台湾・日本の再エネ企業が戦略的協業覚書(MOU)を締結
日台連携で再エネの透明性とアワリーマッチングをアジア市場へ
台湾の再生可能エネルギー事業を展開するNatural Power Company Ltd.(台湾社名:大自然能源電業股份有限公司、以下「NPC」)と、ビジネスで社会課題解決を目指す株式会社UPDATER(所在地:東京都世田谷区、代表取締役:大石英司)が運営する再生可能エネルギー100%(※1)の電力小売サービス「みんな電力」は、2026年9月1日付で「台湾・日本間の再エネ透明性と持続可能な発展に関する戦略的協業覚書(MOU)」を締結したことをお知らせします。
本協業は、台湾トップ企業の脱炭素を支えてきたNPCの再エネ調達・コーポレートPPAの知見と、世界で初めて商用の電力トラッキングを実現したUPDATERのトレーサビリティ技術を掛け合わせ、日本・台湾、そしてアジア全域に「透明性の高い再エネ市場」を広げることを目指すものです。

※1 再生可能エネルギー由来の電気に、再生可能エネルギー指定の非化石証書の環境価値を組み合わせることで、再生可能エネルギー100%の電気を供給します。また、CO2排出量もゼロとなります。
締結の背景 ― 「量の確保」から「質・時間の証明」へ、転換点を迎える再エネ市場
生成AIの普及で、データセンターの電力消費が世界的に急拡大しています。マッキンゼーによれば、世界のデータセンターの電力需要は2030年までに約1,400TWh(世界の電力需要の約4%)に達する可能性があります(※2)。電力需要そのものが世界規模で膨らむなか、脱炭素を掲げる企業にとっては、この増え続ける電力をいかに再生可能エネルギーでまかなうかが課題です。再エネの需要は世界的に高まり、地域によっては供給が追いつかず、調達が難しくなり始めています。
こうしたなか、企業の脱炭素を評価する国際ルールも変わろうとしています。CO2などの温室効果ガス排出量の算定ルールの国際基準である「GHGプロトコル」は、2025年10月に改定案を公開しました(※3)。改定案では、使った時間帯の電力が再エネでまかなえているかを1時間ごとに確かめる「アワリーマッチング」と、その電気が実際に自分のところへ届きうる範囲かを問う「deliverability」の2点が求められるようになりました。これまでは1年間の使用電力と再エネの量が釣り合えばよく、極端に言えば、昼に多く発電される太陽光を夜に使った電気の埋め合わせに充てることも認められていました。しかしこれからは、「いつ・どこで発電された電気を、いつ使ったのか」まで示す必要があり、再エネは「量」だけでなく「質」と「時間」で問われる資産になりつつあります。
この流れの最前線にいるのが台湾です。政府は「2050年ネットゼロ」を掲げる一方、国をあげて「台湾をAIの島に」と宣言しており(※4)、脱炭素と、AI・半導体がもたらす電力需要増の両立という鋭いジレンマを抱えています。Apple、Google、Microsoftなどのサプライチェーンを担う台湾企業には2030年までの再エネ100%が求められますが、供給が追いつかず、いまや共通の不安は「再生可能エネルギーが買えないこと」です。それは環境対応の遅れ以上に、取引先を失う経営リスクとなっています(※5、※6)。さらに2026年には炭素税(碳費)の徴収が始まり、欧州のCBAM(炭素国境調整措置)と重なることで、再エネの調達とその効果の証明は、輸出企業にとって競争力に直結する死活問題となりつつあります(※7)。限られた再エネをどう組み合わせ、その価値をどう証明するかという「質の設計」の重要性が、かつてなく高まっています。
日本でも、企業の脱炭素は競争力に直結する経営課題です。発電事業者から直接・長期で再エネを買う「コーポレートPPA」が普及する一方、先進企業では「再エネ100%」から一歩進み、1時間ごとの使用をその時間帯の再エネでまかなう「24時間365日カーボンフリー(24/7 CFE)」への移行が進んでいます(※8)。太陽光など変動する再エネの「時間のズレ」をどう埋めるかが次の焦点です。
このように日本と台湾は、AI時代の電力需要増、国際ルールの厳格化、「量から質・時間へ」という構造転換という同じ流れの中にあります。この転換点で両国とアジアの企業が国際基準に応えるために、両社は強みを重ねることが再エネの発展に資すると判断し、MOU締結に至りました。
なぜこの2社なのか ― 補完し合う役割
今回の協業は、再エネの「調達・設計」を担うNPCと、「証明・見える化」を担うUPDATERが、それぞれの持ち場を持ち寄る補完関係にあります。
