【Fリーグ2023-2024】月間MVP受賞インタビュー(10月)

古巣・名古屋を8年ぶりにアウェイで撃破!今季限りで現役引退を表明したファンタジスタ「輝いているうちにやめたい」(室田祐希/エスポラーダ北海道)|月間MVP受賞インタビュー

10月のFリーグ月間MVPは、エスポラーダ北海道の室田祐希選手が受賞。期間中の3試合で3得点。10月18日に今季限りの現役引退を表明すると、4日後の古巣・名古屋オーシャンズ戦では2得点を挙げてチームを勝利へと導いた。クラブでも日本代表でも、圧倒的なテクニックで見る者を魅了し続けてきたファンタジスタ、室田選手の受賞インタビューをお届けします。

■いつも通り、楽しんでプレーすること


──10月の月間MVPの受賞おめでとうございます!率直なお気持ちはいかがですか?

今シーズン限りでの現役引退を発表してから、直後の名古屋戦にも勝てました。チームはまだ最下位ですけど、ホッとしているというか、素直にうれしいですね。


──10月は、しながわシティには敗れてしまったものの、次の試合は、8年ぶりにアウェイで名古屋に勝利する劇的な試合でした。8年前の当時も、室田選手は北海道でしたよね

そうですね。武田テバオーシャンアリーナ(現・名古屋金城ふ頭アリーナ)で。


──古巣を相手に、引退発表直後というタイミングもさすがでした。次の湘南戦も先制ゴールを決めました。室田選手はこの10月、いろんな意味でインパクトを残されました。

しながわに負けた試合は本当に苦しい内容でしたが、名古屋に勝てて、湘南にも勝てるチャンスはありました。(湘南戦の)引き分けは、納得がいってないです。自分も決めるチャンスはまだありましたし、本当にもったいない試合でしたね。どちらに転んでもおかしくないゲームでしたが、それを勝ちにしていかないと最下位から脱出するのは難しいです。


──名古屋戦は、相手もかなり気持ちが入っていました。難しいゲームではありつつも、そういったゲームで勝ち切れた要因はなんでしょうか。

先制されて、すぐに追いつけたことが一番良かったのかなと。あとは我慢して、前半を耐えたということも良かったのかなと思います。負ける試合は前半で連続失点していることが多いので、我慢強くみんな体を張って守っていたことが勝利につながったのかな、と。


──室田選手も、名古屋は古巣ということもあっていつも以上に気合が入っていたとか?

いえ、そういうことはないですね。引退発表してからは、もう残りが少ないので、勝つことも大事ですけど、悔いのないような選手生活を送って終わりたいなという気持ちでした。普段と変わらないですけど、楽しんでプレーすることを心掛けて、いつも通りプレーしました。


■水上GMにも驚かれなかった


──現役引退発表には多くの驚きと反響がありました。理由を教えていただけますか?

正直、まだできると思っています。でも、今シーズンが始まってから「今年でもう引退しようかな」という考えは頭の中にありました。動けるうちにやめたい、輝いているうちにやめたいという考えですね。動けなくなってからより、今のまま引退したほうがいいな、と。


──なるほど。室田選手らしいというか。名古屋戦の前に発表した理由はなんでしょうか。

全日本フットサル選手権大会が終わってからだと、試合を見に、僕を見に来てくれる人が、それをできなくなってしまう。多くの人に最後、見に来てもらいたくて早めに発表させてもらいました。


──名古屋戦の前というのは?

それは特に理由はないですね。(水上玄太)GMに話したのもリリースの1、2週間前でした。練習が終わってGMと2人になるタイミングがあったので、そこで言いました。


──その時のGMの反応は?

特に驚きとかはなかったですね。僕の中ではもう確定していたので、意思の固さを感じたんだと思います。そこから早目にリリースを出してほしいという話をさせてもらいました。


──GMはなにかを感じ取っていたんでしょうか。

どうなんですかね。


──水上さんからすると「俺より先じゃねーだろ!」みたいなことも?

