年商・経理担当者数別の実務課題など「中小企業の経理担当者の働き方&実務の困りごと実態調査」前編を公表

~経理実務の困りごと最多は「伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力」で約3割、インボイス制度や電子帳簿保存法、定額減税など「法制度改正への対応」への不安の声も全体の4分の1近くに達する~

株式会社ミロク情報サービス

 財務・会計システムおよび経営情報サービスを開発・販売する株式会社ミロク情報サービス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:是枝 周樹、以下「MJS」)のシンクタンクである「MJS税経システム研究所」は、企業の経理担当者362名を対象に、実務において感じている課題や経理業務に関する情報収集の状況、スキルアップの取り組み等について「中小企業の経理担当者の働き方&実務の困りごと実態調査」を実施しました。

 中小企業や小規模事業者では1人あるいは少人数で経理業務を担っているケースが多く、「経理業務に課題を感じていても相談できる人がいない」「他社はどんな状況なのかを知りたい」といった声がMJSには寄せられています。そこで、数々の企業の経理業務の代行や業務改善コンサルティングを手がける株式会社トラフィックエイジア代表取締役社長でMJS税経システム研究所の客員講師でもある外波 達也氏監修のもと、企業で働く全国の経理担当者を対象に、選択式と自由記述の設問で経理担当者のリアルな声を明らかにする実態調査を実施しました。今回は前編として、実務において感じている課題について、全体の傾向ならびに年商と経理担当者の人数別に見た場合の傾向をまとめた調査結果をご報告いたします。

■ 調査概要

調査名  :中小企業の経理担当者の働き方&実務の困りごと実態調査

調査主  :株式会社ミロク情報サービス MJS税経システム研究所 事務局

調査対象 :MJS発行月刊誌「Monthly Report」送付先企業 

      MJSの企業向けメールマガジン受信者 

調査期間 :2024年6月1日~6月30日

調査エリア:全国

調査方法 :Webアンケート調査

有効回答数:362

■ 調査結果(PDF)

https://www.mjs.co.jp/outline/zeikei/activities/works/assets/pdf/monthlyreport25.pdf

■ 調査結果と考察の要旨

・実務の困りごとについて、全回答の最多は「伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力」の27.3%、「従業員の経費精算」(21.3%)、「給与計算」(16.6%)の回答も多い傾向

発生頻度や件数が多く、労務管理や所得税など複雑な知識が必要、かつ期日厳守の業務において根強く課題あり

・上記の2番目に票を集めたのは「法制度改正への対応」の24.9%

インボイス制度や電子帳簿保存法への対応、令和6年所得税・個人住民税の定額減税への対応による経理担当者の負担増加が背景にあり

・「伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力」「給与計算」は、勤め先企業の年商が同じ区分の場合、経理の人数が多い区分の方が困りごととして挙げている割合が高い

人員増で対応できるものばかりではなく、システムでの効率化を検討した方がよいと考えられる

・「従業員の経費精算」では、同じ年商では、上記とは逆に経理の人数が少ない区分の方が困りごととして挙げている割合が高い

経理全体の業務量が多い中で、少人数で実行することに困難を感じている可能性あり

■調査詳細(一部)

―回答者プロフィール―

・勤め先の企業の上場状況は、非上場会社ほか(公益法人などを含む)が83.7%

・年商20億未満の企業に勤める人が全体の53.2%

・従業員数100名未満の企業に勤める人が約半数

・従業員数が99人以下の企業では経理担当者の人数は1人または2~3人、従業員数が100名以上の場合には経理担当者2名以上が大多数(下記図1)

※SA=単一回答、MA=複数回答、OA=自由記述回答

図1

―実務の困りごと(全体)―

・実務の困りごと(図2)について、全回答の最多は「伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力」の27.3%、「従業員の経費精算」(21.3%)、「給与計算」(16.6%)の回答も多い傾向

発生頻度や件数が多く、労務管理や所得税など複雑な知識が必要、かつ期日厳守の業務において根強く課題あり

・2番目に票を集めたのは「法制度改正への対応」で24.9%

インボイス制度や電子帳簿保存法への対応、令和6年所得税・個人住民税の定額減税への対応による経理担当者の負担増加が背景にある

・「経営分析」「予算編成」「原価計算」「管理会計」がいずれも8~9%

未来志向の管理会計の要素であり、データに基づいて着実な経営を行うという意識の表れ

図2

<有識者考察>

 多くの人が困りごととして挙げている「1.伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力」「4.従業員の経費精算」「7.給与計算」のように、発生頻度や件数が多く、労務管理や所得税など複雑な知識が必要で、かつ期日厳守の業務において、根強く課題があるようです。正確性と迅速性が求められ、効率化への工夫で課題解決が望める業務です。