NPCは台湾を拠点に、再エネ小売・コーポレートPPA・法人向けエネルギーサービス・ESG・脱炭素コンサルティングサービスを手がけ、半導体、電気通信、大手IC設計、生命保険、金融、不動産など台湾を代表する企業群の脱炭素を支えてきました。再生可能エネルギー電力の契約電力量は、実績ベースで10億kWhを超え、単に電気を「売る」のではなく、太陽光・風力といった電源種別の選定から、企業ごとの電力の使い方に合わせた組み合わせ、供給の安定性、蓄電池の活用や投資判断までを含めて「最適な調達の形」を設計してきた点に強みがあります。供給が逼迫する台湾市場を知り尽くした、調達のプロフェッショナルです。
一方UPDATERは、「どの発電所の電気を、いつ使ったのか」を示す証明技術に強みを持ちます。2018年に電力トラッキングシステムを世界で初めて商用化し、発電量と電力使用量を30分単位で照合・管理することで、国際的な枠組み「EnergyTag」の要件にも対応しています。いまや国内最大級となったその運用実績は、国連機関の年次報告書(2025年)に日本発のモデルケースとして掲載されました。「どの発電所の電気を、いつ使ったのか」を示す証明技術こそ、UPDATERの強みです。
台湾市場を知り尽くしたNPCの調達力に、UPDATERの証明技術が重なることで、台湾企業は「再エネを買う」だけでなく、「買った再エネの価値を、国際基準で証明する」段階へと進むことができます。「量から質・時間へ」という世界の潮流に、日台連携でいち早く応えていくことが、この2社が手を組む意味です。
※2 McKinsey & Company|Scaling bigger, faster, cheaper data centers with smarter designs|2025年8月1日|https://www.mckinsey.com/industries/private-capital/our-insights/scaling-bigger-faster-cheaper-data-centers-with-smarter-designs
※3 GHG Protocol|Upcoming Scope 2 Public Consultation: Overview of Revisions|2025年10月|https://ghgprotocol.org/blog/upcoming-scope-2-public-consultation-overview-revisions
※4 公益財団法人日本台湾交流協会|台湾におけるエネルギー動向及び関連産業調査 報告書概要|2026年|https://www.koryu.or.jp/Portals/0/2025itakuchosa/energy_summary.pdf
※5 數位時代 BusinessNext|1座1GW資料中心就吃光全台自由綠電!台灣供應鏈面臨掉單危機|2026年5月6日|https://www.bnext.com.tw/article/90848/2026-green-power-shortage-crisis
※6 日本貿易振興機構(ジェトロ)|2023年の再エネ比率は9.5%、2026年末に20%の目標達成を見込む(台湾)|2024年7月|https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/07/3cf53f22b67b95fe.html
※7 台灣綠能公益發展協會|餘電憑證無法認列 綠電交易陷僵局 標檢局將研議修法|2026年4月14日|https://tgeca.org/2026/04/14/
※8 株式会社UPDATER(みんな電力)|UPDATERの「みんな電力」が国連機関に日本発のモデルケースとして掲載されました|2025年10月14日|https://minden.co.jp/news/2025/10/14/10130
協業の主な内容 ― 「何が実現するのか
両社は以下の分野で協業を進めます。単に分野を挙げるだけでなく、協業によって現場で何が実現するのかを具体的に描いています。
① 日台をまたぐ、途切れない再エネ調達・証明
台湾に生産拠点を持つグローバル企業や、日本から台湾へ進出する企業に対し、両社が連携して「進出先でも同じ品質の再エネ調達・証明」をワンストップで提供します。たとえば、日本本社がRE100を掲げる企業が、台湾子会社の電力までアワリーマッチングで見える化することが可能になります。
② 「買った」から「いつ・どこの電気か」へ
UPDATERが日本で培った30分単位のトラッキング技術を、NPCが持つ台湾のCPPA・再エネ供給網に適用。台湾企業の再エネ証明を、「単に再エネを買った」という段階から、「どの発電所の電気を、いつ使ったか」まで示せる次の段階へと引き上げます。
③ 地域と自然に、顔の見える発電所を
発電所の建設ありきではなく、地域や自然環境と共生する再エネ開発を両社で追求。UPDATERが日本で育ててきた「顔の見える発電所」の考え方を、台湾の地域社会にも広げます。
④ AIで、一社ごとの最適な脱炭素を
発電・需要のデータ分析やAIを活用し、企業ごとに最適な再エネ調達の組み合わせを設計するサービスを共同開発。電力の使い方に合わせた調達やコストの最適化を、より高度に、より自動的に実現します。
