IBM、ビジネスのための次世代基盤モデルを支える「watsonxプラットフォーム」を発表
watsonxは、基盤モデルや生成AIのための新しいプラットフォームで、スタジオ(ツール・機能群)、データ・ストア、ガバナンス・ツールキットを提供
基盤モデルと生成AIを組み込んだWatsonの新製品を、コード、AIOps、デジタルレイバー、セキュリティー、サステナビリティー向けに投入予定
Hugging Faceとの新たな協業により、watsonxプラットフォーム上でオープンソースのAIモデルの利点を企業に提供することに取り組む
IBM Consultingが、企業向けAIで活用によるお客様のビジネス変革の実現に向け、1000人以上のAIエキスパートを擁するIBM Consulting Center of Excellence for Generative AIの設立を発表
【米国ニューヨーク州アーモンク-2023年5月9日(現地時間)発】
IBMは本日、年次イベント「Think」において、企業が信頼できるデータを用いて最先端のAI活用の拡大・加速を可能にする、新しいAIとデータ・プラットフォームである「IBM watsonx( https://www.ibm.com/watsonx )」を発表しました。今日、AIに注目している企業は、生成AIや機械学習機能を含むAIモデルを、信頼できるデータ、スピード、ガバナンスを用いて迅速に組織全体で学習・調整(チューニング)・展開することができる、包括的な技術を必要としています。また、これらは1つの場所でも、あらゆるクラウド環境でも実行できることが求められます。
IBMはまた、Thinkにおいて、 AIのワークロードを処理するために設計されたGPU-as-a-service インフラストラクチャーの提供、クラウド 炭素排出量の測定から追跡、管理、報告まで支援するAI搭載ダッシュボード、お客様のAI導入支援に向けたwatsonxや生成AIに関するIBM Consultingの新プラクティスの開始予定などについて発表しました。
IBMは、watsonxにより、IBMがキュレーションし学習した基盤モデルとオープンソース・モデルにアクセスできるAI開発ツール群、データを収集しクレンジングするためのデータ・ストアへのアクセス、企業自身のAI活用に向けたAIガバナンスのためのツールキットを提供し 、AIの適用と拡張を容易にするシームレスな エンドツーエンドのAIワークフローを提供します。
IBM会長兼CEOのアービンド・クリシュナ(Arvind Krishna) は、次のように述べています。「基盤モデルの開発により、ビジネスのためのAIはこれまで以上に強力になります。基盤モデルによって、AIの導入が大幅に拡大され、簡単かつ効率的になります。私たちは、お客様が単に利用するだけではなく、AIを活用できるようになるために、企業のニーズに合わせてIBM watsonxを提供します。IBM watsonxを利用することで、お客様はデータを管理しながら、ビジネス全体にわたって自社向けのAI機能を迅速に学習・展開することができます」
企業はツール、テクノロジー、インフラ、コンサルティングの専門知識を利用し、自社のデータで独自のAIモデルを構築、または既存のAIモデルを微調整(ファイン・チューニング)して適応させ、信頼できるオープンな環境で大規模に展開し、ビジネスの成功につなげることができます。企業独自のデータと業界知識にどれだけAIモデルを適応できるかによって、より多くの競争力のある差別化と独自のビジネス価値が得られるようになります。
これらのニーズに対応する、IBM watsonxプラットフォームの3つの製品群 ( https://www.ibm.com/blog/introducing-watsonx-the-future-of-ai-for-business/ ):
IBM watsonx.ai: オープンかつ直感的なユーザー・インターフェースを通じて、従来の機械学習と、基盤モデルを活用した新しい生成AI機能の両方を学習・検証・調整・導入できるAI構築のための企業向けスタジオ(ツール・機能群)です。2023年7月からの提供開始を予定しています。
・AIスタジオは、データの準備からモデルの開発、展開、モニタリングまで、データとAIのライフサイクル全体を促進するさまざまな基盤モデル、学習と調整のツール 、費用対効果の高いインフラストラクチャー を提供します。
・また、このスタジオ( https://www.ibm.com/blog/introducing-the-technology-behind-watsonx-ai/ )には基盤モデル・ライブラリーが含まれており、ユーザーは IBM がキュレーション・学習した基盤モデルに簡単にアクセスすることができます。IBM の基盤モデルは、堅牢なフィルタリングとクレンジング・プロセス、監査可能なデータ・リネージュに裏付けられた、大規模な企業データのキュレーション・セットを使用しています。一部のお客様にベータ版技術プレビューとして提供する基盤モデルの初期セットは、以下の通りです。
fm.code: 開発者の生産性を向上させ、多くのIT業務を自動化できるよう 、自然言語インターフェースにより、開発者がコードを自動生成できるように構築されたモデルです。
fm.NLP: 特定のドメインや業界固有のドメインのための大規模言語モデル(LLM)のコレクションで、バイアス(偏り)をより簡単に軽減できるキュレーション・データを使用し 、お客様のデータを利用して迅速にカスタマイズすることができます 。