 さらに、「22.法制度改正への対応」が24.9%と目立ちます。これは、近年、特にインボイス制度や電子帳簿保存法への対応、令和6年所得税・個人住民税の定額減税などによって経理担当者への負担が増えたことが背景にあります。

 注目したいのは、「14.経営分析」「15.予算編成」「20.原価計算」「21.管理会計」がいずれも8~9%ほど挙がったことです。中小企業は、事業を行った後の法人税などの計算のための税務会計が主だといわれていますが、ここに挙がったものは、いずれも未来志向の管理会計の要素です。これからは、経営分析や予算実績管理、原価計算による適切な価格設定をするなど、データに基づいて着実な経営を行うという意識の表れでしょう。

 また、自由記述のコメントを見ると、システムを使いこなせていないことに課題を感じている回答者が見受けられました。システムを適切に活用するためには、社内ルールの整備が必要であり、ノウハウが求められます。

―実務の困りごと(年商・経理担当者人数別の考察)―

・「伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力」「給与計算」は、勤め先企業の年商が同じ区分の場合、経理の人数が多い区分の方が困りごととして挙げている割合が高い

人員増で対応できるものばかりではなく、システムでの効率化を検討した方がよいと考えられる

・「従業員の経費精算」では、同じ年商では、上記とは逆に経理の人数が少ない区分の方が困りごととして挙げている割合が高い

経理全体の業務量が多い中で、少人数で実行することに困難を感じている可能性あり

図3

調査は22のカテゴリで実施。上記グラフは前半1~11カテゴリ部分の抜粋。

<有識者考察>

 実務の困りごとを、年商と経理担当者の人数別に比較し、(A)年商20億円未満かつ経理が1人、(B)年商20億円未満かつ経理が2~3人、(C)年商20億円以上かつ経理が2~3人、(D)年商20億円以上かつ経理4人以上、の4つの区分で見ていきます。

 どの区分でも多く挙がった「1.伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力」「4.従業員の経費精算」「7.給与計算」では、同じ年商で経理の人数が異なる(A)と(B)、(C)と(D)で割合の棒グラフが交互にでこぼこになる結果が出ました。

 「1.伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力」は、同じ20億円未満だと経理1人の(A)よりも経理2~3人の(B)が上回り、20億円以上だと経理2~3人の(C)よりも経理4人以上の(D)が上回りました。同じ年商で経理の人数が増えても、伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力の困りごとは増えています。これは、伝票作成・帳簿の記入・仕訳入力の困りごとが、単純に人員増で対応できるものばかりではないということが考えられます。

 一方、「4.従業員の経費精算」では逆のでこぼこになっています。同じ年商だと経理の人数が少ない区分(A)(C)が経費精算を困りごととして挙げている割合が上回ります。経理業務全体としてやることが多い中で、少人数で実行することに困難を感じているのかもしれません。

 年商の増加にともなう業務量の増加に対して、人員増で対応しやすい業務と、システムを使って効率化しなければ課題解決につながりにくい業務が浮かび上がってくるようです。

―困りごとの自由記述(「伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力」について)―

図4 困りごとの自由記述(「伝票の作成・帳簿の記入・仕訳入力」)抜粋

(A)年商20億円未満かつ経理が1人

・日々の管理ができず、まとめて行うので、誤りが多い。またマンパワーが足りないと感じている。

・仕訳件数が多い。

(B)年商20億円未満かつ経理が2~3人

・仕訳がデータベース化されているにもかかわらず、業務が一気通貫されていない。

・業務の整理ができていなくて多重入力が発生している。

(C)年商20億円以上かつ経理が2~3人

・完全に電子化はできていない。

・事業部でシステムが異なる。

(D)年商20億円以上かつ経理4人以上

・そのまま仕訳を切っていくと複雑になることがあり、作成時に考えることが多い。

・昔からの起票⇒上長印鑑承認⇒仕訳入力⇒確認等のやり方が変えられない。

<有識者考察>

 年商20億円未満かつ経理が1人(区分A)の場合、仕訳件数の多さや手入力の悩みがみられました。経理業務を1人で行っていると、分量が多く時間と労力が割かれる作業は直接的に業務を圧迫し、負担が大きく感じられると思います。

