テラドローン、ヤンマーディーゼルインドネシアと自社開発の農業用ドローンの販売パートナー契約を締結
Terra Drone株式会社(本社:東京都渋谷区、代表:徳重 徹、以下 テラドローン)は、ヤンマーホールディングス株式会社のグループ会社PT. Yanmar Diesel Indonesia (本社:インドネシア、代表取締役:川尻 彰、以下ヤンマーディーゼルインドネシア)と、自社開発の農業用ドローンに関する販売パートナー契約(以下、本契約)を締結しました。テラドローンは、ヤンマーディーゼルインドネシアを現地代理店として、テラドローンの子会社でインドネシアに拠点を置くTerra Drone Indonesia(以下テラドローン・インドネシア)を通じて、インドネシア政府および同国の農業従事者にドローンを提供してまいります。
ヤンマーグループは、日本にとどまらず、同国内でもトップレベルの農業機械(以下、農機)メーカーであり、現地政府や農業従事者など幅広い顧客ネットワークを有しています。このネットワークを活用することで、テラドローンはインドネシアの農業分野において、より多くの顧客にドローンソリューションを提供することが可能となります。
締結式は、ヤンマーディーゼルインドネシア本社で開催され、両社より主要幹部が出席しました。

背景と目的
<インドネシアと農業>
インドネシアでは、全人口の約3割(※1)が農業に従事し、GDPの1割以上(※2)を同分野が占めるなど、農業は経済と食料安全保障を支える重要な基幹産業となっています。
一方で、広大な農地を有するインドネシアの農業現場では、害虫被害による収穫量の低下や経済的損失に加え、人手不足も深刻な課題となっています。限られた人手で広範囲を対応するには手作業では限界があり、農薬や肥料の過剰散布やムラが生じるなど、作業の非効率性も課題とされています。
<テラドローンの農業事業の取り組み>
テラドローンはこれまで、世界の約6割(※3)を占めるパーム油の主要生産国であるインドネシアにおいて、パームヤシに対するドローンを活用した農薬・肥料散布事業を提供してきました。パーム油の原料であるアブラヤシの育成および害虫防除(※4)を目的に、テラドローンが自社開発したスポット散布技術を用いることで、特定エリアへの的確な散布を可能にしています。ドローンの活用により、人手作業に比べてムラや過剰散布を抑え、農薬・肥料を効率的に使用することができ、収穫量の向上や生産性の改善が期待できるほか、限られた労働力で広範囲に対応できるため、人手不足の解消にも繋がります。また、作業者が農薬に直接触れるリスクを低減できるなど、安全性の面でも大きな効果を発揮します。さらに、既存農地での収量改善により、新たな農地開発の必要性が減るため、森林伐採の抑制にも寄与します。
こうした農業支援を評価いただき、テラドローンは、2025年2月には、農林水産省「東南アジアにおけるスマート農業の実証支援委託事業」に採択(※5)され、インドネシアにおける農業用ドローンの実証と社会実装を進めています。また、同年5月には、インドネシア国内の大学2校と覚書(MOU)を締結し(※6)、ドローンの実地訓練および雇用創出にも携わり同国のドローン産業基盤の強化にも取り組んでいます。
<テラドローンとヤンマーディーゼルインドネシアの稲作への新たな取り組み>
インドネシアは、中国・インドに次ぐ世界第3位のコメ生産国(※7)であり、広大な水田では、パーム農園と同様に、農薬・肥料の効率的かつ安全な散布や人手不足といった課題を抱えています。
このたび本契約を締結したヤンマーディーゼルインドネシアは、ヤンマーグループのインドネシアでの製造拠点のひとつであり、農機のリーディングカンパニーとしてディーゼルエンジンやパワーティラーの製造・輸出、農機の販売を通じて、インドネシア国内への販売とグローバルな製品供給を担ってきました。
本契約により、ヤンマーディーゼルインドネシアは、既存の製品群に新たに農業用ドローンを加えることで、農業従事者に対するソリューションの幅をさらに広げることが可能となります。なお、ヤンマーディーゼルインドネシアがドローンを取り扱うのは今回が初めてとなります。
また、テラドローンにおいては、これまで取り組んできたパーム農園向け事業に加えて、稲作・畑作向け事業をインドネシア国内で展開する新たな一歩となります。これまでパーム農園で培った散布技術の開発ノウハウを活かし、稲作や畑作においても、農薬散布による害虫防除に加えて、種まきによる作付けにも対応します。顧客ニーズに応じた開発力と迅速な顧客サポートを通じて、稲作や畑作のさらなる効率化と持続可能な生産性の向上に貢献してまいります。
本契約は、テラドローンが顧客ニーズに応じたソリューション提供を行ってきた実績を評価いただいたものと認識しています。
本契約により、両社にとって以下のような効果が見込まれます。
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テラドローン:
ヤンマーグループが有する顧客ネットワーク(政府関係者やコメ農家など)の活用 -
ヤンマーディーゼルインドネシア:
農業用ドローンを製品ラインナップに加えることによる顧客基盤の拡大
※1 出典:Badan Pusat Statistik Indonesia(2023)https://www.bps.go.id/id
※2 出典:World Bank(2022)https://data.worldbank.org/indicator/NV.AGR.TOTL.ZS?locations=ID
※3 米国農務省(USDA) Palm Oil 2023World Production(https://ipad.fas.usda.gov/cropexplorer/cropview/commodityView.aspx?cropid=4243000)
※4 関連プレスリリース:https://terra-drone.net/19923
※5 関連プレスリリース:https://terra-drone.net/20345
※6 関連プレスリリース:https://terra-drone.net/21795
※7 FAOSTAT(国際連合食糧農業機関) https://www.fao.org/faostat/en/#data/QCL
本契約の内容
本契約を通じて、テラドローンは、ヤンマーディーゼルインドネシアと連携し、インドネシア政府およびコメ農家をはじめとする農業従事者に向けて、自社開発ドローンの販売を拡大します。このたび販売する機体は、高性能農業用ドローン「G20」および「E16」で、2025年中に約120台をヤンマーディーゼルインドネシアへ導入し、現地での展開を進めていく予定です。

