3人に1人が健康診断の二次検査を「既読スルー」している現状二次検査の受診促進を目的とした取組み「ニジケンProject」を発足
~ナッジを活用した実証研究を開始~
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役 医薬事業ユニット統括社長:荻村 正孝 、以下、「日本ベーリンガーインゲルハイム」)と日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:シモーネ・トムセン、以下、日本イーライリリー)は、各領域の専門家の先生方と連携し、健康診断で「要精密検査」や「要治療」といった異常所見があった際の「二次検査」の受診促進の取組みとして、「ニジケンProject」を2023年10月17日(火)に発足いたしました。
■取組みの背景
日本の医療費のうち約7割(約30兆円)が医科診療費となっており、なかでも代謝疾患、高血圧性疾患、腎臓病など慢性的な疾患は約6兆円と、悪性新生物(4.1兆円)よりも多い水準です(1)。
また、心不全は約120万人(2)、2型糖尿病は約1,000万人(3)、慢性腎臓病は約1,330万人(4)と、見過ごせない多さとなっています。
心臓や腎臓、代謝機能のいずれかの機能が低下すると、他にも影響が及ぶことがあります。例えば、2型糖尿病のある方の中には慢性腎臓病を併発するケースや、心不全発症のリスクが高いというデータがあります(5)。また、慢性腎臓病の患者さんは脳卒中や心臓病を起こすリスクが高いこともわかっています(6)。そのため、心臓、腎臓、代謝機能に関する疾患の早期発見・早期治療が課題です。
早期発見・早期治療のきっかけとして重要な役割を果たす 「健康診断」において、「要治療」や「要精密検査」といった有所見の割合は年々上昇傾向にあり、2020年度は63.6%と、1994年の34.6%から29ポイントも増加しています(7)。一方で、心腎代謝に関わる疾患、例えば2型糖尿病は初期の頃は自覚症状に乏しいといわれています。そのため、一度悪化してしまうと合併症を発症するなど、生命予後に関わることが多いため、早期発見、早期治療の開始が重要となります(8)。
二次検査を受診することで、異常所見がみられた理由や状態、疾患の程度などをより具体的に把握することができ、ご自身にとって適切な対症療法や治療にたどり着ける可能性があります。それは結果的にご本人の健康に繋がり、ひいては国全体の医療費の抑制にも貢献できることが期待されます。
こうした背景を受け、日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーの両社は、健康診断で異常所見を指摘された方々の二次検査(ニジケン)の受診を促進することで、心疾患や高血圧性疾患、腎臓病、糖尿病といった慢性疾患の早期発見・早期治療を目指す取組みとして、健診結果で異常所見を指摘されてもその後のアクションを起こさない、いわゆる 「既読スルー」の防止するニジケンProject」を発足しました。より多くの人に二次検査を受診することの重要性を知っていただき、本プロジェクトが人々の隠れた疾患の早期発見・早期治療への一歩につながるよう、取り組んでまいります。
■「ニジケンProject」の目的
健康診断後に「要精密検査」や「要治療」といった異常所見がみられた人に対し二次検査(ニジケン)の受診を促進することで、特に慢性的な疾患の早期発見・早期治療への貢献を目指す。
■概要
発足:2023年10月17日(火)
企画:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/日本イーライリリー株式会社
参画者:横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授 寺内 康夫 先生
横浜市立大学医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学 主任教授 田村 功一 先生
埼玉医科大学 医学部 腎臓内科 教授 岡田 浩一 先生
青森大学 客員教授 竹林 正樹 先生
活動内容:
1.日本全国「二次検査受診に関する意識調査」実施
健康診断の異常所見がみられた際の二次検査の受診率や、未受診の理由などについて全国調査を実施し、発表。
2.二次検査受診促進に向け「ナッジ理論」を導入した二次検査受診勧奨通知書を用いた実証研究
健康診断後の二次検査の受診促進を目的とし、健康診断で異常所見がみられた人=二次検査が必要な人を対象に、行動科学の知見を活用した実証実験を実施。 人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする手法である「ナッジ」の理論を活用し開発した「二次検査受診勧奨通知書」を用いて実証研究を行い、そこで得られた知見を公表して社会全体の健康課題解決に寄与します。
■「ニジケンProject」参画者コメント
横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授 寺内 康夫 先生
健康診断という仕組みを有している国は多くありません。ぜひ、この仕組みを活用して、「ただ健康診断を受けるだけ」では終わらせずに、みなさんご自身のよりよい人生に繋げてほしいと考えます。
埼玉医科大学 医学部 腎臓内科 教授 岡田 浩一 先生
透析導入の抑制に最も重要なのは、腎疾患の早期発見と早期治療介入です。健康診断で何らかの所見があったということは、疾患リスクを早い段階で管理できる可能性があるということです。これを無症状の内に将来の病気の芽を発見できたチャンスと捉え、二次検査の受診を含め自身の健康状態を見つめ直して、生活習慣の改善行動に繋げることは、結果としてQOL(生活の質)を保つことにもつながります。
横浜市立大学医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学 主任教授 田村 功一 先生
健康診断の二次検査はなぜ必要なのでしょうか。例えば心臓と腎臓のいずれか一方に機能低下が起こると、影響して他方にもトラブルが起こる『心腎連関』に加え、糖尿病がある方においては更に代謝疾患が加わり、心臓・腎臓・代謝疾患がより複雑に影響を及ぼしあうことで、健康寿命が短縮されてしまう可能性もあります。二次検査は、健康に過ごすために必要な検査ですので、健康診断で何らかの所見があった人にはぜひ早期に受診して
いただきたいです。
青森大学客員教授 竹林 正樹 先生
不摂生をして健康を害している人は、今この瞬間の快楽をとり続けた結果、不摂生が重なって体調不良となってしまう負のスパイラルを断ち切ることが重要です。二次検査を受診することが、そのスパイラルを断ち切る一歩になるのであれば、それはとても意義のある行動です。ナッジの考え方を用いて、二次検査の受診向上に寄与できることをとても光栄に思います。
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者さんのニーズに応えるべく協力しています。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、世代を超えて生活を変革する画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型のバイオ製薬企業のリーディンクカンパニーとして、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出を目指しています。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態により長期的かつサステナブルな視点を維持しています。ヒト用医療用医薬品とアニマルヘルスの2つの事業分野において、53,000人以上の社員が世界130ヵ国以上で事業を展開しています。
イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー・アンド・カンパニーの従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。
日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。
詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.com/jp/
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
(イーライリリー・アンド・カンパニー)
(日本イーライリリー)
Reference
1 厚生労働省「令和2年度国民医療費の概況」(「内分泌,栄養及び代謝疾患」「高血圧性疾患」「腎尿路生殖器系の疾患」を足し上げ)
2 国立循環器病センター「心不全と虚血性心疾患の疫学」ttps://www.ncvc.go.jp/coronary2/column/20211209_05.html
3 厚生労働省「2016年国民健康・栄養調査」
4 日本腎臓病協会「慢性腎臓病について」https://j-ka.or.jp/ckd/
5 Murphy D, et al.: Ann Intern Med. 2016; 165(7): 473-81、Kaneko H, et al.: Atherosclerosis. 2021; 319: 35-41
6 公益財団法人 循環器病研究振興財団:知っておきたい循環器病あれこれ127「心臓と腎臓の深い関係‐心腎連関症候群‐」,p.2
7 厚生労働省「健康診断有所見者の推移」
8 日本腎臓病協会「CKDの予防と治療」https://j-ka.or.jp/ckd/care.php
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