fm.geospatial: 気候やリモート・センシング・データを基に構築したモデル( https://research.ibm.com/blog/geospatial-models-nasa-ai )で、自然災害のパターン、生物多様性、土地利用などの ビジネスに影響を与える可能性のある地球物理学的 プロセスの変化を理解し、備えることを支援します。
・IBMとHugging Faceの新しいコラボレーションの一環として、watsonx.aiスタジオはHugging Faceのオープンソース・ライブラリーをベースに、Hugging Faceの何千ものオープン・モデルやデータ・セットを提供する予定です。これは、オープンなエコシステムとの協業により、お客様独自のビジネス・ニーズに最適なモデルとアーキテクチャーを提供するというIBMのコミットメントの一例です。
IBM watsonx.data: 管理されたデータとAIワークロードに最適化され、オープン・レイクハウス・アーキテクチャー上に特定の用途向けに 構築されたデータ・ストアで、クエリー、ガバナンス、オープンデータ形式によるデータのアクセスと共有に対応しています 。このソリューション( https://www.ibm.com/blog/ibm-to-help-businesses-scale-ai-workloads-for-all-data-anywhere/ )は、2023年7月からの提供開始を予定しています。
このソリューションは、オンプレミス環境とマルチクラウド環境の両方でワークロードを管理することができます。
このソリューションの導入を通じたワークロードの最適化により、組織はデータウェアハウスのコストを最大50%削減することが可能です。(*1)
watsonx.dataにより、ユーザーは単一のエントリー・ポイントからより堅牢なデータにアクセスすることができ、同時に目的に応じた複数のクエリー・エンジンを適用して貴重な洞察を得ることができます 。
また、組織の既存データベースの自動化、統合などのガバナンスのためのツールとセットアップやユーザー・エクスペリエンスを簡素化するツールを組み込んで提供します 。
IBM watsonx.governance: 信頼できるAIワークフローを実現するAIガバナンス・ツールキットです。このソリューションは、今年後半からの提供開始を予定しています。
ガバナンスを運用するソリューションで、手動のプロセスに関連するリスク、時間、コストを軽減し、透明性があり説明可能な成果を導出するために必要なドキュメントを提供することができます 。
顧客のプライバシーを保護し、モデルのバイアスやドリフト(精度の低下)を能動的に検出し、組織が倫理基準を満たすための仕組みを提供します。
watsonxプラットフォームを利用することで 、お客様は、顧客や従業員とのインタラクションと会話、ビジネス・ワークフローと内部プロセスの自動化、ITプロセスの自動化、脅威からの保護、サステナビリティー目標への取り組みというビジネスに重要な5つの領域において、組織のニーズを満たすことができるようになります。
また、IBMは今後、以下のようなすべての主要なソフトウェア製品にwatsonx.aiの基盤モデルを実装( https://www.ibm.com/blog/introducing-watsonx-the-future-of-ai-for-business/ )していく予定です。
Watson Code Assistant:生成AIを活用し、開発者が英語の簡単なコマンドでコードを自動生成できるようにするソリューションです。提供開始は今年後半の予定です。
AIOps Insights:コードとNLPのための基盤モデルで強化されたAI運用(AIOps)機能でIT環境全体のパフォーマンスの可視性を高め、IT運用(ITOps)マネージャーとサイト・リライアビリティー・エンジニア(SRE)が、より迅速かつコスト効率の高い方法で障害を解決できるようにします。
Watson AssistantとWatson Orchestrate: IBMのデジタルレイバー製品は、従業員の生産性と顧客サービス体験の向上に向け、NLP基盤モデルと組み合わされる予定です 。
Environmental Intelligence Suite (EIS) :地理空間基盤モデルを搭載し、企業が独自の目標やニーズに基づき、環境リスクに対処し低減するための、カスタマイズされたソリューション構築が可能になる予定です。プレビュー版が今年後半に利用可能になる予定です 。
また、Think 2023において、IBMは、AIの導入を促進するための以下のようなオファリングを発表する予定です:
IBM Cloud上の新しいGPUオファリング( https://newsroom.ibm.com/How-IBM-is-Helping-Clients-Deploy-Foundation-Models-and-AI-Workloads-with-New-GPU-Offering-on-IBM-Cloud ):様々な基盤モデルへの世界的なニーズに対応するため、IBMは、企業の計算集約型ワークロードをサポートするために設計されたAI対応インフラストラクチャーであるIBM Cloud上での新しいGPUオファリングを発表します。今年後半、 IBMは、基盤モデルの学習と推論サービスの両方に対応する、フルスタックの、高性能で柔軟なAI最適化インフラを、IBM Cloud上でサービスとして提供する予定です。
IBM Consulting Center of Excellence for Generative AI:IBM Consultingは、1,000人以上の生成AI専門家を擁するCenter of Excellence for Generative AI設立を発表しました。また、お客様向けに積極的にwatsonxを構築・展開する、watsonxに特化したプラクティスの編成を計画しています。IBM Consultingは、実績のあるIBM Garageメソッドを通じて、IBM Watsonやエコシステム・パートナーのポートフォリオを活用し、生成AIを導入するための契約を数十のお客様と締結しています。