⑤ 国際基準を、日台の共通言語に
EnergyTagや24時間365日カーボンフリーといった国際的な枠組みを共通言語とし、日台の再エネ証明を国際基準へとつなげます。両国の企業が、世界のサプライチェーンから求められる基準に応えられる状態を目指します。
なお、具体的なプロジェクトや商業的な取り組みについては、今後の協議を経て別途合意する予定です。
■ 各社コメント
大自然能源電業股份有限公司 総経理 簡銘賢
再生可能エネルギーの普及が進む中、企業にとって、電力の由来や利用状況をより分かりやすく把握することの重要性が高まっています。今回のUPDATERとの協業を通じて、NPCが台湾で培ってきた再生可能エネルギーの調達・供給に関する経験と、UPDATERの電力トレーサビリティに関する知見を活かし、企業の皆さまに、より透明性と信頼性の高い再生可能エネルギーサービスを提供していきたいと考えています。台湾と日本、それぞれの強みを活かしながら、今後アジアにおける再生可能エネルギーのさらなる普及に共に貢献できることを期待しています。
株式会社UPDATER 代表取締役 大石英司
私たちは、エネルギーは本来、誰がどこでつくったのかが見える、顔の見えるものであるべきだと考えてきました。今回のNPCとの協業は、その思想を日本から台湾、そしてアジアへと広げていく大きな一歩です。私たちが積み上げてきた電力トレーサビリティの技術を、台湾のトップ企業を支えてきたNPCの知見と掛け合わせることで、『どの電気を、いつ、どこで使ったのか』が誰にでも見える世界を、国境を越えて実現していきます。再エネの透明性を高めることは、世界の脱炭素を本気で前に進めることそのものだと考えます。UPDATERはNPCと共に、アジアの再エネエコシステムを築いてまいります。
■今後の展望
両社はMOUを基点として、パイロットプロジェクトの共同実施、技術・市場の知見の相互交流を進めるとともに、台湾・日本・その他の国際市場における革新的な再エネ・脱炭素サービスの共同開発・提供を目指します。電力トレーサビリティの国際標準化に共同で貢献することで、アジア地域の持続可能な再エネ市場の形成を力強く推進してまいります。
■Natural Power Company Ltd. について
台湾を拠点とする再生可能エネルギー企業(台湾の社名:大自然能源電業股份有限公司)。再エネ小売、コーポレートPPA(電力購入契約)、法人向けエネルギーサービス、ESG・脱炭素コンサルティングを展開し、台湾企業の脱炭素の取り組みを支援。電気通信・IC設計・金融・保険・不動産など台湾トップ企業を顧客とし、累計10億kWh超の再エネ調達を支援してきた実績を持つ。
大自然能源電業股份有限公司(Natural Power Company Ltd.)会社概要
所在地:台湾
代表者:総経理 簡銘賢(Phil Chien)
設立:2021年8月
事業内容:再生可能エネルギーの小売・調達、企業向けコーポレートPPA(CPPA)、電力需給・配分管理、再生可能エネルギーに関する各種サービスを展開
コーポレートサイト:http://www.naturalpower.com.tw
■株式会社UPDATERについて
2021年10月1日にみんな電力株式会社から社名変更。法人・個人向けにトレーサビリティや透明性を軸にしたサービスを提供し、社会課題解決に取り組む。世界で初めて電力トレーサビリティを商用化した脱炭素事業「みんな電力」、労働市場をウェルビーイングで変革する「みんなワークス」、ブランドのエシカル度を評価・公表する「Shift C」、商品の背景やストーリーをもとに購買できるEC「TADORi」、人・社会・環境に配慮した商品を扱う「みんな商店」、土壌再生に向けた社会全体の行動変容を促す「みんな大地」などを展開。第4回ジャパンSDGsアワード内閣総理大臣賞、日本で3社のみのCDP認定再エネプロバイダー、エナジープロバイダーとしてB Corp認証を受けるなど受賞・認証多数。
株式会社UPDATER会社概要
所在地: 東京都世田谷区三軒茶屋2-11-22 サンタワーズセンタービル8F
代表取締役: 大石 英司
設立: 2011年5月25日
資本金: 1億円(資本準備金 1億9,773万9,500円)※2025年12月19日現在
事業内容: 脱炭素事業「みんな電力」ほかウェルビーイング、生物多様性等のSXサービスを展開
コーポレートサイト: https://www.updater.co.jp/
■本件のお問い合わせ先
<報道関係>
株式会社UPDATER 戦略広報チーム 邉見・豊島
TEL:03-6805-2228(受付時間 平日 11:00~15:00)
E-mail:pr@minden.co.jp
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