してみると、自然が豊かで他の県では味わえない遺産がある素晴らしい地ですが、本来の魅力が伝わりきっていないように感じていました。そんな中、このプロジェクトが始まり、11月にデザインセンターができましたが、まだまだやらなければいけないことはたくさんあります。お土産を作ることも重要ですが、それだけではない大きなビジョンをもって、大直さんとお話をさせていただきました。今回の作品は大直さんとともに、他が真似できないほど手間のかかったしっかりとした作品に仕上げたため、山梨の名産品にしていきたいです。」
古谷氏コメント抜粋
「大直は、1000年の和紙の歴史ある市川三郷で和紙の製品開発をしています。深澤さんと初めに取り組んだSIWAというブランドで破れない和紙“ナオロン”を使った贈り物の製品開発をしておりました。今回開発した3製品のうち500枚入りのコピー用紙を模したA4ライトとそれがぴったり入るA4ライトバッグがセットになったものはこの“ナオロン”を使っています。コードレスなので自由に持ち運びができるようになっています。」
「A4ライトとA4ライトバッグのセットは光を当てたときに美しい光を放つように内部的な開発をしました。またシンプルなデザインのため縫製や紙で綴ってゆく点にも技術がございます。おにぎり型お弁当箱は、直接的に食品を入れることが従来の漆では難しかったのですが、今回新しく技術を編み出すことで実現をさせました。」


● 和紙製品の紹介
森林率の高い地理的環境と、周囲の豊富な水源や楮(コウゾ)・三椏(ミツマタ)といった和紙の原料を調達しやすい環境があり、産地としての長い歴史を寄与してきました。山梨の紙すき業の歴史は1,000年にも及び、障子紙だけでなく、小物や包装など、幅広く用いられています。
今年度は、A4ライト、A4ライトバッグ、ブリーフケース、おにぎり型お弁当箱の4品を制作しました。




2. 水晶
プロダクトデザイナー 柴田文江 × 県内事業者 (株)詫間宝石彫刻:詫間康二
制作物:ショットグラス、ペーパーウェイト(参考価格はいずれも税込)
柴田氏コメント抜粋
「もともとジュエリーを手がけてみたいと思っていたところで今回のお土産開発を担当できることになり、以前から素敵な作品を作られていた詫間さんを思い出しました。その後、実際に応募者の中から詫間さんが選ばれ、一緒に制作できることになりました。はじめは“ジュエリーを作らなければいけない”と思っていたのですが、ジュエリーをお土産にするのはサイズや寸法の都合上難しく断念しました。そこで詫間さんの作られたジュエリーのようなショットグラスを思い出し、今回は詫間さんの作ってきたショットグラスをリモデルしたものとペーパーウェイトを作ることにしました。」
「石自体は山梨のものではないけれど、山梨には研磨や彫刻の高度な技術があるので、今回はその高度な技術を投影した製品を作りたいという想いで、新しい12面体に挑戦しました。この製品は山梨らしさが詰まっており、世界にも挑戦していきたいです。」
詫間氏コメント抜粋
「初めは柴田さんに10・12・18面体の3種類をお願いされて、さすがに18面体は難しかったのですが、12面体に挑戦してみたら実現させることができました。」
「山梨はジュエリーの街として知られていますが、宝石彫刻はその根源にあります。この事業を機会に、宝石彫刻という伝統工芸に注目していただきたいと思います。」


● 水晶製品の紹介
金峰山一帯を中心に、豊かな水晶資源を有する山梨。この地で最初に水晶が発見されたのは約1,100年前。今では企画・デザインから原料調達、研磨・加工、流通まで全工程が連携する世界的にも稀有なジュエリーの集積産地へと発展を遂げています。今年度は、ショットグラス、ペーパーウェイト(2モデル)の2品を制作しました。



