約9割が生理のつらさ「ある」、要受診スコアでも未受診のケースも
小中高生含む384人の生理にまつわる声をアンケートで集計

認定NPO法人フローレンス(東京都千代田区、代表理事:赤坂緑)は、生理の経験がある方(成人・小中高生)を対象に「生理のつらさや困りごと」に関するアンケート(有効回答数:384件)を実施しました。
フローレンスのグループ法人であるフローレンスこどもと心クリニックでは、2025年6月より「小学生からのピル外来(生理外来)」の診療を開始し、初潮を迎えた小学生や思春期のこどもたちが、痛みやつらさに悩まされることなく本来の力を発揮しながら生活できるようサポートしています。
近年、大人の生理にまつわる課題は社会的に注目されつつありますが、こどもが抱える困りごとや機会損失については、十分に知られていません。今回のアンケートでは、こどもの生理にまつわるつらさや声を可視化することを目的に、SNSなどを通じてインターネット上で、生理の経験がある成人・こども(小中高生)の声を集めました。

アンケート名称 |
生理のつらさ・困りごとに関するアンケート |
収集方法 |
インターネット上でアンケートを実施し、以下を通じて拡散。 ・X ・認定NPO法人フローレンススタッフ、およびその知人 |
実施期間 |
2025年9月10日(水)~2025年9月30日(火) |
対象 |
生理の経験がある方 |
回答数 |
384件(大人302、こども82件)※こども:小中高生 |
主な設問 |
1. こどもおよび、こども時代の生理のつらさや困りごと、機会損失 2. 生理のつらさによるこどもの受診経験 3. 大人になってからの受診経験 4. 生理に関する親子のコミュニケーション |
アンケート結果
<生理のつらさや困りごと、機会損失>
●こどもの回答者(82名)のうち、「生理のときにつらいと感じる」ことがあるのは約9割、また、生理のつらさにより「やりたいことができなかった」経験があるのは約7割。
●大人の回答者(302名)のうち、こども時代(初潮から高校生頃)を振り返って「生理のときにつらいと感じた」ことがあるのは約9割、また生理のつらさにより「やりたいことができなかった」経験があるのは約6割。
▼こどもの回答結果
今回のアンケート(回答者数384名)では、小中高生82名の回答を「こども」の声として集計しました。
その結果、「生理のときにつらいと感じることがある」と回答したこどもが93%【図1】、生理のつらさによって「やりたいことができなかった」経験があると回答したこどもは71%【図2】でした。
具体的な困りごととしては、「授業に集中できなかった(79%)」「体育・水泳に参加できなかった(64%)」「漏れや汚れが心配で行動を制限した(62%)」【図3】などが挙がり、学校生活や日常生活に影響が及んでいる様子が見えてきました。
今回の結果は、限られた回答者数に基づくものではあるものの、生理によってこどもたちの学びや成長の機会が制限されているケースも一定数あることが確認されました。



▼大人がこども時代を振り返ったときの回答結果
大人(302名)にも自身のこども時代(初潮から高校生頃)を振り返ったときの生理のつらさ・機会損失についても聞きました。
こども時代を振り返って「生理のときにつらいと感じたことがある」と回答した人は91%【図4】、「生理のつらさにより、やりたいことができなかった経験がある」と回答した人は58%【図5】でした。


<生理のつらさによるこどもの受診の経験>
●受診経験について
・こども時代(初潮から高校生頃)を振り返って「受診経験がある」と回答した大人は約1割。
・現在のこどもでは約3割が「受診経験がある」と回答。
●回答したこどものうち、約4割は要受診スコアに該当し、そのうち約5割は未受診。
▼こども、およびこども時代の受診について
本設問では、大人302名、こども(小中高生)82名から回答を得ました。
病院への受診について、大人が自身のこども時代(初潮から高校生頃)を振り返った場合、受診の経験があると回答した割合は12%【図6】でした。
現在のこどものうち、受診経験があると回答したのは32%【図7】でした。
また、初潮を迎えたこどもがいる保護者(64名)のうち、88%【図8】が「つらい症状がある場合には受診させたい」と回答しています。



▼月経困難症スコアと受診について
このアンケートでは、(1)生理痛の程度・(2)鎮痛剤の使用回数により、生理の重さを評価する「月経困難症スコア」【図9】を用いました。(1)(2)のスコアの合計が3以上の場合、受診の目安とされています。
回答したこども(82名)のうち、44%(36名)が要受診の目安とされるスコア3以上に該当しました。そのうち医療機関を受診していないこどもは53%(19名)でした【図10】。
つらい症状がありながら医療につながれていないこどもが、一定数存在する可能性がうかがえます。


<大人になってからの受診経験>
●大人の2人に1人は大人になってから受診した経験を持ち、約8割が「生理のつらさが解消された」、約7割が「こどもの頃に治療を受けたかった」と回答。
こども時代(初潮~高校生頃)に受診経験があると回答した割合は12%【図6】である一方で、大人になってからは53%【図11】が医療機関を受診した経験があると回答しています。そのうち84%が「生理のつらさが解消された」、73%が「こどもの頃に治療を受けたかった」と回答しました。【図12】


医療につながるまでの経緯やこどもの頃につながれなかったエピソードについて、71件の切実な声が寄せられ、「こどもの頃は生理のつらさについて親からの理解が得にくかった」「我慢することがあたりまえだった」「こどもの頃に色々な選択肢を知っていれば」といった声も見られました【図13】。(エピソード全文はこちら)