特にないですね。察していたんですかね。仲良いやつらには話していたので、もしかしたらどこかから耳に入っていたかもしれないです。


──明確に現役引退を決めたきっかけはなんですか?

本当、タイミング的に2人で話す時があったんで、その時が良いタイミングかなと思って。


──その日に言うと決めていたわけではなく、タイミングが来たと。

全然、決めてないですね。


──鈴木裕太郎選手からはなにか言われましたか?

裕太郎くんも特には。僕の意志が固かったっていうのもありますし、揺らいでなかったから。福田(亮)や木村(優太)など、プライベートでもご飯に行く人には先に話していて、他の選手はリリースを出す少し前、全体の前で挨拶させてもらった時に知った感じですね。


──福田選手、木村選手はどんな反応をしていましたか?

まだ一緒にやりたいとは言ってくれていましたね。


──発表を受け、SNSなどでも本当に多くのリアクションがありました。

「まだ早い」とか「引退するのをやめてくれ」って言葉もたくさんいただきました。ありがたいことに。


──その言葉を受けても、意思は揺らぐことはなかった?

僕の意思は固いので、揺らぐとかはないですね。


──では、あとはFリーグの残りのキャリアを突き進むだけということですね。

そっちのほうに、今は気持ちをシフトチェンジしています。


■テクニックや遊び心は兄の影響


──室田選手といえば“楽しそうにプレーする”姿が印象的です。それは今も、昔も。選手としてずっと大事にしてきたことや意識してきたことはありますか?

毎試合、楽しみながらプレーしようと思っても、僕はやっぱり感情的になっちゃうことが多いですね。いいプレーができなくなったり、負けてしまったりした試合は特にそう。この間の湘南戦も熱くなってしまいました。だから、もっと余裕をもてていたら、もっといいプレーができるのかなとは思っているんですけどね(苦笑)。


──ただ、デビュー当時と今の室田選手を比べると、ピッチのたたずまいや言動を含め、とても変化があったように感じます。ご自身のなかで感じることもありますか?

プレー自体はやっぱり、(前フットサル日本代表監督の)ブルーノ(・ガルシア)に呼んでもらっていたので、そこでいろんな指導をしてもらったことでの成長が大きかったです。あとは、町田に移籍してプレーしたことも大きいですね。あの時代は本当にレジェンドな人ばかりだったので、練習からすごく刺激的で、強度の高い内容でやれていたと思います。


──例えばどんなことを学びましたか?

一番は、ボールを持っている時に顔を上げてプレーすること。さらしている時などですね。昔は余裕がなくてドリブルしかできていなかったんですけど、今のプレーを見たらたぶん、ドリブルよりも対角にパスを出したり、相手のズレているところにパスを出したりするプレーが多いと思います。そこは、ブルーノ監督にはずっと言われてきたことですね。


──顔を上げることで、選択肢が増えた。

そうですね。余裕をもってプレーできるようになったことが大きいですね。


──室田選手の多彩なテクニックは、どうやって身についたものですか?

エスポラーダに入る前、兄(室田翔伍/元エスポラーダ北海道所属)が大学生の頃、一緒にフットサルに連れて行ってもらっていて、兄やその友達のプレーを見て真似したのが大きいですね。


──それはテクニックの部分ですか?

そうです。足技とか、遊び心というか。


──お兄さんの翔伍さんは、Fリーグではフィクソで、チームを後方でまとめる大黒柱のような選手でしたよね。パスもうまかったですが、足技のスキルも高かったんですね。

クリニックとかでも、子どもを相手にするとめちゃくちゃうまかったですね。


──室田選手から子どもたちに向けて、今のうちにやっておくといいことがあれば。

楽しんでボールを蹴ること。それができていればいいと思います(笑)。


■若手の速さについていけなくなってきた


──今の時点で振り返ると、印象的なプレーやゴールはありますか?