3. 織物
テキスタイルデザイナー 須藤玲子 × 県内事業者 TSUGUO:渡邊將太
制作物:納屋柄 バッグ、納屋柄 ストール、納屋柄 シャツ(参考価格はいずれも税込)
須藤氏コメント抜粋
「TSUGUOを昔から知っていたこともあり、今回のお話をいただいたとき、昔の印象とともに山梨の富士桜を思い出しました。そのため、富士桜の柄を作ってみたのですがうまくいかず、初めて富士吉田に訪れた際に、車中から見えた、『納屋』をヒントに絵にし、そこから抽象化して今の納屋柄になりました。」
「スカーフやシャツは、裏表のないデザインにしたいということでリバーシブルにしました。シャツに関しては、両サイドにスリットが入っており、羽織としても使えるようにしています。またかなり大き目に作っており、袖を折ることで男女ともに着ることができるようにしています。また、私たちの作ったテキスタイルの考え方がわかるよう、布のつくりが見てもらえるように仕上げました。折り目についても手でカットしていることがわかるようなデザインになっています。」
「本当に細く柔らかい糸を使用しており、そんな糸をコントロールできるというのは山梨ならではの技術だと思います。」
渡邊氏コメント抜粋
「柄が見えるように作る方法が一般的なのですが、カットした端が柄としても可愛いらしく、表側でも裏側でもどちらでも使えるようなデザインにしている点がおすすめです。」







■県内事業者×デザイナー トークセッション サマリー
製品紹介後、県内事業者3名とデザイナー3名に加え、永井氏も交えたトークセッションが行われました。主なコメントは以下となります。
・県内事業者の本事業を通じた今後の展望
古谷氏
「歴史が続いていく理由としては、時代に合わせた開発と変化していくことだと思うので、時代とともに変化していきたいです。」
詫間氏
「水晶は縄文時代から続いていますが、今後も現代の日常に合うようなものづくりをしていきたいです。」
渡邊氏
「山梨は蚕を育てている歴史があるので、糸の開発から行うなどの山梨ならではのことを通して、県を活性化させたいです。」
・デザイナーの本事業への想い
深澤氏
「山梨で育ち世界で活躍する我々が、山梨を新たに見直すというところにこのプロジェクトの意義があると思います。」
柴田氏
「今回の山梨に根ざしたモノづくりは山梨の目指したものづくりのスタートポイントだと思います。色々なものがデザインの力で人間らしくなっていけば良いな、と考えています。」
須藤氏
「テキスタイルはものすごく身近で、見直す機会があまりないため、驚きを与えるようなものを作り出したいです。」
・海外展開やインバウンド来訪者をターゲットとしていることについて
古谷氏
「年代も幅広い新たなお客様の新しい発見や出会いのきっかけとなってほしいです。」
詫間氏
「水晶彫刻はあまり知られていないため、今回のプロジェクトをきっかけに色々な方に知ってほしいです。ずっと残るものであるため、喜んでもらえると思います。」
渡邊氏
「やはり衣服をメインにやっているので、パリやミラノを目指して届けていきたいです。」

■「山梨県土産品高付加価値化支援事業」とは
令和6年度よりスタートした山梨県内の事業者と著名デザイナーとの連携による本県ならではの付加価値の高い土産品の開発を支援するものです。伝統的な産業と現代のデザインを融合させた高付加価値商品を世界に向けて発信し、山梨の文化的価値を国内外に広めることで、魅力的な観光地としての認知向上を図ることを目的としています。今年度は3名のデザイナーと県内3事業者の取り組みで9つの製品を開発しました。
■「⼭梨デザインセンター」とは

⼭梨デザインセンターは、洗練されたデザインによる地場産品の商品開発やプロモーション支援を行うほか、多摩美術大などさまざまな機関と連携してデザインを学ぶ講座を開き、子どもから大人まで幅広い層にデザイン思考の浸透を図っていきます。また、デザイナー、アーティスト、クリエイターなどのネットワーク構築の拠点として機能させ、政策立案へのアドバイス、地域アイデンティティーの創出などに貢献していきます。また、同センターはデザインを通して、イノベーションやコミュニケーション、そしてプレゼンテーションが生まれる場所となるように、素材や品質、ディテールにこだわり、シンプルで落ち着きのある空間として構成され、⼭梨におけるデザイン活動のハブになる拠点としてデザインされています。
■山梨県デザインセンター公式サイト
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