 経理が2~3人(区分B・C)の場合、経理担当が完全な電子化・自動化に至っていないという悩みがありました。多重入力やチェックの手間は、Excelや会計システムを今後もっと有効活用して改善できる希望が持てます。

 年商規模も大きく経理の人数も多い場合(区分D)、複雑な取引の仕訳や、社内の承認ルートなど、さらに組織立った企業運営に関する悩みが垣間見えました。

 MJSならびにMJS税経システム研究所では、全国32の拠点網を活かし地域密着型で各種法制度改正に関するセミナーを開催しているほか、動画コンテンツの配信などを通じお客さまへ情報提供を行うとともに、企業規模や個々の課題に応じた各種製品・サービスを取りそろえ、お客さまの事業活動を支援しています。

監修:

株式会社トラフィックエイジア代表取締役

MJS税経システム研究所 客員講師

外波 達也氏

東京都内の公認会計士・税理士事務所に勤務後、準大手訪問販売系商社で営業部、営業管理部(商品管理・債権管理)、広報部、経理部に従事。その後、コンサルティング会社に勤務し、経営コンサルティング、財務コンサルティングを手がける。2010年より株式会社トラフィックエイジア代表取締役。管理系の業務代行や業務改善コンサルティングを行う。豊富な現場経験を生かし、経理・月次決算、給与計算・労務管理、財務管理、商品・流通管理などの支援を行っている。

<「中小企業の担当者の働き方&実務の困りごと実態調査」連動セミナー

「経理実務の「3大困りごと」 仕訳入力・経費精算・給与計算の業務効率化の考え方」>

本調査結果をもとにしたセミナーを開催いたします。

セミナー概要

 「経理担当者の実務の困りごと」アンケートにおいて、多くの方が実際の業務の中で困っていると回答していたのは「仕訳入力」「経費精算」「給与計算」の3大現場業務です。これらの業務の効率化が進んでいない中小企業では、業務が属人化して職人技で処理を行っているケースが多く、担当者がストレスを感じることも多いのだと考えられます。

 効率化のカギの一つは、「ルール整備」。規則や規程に加え、業務フローや社内習慣の改善などを含めたルールの整備を行うことで、イレギュラーな処理を最小限にでき、処理が統一されてきます。これにより、業務の簡便化やシステム導入もしやすくなり、さまざまな面で業務効率化ができます。

 本セミナーでは、3つそれぞれの業務から見た改善ポイントを考察します。

開催日程 :LIVE配信    2024年10月24日(木)13:30~15:30

      アーカイブ配信  2024年10月29日(火)~11月29日(金)

形式   :オンライン(ZoomによるLIVE配信+アーカイブ配信)

参加費  :一般 5,500円(税込)

定員   :100名

お申し込み:https://peatix.com/event/4108104/view

※予告なく変更する場合があります。

※具体的な個別のシステム(製品)の解説は含まれておりません。

■ MJS税経システム研究所について (https://www.mjs.co.jp/outline/zeikei/

 ミロク情報サービスのシンクタンクとして、1999年に設立された「MJS税経システム研究所」は、昨今のめまぐるしい税制改正や会社法改正、会計制度や各種制度の変更にスピーディーに対応したさまざまな情報やサービスを提供することを目的として活動しています。税務・商事法・会計・経営システム等の各研究会に分かれ、それぞれの分野での専門家を顧問・客員研究員として招き、研究活動を行っています。

■ 株式会社ミロク情報サービス(MJS)について (https://www.mjs.co.jp/

 全国の会計事務所と中堅・中小企業および小規模事業者に対し、経営システムおよび経営ノウハウならびに経営情報サービスを提供しています。現在、約8,400の会計事務所ユーザーを有し、財務会計・税務を中心とした各種システムおよび経営・会計・税務等に関する多彩な情報サービスを提供しています。また、中堅・中小企業に対して、財務を中心としたERPシステムおよび各種ソリューションサービスを提供し、企業の経営改革、業務改善を支援しており、現在、約10万社の企業ユーザーを有しています。

【本リリースに関するお問い合わせ先】

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社長室 経営企画部 広報・IRグループ 宮城・安藤

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会社概要

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URL
https://www.mjs.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都新宿区四谷4-29-1
電話番号
03-5361-6369
代表者名
是枝 周樹
上場
東証プライム
資本金
31億9800万円
設立
1977年11月