<生理に関する親子のコミュニケーション>
●生理に関する親への相談について
・こども時代(初潮~高校生頃)を振り返って「相談した」と回答した大人は約4割。
・現在のこどもは約7割が「相談する」と回答。
●一方で、要受診スコアに該当する(36名)にもかかわらず受診していないこども(19名)のうち、68%は既に親に相談している(13名)と回答。
本アンケート(回答者数384名:大人302名/こども82名)では、大人が自身のこども時代(初潮から高校生頃)を振り返って「親に相談した」と回答した人は37%【図14】でした。現在のこどもでは68%【図15】が「親に相談している」と回答し、初潮を迎えたこどもがいる保護者のうち89%【図16】も「我が子と生理について話している」と回答しています。
その一方で、「生理痛の程度」と「鎮痛剤の使用回数」から算出した月経困難症スコアで、要受診の目安とされるスコア3以上に該当し、かつ医療機関を受診していないこども(19名)のうち68%(13名)は、すでに「親に相談している」と回答しています。
未受診の理由としては「親に知識がなく対応できなかった」「親が薬(ピルなど)に抵抗を持ち、副作用を心配していた」といった声もありました。
親子でコミュニケーションが取れていても受診につながらないケースがあることがうかがえます。要因の一つとして、受診の目安や治療に関する知識などが十分に浸透していない可能性も考えられます。



生理についてこんな世の中になって欲しい!(フリーコメント抜粋)
アンケート調査では「生理について、『こんなふうになればいいのに』と思うことを自由に書いてください」という設問に対して、228件の声が寄せられました。以下はその一部です(原文のまま、一部表記を整えています)。
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学校で、先生や友達に相談しやすいといいと思う(10代・小学生)
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体育を見学するのにそのぐらいでって言われたくない。プール見学する時に本当に?って疑われて嫌だった。ちゃんと毎月同じ時に来ないのに(10代・中学生)
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今はピルを服薬していますが、もっと早く服薬していればよかったし、その選択肢をもっと早く知りたかった。(10代・高校生)
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会社に生理休暇があるけど、休みにくい。特に、上司が男性の場合伝えにくい。女性でも"そんな事で休むな。病気じゃないだろ" と思われてそうで言いにくい。(20代)
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若い子は知識がアップデートされている子も多いが、親や学校の先生、職場の上司など自分たちやより上の世代の知識の更新が早急に必要だと思う。(30代)
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痛みやつらさなど個人差があるため、私はひどい方ではなかったが、ひどい人の理解ができるよう、男女共に理解する場が早い段階で必要だと思う。(40代)
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娘は生理痛の治療のためにピルを服用しているが「ピル=避妊」等良くないイメージを持つ人がまだいる。ピルや婦人科通院に対して理解をしてほしい。(50代)
これから目指していくこと
今回のアンケート調査では、生理のつらさによって学校生活や日常生活で機会損失をしているお子さんが一定数いること、なかには「要受診スコア」に該当しているにもかかわらず、医療機関へアクセスできていないお子さんがいる可能性が伺えました。
こどもの頃から生理のたびに毎月のように痛みを感じているせいか、その状態を「あたりまえ」と思い込んでいる方も少なくありません。しかし、「生理はつらくて当然」「その間はやりたいことを我慢するもの」という考えは決してあたりまえではありません。
2025年6月から、フローレンスこどもと心クリニックでは「小学生からのピル外来(生理外来)」を開設し、これまでに大人からこどもまで相談に応じてきました。治療を開始した方からは、「学校や塾を休まず通えるようになった」「相談して本当によかった」といった声が寄せられています。
生理に正しく向き合うことは、女性が自分自身の体を理解し、やりたいことを我慢せずに挑戦できる心と体を育てる第一歩です。そして、生理は女性だけの問題ではありません。正しい知識が社会全体に広がることで、まわりの理解やサポートも増え、一人で抱え込まなくていい環境がつくられていきます。
フローレンスグループは、「生理はひとりで我慢するものではなく、つらいときは気軽に話すことができる、治療の選択肢もあることを誰もが知っている」そんな社会へ、皆さんとともにアップデートしていきたいと考えています。
(参考)フローレンス公式YouTubeでの情報発信「こどもと心の相談チャンネル」
・前編:https://florence.or.jp/flolens/85353/
・後編:https://florence.or.jp/flolens/85398/
【アンケート結果全文】
アンケート結果全文はこちらからダウンロード可能です。
※ご使用の際には、下記2点をお願いします。
「認定NPO法人フローレンス」と出典の明記をお願いします。(使用料なし)
弊会の取材申込フォームに用途をご記載のうえ、事前の申請をお願いします。
<取材申込みフォーム>https://florence.or.jp/publicform
認定NPO法人フローレンスについて
こどもたちのために、日本を変える。フローレンスは日本のこども・子育て領域に関わる課題解決と価値創造に取り組む、国内最大規模の認定NPO法人です。
日本初の共済型・訪問型病児保育事業で2004年に設立し、こどもの虐待、こどもの貧困、障害児家庭の支援不足、親子の孤立の課題を解決するため、多様な保育事業を運営するほか、全国で「こども宅食」「おやこよりそいチャット」「にんしん相談」「赤ちゃん縁組」などの福祉事業と支援活動、政策提言をおこなっています。
▶フローレンスコーポレートサイトURL:https://florence.or.jp/
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