【プレスリリース】10月24日は「世界ポリオデー」 根絶まであとわずか、常在国は3カ国
最大のポリオワクチン調達機関、ユニセフ
【2014年10月23日 ニューヨーク発】
世界がポリオ根絶に集中的に取り組んで26年。10月24日の「世界ポリオデー」にあたり、
ユニセフは、以前であればポリオの予防接種を受けられなかった、世界中の数百万人の
子どもたちが予防接種を受けられるようになり、ポリオのリスクから守られていると
発表しました。もしこのキャンペーンが行われていなければ、約1,000万人がポリオに
感染し、四肢麻痺になっていたと推定されています。また、免疫力を高めるビタミンAの
投与とポリオ予防接種を定期的に受けられるようになり、150万人の命が守られるように
なりました。
26年前の1988年、世界では年間35万人がポリオに感染していましたが、2013年には年間
416人までに減少、今年はこれまでに243人の感染が確認されており、減少率は99%以上
となります。現在、ポリオ常在国となっているアフガニスタン、ナイジェリア、
パキスタンの3カ国以外で、ポリオは根絶されました。26年の間に、複数国でポリオ感染
が確認されていますが、封じ込めに成功しています。
ユニセフ事務局長のアンソニー・レークは「1988年、ポリオは子どもに障がいを及ぼす
最大の要因でした。それ以降、各国で取り組みが進み、現在では、ポリオ感染の不安を
感じることなく、子どもたちは成長できるようになりました」と述べました。
さらに「根絶へ向けた取り組みを成功へ導いたのは、最も危険な環境下の最も厳しい
状況にあるコミュニティにも、ポリオ予防接種を実施したことです。すべての子ども
たちに予防接種を行うことが可能だということを、証明したのです。我々が描いている
最も野心的かつ大胆な目標の達成まであとわずかです。達成は可能ですし、達成
しなければなりません」と続けました。
常在国のナイジェリアでは、2013年49人の感染が確認されましたが、今年は現時点で
6人となっています。アフガニスタンでは感染が減少しており、感染の多くは隣国
パキスタンに関係するものです。パキスタンは現在最も感染者が多く、今年すでに
206人の感染が報告されています。
ポリオ常在国は3カ国であるものの、南スーダンや中央アフリカ、ウクライナのように
定期的な予防接種が実施できていない国々では特に、子どもたちが感染のリスクに
さらされ続けています。さらに、シリアやイラク、カメルーン、赤道ギニア、ソマリア
などで確認された感染は、常在国であるパキスタンやナイジェリアと関係があります。
ユニセフは、子ども5億人向けに、毎年17億セットのポリオワクチンを調達しています。
また、予防接種を受けるよう、家族や社会に呼びかけも行っています。この10年での
集中的な取り組みによって、ポリオが発生している国々でも、予防接種が受容される
ようになってきています。
レーク事務局長は「ポリオのない世代の実現まで、あと一歩のところまで来ています。
すべての子どもたちが、ポリオにかからず、成長することのできる世界の実現は可能です」
と述べました。
* * *
■参考情報:
ポリオ常在国、感染確認国、感染リスク国ならびにポリオ根絶主要支援国について
常在国: アフガニスタン、ナイジェリア、パキスタン
感染確認国: アフリカ>カメルーン、赤道ギニア、ソマリア、エチオピア、ケニア
中東・北アフリカ>シリア、イラク
感染リスク国: 第1階層>中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ民主共和国、ガボン、
マリ、ニジェール、コートジボワール、ベナン、アンゴラ
第2階層>レバノン、ヨルダン、ヨルダン川西岸/ガザ、ケニア、
南スーダン、ウガンダ、イエメン、ジブチ、トルコ
ポリオ根絶主要支援国:
EU(欧州委員会)、ドイツ、オーストラリア、英国、日本、カナダ、米国、
サウジアラビア、UAE、クウェート、カタール
■参考情報:ユニセフ・世界ポリオデー2014企画展 『ポリオのない世界へ』開催中
日時: 2014年10月20日(月)~ 11月14日(金)
平日ならびに第2・第4土曜日の午前10時~午後6時
場所:ユニセフハウス1階展示スペース
〒108-8607 東京都港区高輪4-6-12 JR品川駅または都営浅草線高輪台駅より徒歩7分
展示内容:
「ポリオってどんな病気?」「なぜ予防接種は大事なの?」といったポリオに関する
基礎知識に加え、ポリオ根絶の歴史やワクチンが世界の子どもたちに届くまでのプロセス、
さらには子どもの権利とのかかわりなどについて、わかりやすく解説したパネルを展示
します。また、今年、WHO(世界保健機関)によってポリオ根絶が認定されたインドで、
5人のカメラマンがレンズを通して見た世界を映し出した写真展「ポリオを克服したインド
の記録」もあわせて開催いたします。
■本件に関するお問い合わせ先
日本ユニセフ協会 広報室 TEL03-5789-2016/FAX 03-5789-2036
Email:jcuinfo@unicef.or.jp
または
Najwa Mekki, ユニセフ・ニューヨーク,
Tel: +1 212 326-7448, Mobile: + 1 917 209 1804, nmekki@unicef.org
Sarah Crowe, ユニセフ・ニューヨーク,
Tel: +1 212 326-7206, Mobile: +1 646 209-1590, scrowe@unicef.org.
■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進
するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、
その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子ども
たちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのため
に活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの
任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会の
ひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動
の広報、募金活動、政策提言(アドボカ
シー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)
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