IBM Cloud Carbon Calculator( https://newsroom.ibm.com/IBM-Cloud-Carbon-Calculator-Aims-to-Help-Organizations-Address-Greenhouse-Gas-Emissions-to-Advance-their-Sustainability-Objectives ): お客様による、ハイブリッド・マルチクラウドに関連する炭素排出量の測定・追跡・管理・報告を支援するAIに基づくダッシュボードで、IBM Researchの技術に基づいて開発され、今年後半に提供開始する予定です。このダッシュボードは、IBM Envizi ESG Suite( https://www.ibm.com/jp-ja/products/envizi )、IBM Turbonomic( https://www.ibm.com/jp-ja/products/turbonomic )、IBM Planning Analytics( https://www.ibm.com/jp-ja/products/planning-analytics )、IBM LinuxONE( https://www.ibm.com/jp-ja/products/linuxone-4/sustainability )といったテクノロジーや専門知識の包括的なポートフォリオで構成されるIBMの既存のサステナビリティー・ソリューションを補完し、組織がサステナビリティーおよびビジネス目標を加速できるよう支援します 。
生成AIを含む7つのトレンドが今後のビジネスのカギを握ることを明らかにした新しい調査( https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja/report/seven-business-bets ): IBM Institute for Business Valueの新しいレポート「7つの挑戦」は、ビジネスに影響を与える7つのトレンドと、そのメリットを享受するために取り組む価値のある7つの挑戦を紹介しています。これには、企業が「AIファースト」の考え方を採用すべき理由、リーダーが現在および将来AIがもたらす機会を最も効果的に活用し、組織全体で高まるリスクを管理する方法に関する洞察などが含まれています。
Think 2023 は、www.ibm.com/events/think でご覧いただけます。日本時間 5月9日午後9時30分から午後10時15分の基調講演では、IBM 会長兼CEOのアービンド・クリシュナが、デルタ航空、シティ、Red Hatのリーダーと登壇し、ハイブリッドクラウドとAIで課題を創造的に機会に変えるためのビジョンを語ります。日本時間 5月10日午前5時30分から午前6時00分には、IBM Researchのシニア・バイス・プレジデント兼ディレクターであるダリオ・ギルが、生成AIをビジネスのユースケースに適用する方法について基調講演を行います。
オーランドで開催したイベントに続き、世界10数都市で Think on Tourを開催する予定です。開催都市における最新情報は、https://www.ibm.com/events/think/on-tour/ をご参照ください。
以上
当報道資料は、2023年5月9日(現地時間)にIBM Corporationが公開したプレスリリースの抄訳に日本独自の発表内容を加えたものです。原文は下記 を参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2023-05-09-IBM-Unveils-the-Watsonx-Platform-to-Power-Next-Generation-Foundation-Models-for-Business
注*1: watsonx.dataのVPC時間を正規化した2023年公表の定価を、複数の主要クラウド・データウェアハウス・ベンダーと比較した場合。節約効果は、構成、ワークロード、ベンダーによって異なる場合があります。
IBMについて
IBMは、世界をリードするハイブリッドクラウドとAI、およびコンサルティング・サービスを提供しています。世界175カ国以上のお客様の、データからの洞察の活用、ビジネス・プロセス効率化、コスト削減、そして業界における競争力向上を支援しています。金融サービス、通信、ヘルスケアなどの重要な社会インフラ領域における4,000以上の政府機関や企業が、IBMのハイブリッドクラウド・プラットフォームとRed Hat OpenShiftによって、迅速に、効率良く、かつセキュアにデジタル変革を推進しています。 IBMは、AI、量子コンピューティング、業界別のクラウド・ソリューションおよびコンサルティング・サービスなどの画期的なイノベーションを通じて、オープンで柔軟な選択肢をお客様に提供します。 これらはすべて、信頼性、透明性、責任、包括性、ならびにサービスに対するIBMのコミットメントに裏付けられています。詳細は、http://www.ibm.com/ をご覧ください。
IBMの計画、方向性、および意図は、IBMの裁量でいつでも予告なく変更または撤回される可能性があります。将来の製品および改良の可能性に関する情報は、IBM の目標および目的の一般的な考えを示すために提供されるものであり、購入を決定するために使用されるべきものではありません。IBM は、この情報に基づいて、いかなる資料、コード、または機能を提供する義務も負いません。