「G20」は液体に加えて粒状の農薬・肥料散布が可能なため、種まきを行うコメ農家による水田での活用が想定されます。最大20kg/20Lの積載が可能であることから、広範囲にわたる水田で主にウンカやカメムシなどの害虫防除を目的とした使用が見込まれます。
一方、「E16」は「G20」に比べて積載量は小さいものの、持ち運びのしやすさに優れており、小規模なコメ農家など、コンパクトさが求められる農業現場でのニーズが期待されています。
両機体とも、自動航行ルート生成、障害物回避、地形追従飛行などの飛行モードを備えており、不規則な形状の段々畑・丘陵地にも対応可能です。さらに、防水・防塵性能や、プラグイン方式によるタンク・バッテリーの迅速交換など、現場での使いやすさを重視した機能も搭載されています。

今後の展望
現在、インドネシア政府も全国の農家に向けてドローン技術の導入を推進しており、同国の農業分野におけるドローンのニーズは、今後さらに拡大することが期待されます。
テラドローンは本契約を通じて、ヤンマーグループとの協業体制を強化し、インドネシアにおけるドローンソリューションの普及を広く推進するとともに、持続可能な農業の実現に貢献してまいります。今後も、ドローンソリューションの開発・提供を通じて、インドネシアにおける持続可能な農業の実現に貢献します。
またテラドローンは、ヤンマーディーゼルインドネシアの研究開発チームおよびインドネシアの大学とも連携し、「直播(ちょくは)ドローン」の共同開発も進めてまいります。直播とは、田んぼに苗を植えず、種子をそのまま直接まく栽培方法を指します。テラドローンのスポット散布技術を応用することで、一定の間隔を保ちながら種まきを行う高性能ドローンの開発を目指してまいります。
なお、本件に関する2026年1月期業績への影響は軽微と考えておりますが、今後、公表すべき事象が生じた場合には、速やかにお知らせいたします。
代表コメント
<Terra Drone Agri 事業責任者 ウィルソン・オン(Wilson Ong)>
ヤンマーディーゼルインドネシアとのパートナーシップは、農家による持続可能な農業の実践と生活の向上を支援することを目的としています。G20やE16といったドローンを活用することで、農家はコストの削減や資源の効率的な活用、さらに稲作をはじめとした多様な作物での収量向上が期待できます。今回の取り組みは、単なる新技術の導入にとどまらず、農家の支援、環境の保全、そしてインドネシア農業のより良い未来づくりを目指すものと認識しています。
<ヤンマーディーゼルインドネシア CEO 川尻 彰>
この度テラドローンとの協業により、土づくりから収穫までの農業の機械化一貫体系が整います。テラドローンと手を携え、益々、インドネシアの農業の発展に貢献して参ります。
ヤンマーについて
1912年に大阪で創業したヤンマーは、1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功した産業機械メーカーです。「大地」「海」「都市」のフィールドで、エンジンなどのパワートレインを軸に、アグリ、建機、マリン、エネルギーシステムなどの事業をグローバルに展開。環境負荷フリー・GHGフリーの企業を目指し、顧客価値を創造するソリューションを提供しています。未来を育むヤンマーの価値観「HANASAKA」を基盤に、ブランドステートメントとして掲げる“A SUSTAINABLE FUTURE”を実現します。 詳しくは、ヤンマーのウェブサイトhttps://www.yanmar.com/jp/about/ をご覧ください。
Terra Drone株式会社
テラドローンは、「Unlock “X” Dimensions(異なる次元を融合し、豊かな未来を創造する)」というミッションを掲げ、ドローンの開発及びソリューションを提供しています。また安全かつ効率的なドローンの運航を支援するための運航管理システム(UTM)の開発・提供や、国外を対象にした空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発にも注力し、幅広い産業に貢献しています。
テラドローンは、測量、点検、農業、運航管理の分野で累計3000件以上の実績を誇っています。また、当社グループを通じて提供されるUTMは、世界10カ国での導入実績があります。こうした成果により、Drone Industry Insightsが発表する『ドローンサービス企業 世界ランキング』で、産業用ドローンサービス企業として2019年以降連続でトップ2にランクインし、2024年は世界1位を獲得しました。さらに、経済産業省主催「日本スタートアップ大賞2025」では、国土交通分野の社会課題に向けた取り組みが高く評価され、「国土交通大臣賞」を受賞しました。
テラドローンは、ドローンや空飛ぶクルマの普及を見据え、“低空域経済圏のグローバルプラットフォーマー”として社会課題の解決を目指します。
詳しくは http://www.terra-drone.net
Terra Drone Indonesia
テラドローン・インドネシアは、インドネシアを拠点とするTerra Drone株式会社の子会社で、東南アジアにおいて測量・点検・農業分野でサービスを展開するドローンサービスプロバイダーです。ドローンによるマッピング、モデリング、検査、モニタリング、農薬・肥料散布に加え、ドローンを活用する企業向けにトレーニングやコンサルティングも提供しています。
また、インドネシアを中心に、農薬散布やマッピングといった農業向けドローンサービス「Terra Agri」を提供しています。農業事業においては、これまでに累計200,000ヘクタール以上の面積で、1日あたり最大4,000回の飛行を実施。高精度の農薬散布により、最大30%のコスト削減を実現し、150機以上のドローン普及の実績があります。詳しくは https://terra-drone.co.id/
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