IBM、政府機関や企業の最も重要なデータを保護するエンドツーエンドの耐量子テクノロジーを発表

IBM Quantum Safe Roadmapを公開するとともに、将来起こりうる攻撃から重要なデータを保護するための包括的な移行を簡略化し実現するための技術ポートフォリオを発表

日本IBM

【ニューヨーク州アーモンクおよびフロリダ州オーランド -2023年5月10日(現地時間)】
IBMは本日、フロリダ州オーランドで開催中の年次イベント「Think」において、政府機関を含む組織が、ポスト量子時代に向けて準備を進める耐量子の取り組みにおいて利用可能なエンドツーエンド・ソリューションとして設計され、IBMの深いセキュリティー専門知識と組み合わされた包括的なツールや機能のセットである、新しいIBM Quantum Safeテクノロジーを発表しました。

量子技術は急速に進歩しています。まもなく、量子システムは、ビジネスや科学にとって有益となる、これまで未解決だった問題を解決できるようになりますが、この進歩は、セキュリティー上のリスクもはらんでいます。量子コンピューターが進展し続けることで、世界で最も広く使われているセキュリティー・プロトコルを破る能力に到達することになります。

IBMはこのリスクを認識しており、暗号技術、量子コンピューター、重要インフラストラクチャーにまたがる幅広い専門知識を活用して、IBM Quantum Safeテクノロジーを開発しました。

この一連の機能により、ポスト量子時代に向けたお客様の準備を支援します。

  • IBM Quantum Safe Explorerは、組織がソース・コードやオブジェクト・コードをスキャンして暗号利用部分、依存関係、脆弱性を特定し、暗号部品表(CBOM https://research.ibm.com/blog/cryptographic-bill-of-materials )を構築可能にします。これにより、潜在的なリスクを中央の1か所に表示・集約することができます。

  • IBM Quantum Safe Advisorは、暗号インベントリーの動的または運用ビューを作成して修復の指針を示すとともに、暗号化の状態とコンプライアンスを分析してリスクに優先順位をつけることができます。

  • IBM Quantum Safe Remediatorにより、耐量子ソリューションの導入準備として、ベスト・プラクティスに基づいた耐量子修復パターンの導入・テストを行い、システムや資産への潜在的な影響を理解できるようにします。


また、IBMは、このセキュリティーの移行をお客様に理解いただき、その移行を支援するためのIBM Quantum Safe Roadmapを公開しました。このロードマップは、ますます高度化する耐量子技術に向けた技術的マイルストーンを示すIBM初の青写真であり、組織が暗号の俊敏性を通じて予想される暗号標準や要件に対応し、新たな脆弱性からシステムを保護できるよう設計されています。

ロードマップは、3つの重要なアクションで構成されています。

  1. 発見: 暗号の使用法を特定し、依存関係を分析し、暗号の部品表(CBOM:Cryptography Bill of Materials)を作成します。

  2. 観測: 暗号化のコンプライアンスと脆弱性の状態を分析し、リスクに基づいて修復の優先順位を決定します。

  3. 変換: 暗号の俊敏性と組み込みの自動化により、修復と軽減を行います。


IBMフェローでIBM Quantum Safe のリーダーであるレイ・ハリシャンカー(Ray Harishankar)は、次のように述べています。「IBMは、量子コンピューティングのリーダーとして、お客様が量子時代に向けた暗号の変革を検討するにあたり、お客様の重要なニーズに包括的に対応することの重要性を認識しています。IBMのロードマップに記載されている一連の新しい耐量子技術とマイルストーンは、有用な量子コンピューティングと連動したポスト量子セキュリティーの継続的な進化のために設計されており、業界がこの移行を効果的かつ容易に実行するためのソリューションが含まれています」

昨年、米国政府は、連邦政府機関が耐量子への移行を開始するための警鐘となる新しい要件およびガイドラインを発表しました。米国国立標準技術研究所(NIST)は、標準化に向けて4つの耐量子アルゴリズムを選定しました。そのうちの3つは、学術界や産業界のパートナーと協力してIBMが開発( https://research.ibm.com/blog/nist-quantum-safe-protocols )したものです。

その後、国家安全保障局(NSA)は、国家安全保障システムが2025年までに耐量子アルゴリズムに移行するための新たな要件を発表し、ホワイトハウスは連邦政府機関に対し、暗号に関連する量子コンピューター(CRQC)に対して脆弱な可能性のあるシステムの暗号インベントリーを提出するよう求める要件を発表しました。

Moor Insights & StrategyのCEO兼 創設者であるパトリック・ムーアヘッド(Patrick Moorhead)氏は、次のように述べています。「量子コンピューターの時代が急速に現実のものとなる中、今日の古典的なシステムやデータを保護するために、耐量子技術を導入することが不可欠です。量子時代に向けて必要とされているのは、世界トップクラスの量子技術と高度な暗号技術における専門知識と、重要なインフラストラクチャー向けに数十年に渡って製品開発を行ってきた経験です。これらはまさにIBMが強みとする点だと思いますし、業界をリードする耐量子ロードマップと、その移行を簡略化する新しい技術で、IBMが耐量子への取り組みをどのように世界的に進めていくのかを楽しみにしています」

IBM Quantum Safeのロードマップとテクノロジーは、組織における既存の暗号に関する環境を明らかにし、ポスト量子時代に成功を収める上で必要な変化に対応し始めることができるようにします。

IBM Quantum Safeテクノロジーの詳細は、https://www.ibm.com/quantum/quantum-safe をご参照ください。

当報道資料は、2023年5月10日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳をもとにしています。原文はこちら( https://newsroom.ibm.com/2023-05-10-IBM-Unveils-End-to-End-Quantum-Safe-Technology-to-Safeguard-Governments-and-Businesses-Most-Valuable-Data )を参照ください。




会社概要

URL
https://www.ibm.com/jp-ja
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区虎ノ門二丁目6番1号  虎ノ門ヒルズ ステーションタワー
電話番号
03-6667-1111
代表者名
山口明夫
上場
未上場
資本金
1053億円
設立
1937年06月