直近で言うと、やっぱりワールドカップの得点ですかね。でも……思い出せばキリがない。町田時代もありますし、難しいですね(笑)。


──シャペウで決めた日本代表の初ゴールはすごかったですね。

それもありましたね。もう10年前ですか……。


──室田選手は2010年8月7日の2010シーズン開幕戦、名古屋との試合でデビューしましたね。その試合が、あのリカルジーニョ選手のFリーグデビューと一緒でもあって。

そうでしたね、一緒でした。国立代々木競技場第一体育館のセントラル開催で。


──その当時で思い出されることはありますか?

もう、名古屋が強すぎるイメージしかないですね。僕もガリガリだったので、フィジカル的にぶっ飛ばされるシーンがやっぱり最初の頃は多かったですね。


──そこから、フィジカル的にも世界で戦う水準に上げてきましたよね。

実際には、町田の時が自分的には一番コンディションも良くて、プロでやらせてもらえていたので、今よりも上がっていたと思います。


──競技のみに集中できるプロ環境と、他の仕事と両立する環境の難しさを感じますか?

難しいですね。やはり、日中、朝から夕方までは仕事なので、身体をケアする時間をなかなか取れないという部分が大きいかもしれません。


──それでも、今シーズンのコンディションはよさそうです。

動き的には、重いとかもなく、今のところはいいですね。でも、特に若手選手たちにはちょっとついていけなくなりました……。


──そうなんですか?

湘南の靏谷(春人)とか、横浜のつっつー(堤優太)とか、やっぱり速いですね。特につっつーは別格で速いですね。


──ついていけなくなって悔しいとかも?

いや、全然ないですね。「速えぇ!」みたいな(笑)。


■得点王は厳しいけど、点は取りますよ


──チームは今シーズン、特に厳しい戦いを強いられています。現状最下位で、残り試合も少なくなってきたなか、どのように戦っていきますか?

名古屋、湘南戦はみんな気持ちを出してディフェンスしていて、いいゲームができていました。ああいう試合をできれば、勝ち点は積み重ねていけると思います。今の若い選手は、あんまり気持ちを出してプレーする人が少ないじゃないですか。最近の若手だと(毛利)元亮とか(甲斐)稜人とか、あの年代はすごいですけどね。彼らは負けん気があっていいなと思っていましたけど、そういう選手があまり出てこないので……。僕は気持ちを前面に出してやっているので、そうやって気持ちを出して、体を投げ出していくようなプレーができれば大丈夫かな、と。あとはもう、僕が点を取るので。前半でゲームが壊れないような試合をすれば。


──おお、熱い言葉。でもたしかに、その勝負に持ち込めると、劇的な試合をする北海道に勝ち目が出てきますね。今シーズンも、ブザービート未遂の試合が何回か……。

そうですね。昔から僕らは、劇的な試合が多いかもしれないですね。


──室田選手が引退、北海道も入れ替え戦となるのは避けたいところですね。

入れ替え戦は一番、避けたいですね。


──ただ、仮にですが、入れ替え戦となっても、室田選手が北海道を勝利に導いて、最後に残留させて引退というようなストーリーも……。

でもやっぱり、F2に落としたくないのはみんなが思っているので、まずは入れ替え戦に行かないように、残りのリーグを戦っていきたいと思います。


──最後に、ファン・サポーターにメッセージをお願いします。

これまでも、みなさん時間をつくって会場に足を運んでくれて、本当にたくさんの観客の前でプレーしてくることができました。でもそれができるのも、あと少し。やっぱりたくさんの人に会場まで足を運んでもらい、見に来てほしいですね。


──最後、点を決めまくって得点王にも……?

いやー、ちょっと厳しいっすね(笑)。でも、点は取りますよ。


インタビュー・文=本田好伸(SAL:http://f-sal.com/
※インタビューは11月2日に実施しました

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ビジネスカテゴリ
スポーツ
ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

URL
-
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都文京区後楽1-4-18 トヨタ東京ビル4階
電話番号
-
代表者名
小野寺隆彦
上場
未上場
資本金
-
設立
-